【大胸筋を割る】内側が発達しない理由と効果的な鍛え方6選
鍛えられた大胸筋が作り出すたくましい胸板は男らしさの象徴とも言えます。
厚みを出すことはもちろん大事ですが、左右の境界を作りメリハリを持たせるために内側を鍛えることも重要です。
しかしその胸筋中央のライン(谷間?)がなかなか出来ないという悩みを抱える人も多くいます。
・大胸筋の真ん中のラインを出すメリット
・大胸筋の内側が発達しにくい理由
・内側を鍛えて左右にメリハリを持たせるのに効果的なトレーニングメニュー(動画付き)
・効果を上げるための細かいテクニックと効かない種目
大胸筋の内側を鍛えるために有効な収縮を強くするトレーニング種目をメインで紹介します。
ダンベルやケーブル、マシンを使った鍛え方を中心に紹介するので、あなたの筋トレ環境に合ったものをチョイスしてください。
大胸筋の内側を鍛えるメリット
大胸筋は身体のたくましさを高める上で必須の筋肉です。
厚みや広さを出すことはもちろん重要ですが、内側を鍛えてラインをくっきりさせることも同じくらい大事なこと。
その理由はメリハリです。
真ん中のラインによって凹凸がハッキリすることで初めて大胸筋が発達していることが分かります。
いくら厚みがあっても境界や陰影がなければ、のっぺりした印象になってしまい、どれほど大きいのかもよく分かりません。
厚みがあってもキレがないとただ太ってるだけなんて思われる恐れも…。
そして胸骨が透けているようなことがあれば、貧相な印象が一気に加速してしまいます。
逆にラインさえハッキリしてれば、それだけで実際より発達して見えるよ!
もちろん人前で服を脱ぐ機会はないから、シルエットの大きさや厚みさえあればいいというなら話は別ですが…。
大胸筋の内側のラインはつきにくい
大胸筋の内側のラインは左右の大胸筋の発達によって作られる、いわば谷間のようなもの。
結論から言うとトレーニングが十分でも、なかなかつきにくいものです。
内側が貧相に見えやすい原因は、肩周りの大胸筋の付け根が内側とは対照的に発達しやすいことも影響しています。
これは大胸筋の筋繊維の走行方向、そして筋肉の形を知ることで理解できます。
どんなトレーニングが内側の発達に有効なのかの理解にも繋がるよ!
大胸筋の筋繊維のかたち
大胸筋は鎖骨、胸骨前面、腹直筋鞘の前葉(腹筋との境)から上腕骨に向かって伸びています。
これがそれぞれ俗に言う上部・中部・下部に当たるよ!
真横に筋繊維が走っていると思っている人が多くいますが、上腕骨から扇状にひろがっているというのが正確です。
筋肉が骨格に付着してるところを起始・停止と言い、その間を筋腹といいます。
筋腹が最も太く、起始と停止に向かって徐々に細くなっていくのが一般的。
なので起始に当たる内側は発達してもその効果が見えにくいということです。
しかも上中下を分ける場合「どの筋繊維を使うか」なので、鍛え分けが比較的かんたんです。
しかし内側・外側の場合は「同じ筋繊維のどの部分を使うか」なので、これはかなり難しい、というか恐らくムリでしょう。
筋肉の密度
筋肉の終わり側(停止)は上腕骨に集中しているため、非常に筋肉の密度が高く発達の効果が見えやすいという特徴があります。
一方の内側は中部の始まり(起始)のみです。単純計算で筋肉の密度は3分の1しかありません。
しかも停止側が上腕骨の1点なのに対し、起始は胸骨の上から下まで広い範囲に分散しています。
例え効果的に内側を鍛えられたとしても、厚みが出にくく成果も見えにくいということ。
内側だけを鍛えようとするのではなく、筋繊維の端から端までまんべんなく刺激を与えられるようにトレーニングすることが大切です。
大胸筋の内側を鍛える方法は?
なかなか発達しないことを覚悟して根気よくトレーニングしろってこと?
