筋トレと腎機能の関係|プロテインの影響は?
プロテインは腎臓に悪いって言われるんだけどほんと?
プロテインはトレーニングに必須のサプリメントだから不安になるよね…
腎臓とプロテインサプリメントの関係はあまり認識されていませんが、悪影響があると主張する人がそれなりにいます。
ぼく自身、腎機能には全く異常がなかったにもかかわらず、トレーニングを始めてから健康診断で腎機能の異常を指摘されるようになりました。
これはプロテインサプリメントが関係あるかもしれないと思い、腎臓と筋トレの関係について調査した結果をまとめています。
同様の悩みを持つトレーニーの参考になれば幸いです。
1 腎臓とは
腎臓は握り拳ほどの大きさのそら豆に似た形をした臓器で、背中側の腰の上あたりに2つ(背骨を挟んで左右に1つずつ)あります。
腎臓の主な役割はろ過機能で、血液中の老廃物・毒素や不要になった水分を体外に排出して体液量のコントロール等をしています。
腎臓には副腎という臓器がくっついていますが、これはホルモン分泌の調整などを行う器官です。
腎臓が解毒やろ過などを行う過程で得た情報を基にこの分泌のコントロールが行われています。
そのほか赤血球を作るサポートや、カルシウムやカリウムなどのミネラルの調整をして丈夫な骨を作るサポートをしています。
2 腎機能低下で起こる問題
腎機能が低下すると体に老廃物が溜まったり、骨がもろくなったりします。
初期症状は身体の怠さや疲れやすさだけですが、最終的には腎不全・尿毒症となり人工透析や取水制限を受けることにもなりかねません。
定期的に通院して長時間拘束される人工透析も大変ですが、水分を排出できないだけで喉は乾くため、取水制限も非常に大きな苦痛になると思います。
いずれにしてもQOLは大きく低下するよ
既に述べたとおり腎機能が低下してるサインは疲れやすさくらいしかありません。
その他にも皮膚のかゆみや目の下の濃いクマなどがありますが、いずれも多忙な日常の疲労によるものと区別がつきにくいものばかりです。
そのため自覚症状はほとんど無いに等しいと言えます。
自覚症状が少ないって言うのは肝臓と一緒だね
腎機能が30%を下回ると腎不全と診断されますが、気を付けて観察してないとそこまで全く気付くことが出来ません。
ストレスを解消しつつ睡眠など疲労回復に力を入れてもなお疲労感が残ってしまうのかを確認しておく必要があります。
プロテインが恐ろしくなってきた…
3 腎機能にプロテインは無関係
一番気になる結論から言うと「プロテインは腎機能に直接は関係ない」というのが研究から得られている通説です。
タンパク質の摂取が腎機能悪化に影響すると主張しているのは、既に腎機能が低下してしまった患者を対象にした研究だけです。
ただし全てのタンパク質の摂取が腎機能に無害というわけではなく、摂取する食品によっては腎機能に影響を及ぼす可能性があるとも同じ研究で示唆されています。
具体的には赤身肉(牛肉・豚肉・羊肉)や加工肉(ハムやソーセージ)は腎機能に悪影響を及ぼす可能性が高くなるということです。
一方で乳製品や魚、白身肉(鶏肉)は腎機能には悪影響を及ぼしません。
それどころかそれらの摂取増加は腎機能向上に効果的とさえ言われています。
とりあえず気になるプロテインはセーフってことです。
ホエイプロテインの原料は乳製品だからね
赤身肉を白身肉や魚に1食置き換えるだけで、腎臓障害の増悪リスクが最大62.4%も軽減するというのだからその影響は絶大です。
4 腎機能異常の原因
トレーニーが常食するササミやむね肉などの白身肉もまた腎機能の悪化には関係しないということでした。
豚や牛などの赤身肉を多量に食べている人は別として、これでは現に腎機能の異常を指摘された健康診断の結果と矛盾してしまいます。
プロテインが無関係なら何で健康診断で腎機能を指摘されたの?
