ポリフェノールと腸内環境の関係|チョコに肥満予防効果がある?

ポリフェノールと聞くと抗酸化作用などアンチエイジング的な側面をイメージする人が多いのではないでしょうか?
もちろんそうした効果はありますが、最近は腸内環境に与える良い影響が注目されています。

もしかしたら「ポリフェノールって名前は聞いたことがあるけど正直よくは知らない」という人が結構いるかもしれません。
このページでは、そんなポリフェノールの基本から腸内環境との関係まで解説します。

このページでわかること

・ポリフェノールとは何か?
・ポリフェノールと腸内環境の改善との関係
・腸内環境の改善に効果的なポリフェノールを含む食品

1 ポリフェノールとは何か?

ポリフェノールとは複数(ポリ)のフェノール性ヒドロキシ基を持つ植物成分の総称です。
ここまで難しいことまで細かく覚えておく必要はありません。
ポリフェノールの種類は想像以上に多く、有名どころで言うとカテキンやアントシアニン、コーヒークロロゲン酸などです。

ポリフェノールはマイナスの電荷を帯びていて、不安定な活性酸素などのフリーラジカルの活動を安定化させる働きをすることが期待されています。
そのため「ポリフェノール=アンチエイジングなどに効く抗酸化食品」ってイメージが強いんじゃないでしょうか。

活性酸素といえば、言わずと知れた老化物質だね

その他に「運動は頭を良くする」でおなじみのBDNF(脳由来神経成長因子)の増加による認知機能アップも期待されていています。
つまり皮膚のシワやたるみといった外側の老化だけでなく、内部の老化予防にも効くということです。
さらにHDLコレステロール(善玉)を増やしたり、LDLコレステロール(悪玉)の酸化防止による動脈硬化予防血圧の低下など色んな方面のケアに役立ちます。

そこに加えてポリフェノールの摂取で便通が改善するというレポートが多くなり、腸内環境との関係にも注目が集まり出したのです。

2 ポリフェノールと腸内環境の関係

これまで腸内細菌のエサと言えば、食物繊維やオリゴ糖など人間の消化酵素では分解しきれない難消化性の炭水化物だけと思われてました。
しかしポリフェノールもその結合の仕方によっては食物繊維などと同じく、人間の消化器官の機能では分解・吸収できないことが分かったのです。

そして大腸まで吸収されずに残ったポリフェノールが腸内細菌のエサとなり、その構成に影響を与えることが分かりました。

2-1 ポリフェノールの肥満の抑制効果

中でも注目を集めたのがポリフェノールの肥満の抑制効果です。
今までポリフェノールの効果として全く触れられてなかったものですが、実験で確認され始めています。

腸内環境の悪化の原因になる高脂質・高タンパクの欧米食的なエサをマウスに与え、同時にポリフェノール水を与えるという実験が有名です。
対象群ではポリフェノール水を飲まず欧米食だけ食べさせ、当然のように肥満になりました。
一方のポリフェノール水を飲みながら欧米食を食べたグループも当然体重は増えましたが、その増加が対象群に比べて有意に抑制されてたのです。

両者の腸内細菌を比較すると、ポリフェノール水を飲んだグループの腸内細菌の構成(F/B比)が肥満型から改善していました。

F/B比はデブ菌・ヤセ菌で有名になったファーミキュティスとバクテロイデテスの比率のこと

さらに重要な短鎖脂肪酸の1つであるプロピオン酸を生成する腸内細菌が増加していました。

2-2 ポリフェノールの種類によって効果は異なる

実はポリフェノール水も含ませる成分の構造を変えて2種類に分けられていました。
結合が少ない低分子ポリフェノールと結合が多い高分子ポリフェノールです。

F/B比の改善や、プロピオン酸産生菌の増加に伴う体重増加の抑制効果はどちらのポリフェノール水でも見られました。
しかし腸内細菌の構成の変化には違いがあり、特に顕著だったのがアッカーマンシアという菌の増加です。
この変化は高分子ポリフェノール水を与えられたグループにのみ現れていました。

この菌は腸の粘膜の生成に深く関わってる菌で、腸内フローラの攪乱でこの菌が減少するとリーキーガット症候群を発症してしまいます。
リーキーガットとは腸内で発生した毒素が血中に漏れ、慢性疲労から糖尿病まで様々なリスク要因になる症状です。
特にLPS(リポポリサッカライド)という毒素は肝臓に作用し代謝機能を落とすので、肥満を加速させる大きな原因になります。

アッカーマンシアを増やしてリーキーガットを抑える効果がある点で、高分子ポリフェノールはより高い体重抑制効果を発揮しました。

とりあえず高分子のポリフェノールの方が全体的に効果が高かったってことだけ押さえておけばOK!

3 ポリフェノールを多く含む食品

ポリフェノールと腸内環境の関係が分かったところで、ポリフェノールを含む食品を紹介していきます。
分子構造による効果の違いについて紹介したので、ここでも低分子・高分子に分けて紹介します。

高分子ポリフェノールだけ摂れば十分なんじゃないの?