十分に筋肉が発達するのを待てば自然と内側のラインが浮き上がってくるのかと言えばそこまで単純ではありません。
内側を重点的に鍛えるトレーニング種目があるわけでもありませんが、大胸筋の内側まで刺激を及ばせやすい種目やテクニックはあります。
そのためにどんな条件が必要なのでしょうか?
POFを意識して効果的に刺激
筋肉は全体が均等に働くわけではなく、種目によって負荷が大きくかかるポイントが変わります。
これをPOFと言います。POFについて詳しくはこちらのページをご覧ください!
大胸筋のトレーニングと言えばバーベルで行うベンチプレスが代表的です。
しかしこれは動作の中間、つまり筋繊維の真ん中らへんが中心に働いている時に筋肉にかかる負荷が最大になるミッドレンジ種目。
今回鍛えたい大胸筋の内側付近が十分に収縮してない状態で負荷が最大になってしまうので効果は半減してしまいます。
・左右の大胸筋の真ん中、起始近くまで十分に収縮させること
・そのポイントで負荷が最大になること
この2つの条件を同時に満たすのが内側の効果的なトレーニングで、POFの3番目コントラクト種目です。
またストレッチ種目はPOF3つの分類の中でも最も広範囲を刺激できるトレーニング方法。
上腕骨の停止近くだけでなく、内側寄りにも刺激を与えることができるので、この要素も外せません。
大胸筋の内側が収縮する動き
ではどんな動きが最適なのでしょうか?
大胸筋の中央のラインを作り出す中部の起始近くは、胸の前に両腕を寄せる動きで最も収縮します。
解剖的な用語だと内水平屈曲って言うよ
大胸筋はベンチプレスのような何かを押し出す動きに関与するというイメージがあるかもしれません。
肩や腕を身体の前に出すという理解であればそのイメージも正しいです。
ただ大胸筋の内側への刺激にフォーカスした場合は腕を寄せる動きがより効果的ということになります。
大胸筋の内側を効果的に鍛えるトレーニングメニュー
では具体的にどのようなトレーニング種目が効果的なのでしょうか?
ダンベルだけでできるものから、ジムで器具を必要とするトレーニングまで全部で6つ紹介するので、あなたの環境に合わせて選んで下さい。
どの種目をやる時も大胸筋をギュッと寄せて盛り上げて、内側に谷間を作るイメージで動作しましょう。
ついでにみんなやってるけど、実は内側を発達させるのが難しい2つの種目とその理由も最後に紹介します。
①ダンベルアブダクション
ダンベルアブダクションはややマイナーなトレーニングなので初めて聞いたという人もいるかもしれません。
しかし大胸筋の収縮が意識しやすく、負荷も効果的に与えられるので非常にオススメのトレーニング種目です。
器具もダンベルだけで十分なので手軽にできるのも優れたポイントです。
【準備】
① 片手にダンベルを持つ
② 軽く前傾する
③ 空いてる逆の手は何かに掴まって身体を安定させる
【動作】
④ ダンベルを下ろして、腕を内側に向けて寄せていく(動かすのは肩関節だけ)
⑤ 最大まで収縮したらゆっくりと元のボトムポジションまで下ろす
⑥ 繰り返し→反対側も同じように
最初は収縮を実感するためにダンベルなしで動作だけやってみるのもアリです。
寄せる目安は反対側の体側辺りまでで、それ以上にすると腕だけでなく体幹が回転してしまい負荷が分散します。
掴まらなくても姿勢を安定させられる人は、空いてる手を大胸筋に当てて収縮を確認してもOKです。
個人的には小指側から寄せていくと収縮が高まりやすいと感じています。ぜひ色んな角度で試してみてください。
個人的に一番オススメの種目だよ!
②パームプッシュほか
ダンベルアブダクションは腕を中心に寄せていく方法でしたが、このパームプッシュは寄せた状態で行うプッシュ種目です。
パームプッシュ(スヴェントプレス)のほか、プレートベンチプレスやハンマーチェストプレスなど色んなバリエーションがありますが、ほぼ狙いは同じ。
パームプッシュはスタンディングの種目で、その他はベンチに横になって行う種目です。
【準備】
① 肩幅に両脚を開いて立つ(椅子に座っても可)
② ウェイトプレートを縦にして両手のひらで挟む
【動作】
③ 胸の前で前に突き出す。
④ 戻す・繰り返し
ダンベル・バーベル用のプレートさえあればできるので、利便性の高い種目です。
ただ水平を維持するために三角筋の前部に負荷がかかり、大胸筋の収縮に集中しずらいというデメリットもあります。
ぼくは胸トレのインターバル中にウエイトなしでやってるよ!
