【広い胸板】大胸筋を四角く鍛える|外側トレーニングメニュー4選

大胸筋は身体に厚みを出す上で欠かせない筋肉ですが、「胸板」と言われるように広さを出すことも同じくらい大事。

筋トレをしているなら、形の整った四角く広い胸板を作りたいですよね?しかし…

「大胸筋の厚みは出てきているのに正面から見るとなんか小さい。」
「輪郭・アウトラインがクッキリしない」

こんな悩みを抱える人が中級者くらいから急増します。それは大事なトレーニング種目を見逃しているからかもしれません。

大胸筋の外側を鍛えるためには意識的にトレーニング種目を見直す必要があります。

このページでわかること

・大胸筋の構造

・輪郭をはっきりさせ、広い胸板を作る方法(動画付き)

・骨格から変えるトレーニング方法

大胸筋の外側は鍛えられない

大胸筋の外側を大きくして、胸板を広く四角く鍛えたい!

こう思う人は多いですが、筋繊維の内側や外側を狙って鍛えるという方法は存在しません。

そして大胸筋の輪郭を整えたいと思う人が鍛えるべきポイントは筋繊維の外側ではありません

ではどこを鍛えるべきなのか?

まずはそれを理解するために、大胸筋の構造を理解しておきましょう。

鍛えるべきは大胸筋の下部

大胸筋は3つのパーツに分けて解説されるのが一般的です。

大胸筋の筋繊維は鎖骨・胸骨の真ん中・腹筋の上との境から、それぞれ上腕骨に向かって伸びています。

それぞれ上部・中部・下部と呼ばれており、放射状(扇形)に上腕骨から広がっていくイメージです。

「外側を鍛えたい!」と言う人の多くは、この上中下部が水平に分かれていると勘違いしています。

アウトラインをはっきりさせるために鍛えるべきは、下から外側までを覆うようについている大胸筋の下部です。

下部のラインを出すのは難しい

既に登場していますが、筋肉が骨格に付着してるところを起始停止といい、その間を筋腹と言います。

筋腹が最も太く、起始と停止に向かって細くなっていきます。

脇を覆う部分は大胸筋下部の筋腹に当たるため、下部をしっかり鍛えることでじゅうぶん発達させることが可能です。

しかし腹筋との境に当たる下のラインは筋肉が細い起始であり、かつ横に広がっているために非常に筋繊維の密度が低い部分。

それだけ効果が出にくいということを覚悟した上で、起始近くまでしっかり刺激を入れられるようトレーニングをしなければいけません。

大胸筋の下部を鍛えるメリット

大胸筋の下部は体幹との境を作る大事なポイントです。

下部の発達が不十分だと腹筋や体側とのメリハリが生まれないので、いくら中心に厚みがあっても立体感が出ません。

他の部分とのセパレーションがハッキリせず、緩やかになるのでのっぺりした印象の大胸筋になってしまいます。

あまりに発達してないとただ太ってるように見えることも…

大胸筋の下部の筋腹付近を鍛えることで広さ・四角さを増す。

それと同時に起始付近まで鍛えることで腹筋との境の輪郭をクッキリさせましょう。

大胸筋下部のトレーニング方法

大胸筋の下部を効果的に鍛えるために、どのような動作が必要なのか。

特に発達しにくい腹筋との境界部分(起始)近くを鍛えるためにはトレーニング種目の工夫が必要です。

大胸筋下部の働き

大胸筋の下部は腕を下に押し下げるような動作で働きます。

ちょうどトップ画像のように、プールからプールサイドに上がる時の動作がイメージしやすいでしょう。

そのため実際のトレーニングでも胸と垂直に挙げる種目ではなく、斜め下に向かって力をかける動作が有効です。

POFを意識したトレーニングメニュー

鍛えにくい起始近くに刺激を入れるためにはPOFを意識したトレーニングのバリエーションを増やすことも必要です。

トレーニング種目によって、筋肉がどのポジションにいる時に力が最も大きくかかるかが変わります。これがPOF(Position Of Flexion)

もっと詳しく知りたいという人はこちら!

