ボディビルダーの筋肉は見せ筋?|その答えと鍛え方の注意点

ボディビルダーの見せ筋

筋トレでつく筋肉は「見せ筋」って言われたんだけどホント?

「筋トレでつけた筋肉は使えない」「筋トレでつけた筋肉は力がない」

これらは今に限らず昔からずっと言われてきたことです。

ボディビルダーやフィジーカーなどの筋肉は実用性がなく見せるためだけという意味で「見せ筋」と言われます。

しかし本当に筋トレで鍛えた筋肉は力が弱い見かけだけの筋肉なのでしょうか?

このページでわかること

・筋トレでは見せ筋しかつかないのか?

・スポーツとボディビルの違い

・トレーニング上の注意点

ビルダーの筋肉は見せ筋(寄り)

そもそも批判の仕方として「使えない」というのは少し定義が漠然とし過ぎています。

そこで見せ筋とは「スポーツでの動作効率が悪い」ことを言っている前提で進めましょう。

結論から言うと、そういう意味ならビルダーやフィジーカーのようなボディメイク目的の筋肉は見せ筋になりやすいです。

一般的なイメージとはちょっと違って「筋トレ=見せ筋」ではなく、トレーニングの方法によって見せ筋になるかどうかは大きく変わります。

では何故ボディビルダー・フィジーカーは筋肉隆々の体型にも関わらず見せ筋になりやすいのでしょうか?

ビルダー・フィジーカーのような体型がスポーツで上手く機能しないのには大きく3つの理由があります。

①筋肉の大きさが可動の妨げになる

まず筋肉は体組織として比重が非常に大きく、単純に筋肉量が多くなるほど身体は重くなります。

単純に重いというだけでも、速く走ったり素早く身体を切り返す動作には十分な障害です。

また筋肉が大きくなるほど物理的に可動域が狭められてもいきます。

・腕や胸回りの筋肉がバルクしてくると、反対側の肩が触れない

・大腿部の筋肉が発達してくると内股が擦れてズボンに穴が空く

こういう自虐的なトレーニーあるあるも有名で、ビルダーのトップ選手は着替えに苦労する人もいるとかいないとか。

因みに筋肉が発達すると身体が硬くなると言われることもありますが、これは正しくありません。

筋肉の発達の影響で可動域が狭まることはありますが、筋肉自体はむしろ柔軟性が高くなります。

筋肥大に有効な刺激は3種類で、そのうち1つが筋肉を大きくストレッチしたポジションで動作することだからです。

理に敵ったトレーニングをしていれば、この点は心配する必要はないでしょう。

ちなみに筋肥大に有効な基本的な刺激の種類については以下のページで解説しています。

②決まったポジションでのパワー

トレーニング種目の分類方法は色々ありますが、可動する関節の数での分類が最も一般的です。

複数の関節の動作を動員する多関節(コンパウンド)種目は比較的身体の広い範囲を連動させます。

一方で1つの関節のみの動作になる単関節(アイソレート)種目は狙った筋肉を鍛えられる分、連動は弱くなります

またベンチプレスやデッドリフトなど、フリーウェイトを使ったトレーニングは多関節であると同時に姿勢を安定させる力も必要です。

関節・姿勢を安定させるために細かい筋肉も使うよ

つまり比較的スポーツや日常のシーンに身体の使い方が近いと言えます。

しかしマシントレーニングはターゲット以外の部位、そして動作の軌道を固定した状態で力を発揮させてピンポイントで鍛える方法です。

動作の軌道がマシンにコントロールされているので、姿勢・関節の安定のための筋肉もほとんど要りません。

つまり全身の連動が鍛えられないと同時に、そのポジション以外では力が発揮しにくいと言えます。

ならフリーウェイトで鍛えれば良いだけじゃないの?

