新レコーディングダイエット｜科学の力で簡単かつ効果的に

ダイエットと言うとカロリー計算や食事制限が定番です。
また「これを食べると痩せる・太る」のように特定の食品や栄養素の摂取を促したり、カットを推奨する方法も増えています。
このようにダイエットというと食べるものにフォーカスする傾向が強く、食事行動そのものへのアプローチは見落とされがちです。

しかしそんな食行動そのものにこそダイエット成功のカギが隠れています。
そういった方法の方が効果的なだけでなく、多くの人が嫌う手間も必要ありません。
ここで紹介する方法はレコーディングダイエットという手法です。
従来のザックリした方法ではなく、人間の心理的な特性を踏まえた方法を紹介します。

1 レコーディングダイエットとは？

一時期テレビなどでも紹介されて話題になってたため知ってる人も多いかもしれませんが、一応紹介しておきます。

レコーディングダイエットは「書くだけダイエット」などの呼び名でメディアに取り上げられた手法です。
その方法はいたってシンプルで、日記やメモ帳などに毎日の食事を細かく記録していくだけで、食べた物の摂取カロリーを計算する必要はありません。
あくまで記録するだけです。

メディアでは視聴者や読者の理解を簡単にするために、ダイエット手法の方法論だけを示してメカニズムを詳細に解説しない傾向にあります。
このレコーディングダイエットについても例に漏れることなく、効果が出る理由は解説されていませんでした。
一般的に言われる理由には次のようなものがあります。

中でも重要なのが1つ目の自分の現実を知ることです。
ダイエット中の人は「そんなに食べてないのに太る」「食事のバランスは摂れている」とよく言います。
しかし実際に見てみると糖質・脂質過多でかなりのオーバーカロリーということが多いです。

これは本人が見栄を張ったりしているわけではありません。
単純に都合の悪い記憶が整理され、美化された食事が記憶に残ってしまっているだけです。

もちろんこれらの効果も重要ですが、もっと本質的にダイエットに繋がる理由があります。
そのメカニズムを最大限引き出すためには、単に「書くだけ」という理解だけでは不十分です。
ただ方法だけを知ってれば効果が出るというわけじゃないってことですね。

2 記憶が食事量を決定する？

レコーディングダイエットを本当に効果的なものにするために知っておくべき人間の行動の特性はたった1つだけです。
それは「人間は直前の食事量の記憶に基づいて次の食事量を決定する」というものです。
このことは実際に研究でも確認されています。

2-1 ぼんやりした食事

実験参加者を2つのグループに分け、1つのグループはゲームをしながら食事をしてもらい、もう一方のグループには普通に食事をしてもらいました。

ゲームをしながら食べたグループは食事に関する記憶をあいまいにするために作られた群です。
こちらは食事を普通にしたグループより次の食事で食べる量が多くなっていました。

つまり、前回の食事の記憶が不鮮明だと食べる量が増えてしまうと考えられるわけです。

2-2 記憶を鮮明にするほど食事量が減る

前の項で紹介した実験は、前回の食事に関する記憶レベルが中度と低度を比較していました。

では記憶を強化する、つまり前回の食事の記憶をより鮮明にした場合、食事量は記憶中度のグループよりもさらに減少するということも起きるのでしょうか？

今度の実験では2グループとも普通に1回目の食事を摂りますが、記憶を鮮明にするグループは2回目の食事の前に、前回の食事について思い出す時間を作りました。

結果は想像の通り、（記憶レベル）中度のグループよりも高度のグループの方が食事量が減りました。

3 正しいレコーディングダイエットの方法

テレビなどのメディアでのレコーディングダイエットの紹介では、記録をつけるタイミングについての解説はありませんでした。
そのため1日の終わりに振り返って何を食べてるかを手帳などに記載してるケースも多かったと思います。

しかしレコーディングダイエットが効果を発揮するメカニズムを考えれば、その記録のタイミングが非常に重要です。
ズバリ「食事をする前に前回の食事内容を記録するべし」となります。

食事と記憶の関係についての追加の実験で、直前より前の記憶は食事量に影響しないという結果が得られています。
つまり夕食時にその日の朝食を記録しても食事量に影響しないということです。

カロリー計算の手間や食事制限の精神的な苦痛に比べれば大したことではありませんが、記録するのがめんどくさいという人もいるでしょう。
そんなズボラさんに朗報です。

このダイエットのキモは「記憶を鮮明にする」ところにあるので、書き出すことはマストではありません。
そのためなるべく正確に「思い出す」だけで十分。
つまり過去の記録を残しておく必要はなく、食事のタイミングで前の食事の記憶を呼び起こせればいいわけです。

まとめ

レコーディングダイエットで効果を簡単に出すための方法について説明しました。
記録するだけダイエットという名前で一時期有名になりましたが、そのメカニズムが完全に明らかにされてなかったため効果が出た人は少なかったと思います。

レコーディングダイエットを効果的にするためには心理学的な特性をちゃんと知らなければいけません。
人間は前回の食事の記憶によって無意識に食事量を調整するようになります。
そのため食事のタイミングで前回の食事の記憶を鮮明にすることが重要です。

レコーディングダイエットでは書くことがポイントでしたが、実際には書く必要は必ずしもありません。
記憶を鮮明に出来れば良いので、食事のタイミングで前のご飯で何を食べたか思い出すだけでOKです。
これならどんなにズボラな人でも出来るんじゃないでしょうか？
もし負担に感じるようなことがあるなら少しずつでも試してみてください。
てなとこで。

参考文献