筋肉痛のメカニズムと筋肥大との関係|痛みがあっても筋トレしていい?

トレーニングの日だけど筋肉痛が残ってる…やっていいのかな?

ある程度トレーニングに慣れてくれば、分割やメニューのルーティンも固まってくるでしょう。
しかしレベルが上がってくるごとに悩むようになるのが、筋肉痛と筋トレローテーションの関係です。
決まったトレーニング日に前回の筋肉痛を引きずってしまってることが結構あります。
そんな時でもローテーションを守ってトレーニングをした方がいいのでしょうか?
このページでは筋肉痛と筋トレの関係について解説します。

このページでわかること

・筋肉痛の新しい常識
・筋肉痛と筋肥大の関係
・筋肉痛のときにルーティンを守ってトレーニングするべきか

1 筋肉痛はなぜ起こる?

筋肉痛の時にトレーニングしていいのかを考える上で、そもそもの筋肉痛の正体について把握しておく必要があります。

1-1 筋肉痛は筋肉のキズが原因?

筋肉痛は筋繊維にできた損傷が原因なんじゃないの?

筋肉がトレーニングの負荷で傷つき、その傷を修復するプロセスで以前より大きくすることによって筋肥大が起きる。
これが有名な超回復の理論です。

因みに最近だとこの超回復理論は否定説が有力になって来てるよ

そして「筋肉痛はこの筋肉の微細なキズによって発生する痛み」だと長らく考えられてきました。
これが今までの筋肉痛の常識です。

しかし最近の研究で、筋繊維やその集合体である筋肉には痛覚がないことが判明しています。
つまり筋トレでできた筋繊維に傷が出来たとしても、それによって筋肉自体が痛むことはないということです。
では筋肉痛の正体は何なのでしょうか?

1-2 筋膜が破れることで筋肉痛は起きる

筋肉痛を考える上で考えるべきは筋肉ではなく、それを覆う筋膜です。
フォームローラー(筋膜リリース)などで一時期話題になったので、ご存知の方も多いでしょうが、筋膜とは鶏肉の薄皮のようなものです。

トレーニング負荷で筋繊維だけでなく、この筋膜にまで損傷が及びます。
そして筋肉が負荷を受けると炎症が起こるため、消炎作用のあるブラジキニンなどの成分が分泌されます。
その時に筋膜の破れがあると、そこから分泌物が漏れ出して行き、それが周囲の神経に触れることで痛みが発生するというのが正しい筋肉痛のメカニズムです。

ストレッチ種目ほど筋肉痛が起こりやすいのは、筋膜が引き伸ばされて破けやすいからだよ

時間が経つにつれてピンポイントだった痛みが薄く広くなっていくような感覚を覚えたことがあると思います。
この理由は消炎作用のある分泌物がジンワリと周囲に拡がっていってるからです。

1-3 筋肉痛と筋肥大は無関係

そしてこの筋肉痛の真実に付随して知っておくべきことがあります。
それは筋肉痛と筋肥大は無関係ということです。

筋肉そのもののダメージが原因じゃないんだから当然だよね

筋肉痛があるということは、あくまで表面の筋膜が破れているかを知る手段に過ぎません。
つまりストレッチがしっかり出来ていたかの基準にはなりますが、筋肉の成長に必要な負荷がしっかりかかっていたとは言い切れないということです。

これを逆に考えると筋肉痛が無かったからといって必ずしも効果の無いトレーニングだったということにもならないことが分かります。
可動域が狭かった可能性があるため改善の余地がありますが、躍起になってトレーニングボリュームを増やし、オーバーワークにならないように注意しましょう。

筋肉痛があっても筋肉はキズが治ってるかもしれないってことか…

2 損傷じゃないなら筋トレしてもOK?

これまで説明したメカニズムから、筋肉痛があるからといって必ずしも筋肉にダメージが残ってるとは言えないことが分かります。
筋肉痛が残っていても筋肉自体が回復しているのであれば、ローテーション通りにトレーニングしても良さそうです。
しかし2つの理由から筋肉痛が残っている間のトレーニングはオススメしません

①回復具合を測れない ②パフォーマンスの低下

2-1 回復していない可能性がある

まず第1に筋肉が十分に回復しているかを知る手段がありません。
筋肉痛の有無と筋肉の回復の程度は必ずしも一致しないですが、筋肉の状態を把握する方法が他に存在しないのです。

そして実際に筋肉痛がある場合には、かなりの確率で筋肉が回復していません
すでに説明したとおり、筋肉痛の原因は筋肉の炎症を鎮めるための成分です。
その痛みが筋肉から直接発せられたものではないとしても、消炎成分が分泌されているということは本体の筋肉に炎症が残っている可能性が高いと言えます。

すなわち万全な状態まで回復していない可能性が高いのです。

2-2 パフォーマンスの低下

たとえ筋肉が回復していたとしても、筋肉痛があるならやはりオフにすべきでしょう。
こちらの理由はシンプルで、痛みを感じることでトレーニングのパフォーマンスが低下する可能性が高いからです。

扱える重量の低下もさることながら、ストレッチ動作に強い痛みが伴うので、可動域が無意識に狭くなってしまいます。
重量(総負荷)と可動域はいずれも筋肥大に不可欠の要素なので、ここを疎かにして無理やりトレーニングをしても筋肥大効率は上がりません。

色んなところで強調してるとおり、体感的な辛さと筋肥大効果はイコールじゃないからね

また痛みで気が散ってしまい動作が乱れたり、集中力の低下スピードが速くなるという問題もあり、コンディションとしては最悪と言えます。

まとめ

筋肉痛の真実について解説しました。
筋肉痛は筋繊維にできた傷と、その修復過程で発生する炎症が原因とされています。
炎症が原因というのは半分正解ですが、筋肉痛が筋肉そのものの痛みという認識は誤りです。
筋肉そのものに痛覚はなく、正確には破れた筋膜から染み出した抗炎症作用のある成分が神経を刺激することで筋肉痛は発生します。

筋肉痛が筋肉のダメージや疲労と直接的な関係が無いなら、筋肉痛が残っていても筋トレは出来そうです。
しかし、以下の理由から筋肉痛が残ってる間の筋トレはオススメしません。

①筋肉の回復程度を把握する方法が他に存在しない
②抗炎症作用のある成分が分泌されてるということは高確率で筋肉に炎症が残っている
③痛みの影響でパフォーマンスが下がり負荷・可動域が不十分になる

筋トレの効果を最大化するためには、高いパフォーマンス・高い頻度でトレーニングをすることが重要になります。
つまり筋肉痛はなるべく速く治めることが肝要ということです。そんな筋肉痛の対策について詳しくは別のページで解説します。
てなとこで。

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