筋肥大に適したインターバル時間とは|負荷によって変えるのは正解?

筋肥大の効率化のために何がベストなのか、その対象となる要素は非常に多岐にわたりますよね。

重量、セット数、種目、頻度などさまざま。そしてインターバルの長さもそのうちの1つです。

長めに取った方が良いのか、短くした方が良いのか、はたまたその中間くらいがベストなのか。

ムダに長くとればトレーニング時間が延びて他のタスクを圧迫してしまいます。

かと言って短すぎればトレーニング効率が落ち、折角かけた時間がムダになってしまう可能性もあります。

そんなとこで今回は筋肥大にとって適切なインターバルの長さについて、一般論と考察を交えて解説していきます。

インターバルの目的と一般論

インターバルの適正な時間を考察するために、取る目的と一般的な判断基準について見ていきましょう。

インターバルを設ける目的

トレーニングのセット間にインターバルを取る目的は言わずもがなですが、前セットで受けた筋肉の疲労を回復することです。

そしてもう1つ実はあまり知られていない目的があります。

それが動員される筋繊維の交代です。

1回のセットで筋肉を構成する全てのモーターユニット(筋繊維の束)が関与するわけではありません。

これを「全か無の法則」と言います。

メインで働いているモーターユニットが疲弊すると、次のユニットに交代してパフォーマンスを維持します。

この交代は筋肉が可動してる最中には起こらず、休んでる時にしか起こりません。インターバルにはそういう意味もあります。

こうして不完全ではありますが、パフォーマンスを回復し、より効果的な刺激を筋肉全体に広く与えることができるのです。

一般的なインターバルの長さ

何となくの感覚でインターバルの長さを決めている人もいるようですが、一応の基準は存在します。

まず筋力アップを狙うトレーニング、すなわち高負荷で低回数のトレーニングの場合は比較的長めのインターバルが推奨されています。

具体的には最低でも2分から長いと5分程度です。

挙げられる重量を挙げられる回数までという追い込み的な発想とは異なります。

「〇〇㎏を挙げる」ということに意味があるため、筋肉を万全な状態に整える必要があり、そのための長さです。

一方で筋肥大を目指す場合、すなわち低負荷で高回数のトレーニングの場合は短めのインターバルが推奨されます。

具体的には30秒から長くても1分30秒くらいです。

こちらはオールアウト(筋肉を極限まで追い込むこと)を主眼にしているため、完全な回復は目指していません。

TUT(筋肉に負荷が乗っている時間)のアップ、酸欠状態を作ることで成長ホルモンやインスリン様成長因子などの分泌を促すことを狙います。

インターバルを短くする意義に異議

前の項で解説した分類が一般的ですが、最近の研究で短いインターバルに対して疑問が呈されています。

インターバルを短くする目的は筋肉を過酷な条件にさらすことで、ホルモン等の分泌を促進することでした。

確かにこうしたトレーニングによって前述のホルモンの分泌は活性化します。

しかし長期的に見るとインターバルの長さとの関係は薄れるようです。

インターバルの長さに関わらずホルモンの分泌レベルは同じになるってこと

つまり短いインターバルが目指すものは長いインターバルでも獲得できるということです。

そしてもう1つ短いインターバルに不利な事実があります。

筋肥大の要素は様々あると解説しましたが、1つ確かなことはトレーニングボリュームが大きい方が筋肥大には有利ってことです。

トレーニングボリューム = 負荷(㎏) × 回数 × セット数

つまり(重さと)回数を最大化することこそが筋肥大のカギです。

インターバルを短くする程それだけ回復も不完全になるので、回数は少なくなり、ボリュームも小さくなります。

体感としては非常にキツく、達成感と爽快感もあるのですが、疲労の種類はHIITに近いもので、オールアウトとは実は別物です。

インターバルが短いドロップセット法などで追い込むと「もう1回も挙がらない…」って状態になりますよね。

しかし別の部位をやった後で試しに再トライすると、想像以上に簡単に挙がったなんて経験をしたことはないでしょうか?

