筋トレと尿酸値の関係|プロテインの影響は?

お酒飲まないのに尿酸値が高い…これってプロテインのせいなの?

尿酸値と言うとビールや魚卵などのプリン体などのイメージに結びつくため、不摂生している人の問題と考えがちです。
しかしプロテインを飲みすぎると尿酸値が上がるという説も確かに存在します。
実際に筋トレを始めてから尿酸値が上がってくる人も多く、絶対に関係ないとは言えない問題です。

ぼくも筋トレ始めてからグングン上がってるよ

食事や飲酒に心当たりはなく、家系的にも問題がないならトレーニングに原因があるかもしれません。
このページでは筋トレと尿酸値の関係について解説します。

このページでわかること

・尿酸値についての基本知識
・プロテインで尿酸値は上がるか
・尿酸値と筋トレの関係
・トレーニーのための尿酸値対策

1 そもそも尿酸値とは何か?

尿酸値は血中の尿酸の量を示す指標です。
尿酸は体内の新陳代謝の過程で発生する老廃物です。
尿酸値が高くなる要因は、入口・出口・そして内部の問題と大きく3種類に分けられます。

1-1 入口の問題

入口は尿酸(のもと)が多く体外から取り入れられているという習慣の問題です。
健康診断で尿酸値の高さを指摘された時にまず意識が向くところでしょう。

尿酸値はプリン体の摂取によって上がるため、プリン体を多く含むビールや魚卵などの摂取が多いことで尿酸値は高くなります。

1-2 出口の問題

出口の問題は脱水や腎機能の低下によって尿酸を体外へ排出する働きが弱くなっている状態です。
体内に多量の尿酸があったとしてもしっかり体外に排出することさえ出来れば何の問題もありません。

逆にこの出口の機能が弱いとそこまでプリン体などを摂取していなくても尿酸値が高くなってしまいます。
いわゆる遺伝体質の問題と言われる場合は、この出口の機能が弱いことを指しています。

1-3 体内の問題

そして見落とされがちなのが内部の問題で、実は体内の尿酸値に最も影響が大きいのがこれです。
体内で発生する尿酸の量が異常に多いというもので、身体の外から入ってきたプリン体の量とは関係ありません。

代謝の異常や肥満、過体重などで多くのエネルギーを消費することに起因します。

2 尿酸値が高いことで起こる問題

高尿酸値で発生する問題といえば痛風が有名です。
尿酸は血液に溶けにくい性質があり、溶けきれなかったものが血管内に溜まり結晶化します。

足の親指に出やすい理由は2つ。
血管が細いことと、心臓から遠くて血流が弱いこと。

それが剥がれたものを体内の免役機能が異物と見なして攻撃した結果として起こる炎症が痛風発作です。

その他にも尿酸が結晶化しやすい部分はいくつかあります。
最も典型的な例が尿酸を無毒化する役割を果たしている腎臓の血管での結晶化です。
この症状が悪化すると腎不全に陥ってしまいます。
腎臓は筋トレやタンパク質との関係でよく名前の挙がる臓器なので、別のページで解説しています。

また尿酸が腎臓から排出に向かう尿路で結晶化してしまったパターンが、これまた激痛で有名な尿路結石です。

想像しただけで玉ひゅん…

また尿酸値が高い状態は高血圧症の原因にもなります。
尿酸が血管内で結晶化することで血管が狭くなり、それが剥がれた傷跡を血小板が修復することでさらに血管が狭くなってしまうからです。

ザっと挙げただけでもこれだけの影響があるため、尿酸値は適正な値に抑えなければいけません。

3 尿酸値にプロテインは関係ある?

尿酸値の上昇にプロテインが関係していると言われる理由は痛風という疾病のイメージが影響しています。
痛風は通称「贅沢病」で、(アルコールに加えて)肉などが原因というのが一般的な認識です。
そこからタンパク質が尿酸値に影響すると変換され、プロテインもその原因になると考えられるようになったのでしょう。

しかし尿酸の生成のもとになるのはプリン体です。
プリン体を多く含むタンパク質食品でなければ尿酸値上昇の直接の原因にはなりません。
つまり単にタンパク質を多く摂取しているからといって尿酸値が高くなるとは言えないってことです。

でも実際に尿酸値は上がってるよ?なんで?

