成長ホルモンは筋肥大に効果なし?|分泌を促す方法5選と様々なウソ・ホント
筋トレやフィットネスに取り組んでる人なら間違いなく成長ホルモンのことは意識してると思います。
成長ホルモンの働きは非常に多岐にわたり、トレーニーに限らず非常に重要なホルモンです。
実はこの成長ホルモンについては誤解も多く、その分泌を増やす方法についても正しいことがあまり知られていません。
このページではそんな身近なはずだけど実はよく知らない成長ホルモンについて解説します。
・成長ホルモンのはたらき
・成長ホルモンの分泌を促進する方法
・成長ホルモンに関するウソや誤解
成長ホルモンとは?
成長ホルモンとは、下垂体から分泌されるホルモンです。
成長ホルモンという名前から身長を伸ばしたり、筋肉の成長に関わるホルモンであるというイメージを持ってる人が多いと思いますが、その働きは非常に多岐にわたります。
・脂質代謝=体脂肪の燃焼を促進する作用
・糖代謝=血糖値を上げる作用
・キズの修復=疲労を回復する作用
・性的な成熟を促す作用(青年期まで)
・免疫機能の調整作用
このように一般的にイメージされるような成長促進作用よりも、体内の代謝を促進する作用の方が主要な働きになっています。
成長ホルモンの分泌量は加齢とともに低下すると言われているので、年を取るごとに太りやすくなる要因の1つと言えるでしょう。
ここにはトレーニーに嬉しい筋肉の増加という項目の記載がありません。
最近では損傷した筋肉の修復には作用するものの、筋肉の発達には無関係であるという説が一般的になりつつあります。
身体の成長に関与するのは青年期の頃までということです。
しかしボディメイクをする上で非常に重要なホルモンであることに変わりはないので、分泌を促進する方法について知ることの重要性も変わりません。
ここで紹介する方法は以下の5点です。順番に解説していきます。
①運動する ②食事制限 ③ダイエット ④睡眠の質 ⑤サプリメント
①運動する
日常的に筋トレに励むトレーニーならわざわざ言うまでもないことですが、運動をすることは成長ホルモンの分泌に効果的です。
これは運動そのものが、というよりも運動による疲労に伴い分泌される乳酸が影響しています。
体内に十分な乳酸が分泌されていることが、成長ホルモンの分泌を促進する1つのカギなのです。
どんな運動によっても乳酸は分泌されますが、筋肉にとって過酷な状態を作ることで、より促進されやすくなります。
そのためランニングなどの有酸素運動よりも、負荷の大きい筋トレやHIITといった無酸素運動の方がより効果的です。
筋トレをする人はさらに拘ってみましょう。
筋肉を過酷な状況に置く、すなわちメタボリックストレスを大きくすることで、乳酸の分泌はより促進されます。
具体的には以下のような方法がメタボリックストレスを高める上でオススメです。
・コントラクト種目 ・低負荷×高回数 ・スロートレーニング ・負荷を抜かない(TUTを長くする) ・加圧トレーニング などなど
②食事を制限する
就寝前に食事をとらないようにする。寝る3時間前までに食事を終わらせる。というのは睡眠の質を高める基本であり、もはや常識だと思います。
最も簡単な理由は消化が進行するために睡眠が阻害され、かつ消化不良を起こしてしまうことです。
しかし問題はそれだけではありません。
実は寝る直前に食事をとってしまうと、成長ホルモンの分泌も阻害してしまうのです。
これには既に紹介した成長ホルモンのある働きが関わっています。
それは糖を代謝する作用、すなわち血糖値を調整する働きです。
就寝前に食事をとってしまうと、その影響で睡眠中に血糖値が上がってしまいます。
すると糖をさらに供給する必要がない、すなわち成長ホルモンが不要ということになってしまうのです。
この点から逆に夕食を抜いてしまうのもまた問題と言えます。
このことについては睡眠と食事の関係についてのページで解説してるので、ご覧ください。
③ダイエットする
これまた運動してるトレーニーには無関係かもしれませんが、体脂肪を燃焼することも成長ホルモンの分泌には重要になります。
先ほどの糖代謝の理論からすると、代謝すべき体脂肪が多い方が成長ホルモンの分泌が活性化しそうですがそうでもないようです。
肥満の人はインスリン感受性が低下しており、その分泌量が多い傾向にあります。