これは短時間インターバルでは回復だけでなく筋繊維(モーターユニット)の交代も十分に出来てないことが原因です。

最大筋力を向上させるのに有効なトレーニングプログラムにレストポーズ法というものがあります。

簡単に説明するとレップ数の限界を迎えた後に、短時間の休憩を挟んで追加で数レップ挙上する方法です。

実質的に同セット中の挙上としてカウント出来るということは、同じ筋繊維が刺激されてるということ。

つまり筋肥大のためには広く筋繊維全体を刺激する必要がありますが、これでは刺激が一部に偏ってしまうということです。

以上のとおりホルモン分泌に差がなく、ボリュームも徒に小さくしてしまうため、筋肥大において短いインターバルには優位性がないと考えられます。

インターバルを長くする際の注意点

インターバルが短すぎると総ボリュームが必要以上に下がってしまうと解説しましたが、長ければ長いほど良いというわけでもありません。

まずセット間のインターバルが長すぎるとトレーニング時間が非常に長くなってしまいます。

自分の時間だけの問題にとどまらず、器具の限られるジムで長時間おなじ器具を1人で占有し続けるのはマナー違反です。

またインターバルが長すぎると身体の熱(パンプ)が冷め、血流が減少してしまうため、逆にパフォーマンスを下げる可能性もあります。

ポイントは疲労をしっかり回復できる最低限の長さにすることです。

つまり明確に「〇分がベスト!」というたった1つの正解は存在しません。

これは個人差の問題もありますが、部位(筋肉の大小)や種目(動員される筋肉の数・種類)によっても変わるからです。

またメニューのどの位置にあるか(前半か終盤か)によっても回復力は変わります。

あくまで個人的な感覚ですが、後半になるほど回復に限界が生まれるのでインターバルを伸ばしてもパフォーマンスアップには繋がらない傾向にあります。

この辺りは自分で日ごろのトレーニングパフォーマンスからベストを探っていくしかありません。

とりあえず高負荷は2分から、中負荷、低負荷は1分半くらいから試してみて、パフォーマンスが頭打ちになる境界が最適なインターバルです。

短いインターバルに意味はないのか?

インターバルを短くすることに意味はないのか?という疑問を持つ人もいるかもしれません。

筋肥大、つまりトレーニングボリュームを稼ぐ点では完全に近い回復ができる長さが必要です。

しかしその他の目的では、短いインターバルにもメリットがあります。

まず1つ目が除脂肪・減量を行っている場合です。

既に軽く触れましたが、短いインターバルの不完全な回復状態で運動を続けるのはまさにHIITそのものです。

HIITは筋肉の分解を最小限にとどめつつ体脂肪を燃焼する作用に優れた運動方法なので、減量などには最適と言えます。

またもう1つが筋肉のバスキュラリティをアップさせる目的です。

バスキュラリティには血管の発達が欠かせません。

そのためTUTを上げ、筋肉の収縮による血管の圧迫で筋繊維の酸欠状態を継続することがカギになります。

これらはいずれも筋肥大・バルク期というよりは、減量期・コンテスト前の仕上げの局面で重要性を増す要素です。

このことから増量・減量のピリオダイゼーションに合わせて、インターバルを変化させるという方法が良いという可能性が見えてきますね。

まとめ

数あるトレーニング要素に関する議論の中からインターバルの長さについて解説しました。

これまでの一般論と同じく、インターバルの長さは目的によって適切な長さは変わるという結論です。

筋肥大を目指す上では、しっかり回復できる長さを確保することが大事。

減量やバスキュラリティなど作り込みの局面においては、回復を完全にさせない長さに抑える必要がある。

短い方に関しては「30秒から長くても1分」と目安がありますが、長い方にはそれがありません。

本文中でも解説したとおり様々な要素に左右され、単なる個人差だけで片付けられない複雑さがあります。

効率化や時短に興味がない人でも、過度なインターバルはパンプの冷め、パフォーマンスの低下に繋がるので無視はできません。

手間はかかりますが日々のトレーニングの中で色んな長さを試し、検証してみてください。

てなとこで。