人はどうやって太るのか|体脂肪の付き方【部分痩せはある?】
ダイエットの目的は憎き脂肪を落とすこと
でもどうやってつくか分かってる?
もちろん!余った糖質が脂肪になるんでしょ!
今や市民権どころかダイエットの王道という地位を獲得した糖質制限。
実は体脂肪がつくメカニズムから考えると、本当にそれ(だけ)でいいのかは疑問です。
なぜ脂肪がつくのか、それも特定の場所(下っ腹とか二の腕)にばかりつくのかを知ってますか?
少し難しい話にはなりますが、「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」です。
何が脂肪になるのかを知れば、何をすれば痩せ、何をしなければ太らないのかが分かります。
・体脂肪とは何か、どのようにつくのか
・脂肪がつきやすい場所がある理由
・体脂肪のつき方の男女差
・部分痩せは出来るのか
・結局のところ体脂肪の原因は糖質なのか脂質なのか
脂肪には種類がある
あまり知られていないけど、脂肪には2種類あるよ!
人間の身体には①褐色脂肪細胞と②白色脂肪細胞という2種類の脂肪細胞が存在します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
褐色脂肪細胞
褐色脂肪細胞は、脂肪という名称でありながらエネルギーの代謝作用がある細胞で、身体を痩せさせる働きをします。
褐色脂肪細胞が体内に多くあれば、代謝が向上しスリムな体型を保つことができます。
しかし残念ながらこの細胞は加齢とともに減少してしまいます。
年齢を重ねるにつれ、昔よりも太りやすくなったと感じるのは、この細胞の減少が一因です。
白色脂肪細胞
この白色脂肪細胞が日常的に体脂肪と呼んでいるものです。
この細胞は長期保存のエネルギーの貯蔵の役割を果たします(エネルギー保存の長短については後で)。
貯蔵可能量と伸縮力がとても大きく、最大まで溜め込むと元の大きさの3倍にまで膨張します。
体脂肪が「つく」という表現が一般的ですが、新たな脂肪細胞が増えるわけではありません。
この白色脂肪細胞が肥大しているというのが正確です。
内臓脂肪と皮下脂肪
内臓脂肪と皮下脂肪の分類は、先の脂肪細胞の分類に比べるとよく知られてるかもしれません。
しかしそれぞれがどのようにつくのかまで知ってる人は少ないです。
内臓脂肪が先につく
何となく内臓脂肪を気にするのは中年になってからってイメージがあるので、内臓脂肪がつくのは末期と思ってる人は多いです。
しかし実際は内臓脂肪が先につき始めます。
もちろん内臓脂肪がつききってから皮下脂肪がつき始めるといったメリハリはありませんが、初期は内臓脂肪が優勢です。
特に日本人は欧米人に比べて皮下脂肪を蓄える能力が低いため、内臓脂肪が多くなります。
諸説あるけど、筋肉量と肉食中心かが影響してるのではって言われてるよ
そして皮下脂肪に比べると外から分かりにくい上、健康に与える悪影響が大きいので過剰な内臓脂肪は危険です。
内臓脂肪について詳しくはこちらのページで解説してます。
準備中
脂肪のつき方には男女差
内臓脂肪が先につき始めるのが日本人の肥満の特徴ですが、つき具合には男女で差があります。
男性は内臓脂肪を多く蓄えるのに対して、女性は皮下脂肪が多めになるバランスです。
そのため男性はお腹だけがせり出すリンゴ型と言われる肥満体型になります。
男性の方がリスク因子を溜め込みやすく、かつその兆候に気付きにくいということです。
一方の女性は下腹部や腰、お尻にも皮下脂肪が広がるので、重心の低い洋梨型と言われる肥満体型になります。
これはエストロゲンという女性ホルモンに、内臓脂肪を分解して皮下脂肪に変える働きがあることが理由の1つです。
しかも皮下脂肪それ自体がエストロゲン生成の中心なので、この作用は循環しています。
この機能は身体を守るためのものなので、正常な範囲内なら悪いことではありません。
むしろ過度なダイエットで皮下脂肪を過度に削ると、生理不順などの不調に繋がります。
エネルギーが体脂肪になるまで
白色脂肪細胞が取り込むことができるエネルギーの形はただ1つ、それは「中性脂肪」です。
ではその中性脂肪の合成(=肥満)に糖質はどのように関わっているのでしょう?
中性脂肪が合成されて(白色)脂肪細胞に蓄えられるまでの行程について解説します。
摂取した余分なエネルギーが脂肪になるまでには2段階のプロセスを踏みます。
財布のお金のような短期保管と銀行預金のような長期保管です。
短期保存のプロセス
中性脂肪が体内に取り込まれると、脂肪酸とグリセリンに分解されます。
グリセリンはさらにグルコース(ブドウ糖:エネルギーに変換しやすい形)に変えられて人体の活動に使われます。
使われなかったグルコースはグリコーゲンに変えられ、インスリンの作用により、肝臓や全身の筋肉に保存されます。
エネルギーに戻しやすい形で保存されており、必要になったエネルギーをすぐに供給しやすい保管方法です。
つまり短期のエネルギー需要に備えているため短期保存と言います。
長期保存への移行
肝臓や筋肉(財布)のキャパシティは大きくないので、あくまで一時保存として機能しています。
そのため当分エネルギーが使われないと判断されると長期保存に移行します。
これが先に説明した白色脂肪細胞への中性脂肪の貯蓄です。
血中のグルコースや肝臓・筋肉内で短期保存されていたグリコーゲンはグリセリンに戻される。
そして血中の脂肪酸と再合成されて中性脂肪となり、全身の白色脂肪細胞の中に蓄えられます。
肝臓や筋肉に蓄えられた短期保存分が優先して使われるため、一旦貯蔵されると分解されくいという特徴があります。
財布にお金が入ってるのに、わざわざ銀行に降ろしに行かないでしょ?そういうこと
二の腕に振袖(脂肪)がつく理由
前々から思ってたけど、二の腕(とかお尻)ばっかに脂肪がつくのは何でよ!?
