レベルアップに必須|増量期・減量期が筋肥大に必要な理由

ボディビルダーの増量と減量

ボディビルダーやフィジーカーのようにコンテストを目指してボディメイクをしてる人は必ずトレーニングの期分けを行っています。
期分けとは具体的には増量期・減量期といったシーズンごとに方針を変更することです。

一方で一般的なサラリーマントレーニーではこうした明確な期分けを行っている人はあまり多くはありません。
期分けは何となく高度なモノに感じるため「そういう本格的なのは競技者だけのもの」と思ってしまうのでしょう。

しかし一般のトレーニーであってもレベルアップさせたいなら期分けを行うことは必須です。
このページでは、トレーニーが期分けを行う必要性について解説します。

このページでわかること

・筋肥大を目指す上で知っておくべきこと
・なぜ増量期と減量期が必要になるのか?
・期分けによるメリット
・具体的に何を切り替えるのか?

1 筋肉をつけるために知っておくべきこと

筋トレをする上でまず知っておかなければいけないことが、「常にベストな状態でいることは出来ない」ということです。
ボディビルダーやフィジーカーが常にバキバキのコンディションを維持してるわけではありません。
増量期と減量期を繰り返していて身体のコンディションは常に上下しています。
最近ではオフシーズンも含めて日々の状態の変化をYouTubeやSNSなどで発信してる選手も多いので、徐々にそのことが知られてつつあります。

まず最初に増量期と減量期がそれぞれ必要になる理由について解説しましょう。

1-1 筋肉を増やすには食事が必須

増量期が必要なのは、ある一定のレベルから筋肉を落とす圧力が非常に強くなるからです。
この身体を標準値に戻そうとする圧力のことを恒常性(ホメオスタシス)と言います。

筋肉はエネルギーを浪費するから節約思考の遺伝子からするとかなりの重荷なんだよね

その圧力に逆らって筋肉を増やしていくためには、かなりハードな筋トレが必要です。
そしてその筋トレのパフォーマンスと筋肉の合成・維持を支えるには多くのエネルギー・食事が必要になります。

必要カロリーをピッタリ摂れればベストですが、必要なエネルギーを正確に把握することは出来ません。
アンダーカロリーでは圧力に負けてしまうので、少し過剰なくらい摂取することになるのです。
これが増量期を必要とする理由になります。

つまり筋肉を増やしたければ多少の脂肪は覚悟しないといけないってことか…

まさにノーペイン・ノーゲインだね

1-2 体脂肪は筋肥大を妨げる

次に減量をする理由について解説します。
最もシンプルな理由は身体を完成させることです。ボディメイクをしていて体脂肪の蓄積を是としている人はまずいないでしょう。
ただ理由はそれだけではありません。

摂取カロリーを増やして体重が増えるほど筋力がついて有利!

これは増量に関してよくある勘違いです。
糖質や脂質というエネルギーが血中に豊富にあるからパワーが発揮しやすいのであって、太ったからではありません。
むしろ筋肥大にとって体脂肪の増加はマイナスになります。

体脂肪率が高くなると、筋肉を合成する主なアナボリックホルモンであるテストステロンの分泌が低下するからです。
過剰な脂肪をつけないようにしないと、筋肉が増えずただ体脂肪で体重が重いだけの人になってしまいます。

つまりボディメイク目的でない人も筋肉を肥大させるためには定期的に減量して、体脂肪を落としておく必要があるということです。

2 期分け(増量期・減量期)のメリット

筋肉を増やしながら脂肪を落とすって本当にできないの?

いくら「必要な犠牲だ」と言われても、体脂肪がついてしまうのはなかなか受け容れがたいものだと思います。
実際にぼくも長らくトレーニングしてきて純粋な増量期を受け容れられるようになったのはつい最近のことです。

ただ「体脂肪をつけずに筋肉だけをつけたい」などと都合の良い考え方では、どっちも中途半端なそこそこの身体にしかなりません。
この現実を受け容れるには増量・減量を行うメリット・必要性を押さえておく必要があります。

まず前の項目でも解説したとおり、筋肉を大きくするためにはある程度の体脂肪を覚悟した食事が必要です。
そして体脂肪を定期的に落とさなければ筋肉の発達は停滞してしまいます。

