筋トレにおける食事の重要性|必要カロリー・PFCの計算方法

最近なかなか筋肉が増えないんだよね…

筋肥大の停滞には様々な要因がありますが、特に初心者に多いケースが食事量・栄養素の不足です。
本人は適量の食事を摂っていると思っていても、実際にはかなりカロリーが足りていないというケースが多くあります。

このページでは筋肉をつける上で基本となる必要カロリーの計算方法とPFCバランスについて解説します。

このページでわかること

・筋トレにおける食事の重要性
・必要カロリーの計算方法
・PFCバランスの取り方

1 食事と各栄養素の重要性

「カラダは自分が食べたもので作られる」とよく言いますが、筋トレをしてると特に強くこれを実感します。
筋トレは週3~4回程度、めちゃめちゃハードにやってる人でも7~8回が限度でしょう。
それに対して食事は1日3回としたら週21回もあるので、トレーニングの3倍以上の影響力があると言えます。

もちろん筋トレをせずに沢山ご飯を食べても筋肉がつくわけではないので、これはイメージの話ですが、ここで言いたいのは逆もまた然りということです。
栄養無くして筋トレだけしてても筋肉はさほど成長しません。
トレーニングと栄養は筋肥大という目標に向けて走るための両輪と考えておきましょう。

そして必要な栄養が摂取できているかの最も簡易的な指標になるのがPFCバランスです。
PFCとはProteins(タンパク質)、Fat(脂質)、Carbohydrate(炭水化物)の頭文字をとったもの。
筋トレというとタンパク質というイメージが強いですが、それぞれに重要な役割があります。
さっくりまとめると以下の通りです。

P(タンパク質)=筋肉を含めた全身の組織の材料で筋トレには不可欠
F(脂質)=肌のバリアやテストステロン・成長ホルモンなどといったホルモンの材料
C(炭水化物・糖質)=筋トレを含む活動の主なエネルギー源で筋肉の維持にも必要

「筋肉を大きくするには何を摂れば良い?」とよく聞かれますが、このように全ての栄養素が筋肥大に関係しています
つまりこれら全てを適切な配分で摂取する必要があるということです。

2 カロリー上限とバランス

具体的に何kcal自分は摂っていいのか、そしてその内訳はどんなバランスにするのが良いかを以下の5つのステップに分けて解説します。

①体重を計る
②体脂肪率を計る
③除脂肪体重を計算する
④メンテナンスカロリー(必要カロリー)を計算する
⑤PFCの内訳を考える

①~② 体重と体脂肪率の計測

これは単純で、まずは体組成計などを使って現状を把握しましょう。

良い数字を出したい気持ちは分かりますが、正確に把握することの方が大事なので計るタイミングに注意が必要です。
体内のものがクリアになった状態で計るのが一番現状に合っているので、朝起きて用をたした後に計りましょう。

もし朝の出勤前はバタバタしてて測る余裕がないという場合は別のタイミングでもOK。
肝心なのは毎回同じ時間帯に測るということです。

③ 除脂肪体重の計算

除脂肪体重とは文字通り「脂肪を除いた分の体重」のことです。
体脂肪はカロリーを消費しないので、本当に身体が活動に必要とするカロリーを算出するためには、この除脂肪体重が必要になります。

体重が65㎏で体脂肪率が10%の場合は以下の通りです。

体脂肪量:65㎏ × 0.1(10%) = 6.5㎏
除脂肪体重:65㎏ - 6.5㎏ = 58.5㎏

④ 必要カロリーの計算

筋トレは身体を動かすだけでなく、その後の筋肉の合成でもエネルギーを多く消費するので、通常より多めにカロリーを設定することになります。

最も簡単な計算方法は、③で計算した除脂肪体重に40をかける方法です。
先ほど用いた例の場合は以下のようになります。

必要カロリー 58.5 × 40 = 2,340kcal

先に説明した通り、これはあくまで筋トレのようなハードな運動を行っている場合のカロリーです。
軽い運動しかしていない場合には活動レベルに合わせて30~35をかけたものに調整しましょう。

⑤ カロリーの内訳

計算した2,340kcalをタンパク質・脂質・炭水化物に振り分けていきます。

最も簡単な振り分けバランスはカロリーの比率をP:F:C=2:1:2にする方法です。
タンパク質と炭水化物がそれぞれ全体の40%、脂質が20%になります。
今回の例ならタンパク質と糖質で936kcal、脂質で468kcalです。

そしてタンパク質と炭水化物が1g当たり4kcal、脂質が1g当たり9kcalなので、重さに換算するとタンパク質・糖質が234g、脂質が52gとなります。

3 PFCバランスを調整する

PFCを2:1:1の比率にするというのはかなり簡便な方法で、やや適正な数値から外れやすくなります。
実際にタンパク質が234gというのは除脂肪体重1㎏当たり4gであり、これはかなり過剰な数字です。

そこでザックリとした比率で決めるのではなく、PFCを順番に必要量設定していくという方法を紹介します。
決めていく順番は偶然にもP→F→Cの順番です。

P:タンパク質

筋トレをしている場合、タンパク質は除脂肪体重1㎏当たり2~3gが必要です。
これを確保することは必須なのでまずここを基準に始めます。

とりあえずタンパク質量だけは死守しようってことだね!

