筋肉の発達に最も効果的?|低負荷トレーニングのメリット
筋トレ・筋肥大と言うと重いウェイトを持ち上げるというイメージがあると思います。
腕立て伏せよりもバーベルを持つ方が大胸筋は発達しそうです。
しかし最近の筋トレに関する研究では、負荷が大きいほど良いというわけでもなさそうだという意見が出てきています。
意外にも低負荷トレーニングが効果的な可能性があるということです。
このページでは低重量トレーニングの筋肥大効果について解説します。
・高負荷トレーニングのデメリット
・低負荷トレーニングの強み
・低負荷トレーニングに関してよくある疑問と答え
1 高負荷トレーニングの弱点
筋トレはなるべく大きな負荷を扱うべきというのが従来の理解でした。
その考え方のベースとなるのが、太くなりやすい速筋繊維を優先的に鍛えること、すなわちサイズの原理です。
このことについて詳しくはこちらのページで解説しています。
筋肉にかかる負荷が大きくなるほど速筋繊維が活動に動員されやすくなり、筋肥大が効率化するというものです。
一見すると理にかなっているように思えますが、高負荷トレーニングには弱点があります。
具体的には以下の2つです。
①中枢神経が優位に働く ②オールアウトが難しい
1-1 高負荷トレは筋肉量の影響が少ない
筋力は①筋肉量と②運動神経の総合力によって決まります。
代謝的な強さと中枢の強さってやつね
ただし総合力と言ってもこれらが働くバランスはかかる負荷によって変化します。
かかる負荷が大きいほど運動神経の影響が大きくなり、負荷が小さくなるほど筋肉量の影響が強くなるのです。
負荷の大きさによってストレスの種類・かかり方が違うと言うことが出来ます。
筋トレによる筋肉の発達というのはストレスに対する防御反応(ストレス応答)なので、ストレスの種類が異なれば身体の反応も異なります。
高負荷トレは運動神経の寄与が大きい、すなわち中枢への負荷が高いので運動神経を強化する側面が強くなってしまうのです。
メチャ高負荷を扱えるのに筋肉がそんなに発達してない人ってたまにいるよね
まさに中枢ばっかり鍛えてる典型的なパターンだね
1-2 高負荷トレではオールアウトが難しい
1セットの動作中に全ての筋肉が使われるわけではないため、筋肉全体に刺激を与えるために複数回のセットを重ねなければいけません。
これがモーターユニットの使い切り、すなわちオールアウトです。
高負荷を扱っていると出力の高い速筋繊維から動員されるため、最初の内はしっかり規定のレップ数をこなすことが出来ます。
しかし後半のセットに動員される筋繊維の出力は小さい上に、疲労の蓄積も重なるため高負荷を扱い切れず、セットを熟し切ることが出来ません。
また高負荷トレーニングは脳にかかる負荷が大きいため、早くに疲労を感じさせてしまい身体的な限界を迎える前にトレーニングが終わってしまう点も問題です。
いずれにしても、満遍なく全てのモーターユニットを使い切るのが難しくなります。
2 低負荷トレーニングの方が効果的?
筋トレにおける筋肉量の寄与を大きくすることが筋肥大に効果的です。
そして筋力発揮のメカニズムから、そのためにはなるべく小さな負荷を扱う方が有効であると分かります。
低負荷を扱うトレーニングが筋肥大に効果的である理由は、筋肉量の影響が強くなることだけではありません。
具体的には以下の2点です。
①トレーニングボリュームが大きい ②オールアウトしやすい
当たり前だけど高負荷トレーニングの真逆ってとこだね
2-1 低負荷トレほどトレーニングボリュームが大きい
筋肥大のためにはトレーニングボリューム(総負荷量)が最も重要であるということが最近の科学の通説になりつつあります。
そしてこの理論に基づけば最も効果的な負荷は低負荷になります。
総負荷とは「負荷×レップ数×セット数」のことであり、この数値はトレーニングの負荷が下がるほど大きくなるからです。
例えば1RMが100㎏の人が高負荷(3RM)、低負荷(15RM)で5セットトレーニングした場合の総負荷は以下のようになります。
・高負荷(3RM)の場合
93㎏ × 3回 × 5セット = 1,395
・低負荷(15RM)の場合
65㎏ × 15回 × 5セット = 4,875
このとおり、その差は歴然です。
但し1つ注意点があります。
最大筋力の65%以下、すなわち18回以上挙げられるほどの低負荷になると筋肥大の効果は薄くなることです。
そして50%以下になると筋肥大効果が全くなくなることが研究から判明しています。
(参考:アメリカスポーツ医学会ACSM)
2-2 低負荷トレほどオールアウトしやすい
もう1つのメリットがオールアウトのしやすさです。
高負荷トレーニングでは後半に動員される筋繊維は出力が低く、その負荷に耐えられないので、ほとんど動作することすらできません。
一方で低負荷トレーニングであれば大小すべての筋繊維が動作することが可能です。
研究結果が出てるって言われてもなかなかなあ…
低負荷は筋持久力のトレーニングって言われてたし。
サイズの原理のこともあり「低負荷トレーニングでは速筋群を効果的に刺激できないのではないか?」という指摘はよくされます。
しかしその点についても問題はありません。
何故ならセットを終えるごとに動員されるモーターユニットがスイッチするからです。
確かに最初のセットではあまり大きくないモーターユニットが動員されます。
しかし小さなユニットが疲労すると、大きなユニットすなわち速筋繊維が強制的に動員されることになるのです。
つまり順番が違うだけで最終的には速筋繊維まで満遍なく使われるってこと!
まとめ
高負荷トレのデメリットと低負荷トレの効果について解説しました。
古典的な理解では高負荷でトレーニングする方が筋肥大は起こりやすいと考えられていました。
何となく直感的にも理解しやすいと思います。
しかし運動神経への負荷が強く、しかも最後まで力を出し切れないために、高負荷トレは筋肥大に不向きです。
低負荷トレーニングほど筋肥大に必要な、筋肉量の寄与・トレーニングボリューム・オールアウトを達成しやすくなります。
遅筋優位の筋持久力のトレーニングになりそうですが、モーターユニットの交代によって速筋繊維まで刺激できるため、その問題もありません。
ただし筋トレの目的や性質を考えると低負荷トレーニングこそが万能とも言い切れないのが難しいところです。
この点、つまり低負荷トレーニングのデメリットについて詳しくはこちらのページで解説しています。
併せて参考にしてください。
てなとこで。
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