有酸素運動と筋トレの順番|同じ日にやる時の対策【プロテインはいつ?】

ダイエットのために筋トレと有酸素運動をどちらも取り入れているという人は多いと思います。

そこで問題になるのが筋トレと有酸素運動の順番で、ここが意外と重要になります。
有酸素運動を入れるタイミングを間違えると、その効果が薄れるだけでなく、せっかくつけた筋肉を失うことにもなってしまうからです。

このページではボディメイク目的で体脂肪を落とすために取り組む有酸素運動という前提で、その取り入れるべきタイミングについて解説します。

このページでわかること

・有酸素運動を行うべき理由
・筋トレと有酸素運動の順番
・その順番で行うべき理由
・プロテインを摂取するタイミング
・本当にベストな有酸素運動のタイミング

1 有酸素運動は必要?その効果とは

最近のフィットネスブームでは筋トレなどの無酸素運動を推す意見が多くなっています。
特に筋肥大を最優先に考えているトレーニーの中では「有酸素運動は不要」という意見も多いです。

筋トレだけでも相当な疲労なのに、そこに有酸素運動の疲労まで重なるとオーバーワークになってどちらのパフォーマンスも低下してしまいます。
また有酸素運動によって筋肉の分解が進みやすくなる可能性があることも有酸素運動が忌避される理由の1つです。
そして過度な疲労によるストレスもまた筋肉を分解する原因になります。

確かに効率的に筋肉をつけるという意味では有酸素運動は妨げになるかもしれません。
しかし理想的なボディラインや引き締まったバキバキの身体を手に入れるためには有酸素運動も必要です。

筋トレなどの無酸素運動はまず体内の糖質をエネルギーにし、それが無くなったところで体脂肪をエネルギーに変換します。
しかも筋トレは体感的な疲労とは裏腹にあまり多くのエネルギーを消費しません。

だから筋トレだけで体脂肪燃焼ってのはちょっと厳しいかな

一方で有酸素運動は脂質をメインエネルギーに消費する遅筋が働く運動です。
つまり筋トレのような回り道をせずに、直接的に体脂肪にアプローチすることが出来るのです。

2 別日がベスト

ではそんな有酸素運動はいつすべきかと言えば、筋トレとは別の日に行うのがベストです。
有酸素運動と筋トレを同日に行ってしまうと以下のような不都合があります。

①疲労の蓄積 ②運動時間が長くなる ③栄養の分散

2-1 疲労が過剰になってしまう

筋トレ単体でもかなりのエネルギーを使うので、重ねて有酸素運動を行うとかなり消耗することになります。
身体が酷く消耗すると免疫力の低下を起こすため、体調不良や風邪でせっかくの筋肥大が台無しになる可能性があります。

また疲労が大きくなると体力の回復も遅れ、次回のトレーニングのパフォーマンスに影響することにもなります。
筋肥大のためには総負荷量・トレーニングボリュームの大きさが重要です。
トレーニングボリュームとは「負荷×レップ数×セット数」であり、パフォーマンスが上がらなければこれらが伸び悩むので、筋肥大も起こりにくくなります。

2-2 カタボリックが起きてしまう

筋トレは長くても90分以内で抑えることが推奨されています。
というのも運動中は筋肉の合成が高まると同時に分解も進行してしまうからです。
筋トレを長引かせるほどカタボリックは起こりやすくなってしまいます。

どんなに効率化しても筋トレに1時間前後の時間はかかります。
そのためさらにその前後に有酸素運動を加えるとなると、トータルの運動時間はかなり長くなってしまいます。

ムリに時間を短縮しようとしても、どっちも中途半端になるだけだしね

2-3 栄養の分散

筋肉を大きくするためには効果的な筋トレによって十分なトレーニングボリュームを確保することは大前提です。
しかし筋肉を合成するための栄養素の補給という要素も忘れてはいけません。