大胸筋の場合、腕を開いている時に停止寄りが強く働き、身体の中心に腕が近付くにつれ働く場所が起始に近付いてきます。

つまり身体の中心に近いポジションで筋肉にかかる力が最大になるような種目が、下側の輪郭を出すのに効率的ということ。

それがコントラクト種目

ストレッチ種目は上腕骨寄り(停止近く)に一番力がかかりますが、広い範囲に刺激を与えられる種目なのでこれも有効です。

下部を鍛えるトレーニングメニュー

コントラクト種目とストレッチ種目を中心に紹介していきます。

トレーニング器具など筋トレの環境に合わせて種目が選択できるように幅広く紹介しているだけです。全部やる必要はありません。

器具が充実している人なら、定期的に種目を入れ替えて刺激に変化を与えてみてください。

ジムでのトレーニング

ジムは器具が充実しているので、ここで紹介する種目は全てできるはずです。

中でも設備がないと厳しい種目をここでは紹介します。

1.ハイケーブルクロスオーバー

大胸筋の代表的なコントラクト種目がケーブルトレーニングです。

鍛えにくい起始の近くにも効果的に刺激を与えることが出来るので、理想的な大胸筋を形づくる上で欠かせません。

このハイケーブルクロスオーバーは腹筋との境にメリハリを作るのに効果的な種目です。

ハイケーブルクロスオーバーのやり方

【準備】

① ケーブルマシンのプーリーを高いポジションにセットする。

② ベンチプレスと同じように肩甲骨を寄せて下げ、胸を張った姿勢をキープ

【動作】

③ グリップを握り、弧を描くように引き下ろす。

※あまり前傾しない。前傾し過ぎると大胸筋中部のケーブルフライになってしまう。

④ グリップを身体の正面で合わせる。
 
(両手をクロスする場合は偏りを防止するために、手の上下を毎回入れ替える)

⑤ ケーブルの引きに抵抗しながらトップのポジションまで戻す。
 
(この時も弧を描くような軌道を維持する)

⑥ 繰り返し

大胸筋の下部を鍛える目的に限りませんが、ケーブルトレーニングはしっかりと収縮を与えることが重要です。

肘を軽く曲げたベントスタイルからスタートするので、負荷が大きすぎると肘を伸ばすことに意識が取られがちになります。

それでは大胸筋から上腕三頭筋に負荷が逃げてしまうので注意しましょう。

下ろすことよりも弧を描くこと、重量を上げることよりもしっかり収縮していることが大事です。

ケーブルマシンの正面に鏡を置いてくれてるジムが多いから、しっかりフォームを確認しよう!

フォームややりがちな間違いを簡潔に解説してくれています。脱線タイムもホッコリしますよ(笑)。

ちなみに自宅でもチューブを使うことで代用することができます。検討してみてください。

強度別のチューブ5本 ハンドルやストッパー付属の11点セット

2.デクラインダンベルフライ

ダンベルを使ったフライ系の種目は大胸筋が大きく引き伸ばされるストレッチ種目です。

大胸筋の下部のストレッチ種目はあまり種類が多くないので、デクラインのフライはもはや必須の種目でしょう。

デクラインは頭が下になる斜めの姿勢のこと!

