食事制限は無意味|カロリーカットしても痩せられない2つの理由

ダイエットと言えば食事制限だよね。
でもあんま痩せなくなってきたような…

食事制限はダイエットの基本であり、多くの人が取り組む手法だと思います。
「体重の増減は摂取カロリーと摂取カロリーのバランスで決まる」というのが常識だからです。

確かに過度に食事を摂取すれば、余分が体脂肪として蓄えられるので部分的には正しいと言えます。
食事の量を節度あるレベルに抑え、慎ましい生活をすることは心身両方の健康に効果的です。

しかし食事を削ってカロリー収支をマイナスにしたら逆に痩せられるかというとそんな単純ではありません。
そう、ダイエットの基本中の基本と考えられてきたカロリー制限は無意味なのです。
このページでは、食事制限で痩せることが出来ない理由について解説します。

このページでわかること

・カロリー制限で痩せられない2つの理由
・停滞期が起きる本当の理由
・代謝の低下によって起きる問題
・リバウンドのメカニズム

1 カロリー制限を無効化する要因

カロリー制限では痩せられない理由として以下の2つが非常に有名です。

①飢餓遺伝子の影響 ②ホメオスタシスの影響

1-1 飢餓(倹約)遺伝子説とは

飢餓遺伝子説は人間の進化の過程から肥満とダイエットの関係を説明するものです。

1-1-1 定住生活が始まったのはつい最近のこと

地球上に人類が出現してから稲作による定住生活が始まるまでの約20万年弱は狩りや木の実を拾って生活していました。
定住生活はほんのここ1万年ちょっとのことです。

狩猟採集生活は次の食事がいつになるかわからない環境だったため、それに合わせて進化してきました。
摂取した食物から最大限栄養を吸収した上で、代謝を落として長持ちさせるようにした。つまり燃費効率を良くしたということです。

その後の時代は定住生活にシフトし安定して食事がとれるようになったため、燃費効率を発揮する機会もほとんどなくなりました。

1-1-2 燃費効率が発動するスイッチ

20万年かけてできた燃費効率は1万年ちょっとの定住生活で簡単には変化しません。
現代のぼくたちにも残っています。これが飢餓(倹約)遺伝子と言われるものです。

そんな遺伝子を持って食事制限を行えば、栄養が足りない時代に戻ったと警戒し、栄養の節約を開始します。
食事制限をスイッチに、代謝を落とすと同時に栄養素の吸収効率を上げ、痩せるのに全力で抵抗を始めるってことです。

1-2 ホメオスタシス説とは

もう1つのホメオスタシスとは身体の恒常性を維持する機能のことです。

1-2-1 恒常性は全身に働く

恒常性とは簡単に言えば安定した状態を保とうとするものです。
この性質は筋肉や脂肪などの外見的な部分に限らず、脳や内臓などにも見られます。

一番身近なのは体温調節だね

ダイエットのために朝のジョギングを習慣にしようとしても続かないのにも恒常性が影響しています。
新しい習慣は脳の負担になるから辞めさせようとするわけです。

そして肝心の体重についてもホメオスタシスによって監視されています。
過度に体重が落ちるとホルモンバランスの乱れを引き起こし機能低下を起こしてしまうからです。

1-2-2 体重の増加に対しても恒常性は働く

因みに「食べ過ぎれば肥満になる」と説明しましたが、体重の減少だけでなく増加の抑制にもホメオスタシスは働きます。

「体重が100㎏超えるのは才能」って聞いたことがないでしょうか?
100㎏はまだ身近ですが、200㎏、300㎏と際限なく増えてく人はほとんどいません。

増えすぎても機能の安定を欠くので、食欲を落として同時に代謝をアップさせるのです。
体重の減少だけでなく増加に働く抑制についても説明できる点でホメオスタシス説は有力な考え方と言えます。

1-3 飢餓遺伝子とホメオスタシスの関係

最近では「飢餓遺伝子など存在せず、ホメオスタシスによるものだ」という考え方が有力になりつつあります。
どちらが正しいかというより、説明の仕方が違うだけで結局は同じことを言ってるだけです。

いずれにしても大事なことは代謝を調整して体重の減少をストップさせる機能が身体には備わっている。
そしてその機能のせいで食事制限によってダイエットすることは出来ないってことです。