筋トレと有酸素運動を同時に行うことによって全身のあらゆる部分が疲労してしまうので、その分多くの栄養素が必要になります。
「必要な分だけ摂れば良いだけじゃんか」と思う人もいるかもしれませんが、ことはそう単純ではありません。

栄養素の吸収効率や運搬効率の関係で、摂った全ての栄養素が必要な場所に届けられるとは限らないのです。
特にタンパク質の消化・吸収率は有名で、1回の食事で20gを超えると一気に吸収効率が低下してしまいます。

3 有酸素運動と筋トレが同日の場合

前の項目で解説したとおり有酸素運動と筋トレは別日に行うのがベストです。
しかし仕事や学業、家事で忙しい中、週に何回もジムに行くのは厳しいという人も多いでしょう。

そういう人は有酸素運動と筋トレをまとめてやるしかありません。
その場合は2つをどういう順番でやるかが大事になります。

結論から言うと有酸素運動と筋トレを同日にやる場合は筋トレを先にやりましょう。
これはボディビル・フィジークなどの大会を目指すレベルかどうかは関係ありません。
その理由は以下の2つです。

①筋トレのパフォーマンスの問題 ②筋トレ効果の維持 ③脂肪燃焼効果のアップ

血流を促す意味での軽いウォーキング・バイクくらいなら筋トレ前にやってもOKだよ

3-1 筋トレのパフォーマンス確保

有酸素運動の強度は様々ですが、どんな強度であっても身体に疲労が生じてしまいます。
筋トレを先にやるべき理由はその小さな疲労が筋トレのパフォーマンスや集中力に大きく影響してしまうからです。

疲労が原因で扱える重量やレップ数、セット数などが減ってしまえばトレーニングボリュームが小さくなり、筋肥大効果が薄れてしまいます。
また疲労によって集中力を欠いてしまうと、関節にかかる負荷に偏りが生じたりしてケガの原因にもなります。

疲労というのは筋肉だけでなく中枢(精神的)な疲労もあるので、全く異なる部位の運動であったとしても影響してしまう可能性が高いです。

3-2 筋トレ効果の低下を予防

筋トレの効果を落とさないためにも有酸素運動を後に回すべきです。
それにはケトン体テストステロン値の2つが関係しています。

ケトン体はケトジェニックダイエットでおなじみの脂質を変換することで作られる物質です。
脂質の代謝を進める上で有効なケトン体ですが、筋肥大を妨げる働きが確認されています。
このケトン体は脂質をエネルギー源にする有酸素運動中に活発に作られるため、筋トレ前に有酸素を行うのは筋肥大にマイナスです。

また有酸素運動を行った後はテストステロン値が一時的に低下することも分かっています。
テストステロン値が下がるということは筋肉の合成が低下してしまうということです。

このことを考えるとやっぱ別日の方が良いよね

3-3 脂肪燃焼効果のアップ

有酸素運動の前に筋トレを行うことは脂肪燃焼の効率の点でもメリットがあります。
主な理由は以下の2つです。

①代謝の向上 ②ホルモン分泌

運動を開始した瞬間から体脂肪の燃焼が始まるわけではありません。
つまりいきなり有酸素運動を始めても暫くは身体を温める作用しか無い(=ロス)ということです。
しかし筋トレから始めればトレーニングによって身体の代謝機能を高めることが出来ます。

筋トレが脂肪燃焼の準備運動を兼ねてくれるわけか

また筋トレを行うと成長ホルモンアドレナリンなどのホルモンの分泌が活発になります。
これらのホルモンはいずれも体脂肪を代謝する作用があるため、有酸素運動の脂肪燃焼効果を高めることになるのです。

4 筋トレと同日にやる場合の対策

同日にやる場合は筋トレが先というのは基本原則ですが、効率化することも考えなければいけません。

筋トレも有酸素運動も長く続ければ良いってものではありません。
運動が長時間になるほどカタボリックのリスクが高まるからです。

筋トレを効率化してトレーニング時間を短縮する方法についてはこちらのページで解説しています。

ここでは主に有酸素運動の時間の短縮について解説します。

4-1 有酸素運動は短時間でOK

「体脂肪の燃焼のために有酸素運動は30分継続しなければいけない」とよく言われますが、筋トレを行う場合はあまり関係ありません。
既に解説したとおり、筋トレを先に行うことで代謝がアップしており、体脂肪燃焼の準備が整っているからです。