これだけでも十分ですが明確に増量・減量を区別して実践することには、さらに2つのメリットがあります。
具体的には以下のとおりです。

①フラストレーションの解消
②マルチタスクの回避

2-1 フラストレーションの解消

多くの人が理想とするボディメイクのあり方は「①筋肉の増加」と「②脂肪の減少」を両立したものだと思います。
しかしこれらを両立することはかなり困難です。と言うかムリだと思います。
何故なら筋肉も脂肪も同じ身体の合成作用で付くものだからです。

これらを追おうとした結果、筋肉はあまりつかず体脂肪もそこまで落ちないという中途半端な状態になってしまいます。
筋肉・体脂肪のどちらの目標も達成できないということです。
何も進展してないとなると心理的にかなり厳しく、モチベーションの維持も難しくなってしまいます。

一方で増量期と減量期を明確に区別していれば、こうしたフラストレーションを抱えずに済みます。
増量期は筋肉を増やすこと、減量期は体脂肪を減らすこと、とその時に達成すべき最優先の課題が明確だからです。
体脂肪が増えようが筋肉が増えてればOKとなれば、モチベーションも効率も高まります。

2-2 マルチタスクの回避

筋肉をつけることと体脂肪を落とすことは真逆のことなので、やるべきことも真逆になります。
いずれも簡単なタスクではないので、両方をコントロールするのにはかなりの労力をします。
自制心に自身の無い人は特にコントロール不良に陥りやすいです。

また仕事や家事で忙しい中でのトレーニングのはずで、筋トレに有酸素運動に食事の調整にと複数のことを熟し続ける余裕は無いでしょう。
そしてこの負担の大きさもまた挫折の原因になります。

その一方で明確に期分けをすれば筋肉の増加・体脂肪の減少などそれぞれ目的が明確になるので、やるべきこと・やらなくて良いことが明確になります。
やらなくて良いことを気にする必要がなくなるので、時間的・精神的な余裕が得られるはずです。

3 やるべきことは何か?

期分けをすることでそのシーズンの目的や達成のための手段が明確になると解説しました。
では具体的にそれぞれの期において何をコントロールすべきなのでしょうか?
増量・減量を決定づけるもの、それは食事です。

食事は筋肉や体脂肪の合成から筋トレのパフォーマンスまで影響する要素なので、増量・減量に合わせてコントロールするのは当然で、理解は容易だと思います。
食事のコントロールでまずやるべきはカロリー計算、そしてPFCバランスの決定です。
その基本についてはこちらのページで解説しました。
基礎知識がしっかり認識できてるか改めて確認してみてください。

期分けを行う場合は基本的な方法よりも厳密な管理が必要です。
減量における食事量とPFCバランスの一般的な決め方についてはこちらのページで解説しています。

一方で増量中の食事の方法にはいくつかのパターンがあります。
増量中の食事方法の分類とその具体的なメソッドについては、以下のページでまとめてるので参考にしてください。

まとめ

ピリオダイゼーション、すなわち増量期・減量期と明確な期分けを行う必要性について解説しました。
イイ身体を目指してトレーニングをしてる人がほとんどなので、減量はさておき増量を受け容れられないという人は多いです。

しかしある程度のレベルからそれ以上を目指すとなると、「体脂肪はつけずに筋肉だけ増やす」といった都合の良いことがかなり難しくなります。
そのため、ある程度の体脂肪の増加を覚悟して増量期を実施し、筋肉が発達してきたところで減量期に切り替えるという明確な期分けが必要になるのです。

増量期・減量期と分けることで目標がそれぞれ1つに定まるので、最優先のことだけを見据え達成度合いを測ることが出来るようになります。
またやるべきことが明確になりシンプルに考えられるというのもメリットです。

増量期・減量期を決定づける最も根本的な要素が食事であり、それぞれの期ごとにその内容は大きく異なります。
また方法も色々あるので、自分に合ったメソッドがどれなのか、掲載したページの内容を参考に色々試して探ってみてください。

また増量・減量において気になるのが、どのタイミングで切り替えるのかということでしょう。
それについては別のページで解説しています。

最後にもう1度言います。体脂肪を避けて筋肉は増やせない。ノーペイン・ノーゲインです。
てなとこで。