最も肝心なポイントはここだね
理由はどっちでもいい

2 停滞期は刺激への慣れではない

ホメオスタシスなどの抵抗因子の存在はダイエットで誰もが経験する現象についても説明できます。
その現象とはダイエットや筋トレなどボディメイクで必ずぶち当たる壁が停滞期(プラトー)です。
体重の減少ペースや筋肉の増加ペースが落ちる時期のことを言います。

一般的に停滞期の原因は刺激に身体が慣れてしまったことと考えられてます。
食事制限ならカロリー収支のマイナス、筋トレなら重量や頻度・種目のバリエーションなどです。
慣れが本当の原因なら食事をもっと減らしたり、トレーニングの頻度を増やすことで効果は上がるはずです。

しかし身体への負担が増加するのとは裏腹に、効果はそれほど上がりません。
身体が標準から遠ざかれば遠ざかるほどホメオスタシスが強く働くからです。

目的自体に抵抗してるから手段がどうのって問題じゃないってこと

さらに制限、さらに制限と終わりのない軍拡競争のようなものです。
筋トレを増やすにしろカロリーを減らすにしろ、いずれは変化の余地が無くなります。
まあ摂取カロリー0kcalに到達する前に確実に人間の意志の方が負けると思いますが…。

3 代謝の低下

飢餓遺伝子やホメオスタシスの影響で代謝が低下すると解説しましたが、具体的にどんな問題が起きるのかも解説しておきます。

代謝の低下によって起きる問題の中でも筋肉量の減少は分かりやすい例です。
しかしそれ以外にも様々な問題を引き起こすことになります。

3-1 代謝に関する誤解

「エネルギー消費=代謝」と誤解してる人も多いですが、これは代謝の中でも運動性代謝と呼ばれるものです。
心臓の拍動や細胞の生まれ変わり、有毒物質の解毒や思考など体内で生じるあらゆる変化の総称に代謝は伴います。
つまり食事制限が影響するのは運動の消費カロリーだけではなく、全身のあらゆる部分に及ぶということです。

厳格なカロリー制限を設定した研究としてはミネソタ大学の実験が有名です。
この実験において1日の総摂取カロリーを1570kcalに制限された被験者には以下のような症状が現れました。

・心拍、血圧、拍出量の低下
・体温の低下(異常な寒気)
・著しい集中力や思考力の低下
・倦怠感やめまい
・爪の割れや抜け毛の増加

大まかな基礎代謝は体重をベースに計算できるので、固定の数字と考えてる人も多いようです。
しかし基礎代謝も食事量などの影響で上下し、極端なエネルギー不足になれば上記のような様々な症状を呈することになります。

体温の低下はエネルギー消費だけじゃなくて免疫にも深刻な影響を及ぼすよ

3-2 リバウンドのメカニズム

ダイエットの厄介な部分と言えばリバウンドの存在です。
よくリバウンドの問題に関して意志力の欠如を挙げる人がいますが、それはあまり関係ありません。
これも最大の問題は食事制限による代謝の低下です。

食事制限で低下した代謝は、そう簡単には戻りません。
カロリー制限を解除して食事量を元に戻してから1年以上も代謝が元のレベルに戻らなかったという研究もあります。

食事量が普通に戻ったのに代謝レベルは普通以下なので、代謝がゆっくり戻ってくるのを待つ間ずっとカロリー収支はプラスということです。
当然その差分は余剰として体脂肪に合成されることになります。

結局のところカロリー制限でマイナスを作れる期間は痩せることが出来ますが、その効果は非常に短期的なものということです。

まとめ

食事制限・カロリーカットで痩せられない理由について解説しました。
食事制限は誰もが取り組むダイエット手法であり、誰も結果を残していない手法です。
しかも食事制限には、効果が無いこと以外にも大きなデメリットがあります。
つまり、やる意味は全くありません。

その理由について説明の仕方は飢餓遺伝子ホメオスタシス(恒常性)など様々あります。
説明の仕方はどうあれ簡単に言えば、大きく痩せるという変化に抵抗しようとする機能が原因ということです。
これは減少方向だけでなく増加の方向にも働きます。

しかし勘違いして欲しくないですが、いくら食べても関係ないということにはなりません。
適量を超えた食事は確実に肥満の原因になります。
その適量を把握する方法について詳しくはこちらのページで解説しています。
てなとこで。