時間を考慮した筋トレ重量の最適解|本当に低負荷がベスト?

筋肥大を目指すなら低負荷トレーニングが最も効率的であるというのが現在の常識です。
まずはこちらのページでその理由を確認しておいてください。
しかしそこで解説したのは一時点を切り取った場合であり、時間の経過を加味した場合は答えが変わります。
・低負荷トレーニングだけではダメな理由
・最大筋力の重要性
・筋肥大にベストな負荷設定
・弱点とその対策
低負荷トレーニングの弱点
筋力は筋肉の大きさと運動神経の強度の2つの影響で決まります。
低負荷トレーニングは肉体的なオールアウトに専念するので筋肥大に有利なわけですが、運動神経の発達が疎かになります。
運動神経の発達が伴った筋肥大であれば筋肉のサイズアップが10%したとき筋力は15~20%程度上昇するものです。
しかし低負荷トレーニングの場合は10%のサイズアップに対して筋力の増加も10%にとどまります。
なぜこのような発達の仕方になるのかはこちらのページで解説しています(再掲)。
筋力の増加ペースが遅く、サイズに対する筋力のパフォーマンスが低い「見せ筋」になるというのが弱点です。
筋力は必要ない?
筋肥大だけが目標であり、「見せ筋」と言われようが構わないなら低負荷トレーニングでも十分かというとそうではありません。
低負荷トレーニングではいずれ筋肥大の効率も落ちてしまいます。
それには低負荷トレーニングの弱点である運動神経の発達が大きく影響しています。
漸進性過負荷の理論
小難しい表現ですが、これも筋肉の成長にはストレスが必要という基本に繋がります。
意味はシンプルで、「少しづつ負荷を大きくしていく必要がある」ということです。
ストレスによって身体が危機感を覚えることで、防御反応たる筋肉の発達が起こるので、負荷に慣れてしまうなんて論外。
そのために負荷を変化させて新鮮な刺激を与え続けなければいけません。
詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。
負荷を増加させられない
ここで低負荷トレーニングの弱点である筋力の発達がネックになります。
筋力の増加が筋肉の大きさに正比例してしまうので、最大筋力すなわち扱える重量の増加ペースが非常に遅くなります。
最初の頃は筋肥大が起こるのでそれなりに扱える重量も伸びるでしょう。
しかしゆっくり増加している間に身体の適応(慣れ)が追いついて来るので、そこからは筋量も重量もほとんど増えません。
そうなると刺激の変化は回数を増やすしかなくなりますが、トレーニング時間が長くなるので現実的ではない上にデメリットも大きいです。
長時間トレーニングの問題について詳しくはこちらをご覧ください。
中負荷トレーニングが最適解
長期的には運動神経を強化してMAXの重量を伸ばすことも大事なこと。
継続的な筋肥大に有効な負荷は極端に高負荷や低負荷に偏らない中間的な負荷が最適と言えます。
運動神経の強化も肉体的な追い込み具合のいずれも高負荷・低負荷ほどではありません。
しかし脳と筋肉の双方をバランス良く追い込めるのは非常に大きなメリットです。
いずれか体力の少ない方が先にオールアウトされるので、自然と弱点が強化されます。
どちらを鍛えるべきか自己判断するよりも、正しく効率的に筋力(筋量と運動神経)の発達を目指せます。
特に初心者のうちはどちらも鍛える必要があるので、いずれかに偏るのは好ましくありません。
基本の重量設定で言うならやはり中負荷がベストです。
総負荷理論も中負荷を支持
総負荷の理論は低負荷トレーニングの有効性の根拠にされるものです。
しかし長期的な視点で見るとこの値も低負荷トレーニングは伸びが悪くなります。
総負荷量は重量×回数×セット数なので重量も大事な要素。
最大筋力の増加ペースの早い中負荷トレーニングの方が総負荷量の増加ペースも早く、いずれは低負荷のそれを追い越します。
あくまでシミュレーションですが、低負荷(15RM)・中負荷(10RM)でそれぞれトレーニングした場合の総負荷量の変化を計算すると以下の通り
トレーニング開始当初の総負荷量
・低負荷の場合
65㎏ × 15回 × 5セット = 4,875
・中負荷の場合
75㎏ × 10回 × 5セット = 3,750
開始当初はその差が1,125あります。
その後1ヵ月筋トレを継続すると低負荷トレーニーは15RMが67㎏くらいまで伸びます。
対して中負荷トレーニーは10RMが80㎏程度まで増加します。
1か月後の総負荷量
・低負荷の場合
67㎏ × 15回 × 5セット = 5,025
・中負荷の場合
80㎏ × 10回 × 5セット = 4,000
1ヵ月継続するとその総負荷量の差が1,025になり、当初より100もの差が縮まっています。

たった1ヵ月でこの追い上げ!
既に説明したとおり低負荷トレーニングでは筋力の成長が遅くなっていきます。
1年経つ頃には成長を続ける中負荷トレーニングに総負荷量も追い越されているでしょう。
この理論においても長期的な視点を入れるだけで支持する負荷設定が変わるということです。
RMと重量設定の関係が分からないという方はこちらをご覧ください。
まとめ
時間の経過を考えた上で、最も効率的に筋肥大する負荷の設定について解説しました。
低負荷トレーニングは安全に筋肥大を目指すことができます。
しかし扱う重量を徐々に増やすという条件(漸進性過負荷)を達成しにくい点が問題。
脳と筋肉の双方のオールアウトをバランス良く達成できる中負荷トレーニングが長期的に見て有効ということです。

自動的に弱い方をトレーニングしてくれるからね!
具体的には8~12RM程度の重量が中負荷に該当します。
初心者のうちはフォームの正確性やケガの回避が重要なので、なるべく12RMから始めるのがオススメです。
本文でも触れましたが、負荷の大きさを固定することなく使い分けるというテクニックも存在します。
このページでは全てのセットで同じ重量を使ってトレーニングすることを前提に話しました。
しかし実は万能そうに見える中負荷トレーニングにも問題が発生します。
100㎏がMAXの人が80㎏で8回5セットのトレーニングをしていた場合を考えましょう。
80kgが1回しか挙がらないところまで追い込まれても、その8割に当たる64㎏はまだ8回挙げられる力が残っているはずです。

あくまで理論上の話だから実際はそこまでは挙がらないけどね
その余力を残した状態ではオールアウトしたとは言えず、筋肥大効果が弱まる可能性があります。
そんな問題を解決する方法として、セット毎に重量や回数を変えるというメソッドが有効です。
ややこしい2種類の違いを解説しながらその方法と取り入れ方を解説しています。
興味のある方はこちらも参考にしてみてください!
てなとこで。
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