わざと落ちにくい場所に付く
ダイエット経験者であれば、なかなか脂肪が落ちない部分があるということに気付いているでしょう。
下腹部やお尻、二の腕などが代表的ですが、これは脂肪細胞の分布によるものです。
身体には様々な役割を担う細胞がありますが、それは決して全身に均等にあるわけではありません。
それぞれの能力を発揮しやすい場所に多く存在しています。
それは白色脂肪細胞も例外ではなく、エネルギーの(長期)貯蔵という役割を果たすに当たって都合がいい。
そのためつきやすく痩せにくいと言われている下腹やお尻という部位に多く分布しています。
部分痩せは無理というのが一般的
また身体の他の部位に比べて体脂肪が目立つため、これらの部分を集中的に絞りたいと思う気持ちもわかります。
しかし全身の体脂肪から均等にエネルギーが使われるので部分痩せというものは存在しません。
量も他より多く、長期保存を目的として蓄えられているので、見た目的には落ちるのは最後。
気にしすぎないのがモチベーション維持等の観点からも得策です。
元も子もないですが、他の部位より脂肪が多いんだから目立つのも仕方ありません。
まだ望みはある
部分痩せがないことは一般的にも認知され始めていますが、やはり残念な事実です。
しかし最近の研究で部分痩せにも光明が差し始めています。
それが「よく動かす身体の部位には脂肪がつきにくい」という理論です。これはつまり部分痩せのことですね。
既に説明した通り、特定の場所に脂肪がつきやすいのは保存に適しているからです。
お腹や二の腕、お尻は普通に生活してるとあまり活発には動きません。なので熱もあまり発生しません。
逆に活発に動かして熱を発生させれば脂肪の蓄積に適した環境ではなくなり、そこに脂肪を蓄えにくくなるとも考えられます。
体脂肪が特定の場所に蓄積される理由も踏まえていて、理に適った説と考えられなくもないのです。
あくまで一部の主張ではありますが、部分痩せの可能性を信じてお腹周りや二の腕を積極的に動かすのもアリかもしれません。
結局は脂質と糖質のどっちが問題?
結局のところ何に気を付けてたら脂肪がつかないの?
既に説明した通り、体脂肪の材料は中性脂肪です。
こう聞くとやはり脂質が肥満の原因になると考えてしまうでしょう。
確かに中性脂肪を多く含む食品を過剰に摂れば、ダイレクトに体脂肪に蓄えられることになります。
つまり太ります。しかし糖質が無罪というわけではありません。
糖質も脂肪の材料になる
中性脂肪の原料であるグリセリンはブドウ糖、すなわち糖質から作られます。
でも余分な脂肪酸(片割れ)が無ければ中性脂肪は合成できないのでは?と思うかもしれません。
実はグルコースを変換したグリコーゲンは脂肪酸の材料でもあります。
つまり脂質を抑えても、過剰な糖質だけあれば体脂肪は合成されてしまうってことです。
この点で糖質制限は肥満の予防として効果があると言えます。
脂質と糖質のどちらが肥満の犯人かと言えば、どちらも肥満の原因になり得るのです。
脂肪を増やすか決めるのは別のもの
しかし同じように脂質や糖質を摂っていても太る人と太らない人がいます。
実は体脂肪として蓄え、体重をどこまで増やすかを左右するのは脂質や糖質ではありません。
1日の摂取カロリーの中に収めれば太らないってことかな?
このように摂取・消費のカロリー収支が肥満のカギだと思ってる人は多くいます。
しかしカロリーで人間の肥満を測ることは出来ません。それについてはこちらのページで解説しています。
そして消費する分より摂取する分を減らす食事制限でも痩せることは出来ません。
では体脂肪になるかどうか、体重が増えるかどうかは何が握っているのかと言えば、答えはインスリンです。
その理論についてはこちらのページで詳しく解説します。
準備中
まとめ
体脂肪と太るメカニズムについての解説でした。
脂肪が目立つところとそうでないところ、そして部分痩せが難しいことは理解してもらえたと思います。
ただ最近の研究では部分痩せの可能性も示唆されてるので、期待を込めて活発に動かしてみるのもアリです。
そして肝心の体脂肪の原料は中性脂肪。
これだけではやはり脂質が犯人かと思われがちですが、糖質も最終的には中性脂肪を合成します。
なので糖質制限も肥満に効くと言えますが、世の中の糖質制限の常識には誤解や間違いが沢山あります。
糖質制限について詳しくはこちらのページで解説してるので、参考にしてください。
ダイエットで最も肝心なことは、「適量に抑えれば太らない」が「必要以上に減らしても痩せない」ということ。
ただ適量を教えてくれるのはカロリーではありません。それを知る方法、そして抑える方法についてはこちらで解説。
短期ならどんな方法でも痩せられますが、本当のダイエットはインスリンを通じて自分の標準体重を下げることにあります。
それをしなければ辛い糖質・脂質制限と永遠に付き合ってくしかありません。
てなとこで。
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