前の項で紹介した研究結果からすると高分子ポリフェノールがより有効な成分のように思えます。
確かに腸内環境の改善だけにフォーカスすれば、高分子ポリフェノールの方が効果的かもしれません。

しかし冒頭で紹介した様々な抗酸化作用の恩恵を受けるためには、生体利用できる(身体に吸収される)ことも必要です。
その効果は分解しやすい低分子ポリフェノールの方が高いと言われています。

またプレバイオティクス(食物繊維など)と同様で、腸内細菌のバリエーションによってエサになるポリフェノールが異なるかもしれません。
効果を確実に得るためにも、高分子・低分子それぞれをバランスよく摂取しましょう。

3-1 低分子ポリフェノール

分子の繋がりが少なく分解が進みやすい低分子ポリフェノールの場合は、分解できた分は体内に吸収されてしまうため、腸内細菌には届きません。
その代わり身体に吸収されて余分な活性酸素を取り除く抗酸化・アンチエイジング効果が期待できます。

紹介する食品も「抗酸化食品」としてよく耳にするものが多いはずです。
ここでは低分子ポリフェノールの中でも代表的なケルセチンカテキンを多く含む食品を紹介します。

ケルセチン
玉ねぎ、サニーレタス、ブロッコリー(スプラウト)、モロヘイヤ、リンゴ
カテキン
緑茶、ココア(カカオ)、ベリー類(ブルーベリーなど)、ブドウ、リンゴ、大豆

3-2 高分子ポリフェノール

結合してる分子の数が多く分解が間に合わない高分子ポリフェノールは、ほとんど吸収されずに腸内まで残り細菌のエサになります。
腸内細菌がポリフェノールを分解する抗酸化物質を作り出すので、腸内環境の改善から間接的に抗酸化・アンチエイジング作用も期待できます。

ただし直接的な抗酸化作用じゃないので、アンチエイジングとの関係ではあまり耳にしたことが無い食品が多いかもしれません。
ここでは代表的なタンニンプロシアニジンを含む食品を紹介します。

タンニン
緑茶、紅茶、ウーロン茶、コーヒー
プロシアニジン
ココア(カカオ)、シナモン、ナッツ、黒豆、リンゴ

4 チョコレートのダイエット効果

タイトルのチョコレートの肥満予防効果について全く触れずにここまで来てしまいました。
このことについて最後に解説します。

4-1 チョコレートのポリフェノールはかなり優秀

チョコレートに含まれるカカオが低分子・高分子の両方に登場してることに気付きましたか?
実はチョコレートは抗酸化腸内環境の改善の両方に効く非常に優秀なポリフェノール食品なのです。

さらに注目されてるのが、カカオに含まれるカカオプロテインという成分。
これは不溶性の食物繊維のように腸内細菌によっても分解されないカカオに特有の物質で、便のカサを増し腸管を刺激するので便秘解消効果もあります。
便秘は腸内環境を悪化させる原因の1つでもあるので、この解消効果も持つチョコは腸、そして肥満や老化防止にもとても有用な食品です。

ただしチョコレートが良いのではなく、あくまで重要なのはカカオ分なので、成分表示はしっかり確認しましょう。
大抵の市販されてるチョコレートは成分のトップが砂糖です。安いですが肥満、糖尿病の原因なだけで健康効果は薄いです。

ただのミルクチョコレートなら食べない方がマシだよ

少し値は張っても高カカオチョコレートを選びましょう。
最低でも70%以上で、できることなら80%以上が理想です。

ココアでも代用できますが、同じく砂糖や乳がメインの製品が多いので注意しましょう。
苦いですが、個人的には純ココアをオススメします。

4-2 リンゴでもOK

因みにリンゴも腸内環境にとって優秀な食品です。
少量でもチョコレートの砂糖が気になる人、食べ始めたら止まらなくなりそうな人にはリンゴがオススメです。

こちらも低分子・高分子ポリフェノール両方を豊富に含む上に、水溶性の食物繊維も含んでいます。
リンゴに含まれる食物繊維はペクチンというもので、発酵性が高く短鎖脂肪酸を多く産生する原料です。

「1日1個のリンゴで医者要らず」にも何となく根拠がありそうだね。

高カカオのチョコと合わせてリンゴも日頃の食事に取り入れてみてください。
水分量が多く満足感も得やすいので、必要以上に食べる心配もなくて安心です。

ただリンゴの摂取においては注意点が2つあります。それがドライフルーツカビです。
まずドライフルーツは水分が抜けている分、食べ過ぎのリスクがあります。
これの何が問題かと言えば、肝機能に悪影響を与え肥満の原因になる果糖の過剰摂取です。

そしてもう1つ、リンゴはキズや芯の周りにカビが繁殖しやすく、このカビ毒(パツリン)は猛毒と言われています。
人間の健康・遺伝子に大きな悪影響を及ぼす危険な食べ物にリスティングされてるほどです。
食べる時はくれぐれも注意しましょう。

まとめ

ポリフェノールと腸内環境の関係について解説しました。
ポリフェノールと言うとアンチエイジング効果のイメージが強いですが、吸収されにくいポリフェノールは腸内環境の改善作用もあるのです。

一口にポリフェノールと言っても、種類や含まれる食品も様々なモノがあります。
食べ物だけじゃなくお茶やコーヒーなど飲み物にも含まれるので、気軽に生活習慣に取り入れられるでしょう。
気軽な分、劇的な効果を期待せず気長に続けていけるのもメリットの1つです。
普段のおやつを高カカオチョコやリンゴ、ベリー類などのポリフェノール豊富な食品にすれば、満足と健康を同時に手に入れられます。

ポリフェノールって言うとワインのイメージだけど、アルコールのマイナスが大きすぎるから個人的にはオススメしないよ

1つ注意点は肥満抑制の効果があるからって食事は何でもいいわけじゃないってことです。
現にポリフェノール水を飲んだマウスも欧米食的なエサの影響で体重は増加しています。
ただ「増加が抑制された」ってだけに過ぎません。
基本的な生活習慣を整えた上でのプラスアルファってことは言うまでもありませんね。
てなとこで。