カタボリックとは?|ついた筋肉が落ちてしまう原因と効果的な対策4選
しっかり筋トレしてるはずなのになかなか筋肉が発達しないという悩みを抱えるトレーニーは多いです。
その原因は様々なモノが考えられるので以下のページでまとめています。
その中でも割りと多いのがカタボリック、すなわち筋肉の分解が優位になってしまってるパターンです。
ただ一口にカタボリックと言っても、その原因もいくつかあり、対策も異なります。
このページではカタボリックの原因として考えられる要素とその対策について解説します。
・筋肉の合成、分解の基本
・カタボリック対策の重要性
・カタボリックの原因
・カタボリックを防止する対策
1 筋肉の分解・合成の基本
そもそも「カタボリックって何?」って読者を想定して筋肉の合成と分解の基本について解説していきます。
そんなのとっくに知ってるよ!
という方はここは読み飛ばして原因と対策に進んでしまってOKです。
ここでは以下の3点について解説します。
①合成と分解の関係
②イージーゲイナーとハードゲイナー
③恒常性(ホメオスタシス)
1-1 合成と分解
まず筋肉や脂肪といった体組織を分解する作用のことをカタボリックと言い、逆に合成する作用のことをアナボリックと言います。
この2つの現象は明確に切り替わるわけではなく、絶えず分解と合成を繰り返しています。
どちらが優位になるかで身体の状態が変化するわけで、いわゆる「カタボってる」というのは分解が優位になってしまってる状態です。
1-2 体質的な問題
因みに合成と分解のどっちが優位になりやすいかは体質的な問題もあります。
いわゆるイージーゲイナー・ハードゲイナーという分類です。
イージーゲイナーは筋肉がつきやすい代わりに脂肪も付きやすく、ハードゲイナーは脂肪も筋肉も簡単にはつきません。
つまりハードゲイナーの場合はより緻密なカタボリック対策が必要になります。
1-3 標準に戻す圧力
また合成と分解に関係して人体の恒常性(ホメオスタシス)についても把握しておきましょう。
これは簡単に言えば人体のあらゆるものは標準値に近付くというものです。
体温やダイエットでよく耳にする「元の体重」などが分かりやすいと思います。
恒常性が働くのは、何かが過剰な状態は脳や身体の負担になるからです。
特に筋肉はエネルギーを食うので筋肥大すればするほど落とす方に圧力がかかるようになることも覚えておきましょう。
2 カタボリック対策の重要性
このページを閲覧してる時点でカタボリック対策の重要性は認識していると思いますが、一応解説しておきます。
ぼくが考えるカタボリック対策が重要な理由は以下の2点です。
①トレーニングがムダになる
②頻度を過度に上げてしまう
2-1 トレーニングがムダになってしまう
まず最もシンプルな理由ですが、せっかくトレーニングしても分解してしまって成長しないのではムダになってしまいます。
筋トレに割くリソースについて意識することは無いかもしれませんが、払うコストは意外と膨大です。
時間 ジム代 サプリメント 体力 健康
まずジムに行ってトレーニングするには、ある程度まとまった時間が必要です。
その時間を捻出するために娯楽などの時間を短縮していることと思います。
またジム代は定額ですが、1回当たりで換算すればその分がムダになると言えるでしょう。サプリメント代も同様です。
またガッツリトレーニングする人なら終わったころには疲労困憊で他の活動に充てる余力は残っていないと思います。
そして忘れてはいけないのが健康への影響です。
適度なトレーニングは別として身体をより大きくしようとする場合、扱う重量や運動量はかなり大きくなります。
その分、関節に負担がかかったりATP・クレアチンの消費によって尿酸・クレアチニンが多量に生成されてしまいます。
栄養摂取量も極端だしね
筋トレはこれらの犠牲(?)の上に成り立ってるので、せめてしっかりとした成果は残したいところです。
2-2 過剰な頻度でのトレーニング
筋トレをしていく中で多くの人が経験する心理が「筋肉が落ちるのが怖い」という強迫観念です。
しっかりとカタボリック対策が出来ていれば、そこまで簡単に筋肉が落ちることはありません。
しかしそれが出来ていないと筋トレの頻度を落としたりオフにしたりすることが出来なくなってしまいます。
筋トレは高頻度なほど筋肥大に有利という研究はありますが、それはあくまでも万全のコンディションを整えた前提での話です。
わかっちゃいるけどなかなか休めない
高頻度になれば疲労の回復が追いつかず、パフォーマンスはどんどん低下していってしまいます。
そんな状況でトレーニングを続けても効果はほとんどありません。
それどころか集中力やウェイトを保持する力を欠いてケガをするリスクもあります。
適切な頻度・ボリュームでトレーニングを行い、適度にオフを入れるという効率的なトレーニングを安心して行うためにも、適切なカタボリック対策が重要です。
なお適切なトレーニング頻度について詳しくはこちらのページで解説しています。
3 カタボリックの原因
ようやくお待ちかねのカタボリックが起きてしまう原因について解説します。