尿酸値が高くなる要因として、プリン体の摂取(入口)のほかに、尿酸の過剰生成(内部)と排出機能低下(出口)があると説明しました。
実はこれら2つが悪化する原因の1つに無酸素運動があります。

つまり筋トレってこと

高負荷がかかるトレーニングは非常にエネルギー消費が大きいです。
それだけ代謝作用が強くなり、老廃物である尿酸の排出も多くなります。

また尿酸の異常生成の原因として「肥満」と記載しましたが、正確には「過体重」です。
つまり体脂肪率が低くても筋肉などの影響でBMIが高い人は尿酸値が高い傾向があります。
肥満とは無縁のアスリートでも、柔道やラグビーなど高体重になりやすいスポーツの選手は尿酸値が高いそうです。

4 摂取制限以外の尿酸値対策

尿酸値コントロールというとアルコールやプリン体の多い食品を控えるというイメージがあると思います。
が、実は食品の摂取に起因するもの(入口)はそこまで大きくありません。
体内で生成されるもの(内部)が全体の8割と圧倒的に多く、単なるプリン体の摂取制限くらいでは対策として不十分なのです。

尿酸値を十分に下げるには尿酸の生成を抑えるか(内部)、尿酸の排出を促す(出口)しかありません。

4-1トレーニング量の調整

尿酸の生成を抑えるためにはトレーニングを控え、バルクを控えめにするしかありません
しかしこれは熱心なトレーニーにとってはあり得ない選択でしょう。

ただテーパーリングピリオダイゼーションなどで、定期的に休息を入れてトータルのトレーニング量をコントロールするくらいは出来ると思います。
これをするだけで、少なくとも尿酸値が常に高いという事態の回避は可能です。

間隔を空けると筋肉が落ちないか不安だなあ…

筋トレの頻度や強度を上げ続けてしまう人の多くは筋分解(カタボリック)の恐怖を過大に評価してしまっています。
適切に対処してれば筋肉は1週間程度休んだくらいじゃ落ちません。
むしろ休息を入れた方が筋肥大の効率がアップするという研究もありますので、積極的に休むようにしましょう。

4-2 尿酸の排出促進

とは言え定期的な休息期間でなければ常人ではあり得ないくらいの尿酸が発生してしまいます。
できてしまうなら出すしかありません。

尿酸の排出を促すには多量の水分摂取が基本です。
水分補給を適切に行うことで、定期的に尿酸を排出できます。
また濃度の高い尿を作らなくて済むので、腎臓への負担も軽くなります。

また尿の酸性度を下げる対策も行いましょう。
酸性度が高いと同じ酸性の尿酸を溶かして排出することができなくなってしまいます。
やるべきことはシンプルで、尿を酸性化する食品を控えてアルカリ化する食品を積極的に摂取するだけです。

<×酸性化してしまう食品>
卵、豚・牛肉などの赤身肉、サバをはじめとした魚介類
<◎アルカリ化する食品>
ひじきなどの海藻類、大豆、ゴボウ・人参などの根菜類、レモンなどの柑橘類など

まとめ

尿酸値と筋トレ・プロテインの関係について解説しました。
トレーニーは尿酸値が高い傾向にありますが、プロテインの影響はありません。
むしろ高尿酸値は筋肉量や筋トレそのものに起因する症状です。

痛風・腎不全・高血圧症など様々な重い症状の原因になるため適切に対処しなければいけません。
体内で過剰に発生させないのがベストですが、筋トレを辞めるという選択肢が無い以上、残るは対症療法のみになります。
基本は排出を促す水分補給とアルカリ化を促す食品の摂取です。

たまには筋トレの休息も入れようね

とは言え多量の水分摂取や海藻中心の食生活といった習慣の継続は簡単ではありません。
サポートで薬を活用するのも1つの手段なので検討してみてください。
てなとこで。