そしてこの体脂肪とインスリンには成長ホルモンの分泌を阻害するはたらきがあるのです。
肥満になると成長ホルモンの分泌が低下し、睡眠の質が低下するとさらに肥満が加速して…という悪循環になってしまいます。
運動をしてるトレーニーには無関係と言いましたが、増量期にダーティバルクなどで過剰に体脂肪をつけてしまう人もいるので一概に無関係とは言えません。
体脂肪が増えると筋トレにも様々な悪影響を及ぼすため、過剰につけず定期的に削るローテーションが必要です。
因みに体脂肪増加が筋肥大に及ぼす悪影響には以下のようなものがあり、どれも大きなマイナスになります。
・成長ホルモンの分泌が低下し、睡眠の質が低下する
・mTORの働きが低下し、筋肉の合成効率が低下する
・インスリン感受性が低下し、筋肉よりも脂肪の合成が優位になる
④睡眠の質を高める工夫をする
睡眠のゴールデンタイムという言葉を聞いたことがある人も多いと思います。
具体的には22時から2時までの4時間で、ここでしっかり寝ることで成長ホルモンの分泌が促進され、成長や美肌に効果的というもの。
結論から言うとこれはウソと言うのが現在の通説です。
現在は成長ホルモンは入眠後2時間で分泌が最大になると言われています。
そのため「いつ寝るか」よりも「どう寝るか」の方が重要になるのです。
入眠直後が全体の中で最も深い睡眠であり、ここで十分な深さを確保することが重要になります。
睡眠の質には想像以上に多くの要因が関係しており、テキトーに過ごしていては適切な対応ができません。
睡眠の質を高めるために出来る生活全体の工夫について、詳しくは以下のページで解説しています。
ここまでの対策と併せて実践してみてください。
⑤サプリメント
基本的な対策をした上で、サプリメントをその名のとおり「補助的に」活用するのはアリです。
成長ホルモンの分泌を活性化するのに効果的と言われているサプリメントには以下のようなものがあります。
①GABA ②アルギニン
GABAはストレスや不安といった負の感情による脳の興奮を抑え、睡眠の質を向上する働きがあります。
「ストレス社会で戦うあなたへ」でおなじみのサプリメントです。
ただしGABAの効果は脳の変化を抑えることによるものなので、脳や神経細胞の成長という点ではデメリットもあります。
過剰に摂りすぎず、適量をときどき摂取するくらいが良いでしょう。
アルギニンも睡眠の質を高め、成長ホルモンの分泌を促進する作用があると言われています。
パンプ系のサプリメントやプレワークアウトでアルギニンやシトルリンを入れてる人も多いと思うので、そのまま続けてもらえばOKです。
睡眠の質というとメラトニンサプリについても議論されますが、個人的にはあまりオススメしません。
GABAやアルギニンと違ってメラトニンは栄養素ではなく、体内で合成されるホルモンだからです。
外部から取り入れることで、体内の合成力が低下してしまう恐れがあります。
よほどの分泌不良でもない限りは摂取せず、夜間の生活習慣を改善することで対応していく方が良いでしょう。
まとめ
成長ホルモンの分泌を促進するための対策について解説しました。
成長ホルモンの分泌に関わる要素は以下のとおりです。
乳酸:運動とくに無酸素運動で分泌が促進される
食事:寝る直前に血糖値を上げてしまうと成長ホルモンの分泌を阻害する
痩せる:体脂肪・インスリンが成長ホルモンの分泌を妨げる
睡眠の質:入眠後2時間でしっかり深い眠りに入ることが重要
サプリメント:あくまで補助だし使いすぎはネガティブな影響あり
成長ホルモンには一般的に知られているような成長作用は実はあまりありません。
名前が誤解をもたらしてるので、変えてもいいくらいじゃないかと思います。
筋肉の発達にあまり関係が無いと知ってガッカリした人もいるかもしれませんが、疲労の回復や代謝を促進する作用などもボディメイク・健康には重要です。
日ごろからトレーニングに勤しむ人なら自然とやってることも多かったかもしれませんが、見落としてるモノもあると思います。
疲労を回復し、常に万全のコンディションでトレーニングに取り組めるように生活習慣を見直していきましょう。
てなとこで。
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