モーターユニットとサイズの原理|速筋・遅筋に関わる基本知識

筋肉の発達する原理

重量の設定に悩んでるんだけど結局どれくらいがいいの?

筋肥大を効率化するためには重量(負荷)の大きさの選択が重要です。

どのような重量設定が効果的かを考えるに当たって必要になるのが、モーターユニットサイズの原理です。

筋繊維の特性について把握しておくことも筋トレの基本知識として重要なこと。

このページではこの2つがどのようなものかを解説し、筋肥大に適切な負荷設定を考える基礎とします。

何kg(RM)がいいかの前に大前提の知識を押さえましょう!

筋肉の構造

各筋肉は筋繊維の集合であることは一般的にも良く知られたことで、もはや常識の域です。

しかし1つの筋肉でも一枚岩ではなく繊維ごとに個別にコントロールされているということはあまり知られていません。

実はトレーニングの動作中に対象の筋肉の筋繊維全てが均等に働いているわけではないのです。

このことがモーターユニットとサイズの原理い繋がり、筋肥大のための効果的なトレーニング方法のヒントになります。

モーターユニット

1つの筋肉には複数の(運動)神経が繋がっており、その神経がそれぞれ筋繊維でできた束をコントロールしています。

この1本の神経にコントロールされる筋繊維の単位をモーターユニット(運動単位)と言います。

そして1つの神経にコントロールされる筋繊維の本数、すなわちモーターユニットの大きさは一定ではありません。

また大きさによって異なった特徴を持っています(これについては後述)。

サイズの原理

サイズの原理は筋トレ業界において既に古典の域に達している共通認識事項です。

これは負荷に応じて動員されるモーターユニットの大きさが変わることを説明した理論でハーバード大学のヘンネマンらによって提唱されました。

内容は至ってシンプルなもので、負荷が高くなるほど大きなモーターユニットが優先的に動員されるようになるというものです。

すなわち同時に多くの筋繊維が動員されるってこと。

筋肥大は満遍なく刺激・ストレスを与えることで起きるので、多くの筋繊維に一気に刺激を与える方が効果的と言えます。

つまりは多くの筋繊維を含む大きなモーターユニットが使われやすい高負荷を扱うのが効率的ということです。

速筋と遅筋の性質

筋繊維も全てが同じ性質を持っているのではなく、2種類の異なる特性を持ったものが存在します。

速筋がさらに2種類に分かれるから厳密には3種類だけどね

それが速筋遅筋という分類であり、これはモーターユニットやサイズの原理に比べればかなり有名でほとんどの人が知ってるはず。

実はこのモーターユニットとサイズの原理はいずれも良く知られた速筋・遅筋の性質によって説明できるのです。

モーターユニットは大きさによって以下のような性質の違いがあります。

大きいモーターユニット
 筋繊維は数百から数千本。大きな力を発揮できるが疲れやすい。

小さいモーターユニット
 筋繊維は数十本程度。力は小さいがスタミナがある。

これこそまさに速筋と遅筋の性質そのものです。

速筋繊維には大きな力(瞬発力)を生み出すだけでなく、鍛えることで太くなりやすいという性質もあります。

つまりサイズの原理は、多くの筋繊維を一気に刺激できるから効果的ってだけじゃないってこと。

太くなりやすい性質を持つ速筋繊維が優先的に動員されるって点でも高負荷トレーニングが筋肥大に効果的と言えます。

ついでに速筋繊維(モーターユニット大)と遅筋繊維(モーターユニット小)の特性についてもここで押さえておきましょう。

遅筋繊維速筋繊維(中間型)速筋繊維
筋繊維の色ピンク
筋肥大肥大しにくい肥大しやすい肥大しやすい
ATPase染色法 タイプⅠ タイプⅡa タイプⅡb
代謝・エネルギー源脂質糖・脂質糖質
解糖系酵素活性
酸素系酵素活性中間
ミトコンドリア数中間
ミオグロビン量中間

速筋繊維は2種類(厳密には3種類だが3つめはほとんど無視できる量)に分かれ、その特性が若干異なります。

速筋繊維は解糖系酵素活性が強く、無酸素性代謝つまり糖質を中心に消費します。

一方の遅筋繊維は酸素系酵素活性が強く、ミトコンドリアやミオグロビン量が多いので有酸素性代謝、つまり脂質を中心に消費。

中間に当たる速筋繊維(タイプⅡa)はトレーニングにより増加し、脂質も代謝するようになります。

セット数を重ねる必要性

筋肉の構造とサイズの原理から重量と筋肥大の関係について説明しました。

しかしどれだけ効果的な重量を用いても、セット数を重ねなければ有効なトレーニングにはなりません。

その理由はモーターユニットのスイッチングにあります。

確かに速筋群に刺激を与えて疲労させるのが筋肥大には効果的ですが、もっと正確に言えば全ての・・・速筋群に刺激を与えることが重要です。

つまり筋肥大に有効とされるオールアウトとは、この(大きい)モーターユニットの使い切りのことを言います。

そしてダメージ(負荷×回数)が大きく、使われているモーターユニットが限界に達したとしても、セット中にスイッチング(交代)は起こりません。

違うモーターユニットへの交代が起こるのはインターバル中

つまりインターバルを挟んで複数セットを行うことがモーターユニットを隈なく使う上では欠かせないってことです。

まとめ

筋肥大、筋肉の基本であるモーターユニットとサイズの原理についてでした。

直感的にも分かることですが、筋肥大を効率的にしたかったら、多くの筋繊維を一気に使える高負荷のトレーニングの方が良いという理論です。

ただし満遍なくモーターユニットを使うためには、インターバルを挟んでセット数を刻む必要もあります。

何セットが効果的かは議論があるところですが、標準的な3~5セットに従うのが無難でしょう。

もちろん扱う重量にもよるよ!

セット数と重量の設定の基本的なメソッドについてはこちらのページもご覧ください。

高負荷のトレーニングじゃなきゃダメってこと?

実はそう単純でもないんだ!

サイズの原理に基づけば高負荷なトレーニングほど筋肥大に効果があり、低負荷では筋肥大はあまり望めないということになりそうです。

それについては各負荷の大きさの筋肥大効果として別のページでそれぞれ検証しているので、そちらもご覧ください。
てなとこで。

参考文献