「体脂肪が筋肉に変わる」は正しい?|筋肥大のために太る必要性とは
筋肉をつけるためには1回太らないといけないからね~
ボディビルダーの増量を見てか、筋肉をつけるためには1回太らなければいけないと認識してる人がかなりいます。
そしてここから派生して、「脂肪が筋肉に変わる」「サボれば筋肉が脂肪に変わる」と言われることもあるようです。
果たしてこの認識は正しいのでしょうか?
筋肉と体脂肪の関係、そしてボディビルダーの増量の正体について解説します。
「脂肪が筋肉に変わる」は考え方次第では正しい…かも?
1 「ボディビルダーは一度太る」の真実
ボディビルダーが理想的な身体にもっていく前に一度太るというのはある程度は事実です。
しかし太ることそのものを目的として増量しているわけではありません。
ボディビルダーが増量期で太るのは、あくまで筋肥大を目指して食事量を増やした結果であって、目的ではないのです。
食事量を増やすことの目的は以下の2つです。
①パフォーマンスを上げるため ②筋肉の合成を促進するため
筋肉の発達のためにはより大きな負荷を扱えることが有利に働きます。
逆にパワーが付かずいつまでも同じ重量を扱っていては一向に成長することはありません。
筋力発揮のためにはエネルギーが必要であり、そのエネルギー源こそが食事なのです。
特に糖質は重要だよ
さらに筋肉の合成(アナボリック)や大きな筋肉を維持するためにも膨大なエネルギーが必要になります。
筋肉が大きくなるほど身体にとっては異常な状態となるため、分解(カタボリック)の圧力が強くなるためエネルギー不足の状態を作るわけにはいかないのです。
例えば必要なエネルギーが100の時、95しかエネルギーを摂取しないと5の不足が生じて、筋肥大効率が落ちてしまいます。
95 - 100 = -5(不足=カタボリック)
厳密にカロリー計算をして100に合わせられればベストです。
しかしそれは現実的に難しいので思い切って110摂取した結果、余った10が体脂肪になる、といったイメージです。
110 - 100 = 10(余り=体脂肪)
とにかく知っておくべきことは、ボディビルダーは筋肉と脂肪とに関わらず体重を増やすことを目指しているわけではないということです。
そのため一般人も筋肉をつけるに当たってわざと太る必要はないことが分かります。
あくまで不足させないように食事に気を付ければOKってことか
2 脂肪が筋肉に変わるはウソか?
筋肉の材料はあくまでタンパク質であり、体脂肪とは原料が全く異なります。
そのためついた体脂肪が筋肉に変わったり、筋トレをサボることで筋肉が脂肪に変わったりすることはないというのが一般論です。
しかし材料の違いだけを以って「脂肪が筋肉に変わるという認識は間違い」とは必ずしも言い切れません。
ここからは体脂肪と筋肉の成長の関係について解説します。
2-1 脂肪はエネルギーの塊
体脂肪(中性脂肪)は脂肪酸とグリセリンの化合物なので、簡単に言えば糖質と脂質の塊です。
そのため体脂肪は1g当たり平均で7.2kcalものエネルギーを蓄えてると言われています。
確かに中長期的な保存形態なので使われにくい形ではあります。
しかし分解して血中に戻れば食事で摂った糖質・脂質と変わりはなく、トレーニングのエネルギーとして使われます。
つまり食べなくても既にトレーニングや筋肉の合成・維持に使えるエネルギーを身体に蓄えてる状態ということです。
これを活用してトレーニングすれば広い意味で「脂肪が筋肉に変わった」と見ることも出来るのではないでしょうか?
因みにその逆の「筋肉が体脂肪に変わる」というのも見方次第なとこがあります。
筋肉を合成するのには非常に膨大なエネルギーを消費しますが、筋トレをしなくなり筋肉が落ちるとそのエネルギー消費が無くなります。
もともとそんな多くないけど筋トレそのものの消費カロリーもね
そのまま生活習慣や運動量を変えずに同じ食事を続けていれば、トレーニングしてた時よりも余剰のカロリーが発生するのは当然です。
これを放置すればいずれ体脂肪になるため、ある意味では筋肉が体脂肪に変わったという見方も出来ます。
2-2 注意点
ただし脂肪と筋肉の関係において注意しておかなければいけないことが2つあります。
具体的には以下の2つです。
①筋肉の原料にはならない ②筋肉の発達を妨げる可能性
2-1 体脂肪はあくまでガソリン
1つ目が体脂肪は筋トレのガソリンにはなるが、筋肉を作る材料にはならないということです
体脂肪が筋肉に変わると言うのは、芋やオリーブオイルで筋肉がつくと言っているようなもので、そう考えればおかしなことを言ってると簡単に分かるでしょう。
筋トレをしてる人にとっては当たり前のことなので言うまでもないですが、筋肉の材料はアミノ酸・タンパク質です。
体脂肪は脂質と糖質が合成されたモノであり、ここにタンパク質は含まれていません。
トレーニングをしたら、筋肉を作る材料になるタンパク質は別に食事から取り入れる必要があります。
2-2 体脂肪が筋肉の発達を邪魔する
もう1つが体脂肪が多いことによって筋肉が成長しにくくなる可能性があるということです。
実は過剰な体脂肪は身体にとって異物と認識されています。
そのため体脂肪が多い身体の中ではアディポサイトカインという炎症性の物質が分泌されているのです。
そしてこのアディポサイトカインの作用によってmTORというタンパク質の活性が低下してしまいます。
このmTORは筋肉の合成を開始するスイッチの役割を果たすものです。
ぼくたちがウェイトトレーニングを行うのは、筋肉を刺激してこのmTORを活性化するためとも言えます。
つまり過剰な体脂肪は筋肉の発達に有利などころかむしろマイナスということで、闇雲に体重を増やすことに意味は無いということです。
まとめ
筋肉の発達と体脂肪の関係について解説しました。
最近ではYouTubeなどでボディビルダー・フィジーカーが私生活を公開しています。
彼らの発信方法に問題があるのか、受け取り方に問題があるのか「体重を増やすことに意味がある」と誤解してる人がかなり多い印象です。
体脂肪が筋肉に変わることや、逆に筋肉が体脂肪に変わるというのは広い意味で言えば確かにそのとおりです。
しかし体脂肪が多い方が筋肉の材料が多くあって筋肥大に有利ということは決してありません。
むしろmTOR活性を下げるリスクがある点を考えればマイナスです。
最近ではムダに脂肪をつけずギリギリのオーバーカロリーを目指すという増量法が人気になりつつあります。
ただでさえ不健康な体重増加を不健康な食品・方法で実践するというのはあまりオススメ出来る方法ではありません。
是非とも健康とボディメイクの両立を図っていってほしいと思います。
てなとこで。
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