それには健康診断での腎機能の計り方が影響してるよ
4-1 腎機能の計り方
健康診断ではeGFR(推算糸球体ろ過量)という数値によって、腎機能を計っています。
この値は簡単に言うと腎臓のろ過機能のことで、これが低いほど腎機能が低下していることです。
そしてこのeGFRの値を測定するために血液検査で見られる項目がクレアチニンの量になります。
クレアチニンは通常、腎臓のはたらきによって体外に排出されなければいけません。
そのクレアチニンが体内に残っているということは腎臓で上手くろ過されていないということになります。
つまり間接的に腎機能を計測してるに過ぎないのです。
因みにクレアチニンはサプリメントでも有名なクレアチンの代謝物ね
4-2 トレーニーには不向きな測り方
トレーニーの腎機能を上記のeGFRによって正確に測ることはかなり難しいと言えます。
クレアチニンを生じるクレアチンそのものを常飲しているトレーニーが非常に多いからです。
仮に腎機能が正常時にクレアチニンを100ろ過できるとしたときに以下の2つのパターンを比べます。
①80生じて50しかろ過できなかった人
②130生じて100ろ過したトレーニー
この場合はどちらも血中に30のクレアチニンが残ることになるので、両者のeGFRは同値です。
②のトレーニーは100ろ過できているので機能的には問題ないはずですが、健康診断では機能低下と指摘されます。
血中にクレアチニンが残っているからと言って必ずしも腎機能が低いとは言えないということです。
4-3 筋トレそのものの影響は考慮すべき
クレアチンをサプリメントを飲んでいれば代謝物であるクレアチニンも一般人より多くなるのは当然として、飲んでない人はどうなのでしょうか?
実はクレアチンを飲んでなくてもクレアチニン値が高くなる可能性があるのです。
因みにモノによってはプロテインにクレアチンが配合されてることもあるからそこも要チェック
クレアチンはサプリメントで摂取しなくても、もともと体内(筋肉中)に存在します。
筋トレは多量のATPというエネルギーを消費しますが、これを作るのが解糖系、そして血中クレアチン回路という2つの代謝回路です。
名前から分かるとおり血中クレアチン回路はATPを作り出すために多量のクレアチンを消費します。
つまりクレアチニンが大量に生成されるってことか
4-4 尿酸値の影響も考えておくべし
腎機能と筋トレの関係でもう1つ考慮すべきことが尿酸値です。
尿酸値と筋トレの関係は別ページで詳しく解説しますが、ハードなトレーニングをすると尿酸値が上がるため、間接的に腎臓機能に影響する可能性があります。
尿酸値の上昇はハードな筋トレや、バルクアップに伴う過体重にはつきものですから、上手に付き合うほかありません。
対策については尿酸値のページで詳しく説明していますが、一般的に言う「プリン体の摂取を控える」程度の対策ではほとんど効果はありません。
腎機能にまで影響が出ている(可能性がある)方は早めに対策しましょう。
まとめ
腎臓機能とプロテインサプリメントの関係について解説しました。
一般人より多くのクレアチンを摂取し、その分多くのクレアチニンが生じるトレーニーはeGFR低値とされ、腎機能異常を指摘される可能性は高いです。
しかし指標が間接的なものなので腎臓機能が低下していると断言はできません。
簡易的なモデルを用い、100が最高値と仮定しましたが、正常時のろ過量にはかなり個人差があるはずです。
同じようにクレアチニンが生じていても、片や腎機能A判定(MAX150ろ過)、片や腎機能D判定(MAX100ろ過)ということも十分あり得ます。
どれだけクレアチニンをろ過できれば正常といった絶対的な指標で提示されていない以上、その人の生活に腎機能が対応できてるかという相対的な指標の方が重要とも言えます。
100ろ過できる腎臓でも、常にフル稼働で100ろ過させ続けるのは非常に負担が大きいはずです。
さらにトレーニングのせいだと決めつけている裏で本当に腎機能が低下している可能性もあります。
どれほどの負担で腎機能不全までに陥るか明言はできません。
一般人であれば正しく知れることをトレーニーは知れなくなっていると自覚し、過剰な負担は避ける方が賢明でしょう。
てなとこで。
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