筋トレで反動はOKか|チーティングのメリット・デメリット【せこい?】

反動(チーティング)をつけた筋トレ

筋トレにおけるチーティングとは反動を使ってウェイトの挙上をすることです。
チーティングは「ズルをする」という意味の英語であり、言葉の印象からするとネガティブなテクニックに思えます。
チーティングにデメリットがあることは確かですが、実はメリットもあるのです。
このページではチーティングの有効性について解説します。

このページでわかること

・主な筋トレ種目のチーティング方法
・チーティングのデメリット
・チーティングのメリット
・チーティングの活用方法(取り入れ方)

1 チーティングの方法とデメリット

チーティングと一口に言っても、トレーニング種目によってその方法は様々です。
その全てを解説してはキリがないので、ここでは代表的な種目に絞って紹介します。

部位トレーニング種目チーティングの方法
大胸筋・ベンチプレス
・ダンベルプレス
・脚の踏ん張りを強くしてお尻を浮かせる
・勢いよく下ろして胸でバーを弾ませる
背中・ラットプルダウン
・ローローイング
・上半身を後ろに倒す勢いを使う
腕・肩・アームカール
・サイドレイズ
・膝の屈伸を使って勢いをつける
・スクワット・勢いよくしゃがみ込んでその反動で立ち上がる

基本的にこうしたウェイトの挙上方法はNGとされています。
その理由は大きく以下の3点です。

①負荷がかからない ②筋肉のカット・キレが生まれない ③ケガのリスク

反動を使うトレーニングの最大のデメリットは、対象筋に有効な負荷がかかりにくいことです。
勢いでウェイトの位置がトップに達してしまうので、力が必要なのは初動だけになります。
そして初動ポイントは大抵の種目で主動筋に負荷がほとんどかかりません。
つまりチーティング動作を担う筋肉にしか負荷がかからないということです。

また紹介したチーティング法の一覧からも分かるとおり、全身を使った動作がほとんどです。
筋肉相互の連動が活性化するので、力の発揮の仕方としては非常に効率が良くなります。
ただし個々の筋肉を独立して使わない分、セパレーション・メリハリが生まれにくくなってしまうのです。

そして言うまでもなくケガのリスクも伴います。
チーティングを要する時点でキャパオーバーの無理な負荷を扱ってるということなので、当然のことです。
関節への負担はもちろんフォーム乱れによる腱や筋の損傷の可能性があります。

2 反動を使うメリット

一見デメリットしかないように見えるチーティング動作ですが、実は全くメリットがないわけではありません。
闇雲に行ってしまえばデメリットの餌食になってしまいますが、目的を理解して正しく取り入れれば効果的なトレーニング方法になります。
反動を使ったトレーニングのメリットは大きく分けて以下の2つです。

①運動能力の向上 ②エキセントリック収縮の活性化

2-1 身体の連動が上手くなる

ふつう筋トレは特定の関節のみ稼働させることで、その動作を担う筋肉に負荷を集中させます。
全身運動の対極に位置する部分運動とでも表現すれば分かりやすいでしょうか?

一方で日常生活や競技の場面では、バラバラに鍛えた筋肉を連動させて使う全身運動がほとんどです。
特にスポーツなどでは周囲の細かな筋肉と協力して、最小のエネルギーでより大きな出力を生み出すことを目指します。

逆にいくら筋肉が発達していても、この連動や効率的なパワー発揮が出来ないと見かけほど強い力を発揮することが出来なくなってしまいます。
つまりいわゆる「見せ筋」ってやつになってしまうわけです。

ボディビルオンリーの場合はさほど大きなメリットになりませんが、何かスポーツや日常に筋力を活かしたいと思ってる場合には有効なテクニックになります。

2-2 エキセントリック収縮をフル活用

こちらはボディビルにおいても重要なメリットです。
エキセントリック収縮とは筋肉が力を発揮しながらも外力(ウェイトの負荷)によって強制的に引き伸ばされる収縮のことを言います。
この収縮が起きるのは主にネガティブ動作、つまりウェイトを下ろす局面です。

ネガティブ局面で筋肉が発揮する筋力は、ポジティブ局面の1.6倍程度と言われています。
これはネガティブで動員される筋繊維の数がポジティブ動作に比べて少ないからです。
つまりそれだけ個々の筋繊維に大きな負荷がかかるので筋肥大にも有効な刺激になります。

また筋繊維の微細な損傷(=マッスルダメージ)を引き起こしやすいため、キズの修復に働く成長ホルモンの分泌も活性化します。
成長ホルモンは睡眠の質も改善するので、筋肉の疲労回復と合成の促進にも効果的です。

ネガティブ動作は発揮できる筋力が強いので、ポジティブが潰れても動作することが出来ます。
またポジティブで扱うことが出来ない高負荷もネガティブだけなら扱うことが可能です。
ポジティブをとにかく挙げるためにチーティングが利用できます。

まとめ

反動をつけた筋トレ、チーティングについて解説しました。
チーティングを使わずにストリクトに動作することが基本になります。
それはボディメイクや安全性の観点から見て非常に合理的な考え方です。

しかしチーティングに全く意味がないわけではありません。
全身の筋肉の連動を強化し、効率的なパワー発揮を鍛える上でチーティングのような瞬発力を活かす運動は不可欠です。

また大きな負荷をネガティブのセットポジションまで持っていく上でもチーティングが有効になります。
エキセントリック収縮はマッスルダメージメカニカルストレスの両面で非常に効果的です。

ただしポジティブ動作で負荷はほとんどかからず、実質的には帰り半分しか活動しないのでトレーニングボリュームが低下することには注意しましょう。
全ての種目、セットでチーティングを使うのではなく、ポイントを絞って入れていくことをオススメします。
てなとこで。