ここで紹介するカタボリックの原因は以下の3点です。
順番に解説していくので思い当たる部分だけ拾い読みしてみてください。
①栄養不足 ②ストレス ③オーバーワーク
3-1 栄養不足
最も典型的でシンプルなカタボリックの原因は栄養の不足です。
栄養が不足してしまうパターンとしては以下のようなものが挙げられます。
①必要栄養素の増加をカウントできていない
②脂肪がつくのが怖くて食事量を増やせない
③手間を嫌ってサプリメント中心になっている
どれもよくあるパターンですが、特に栄養素のカウントが目分量になっている場合は見直しが必要です。
筋肉の合成・維持には想像以上に多くのエネルギーを要することはしっかり認識して置く必要があります。
またビルダーや格闘家のようなバキバキの身体に憧れて筋トレを始めた場合、脂肪が乗るのに抵抗がある人も多いでしょう。
気持ちは分からなくもないですが、一時的なブレを許容できないと永遠に「そこそこ良い身体」から抜け出せない人になってしまいます。
サプリメントは手軽で便利ですが、液体・サプリメントでの摂取と固形物・リアルフードでの摂取とでは吸収効率に大きな差があります。
意外と知られていませんが非常に重要な事実なので覚えておきましょう。
3-2 ストレス
実はストレスもカタボリックの原因になります。
ストレスを感じると体内でコルチゾールという抗ストレスホルモンが分泌されます。
誤解してる人も多いですが、これ自体は身体の活動を調整しストレスに対処するためのホルモンなので、悪いものではありません。
しかしその活動のエネルギーを作り出すために糖新生が起こります。
つまりATPを作り出すために筋肉を分解する作用が起こりやすくなってしまうということです。
慢性的にストレスにさらされていてコルチゾールの分泌が続いている人は筋肉が過剰に分解されている可能性があります。
3-3 オーバーワーク
筋トレ中は筋肉の合成が高まっていますが、同時に分解が進んでいることはあまり知られていません。
そのため過度な筋トレは筋肥大をさせるどころか、むしろ分解を進めてしまう可能性があるのです。
筋肥大にはトレーニングボリュームが重要だと言う研究もありますが、分解が進んでしまうことも考えて置く必要があります。
1つ前の項目でストレスのカタボリック作用について解説しましたが、このストレスとは人間関係などの心理的なストレスに限りません。
筋トレを含む運動などによる身体的なストレスによってもコルチゾールは分泌されます。
つまり長時間または高頻度に筋肉に負荷を与え続けることはコルチゾールの分泌量を増やしてしまう可能性もあるということです。
なお長時間のトレーニングの問題はカタボリックにとどまらず、原因や対策も様々なのでこれについて詳しくは別のページで解説します。
4 カタボリックを防止する対策
前の項目で紹介した各種のカタボリックの原因に対して以下のような対策を紹介します。
①栄養摂取の見直し ②サプリメントの摂取 ③腸内環境の改善 ④睡眠中の対策
4-1 栄養摂取の見直し
栄養不足が原因でカタボリックが起こっているケースは非常に多いので、栄養摂取の見直しはマストです。
最も基本的なところは筋肉を合成する材料となるアミノ酸、すなわちタンパク質の摂取量です。
(除脂肪)体重1㎏当たり1gのタンパク質が筋肉量を維持する上で最低ラインの摂取量になります。
筋トレをハードに行うなら最低でも1.5g、多い人だと3g以上に設定することもあります。
また糖質も筋肉の合成に必須の栄養素です。
筋トレのような無酸素運動は解糖系という代謝回路で糖質から作るエネルギーが中心なので、糖質はパフォーマンスアップにも欠かせません。
そして糖質の摂取は筋肉の分解を促進してしまうコルチゾールの分泌を抑制する効果もあります。
そして最も敬遠されがちな栄養素が脂質です。
脂肪の基のようなイメージを持ってる人が多いかもしれませんが、筋トレに重要な各種ホルモンの原料になります。
脂質が不足してしまうと成長ホルモンやテストステロンといったホルモンが十分に分泌されなくなってしまいます。
栄養の摂取については非常に重要なので、別のページで改めて詳しく解説します。
こちらのページもぜひ参考にしてください。
4-2 サプリメントの見直し
トレーニング中に筋肉の過度なカタボリックが起きていることを考えると摂取するサプリメントの見直しも必要と考えられます。
数多あるサプリメントの中でもカタボリック対策として有効だと考えられるのが以下の3点です。
①BCAA ②グルタミン ③CCD
まずトレーニング中の筋肉の分解を抑制するためにイントラワークアウトドリンクでアミノ酸を摂取しましょう。
特にオススメなのがバリン・ロイシン・イソロイシンの3つ、すなわちBCAA(分岐鎖アミノ酸)です。
EAA(必須アミノ酸)でも良いのですが、EAAの中でも特にトレーニング中に優先的に消費されるのがBCAAであるため、これを集中的に摂る方がニーズに合っていると考えられます。
値段もBCAAの方が圧倒的に安いしね