むしろ筋肉の分解のリスクを心配して30分以内に止めるようにすべきです。
「最低でも30分」ではなく「最高でも30分」と考えるようにしましょう。

4-1-1 短時間×高強度の運動

有酸素運動を効果的かつ短時間で終わらせるためにHIITをオススメします。
HIITヒット(=High Intention Interval Training)高強度インターバルトレーニングの略称です。

HIITの中でも特に有名なものがタバタ式トレーニングです。
ワークアウト20秒・インターバル10秒8セット繰り返して終わりなので、1種目4分で済みます。
一般的には1回で2~3種目実施しますが、それでも10分前後と非常に短時間で終わります。

4-1-2 強度を下げれば悪影響は少ない

筋肉の発達を阻害しない有酸素運動と言えばHIITが最も有名ですが、その他にも筋肉を守りながら体脂肪を落とす方法はあります。
その代表がウォーキングです。

有酸素運動が筋トレの効果に悪影響を及ぼすのは、その強度と時間の総量(掛け算)が大きくなった時です。
強度か時間を下げれば筋肉の発達への影響を低くすることが出来ます。

強度を上げる代わりに時間を極端に短くしたのがHIITってこと

一方のウォーキングは強度が極端に低くコルチゾールの分泌を上げないので、長い時間継続したとしてもさほど問題はありません。

問題になるのはジョギングやクロストレーナーのように、中~高強度の運動が長時間続くパターンです。
筋トレと同日に有酸素運動を行う場合は、その種類(強度・長さ)に注意しましょう。

4-2 プロテインはいつ飲むべき?

筋トレと有酸素運動を同日に行う場合にもう1つ気になるのがプロテインを飲むタイミングです。
筋トレ終了後30分は筋肉のゴールデンタイムと言われ、筋肉の合成が特に高まっているので素早い栄養補給が必要と言われています。
筋トレと有酸素運動の間にプロテインを飲んでおくべきか、有酸素運動まで終わってから飲むべきかということです。

結論から言うとプロテインは有酸素運動が終わってから飲むようにしましょう。
いくら消化しやすいと言っても運動中に摂取するのは胃腸の負担になるからです。

でも筋肉のゴールデンタイムが過ぎちゃうよ…

筋肉のゴールデンタイムについて心配が残るところだと思いますが、これは無視してOKです。
筋肉の合成は筋トレ開始直後から高まっており、それが筋トレ後24~48時間くらい継続することが分かっています。
トレーニング直後が特別に重要なわけではないということです。

しかもプロテインの消化・吸収には1時間~90分くらいかかるので、仮にトレーニング後30分が特に重要だったとしてもトレーニング後に飲んだのでは間に合いません。
どうせ飲むなら筋トレ前で、トレーニング中の血中アミノ酸濃度を上げておく方が有意義です。

有酸素運動中もBCAAやEAAなどのアミノ酸ドリンクで補給しておこう

まとめ

有酸素運動と筋トレの関係について解説しました。
筋トレ効果を高める観点からは有酸素運動と筋トレをやる日は別にするべきです。

しかしスケジュールの関係でそんなに運動する日程を設けられないという人も多いはずで、そういう場合は筋トレを先に行いましょう。
この順番が筋トレの効果を落とさずに有酸素の脂肪燃焼効果を高めることになるからです。

ただし筋トレと有酸素運動を同日に行う場合は時間を短縮するための対策が必要になります。
筋トレを先に行うことで脂肪燃焼効率は既に高まっているので、長時間続ける必要はありません。
オマケ的に解説しましたがプロテインは有酸素運動が終わってからでOKです。
てなとこで。