シンプルに考えればこうなるかもしれませんが、それではビルダー・フィジーカー体型には辿り着きにくくなります。

ビルダー・フィジーカーのような筋肉のカット・ストリエーション(メリハリ)を出すには個々のパーツを独立して鍛えるのが不可欠だからです。

このようなトレーニングをせず、ひたすら連動を要する(高負荷・多関節)トレーニングを行うリフターと身体の仕上がりを見れば必要性は明白でしょう。

もちろん体脂肪率の違いの影響もあるけどね

③筋肥大に効果的なのは非効率な運動

スポーツで要求される優れた動作というのは効率の良い力の発揮の仕方です。

瞬間的に力を発揮し、ムダな力を使わない燃費効率の良い力の使い方と言い換えることもできます。

一方で筋肥大に有効な動作はこれとは真逆の性質のものです。

筋肉を完全に疲労させ切る(オールアウトする)必要があるため、効率良く力を使っていては目的を達成できません。

勢いや反動で瞬間的に力を発揮するのではなく、動作の最初から最後まで負荷を筋肉で受け止めてジリジリ動作を続ける必要があります。

ここでは大きく3つの要因について解説してきましたが、最も影響が大きいのはこのポイントでしょう。

器用な人であれば筋トレではじっくり力をかけ、スポーツでは瞬間的に力をかけるという区別が出来ます。

しかしボディビルなどのトップ選手ともなると動作のクセが染み着いてしまっている人がほとんどで、なかなか切り替えは出来ません。

スポーツでも筋トレが必要な理由

特定の動作の力を強くしたかったらその動作を続ければいいと主張する人がいますが、これは半分しか正しくありません。

筋力というのは筋肉量と運動神経が合わさった結果です。

動作を繰り返すというのは運動の特異性の強化であり、これは後者の運動神経の発達に関係すること。

しかし運動神経が筋力に与える影響は40%程度で、残りは筋肉の大きさによって決まります。

力の大枠を決めるのが筋肉量で、運動神経はそのポテンシャルをどこまで使えるかってとこかな

抵抗がないスポーツ動作では身体が壊れないよう脳がストッパーをかけてしまうので、筋肉量の増加に必要な負荷が筋肉にかかることはありません。

実際に20回以上反復できる負荷では筋肥大が起こらないことが研究でも確認されています。

つまり筋肉を大きくするにはウェイトなどで外から強制的に力をかける必要があるということです。

だからプロスポーツ選手もビルダー・フィジーカーと同じくフリーウェイトやマシンを使って筋トレをするのです。

そうして筋肉をつけてから、投球やパンチに使えるように運動神経を強化していきます。

筋肉を鍛える方法は皆同じ。問題はどう使うかってこと

ボディメイク目的の鍛え方の注意点

ボディメイク目的の筋トレはスポーツ目的のトレーニングと異なります。

ボディメイクの場合は筋肉を大きくすることが最大の目的なので、それに沿った方法で鍛えるのが効果的です。

しかし目的が違うからと言ってもう一方のアプローチが全く不要というわけではありません。

これは1個前の項目で解説した、「スポーツ目的でも一定の筋肥大が必要」という点に表れている通りです。

「ビルダーの筋肉は見せ筋」と言われる最大の要因は、「見かけほど」力がない点にあります。

そしてそうなる理由こそが筋肥大を重視したトレーニング手法にあるのです。

筋肥大重視のトレーニング方法

筋肥大を重視した時により効率的なトレーニング方法はズバリ低負荷×高回数トレーニングです。

既に解説した通り軽すぎる負荷では効果はありませんが、適切なレベルであれば低負荷ほど運動ボリュームを稼げます。

つまりオールアウトを達成しやすいということです。

筋力は筋肉量と運動神経で6:4の比率で影響すると説明しましたが、負荷がかかる場合はその大きさによってバランスが変動します。

負荷が大きくなるほど、筋肉全体のポテンシャルを発揮する必要性が高くなるので運動神経が関与しやすいのです。

つまり負荷が小さくなるほど運動神経に頼ることなく、筋肉量すなわち筋肥大にフォーカスすることができます。

スポーツとの違い

スポーツの場合は筋肉を大きくする段階と運動神経(スポーツ動作)を鍛える段階が明確に分かれているので、鍛え方で力に差はほとんどつきません。

しかし筋トレの場合は筋力を発揮する動作そのものが種目なので、運動神経を鍛えるのも同じくトレーニング中。

つまり意識的に鍛えるバランスを取らなきゃいけないってことです。

筋肉の肥大を優先させて低負荷トレーニング中心にしていると、運動神経はなかなか発達しません。

運動神経の発達は最大筋力の大事な要素なので、ここが疎かになるということはMAX重量も伸び悩むことになります。

普通なら筋肉量が10%アップすると、筋力は15~20%近くアップしますが、運動神経の関与がないとそういうことが起きません。

筋肉のサイズにほぼ完全に比例しちゃうらしい

これぞまさに「見せ筋」と言えます。

低負荷が有効なのはトレーニングボリュームを稼げるからで、決して負荷が小さいほど有効ってことじゃありません

10RMが70kgの人と120kgの人なら後者の方が当然トレーニングボリュームも大きくなります。

つまり運動神経を鍛えて、最大筋力を伸ばすことも筋肥大には不可欠ってことです。

ボディメイクだから筋力は関係ない!とも言ってられないんだね…

まとめ

筋トレでつく筋肉は使えない見せ筋なのかについて解説してきました。

ボディビルダーは機能性よりも大きくかつ均整の取れた身体を作ることを目的としています。

その彼らに球技や格闘技で使えないと言うのは水泳選手に体操をやれと言うのと同じようなものです。

つまり目的が違うため、それに合わせて鍛え方も全く違います。そもそも目的が違うので比較することに意味はありません。

スポーツ選手も筋トレをしていることから、どんな競技でもパワーをつけるのに筋トレは欠かせないのは明白です。

ただ筋トレ特有の問題として肥大を優先するあまり「見かけほど強くない」「伸びしろのない筋肉」になる可能性はあります。

この点についてはトレーニング負荷と筋肥大の有効性について説明した記事で解説しているので参考にしてください。

準備中

また時期によってトレーニングを変えることで全体的なレベルアップを図る方法もあるので、こちらのページもぜひご覧ください。

てなとこで。