また筋肉の分解を抑制する目的で摂取したいもう1つのアミノ酸がグルタミンです。
グルタミンはカタボリック予防として非常に有名で上級トレーニーで摂取してない人はいないと思います。
最後にオススメするのがCCD(高度分岐環状デキストリン)、すなわち糖質サプリメントです。
糖質の重要性については既に解説しましたが、マルトデキストリンよりCCDをオススメする理由は大きく2つあります。
①低浸透圧で吸収が速くすぐにエネルギーになる
②水を消化管に過剰に引き込まないのでお腹を下しにくい
4-3 腸内環境の改善
コルチゾールの分泌は心身に対するストレスによって起こると解説しました。
そのストレスとして忘れてはいけないのが、全身の慢性的な炎症です。
身体のあちこちで起きた小さな炎症による刺激がコルチゾールの分泌を起こします。
そしてその全身の慢性的な炎症の原因というのが腸内環境の悪化です。
腸内では膨大な数の細菌がその活動によって様々な物質を作り出しています。
その中には有毒な物質もありますが、腸管にとどまっていれば問題はありません。
しかし腸内環境が悪化して粘膜が薄くなってしまうと、それらの毒素や細菌が体内に漏れ出してしまいます。
リーキーガット(漏れる腸)症候群ってやつね
そうするとそれらの異物を除去しようと免疫が活動し、漏れ出した先、すなわち全身の至る所で戦闘を繰り広げることになります。
これこそが全身で発生する炎症の正体です。
また腸は摂取した栄養を吸収する大事な器官でもあります。
そのためここが荒れてしまっていると、せっかく摂取した栄養素が十分に吸収されません。
プロバイオティクスやプレバイオティクスをしっかり摂取して腸内環境を正常に保つようにしましょう。
4-4 睡眠中が最大の盲点
一般的な生活の中で最も栄養が不足するタイミングが睡眠中です。
睡眠中は食事を摂ることが出来ないので、新たに栄養を供給することが出来ません。
つまり1日の中で最もカタボリックが起こりやすい時間帯ということです。
とは言え睡眠の質を考えると寝る直前まで食事を摂るというのはオススメ出来ません。
もちろん睡眠時間を短くするなんて対策は論外です。
この睡眠中のカタボリックの防止に効果的な対策には以下のようなものがあります。
①カゼインプロテイン ②牛乳 ③グルタミン
多くのトレーニーが愛用するホエイプロテインは吸収の速さが売りですが、速すぎて睡眠の前半で栄養の供給が終了してしまいます。
そこで敢えて吸収の遅いプロテインを利用するという戦略です。
カゼインとは乳製品に含まれる脂肪分のことで、これがあると吸収が著しく遅くなります。
但しカゼインプロテインはホエイプロテインに比べると値段が高く、コスト面では難がある対策です。
そこで次善の策として牛乳をオススメします。
既に解説したとおり、カゼインは乳脂肪分なので牛乳にも含まれている成分です。
そのため普段のホエイプロテインを牛乳で割って飲むことで吸収をある程度ゆっくりにすることが出来ます。
消化があまり要らないとは言え、プロテインの摂取は胃腸の負担になります。
ぼくもそうですがインターミッテッドファスティングなどを実践してる人は恐らく夜間に食事は出来ません。
そこで空腹状態を邪魔せずに筋肉の分解を抑える方法としてオススメするのが二度目の登場であるグルタミンです。
寝る前にグルタミンを摂取しておくだけで、かなりカタボリックを防止できます。
まとめ それって本当にカタボリック?
カタボリックの原因と対策について解説しました。
筋肉がつかないと悩んでる場合、一度は発達した筋肉が落ちてしまってるケースが多いです。
カタボリックの主な原因は①栄養不足、②ストレス過多、③オーバーワークの3つでした。
そしてこれらを解決するための対策が以下の4点です。
①栄養摂取の見直し:糖質・脂質・タンパク質を中心に維持カロリー以上を摂取できているか
②サプリメントの見直し:筋トレ中に固形物は摂れないので、分解抑制に働くアミノ酸等を摂取する
③腸内環境の改善:腸内環境の悪化はコルチゾールの原因であり、栄養の吸収効率低下の原因でもある
④睡眠中の対策:最も栄養が枯渇する時間帯なので、サプリメント等で吸収スピードをコントロールする
このようにカタボリックには原因と対策が複数あり、どこに問題があるかも人によって異なります。
普段の生活で思い当たることがあるところから対策を実践してみましょう。
もちろん筋肉が分解しやすいカタボリック体質の人もいますが、適切に対処すればある程度は防げるようになるはずです。
1つ注意すべきは、単なるパンプ抜けをカタボリックと勘違いしてるパターンです。
筋トレ直後は筋肉が大きく張っていますが、これは単に筋肉が水を内部に引き込んでいるからであり、筋肥大ではありません。
パンプとは言ってしまえば浮腫みであり、寝起きの顔の腫れが時間とともに引くのと同じで、時の経過で解消します。
これをカタボリックと勘違いしてしまうと対策を誤ることになるので、この点には注意しましょう。
てなとこで。
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