脇の近くに刺激を与え、広く四角い大胸筋を作るのに非常に効果的な種目。

また挙げ方にちょっとした工夫をすることで、トップでの収縮も強くすることができるので、下のラインにも効果的です。

デクラインダンベルフライ

【準備】

① アジャスタブルベンチを-30~40°くらいにセットする。

【動作】

② 肘を軽く曲げてダンベルを持ち、弧を描きながら床に垂直に挙げる

③ 小指側を合わせるように挙げると同時に、肩を前に出すように挙げるとより収縮が強くなる

④ 下ろす時も弧を描きながら負荷に抵抗し、ボトムで最大限にストレッチを与える

⑤ 繰り返し

デクラインでありがちな間違ったフォームはダンベルを体側に沿って挙げてしまうものです。

重力は真下に向かってかかっていますし、せっかくデクラインにしているのだから床に対して垂直に動作しましょう。

実はジムでもデクライン機能が付いたベンチを置いていない所が結構あるのがネックです。

そのため、足をベンチの上に乗せて下半身だけブリッジした形のセルフデクラインでトレーニングする人が多いです。

これでも確かに下部は鍛えられますが、安定感に欠け、大胸筋下部への刺激に集中しずらいというデメリットがあります。

負荷を高めたい場合にはダンベルプレスの方が適しています。

ただ大胸筋の肥大を狙う場合は、負荷を集中させられるアイソレート種目のフライの方がオススメです。

3.デクラインプレス

デクラインで行うプレスも大胸筋の下部を鍛えることが出来るトレーニングです。

バーベルトレーニングだと胸に邪魔されて深く下ろせないのでストレッチが十分にとれません。

しかも手幅の広さが固定されるので、トップで収縮を高めることも難しくなります。

以上2つの理由からデクラインベンチプレスは大胸筋のアウトラインを立体的に鍛えるのにあまり向いていません。

フライが難しい場合でもバーベルではなくダンベルを使って深く肘を引くように意識した方が効果的です。

自宅トレーニング

自宅トレーニングは自重トレーニングが中心になるので、効果に限界があります。

その理由について詳しくはこちらで解説!