タンパク質信仰が強すぎるきらいがありますが、摂れば摂るほど良いというものではありません。
むしろ過剰摂取は腸内環境の悪化など栄養吸収にマイナスに働きます。
最初のうちは控えめに体重1㎏当たり2gの設定で始めましょう。

58.5 × 2 = 117g(=468kcal)

筋肉の成長に停滞を感じている人はここを2.5~3.5gまで増やしてみると変化が現れるかもしれません。
徐々に増やしてみて身体の反応を観察してみてください。

F:脂質

脂質は何となく削りたくなってしまいますが、既に解説したとおり脂質(に含まれるコレステロール)は重要なホルモンの材料です。
いくら筋トレしても筋肥大を促進するこれらのホルモン分泌が過少では筋肉は発達しません。

必要量については諸説ありますが、総摂取カロリーの15%を下回るとホルモンの生成が大きく低下すると科学は主張しています。
最低15%ですが、含有量は厳密ではないのでギリギリを攻めすぎると不足してしまう可能性が大です。
そのため最低ラインとして総カロリーの20%くらいを目指していきましょう。

2,340 × 0.2 = 468kcal(=52g)

C:糖質

糖質はシンプルに総摂取カロリーからタンパク質と脂質を除いた残りのカロリー全てです。

2,340kcal - 468kcal(タンパク質) - 468kcal(脂質) = 1,404kcal(=351g)

白米のお茶碗1杯をやや大盛りの200gとして計算しても4杯分です。
もちろん野菜や他の穀類も入りますし肉などにも微量は含まれるので、ご飯を4杯食べても良いとは限りませんが…。

しかしこの量を見て「意外と多いな…」と感じた人は多いはずです。
糖質制限のブームもあって糖質を摂取することに抵抗を覚える人も多いので、不足傾向にあるトレーニーは多くいます。

筋肉が増えないとタンパク質を増やしがちだけど、糖質不足の可能性も考えてみようね

4 PFCバランスの調整

総摂取カロリーは体重や体脂肪率のような変化する値をベースに計算してるので、これらの数値の変化に合わせて必要カロリーも変化します。
適切なトレーニングをしていても筋肉の発達に停滞を感じる場合には、恐らく栄養が不足してきています。
ある程度の期間が経過したところでカロリー計算をし直してみましょう。

PFCバランスの見直しも必要になります。
最もシンプルなアプローチは既に解説したとおり、タンパク質の摂取量を増やすことです。
最初は除脂肪体重1㎏当たり2g程度としましたが、これを成長に合わせて2.5~4gに増やしていきます。
総摂取カロリーに占めるタンパク質の割合が減るほど体脂肪蓄積のリスクが高まるので、全体の20%は絶対に割らないようにしましょう。

総カロリーの変化がない場合、PFCの順でバランスを決める方法では犠牲になるのは最後に決まる糖質です。
筋トレパフォーマンスに重要な栄養素ですが全体の50%を割らなければ問題ありません
逆にこれを割るようであれば、タンパク質や脂質の摂取量が過剰か、そもそもの総カロリーが足りないということです。

まとめ

必要カロリーの計算とPFCバランスの基礎について解説しました。
栄養はトレーニングの質と同等に重要なものであり、どちらが欠けても筋肉は上手く発達しません
カロリー不足、または栄養素の偏りなど食事面の問題が原因で筋肥大が停滞してしまってる人は意外と多いので一度見直してみましょう。

筋肉の発達が停滞してしまってる場合、まず疑うべきは栄養素の不足です。
しかしその他にも要素があり、栄養を闇雲に増やしても体脂肪を蓄積させてしまうだけなんてこともあります。
カタボリックの原因と対策について詳しくはこちらのページをご覧ください。

筋トレのための食事の管理は1回計算したらそれで終わりというものではありません。
変化に合わせて常に見直していくものです。
体重や体組成、筋力などを総合的に見て自分に不足してる栄養素・過剰な栄養素を見極める必要もあります。

そしてレベルアップしてきたら実践すべきが期分けです。
簡単に言えば時期ごとにトレーニングの方針を転換していくことを言います。
今回紹介した方法は初心者向けの簡便な計算方法で、期分けをする際はもう少し厳密な調整をしなければいけません
それについて詳しくはこちらのページで解説しています。
てなとこで。