プレートベンチプレスはこの動作をベンチに横になって行うだけです。
ベンチがないと出来ませんが、代わりに三角筋への負荷分散のデメリットがなくなります。
ハンマーチェストプレスは同じくベンチに横になり、ハンマーグリップで両手に持ったダンベルを胸の前で合わせて押し出す種目です。
【補足:ベンチ種目は大胸筋の内側には不利?】
一般的に筋トレはストレッチを効かせることを重視します。
そのためベンチプレスでも肩甲骨を寄せて下げて、胸郭を広げた姿勢が正しいフォームというのが一般的。
確かにボトムポジションでは、その方がストレッチが効いて広い範囲の筋繊維を刺激できます。
しかし肩を前に押し出すことで収縮(正しくは短縮)は大きくなるので、トップでは肩甲骨を開いた方が実は効果的。
ベンチに横になっていて背中が押し付けられている状態で肩甲骨を動かすのはなかなか難しい。
そのため内側を鍛えるのにベンチ種目はあまり向いていないと言えます。
ベンチ一辺倒じゃダメってことだね
③ペックフライ
ペックフライはバタフライなどとも言われ、ジムにはほぼ確実にあるマシンです。
両手のひらを胸の前に合わせにいくほど負荷が大きくなっていく、まさに大胸筋の内側を鍛えるのに適した種目。
マシンはガイドに従えばOKなので詳しいやり方は割愛しますが、1つ注意点があります。
腕は水平よりも、やや斜め下になるくらいにセットしましょう。
肩と同じ高さで水平にセットして動作している人を見かけますが、これは肩関節の負担が大きくなります。
腕が水平になる高さより少しシートを高めに設定して動作しましょう。
シートに腰掛ける時に前傾することで大胸筋の上部寄り、後傾することで下部寄りに負荷をかけるというテクニックもあります。
大胸筋の内側の筋繊維は胸骨の上から下まで広い範囲に分散しているので、こうした鍛え分けも効果的です。
ぜひ試してみてください!
④ケーブルクロスオーバー
ケーブルマシンはある程度器具が充実したジムでないと置かれていないかもしれません。
ケーブルマシンは負荷が抜けにくく、プーリーというワイヤー接続部の微妙な高さの調整により、様々な角度から刺激を与えることができます。
【準備】
① プーリーを肩よりやや上のポジションに設定する
② ハンドルを持ってやや前傾姿勢をとる(足を前後に置くと安定する)
【動作】
③ 胸の前で両手のハンドルを合わせるよう、弧を描きながら下ろす(腕をクロスする)
④ ケーブルの引きに抵抗しながらゆっくりストレッチがかかるポジションまで戻す
⑤ 繰り返し
肩甲骨を寄せて胸を開くと外側よりに効くフォームになります。
内側を狙う場合には肩甲骨を開き、胸を中心に寄せるようなイメージでやりましょう。
ペックフライと同じで、プーリーの角度の調整によって狙う部位を変えることができます。
やや下にセットすることで大胸筋の上部寄り、やや上にセットすることで下部寄りに効果的に。
全てこなすことで上から下までクッキリとラインを出すことに繋がります。
個人的に最後まで出にくいのがラインの上の方
肘を曲げたベントスタイルから始めるので、どうしても肘の曲げ伸ばし運動になってしまいがちです。
しかしそれでは上腕三頭筋に入ってしまいます。
弧を描くように寄せること(フォーム)が重要なので、無理な高重量を使うよりも確実な負荷でフォームを優先しましょう。
⑤ダンベルフライ
ダンベルフライはボトムポジションで大胸筋をストレッチする代表的な種目ですが、両手を寄せるのでコントラクト的な効果もあります。
ただしそれは挙げ方次第です。
【準備】
① 両手にダンベルを持ってベンチに横になる
② 両手のダンベルを胸の前にセットする
【動作】
③ ゆっくりと胸を開きながら肩甲骨を寄せ、両腕を開いていく
④ ボトムポジションではストレッチを意識する
⑤ 肩甲骨を開きながら胸を閉じるイメージで両腕を寄せる
⑥ 繰り返し
トップのポジションに向かって小指側から寄せていくと、より大胸筋の収縮が強くなります。
トップポジションでは腕に沿って重力がかかってしまうので、大胸筋の収縮にかかる負荷は分散してしまう点はデメリット。
しかしストレッチとコントラクトを同時にとれるので効率的で時間がない人にオススメです。
ペックフライと同じく両腕を開いたポジションでは腕が肩に水平にならないように注意しましょう。
ホントに肩壊すよ!
