上腕三頭筋トレーニングの基本|解剖学的な機能と効果的な鍛え方【太い腕には必須】

男性トレーニーなら少なからず太く逞しい腕に憧れるものです。

腕を太くするというと、力こぶを作る上腕二頭筋がまず思いつきます。

しかし本当に腕を太くしたいなら、鍛えるべきは上腕三頭筋です。

そしてこの上腕三頭筋はなかなか複雑な構造をしているので、それを理解していないと上手く筋肥大させられません。

このページでわかること

・上腕三頭筋の構造と鍛えるメリット

・上腕三頭筋の機能と正しい鍛え分けの方法(解剖学)

・上腕三頭筋トレーニングの注意点

・筋力発揮の特性と種目選択、メニュー構成のポイント

基本的には上腕三頭筋の筋肥大を目指す男性向けの内容です。

しかし「二の腕を引き締めたい」「でも筋肉で太くはしたくない」という女性にも参考になる内容だと思います。

上腕三頭筋の構造

まずは上腕三頭筋の位置や構造を把握しておきましょう。

画像はかなりザックリしたイメージですが、あんまり厳密すぎても覚えるのが大変なので簡略化してます。

これくらいのイメージだけでも持ててれば十分です。

上腕三頭筋は画像の通り上腕、つまり肘から上、その裏側についている筋肉です。

表側にある二頭筋に比べるとやや軽視されがちですが、腕を太くしたいなら三頭筋のトレーニングはマスト

その理由は筋肉の大きさと組成、そして肥大の仕方にあります。

上腕二頭筋の体積が366㎤に対して上腕三頭筋の体積は620㎤と何と倍近いのです。

さらに筋組成でも速筋:遅筋の比率が67.5:32.5と、およそ7割近くが速筋。鍛えることで非常に大きくなりやすい筋肉です。

ただ闇雲に鍛えてもダメで、その理由は構造の複雑さにあります。

「三頭」という名前の通り、筋肉の端に当たる起始が3つに分かれていて、それぞれ長頭、外側頭、内側頭と言います。

 ・長頭(内側)
起始 = 肩甲骨の関節下結節

・外側頭(外側の上部)
起始 = 上腕骨の後面

・内側頭(外側の下部)
起始 = 上腕骨の後面

ちなみに停止は3つとも共通で、尺骨の肘頭

3つの筋肉に分かれてるって説明してるサイトもありますが、それは正確ではありません。

付き方(起始)が違うので独自の機能もありますが、基本的には共通の機能を果たす1つの筋肉です。

そもそも3つの筋肉なら同じ名前にしないでしょ

長頭は後ろへの張り出しを作るので、横から見た時の太さに貢献します。

一方の外側頭と内側頭は横への張り出しを作るので、前から見た時の太さに関係。

縦にも横にも肥大するから腕を太くする効果はバツグンってことです。

唯一長頭だけが肘関節と肩関節の2つを跨ぐ二関節筋であり、それが鍛え方の違いに繋がります。

それについて詳しくは解剖学的な機能と併せて後の項目でじっくり解説します。

この意外と知ってる人が少ない事実が非常に大事!

上腕三頭筋を鍛えるメリット

上腕三頭筋を鍛えるメリットはいくつかありますが、ザックリまとめると3つです。

1.腕が太くなる

腕を太くしたいのであれば、体積の大きい上腕三頭筋を鍛えるのはもはや必須。

実に上腕の3分の2を占めるので、いくら二頭筋を大きくしても、三頭筋の発達が不十分では変わらず細いままです。

鍛え分けの手間はかかりますが、効果的な筋トレをすれば前後と横、どの方向から見ても太い腕に仕上がります。

腕を横から見た時に上腕にできるカットは三頭筋の外側頭が作るものです。

メリハリもありつつ太い腕にするためにも三頭筋は欠かせません。

2.ベンチプレスのスコアアップ

筋トレは正しいフォームで狙った筋肉に刺激を入れることが重要です。

セット数や種目のバリエーションなどのテクニックも大事ですが、やはり大きな負荷はダイレクトかつ基本中の基本です。

筋肥大に効果的な3大刺激については以下のページで解説しています。

上腕三頭筋は大胸筋や三角筋を鍛えるプレス系の種目に補助的に動員される筋肉です。

補助筋とは言ってもその発達が疎かでは重量が伸び悩んでしまい、メインの大胸筋や三角筋はなかなか発達しません。

ベンチプレスショルダープレスのスコアをアップさせるためにも上腕三頭筋の発達は不可欠です。

3.シェイプアップ

上腕三頭筋は女性が気になる二の腕の振袖と重なります。

脂肪は落としたいけど筋肉で腕が太くなるのは嫌…

よく女性が口にするフレーズですが、そんな心配は必要ない理由が2つあります。

まず第1にそんな簡単に筋肉は太くならないこと。これは男女に関係なくです。

男性であっても簡単ではないので、男性ホルモンの少ない女性ならなおさら

第2に筋肉によってメリハリがつくこと。

筋肉が発達することで引き締まりますし、メリハリも付くことで同じ太さでも脂肪だけの腕よりも細く見えます。

特に内側の長頭を狙って鍛えることで、厳つくならずにシェイプアップすることができます。

その方法についてここから解説してくよ!