ただし器具を揃えて負荷を高められるようにすれば、筋肥大効果を上げることも多少は出来ます。

1.インクラインプッシュアップ

ベンチやイスなどに手をついて頭を上にしたプッシュアップ(腕立て伏せ)です。

頭の位置が高くなるインクラインの姿勢にすることで、腕を下に押し下げる動作になります。

ベンチがあるならベストですが、自宅でやる場合には机や椅子を台にしてもOK。

手幅を狭くするナロープッシュアップにすることで、トップポジションでの収縮を強くする工夫も可能です。

普通のプッシュアップよりも負荷がさらに小さくなってしまう点と、コンパウンド種目のためプレスと同じく負荷が分散する問題はあります。

ただ負荷の方はウェイトベストなどで加重が可能なので、こちらも検討してみてください。

2.ディップス

自宅でディップスをやる場合、両サイドにイスやテーブルをセットし、それぞれに手をついて上下にプレスします。

身体の後ろに手をついてやると上腕三頭筋に負荷がかかりますが、身体の前に手を着くことで大胸筋の下部にも刺激を与えられます。

ジムでは懸垂用のチニングバーとセットになっていたり、専用のディップスマシンを置いてるところも。

イスなどの家具は安定感や強度に不安があるので、できれば専用のディップススタンド(台)を買うことをオススメします。

家庭用でも懸垂台と一体になったものが売られているので、スペースやトレーニング内容に合わせて選びましょう。

ディップス・プッシュアップ・レッグレイズ一体

手幅の調整により大胸筋の下部と上腕三頭筋のどちらを狙うか変えることも可能です。

手幅や肩幅は個人差があり、チニングバー一体型の場合は手幅が固定なので、個人的にはディップススタンドをオススメします。

また筋肥大に限界がある自重トレーニングですが、ディップスは加重が可能です。

自宅ではもちろん、ジムでトレーニングする人でも使えます。チニングの加重にもオススメです。

自宅でデクラインダンベルフライ

デクラインダンベルフライの効果を最大化するためにはデクラインベンチで身体を安定させることが重要です。

やはりセルフデクラインではなく、ちゃんとデクラインベンチを使う方が効果的にトレーニングできます。

ジムにはあまりありませんが、家庭用のアジャスタブルベンチにはデクライン機能が付いたものもあります。

なので自宅にベンチを置くスペースがあるならいっそのこと自宅にベンチを置いてしまうというのも1つの手段です。

骨格的な限界

筋肉は骨格の上についているので、筋肉量も骨格によって限界が決まってしまいます。大胸筋の限界を決めるのは胸郭です。

骨格は遺伝的な要因が大きく、成人してから大きな変化があるものではありません。

しかしトレーニングによってこの胸郭を拡げることが可能です。つまり筋肉を乗せる台座を拡げるということ。

これが男の憧れる広い胸板を作ることに繋がります。最後に胸郭を拡げるために有効な種目を2つ紹介しましょう。

1.ダンベルプルオーバー

ダンベルプルオーバーは大胸筋を縦向きに引き伸ばす種目です。

胸郭を大きくストレッチするので、その可動域が拡がると同時に大きな刺激を胸筋の広範囲に与えられます。

ダンベルプルオーバーのやり方

【準備】

① ダンベルを1つ持ってベンチに横になる

② 両手の親指と人差し指でダイヤを作ってその間でバーを持ち、両手のひらでダンベルを支える

【動作】

③ 頭の後ろまで下ろし、胸の前まで挙げる

④ 下ろす時も胸全体を大きくストレッチするイメージでゆっくりと

⑤ 繰り返す

大きな重量を扱った方がストレッチはしやすいですが、肩の負担が大きく可動域も狭くなってしまう可能性があります。

動作を正しく、可動域を広くしてトレーニングできる重量を選択しましょう。

実はダンベルプルオーバー、大胸筋に効く場合と広背筋に効く場合があります。

胸郭を拡げる目的ではありますが、胸の側がダイナミックに可動する方がその目的にも叶うので、その点も意識しましょう。 

なるべく大胸筋に効かせるフォームを意識しよう!

以下の動画で簡潔に解説されています。一緒に動作しながら動きを確認してみてください。

デクラインがオススメ

もう1点、トップポジションで負荷が抜けてしまうというデメリットがあります。

せっかくなら可動域の全ての範囲で負荷を大胸筋にかけたいので、これもデクラインスタイルがオススメです。

腕を床と垂直にするまでは挙げず、胸の正面まで挙げたら下ろしましょう

最初は負荷が胸筋にかかっている実感をしにくいですが、続けるうちに姿勢が改善し胸郭が拡がり、大胸筋が広くなってきます。

アブローラーも効果的

腹筋に負荷が分散しやすいですが、アブローラーの動作もダンベルプルオーバーと同じなので、効果があると言えます。

自宅トレーニングなどベンチがない環境ではアブローラーで代用することも可能です。

2.バーベルスクワット

胸郭を拡げるのにスクワットというのはピンとこないかもしれません。

実はあのアーノルド・シュワルツェネッガーも胸郭を拡げるため、大胸筋トレーニングの合間にスクワットを取り入れていました。

スクワットは肩にバーベルを背負うので胸を張った姿勢になり、かつ負荷が大きいので腹圧が高まり、内部から胸郭を圧迫することができます。

ポイントは姿勢と呼吸です。

バーベルスクワットのやり方

【準備】

① バーベルを背中に背負う

【動作】

② 立った状態で息を深く吸い込む

③ そのまま息を止めて深くしゃがみ込んで、立ちあがる

④ 立ち上がったところで息を吐く。大きく吸って繰り返す。

スクワット自体のポイントは他にもいくつもありますが、胸郭を拡げるためにはまずこれだけ意識してください。

シュワちゃんの真似をして、大胸筋とスクワットを同日のトレーニングメニューにするのはなかなかハードです。

脚トレーニングの日に、胸郭のトレーニングも同時に行うようなイメージの方が現実的でしょう。

ぜひ漫然とスクワットをこなすのではなく、腹腔内の圧を高めて内部から胸郭を圧迫することを意識してみてください。

まとめ

大胸筋の外側のアウトラインを鍛える方法について解説しました。

四角く広く、そして輪郭のハッキリした大胸筋を作るために下部のトレーニングは必須です。

筋繊維の外側や内側という考え方は「筋繊維のどの部分を使うか」という話ですが、これは現実的ではありません。

ただ使われやすい場所と使われにくい場所があることは確かなので、そのことを意識してトレーニングをすることは大事です。

大胸筋の場合は停止付近が使われやすくて、起始付近が使われにくい!

そのためにこのページで紹介したコントラクト種目とストレッチ種目を加えましょう。

大胸筋トレーニングで最も有名なバーベルベンチプレスはその中間のミッドレンジ種目です。

大きい負荷を扱えることは魅力ですが、こればかりに偏っていてはいつまで経っても理想的な大胸筋の形には近づけません。

固執せずに一度手放してみる勇気を持つことは、大胸筋のトレーニングに限らず筋トレ全体に重要なマインドですよ!

てなとこで。