ダンベルプレスとダンベルフライをまとめて解説している動画で参考になります!
⑥ダンベルプレス
プレス系種目は主に中間で負荷が強くなりますが、他の種目に比べても大きな負荷を扱いやすいというメリットもあります。
両手がフリーなダンベルプレスであれば、大胸筋の内側の収縮も狙うことが出来るので、全体的な筋肥大との両立もしやすいです。
両手で半円を描くように、ダンベルを挙げながら両手を寄せていくことで、ミドルレンジとコントラクトの両方を狙うことができます。
ベンチに横になっている状態では難しいですが、なるべく肩甲骨を開いて肩を前に押し出すイメージで行うとさらに効果的に。
最終形ばかり意識すると肘の曲げ伸ばしに集中しちゃうので注意!
ボトムでは逆に肩甲骨を寄せ、胸郭をなるべく大きく開くようにすることでストレッチまで効かせることができ、一石三鳥です。
コントラクトとストレッチを同時に1つの種目で実現できる点で、このダンベルプレスとダンベルフライは大胸筋の内側の強化に優れています。
大胸筋の内側に効果が出にくいトレーニング
ここまで紹介してきたことから分かるように、両手がフリーになり内水平屈曲がしやすいことが最大の条件です。
つまり1本のバーベルを両手で握るベンチプレスや、床に両手をつくプッシュアップ(腕立て伏せ)では難しいでしょう。
両手の位置関係が固定されちゃうからね、
ただパームプッシュのように両手を最初から寄せておけば、収縮を高めることも多少は可能です。
具体的には手幅を狭くしてバーベルを持つナローベンチプレス。
そして狭い手幅で行うナロープッシュアップやダイヤモンドプッシュアップなら効果がある可能性があります。
ただこれらの動作は上腕三頭筋の関与が非常に強くなりやすい種目です。
上腕三頭筋が強い場合、負荷のほぼ全てがそちらにかかってしまうこともあります。
手幅の問題は解消できても手(首)の角度の調整ができず、捻りを加えられないので収縮が弱くなってしまうのも弱点です。
まとめ
大胸筋の内側のラインをくっきりさせる方法についてでした。
筋肉の起始に当たるため、なかなか太くなりにくい部分ということ。
ただ漫然と大胸筋全体が発達するのを待てばいいわけではありません。
大胸筋のトレーニングと言えばベンチプレスですが、真ん中(筋腹)に当たる部分に刺激が偏るため、内側の発達は難しい…。
どうしても重さに傾倒しがちですが、構造をしっかり理解して刺激の与え方のバリエーションを考えなければいけないということです。
負荷の大きさを手放してみる勇気も必要だよ!
コントラクト種目の中では最初に紹介したダンベルアブダクションが最も負荷の分散などのデメリットが少なく手軽なのでオススメ。
しかも他の種目は身体の中央までしか腕を寄せない一方で、ダンベルアブダクションならさらに反対側まで寄せ、収縮が強く働きます。
ただ後半に紹介したプレスやフライのようにストレッチ種目も内側の発達には欠かせません。
バランスよく種目を取り入れることによって初めて理想的な大胸筋の形が仕上がってきます。
てなとこで。
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