上腕三頭筋の機能と鍛え方

上腕三頭筋の解剖学的な機能を押さえた上で、どのようなトレーニングが効果的かを見ていきます。

上腕三頭筋の解剖学的な機能

まずは解剖学をベースに上腕三頭筋の各部位の機能を見ていきましょう。

解剖学というとなかなか仰々しいイメージですが、砕けばなんてことはありません。

ここをちゃんと理解することが、トレーニング効果に大きく影響します。

まずは全ての部位に共通の機能、それが肘関節の伸展です。

関節の伸展:肘をまっすぐに伸ばす動き

肘は元からまっすぐなイメージがありますが、二頭筋と三角筋が釣り合うのはやや肘が曲がったポイントです。

肘を真っ直ぐに伸ばしきるために上腕三頭筋は働きます。

そしてポイントとなるのが長頭に特有の機能で、それが肩関節の伸展内転

またまた伸展が出てきましたが、今度は関節の伸展です。

関節の伸展:バトンパスを受けるように腕を後ろに引く動き

関節の内転:Tの字に開いた腕を体側につけるように閉じる動き

この肩関節に関係した機能は、長頭だけが肩関節も跨いでいることに関係しています。

広背筋トレーニングで三頭筋(長頭)も同時に刺激されるのは、この広背筋と共通の機能があるためです。

上腕三頭筋の鍛え分けの方法

上腕三頭筋の内側と外側の鍛え分けの方法で重要なポイントこそが、この長頭に特有の機能です。

その中でも特に肩関節の伸展がキーになります。

筋肉はその機能をこれから発揮しようとするものが強く働き、既に機能を果たしているものは働きません

つまり長頭に特有の機能である肩関節の伸展が既に起きてるボトム系種目では長頭は働きにくい。

これらの種目は外側頭や内側頭など三頭筋の外側に効果的です。

外側を効果的に刺激したい場合は、さらに手を親指側に捻る回内を加えるのがオススメ。

逆に肩関節が屈曲していてこれから伸展する位置にあるオーバーヘッド系種目では長頭が働きやすくなります。

長頭の機能は広背筋のそれと共通だってことは既に解説しました。

そのため敢えて腕のトレーニングの時は外側を重点的に狙い、内側は背中のメニューに任せるという選択もアリです。

上腕三頭筋の負荷設定

上腕三頭筋の筋トレでは負荷は高めで設定するのが効果的です。その理由は大きく2つ。

まず上腕三頭筋は発揮する力が大きい速筋の比率が高いこと。

そして筋繊維の種類がこれまた発揮する力が大きい羽状筋ということです。

しかし注意点もあります。

長頭は肩関節を跨ぎますが、基本的には肘関節のみを跨ぐ単関節筋と言っても過言ではありません

実際に三頭筋の筋トレ種目も肘のみが動作するものがほとんどです。

なので過度な負荷をかけすぎると肘関節のケガのリスクがあります。

過度な負荷にならないよう注意することはもちろん、エルボースリーブなどで保護することも大事です。

【補足:羽状筋とは?】

起始と停止を結ぶ線に対する筋繊維の走行方向による筋肉の分類があります。

羽状筋は起始・停止線に対して筋繊維が斜めに走行するタイプの筋肉です。

収縮する速度は紡錘状筋(平行筋)に比べて遅いが、筋繊維の密度が高く大きな力を発揮しやすい性質があります。

ムリに速く動作しようとせず、高負荷をじっくり挙上する方が他の部位への分散も防止でき、効果的に鍛えることが可能。

上腕三頭筋を鍛える効果的な種目選択の方法

トレーニング種目にはPOFという分類があります。詳しくは以下のページを参考にしてください。

簡単に言えば筋肉に最大の負荷がかかっている時の筋肉の収縮・伸張状態による分類で、筋肥大のストレス要素と対応します。

上腕三頭筋のメイン機能である肘関節の伸展動作が最大筋力を発揮するのは肘の角度が90°のポイントです。

そのため肘が直角になるポイント近辺でのミッドレンジ種目が必須。

その他にストレッチ種目とコントラクト種目の計3つの種目が必要になります。

筋肥大のためにはフルレンジ動作が効果的と言うのが一般的な見解です。

しかしPOFに基づいて複数の種目をメニューに組み込む場合、その限りでないってのがぼくの考察です。

既に注意した通り、三頭筋のトレーニングは肘関節のケガのリスクも高いので、フルレンジのデメリット面が現れやすいと言えます。

各トレーニング種目の狙い・ポイントに絞って動作する方が安全かつ効果的・効率的です。

まとめ

上腕三頭筋の構造、解剖学的な機能などトレーニングの基本を解説しました。

想像以上に体積が大きく、速筋比率も高いので発達しやすい筋肉と言えます。

そのため腕を効率的に太くする上で、上腕三頭筋を鍛えるのは必須です。

起始が3つに分かれた複雑な構造をしており、機能を押さえた意識的な鍛え分けが必要になります。

内側に特有の機能は広背筋と共通するので、腕のトレーニングとして狙わなくても良いかもしれません。

高負荷に反応しやすい筋肉とは言え、単関節筋でケガのリスクも高いので重量設定や全体のトレーニングボリュームには注意しましょう。

てなとこで。