【カーボサイクルダイエット】計画的・周期的な糖質摂取で減量を効率化する方法
糖質制限の減量効果について、詳しくは別のページで詳しく解説していますが、取り入れ方次第で減量効果は期待できるダイエット方法です。
その一方で筋トレ、ボディメイクをする人にとっては特に欠かせない栄養素でもあり、過剰な糖質制限はこれらを妨げる原因です。
多過ぎても少な過ぎても問題。
そんな糖質の摂り方に着目したダイエット手法の1つにカーボサイクルと呼ばれる方法がありますが、ご存知でしょうか?
詳しい方法や効果は本文で解説しますが、ダイエット全般に伴う様々な問題点を解消し、減量や除脂肪をスムーズに進めることができる方法です。
・カーボサイクルダイエットのメリット
・カーボサイクルダイエットの方法
・PFCの設定と最適な糖質摂取方法
・リフィードやチートデイとの違い
1 カーボサイクルダイエットとは
簡単に言うとカーボサイクルダイエットとは、糖質の摂取量を日ごとに調整して、メリハリを持たせたPFC(三大栄養素)のバランスを取る方法です。
過度な糖質制限が孕むリスクについては、ぼくだけでなく医師など様々な専門家・専門機関での研究で指摘されているので、既に知ってる人も多いかと思います。
糖質だけを諸悪(肥満)の根源かのように捉え、糖質だけを極端に削っても減量効果はさほどありません。
それどころか健康を害する危険の方がはるかに高いです。
過度な糖質制限は腸内環境を悪化させたり、心血管イベントを引き起こす原因になります。
三大栄養素に数えられるからには身体に不要な栄養素であるはずがないというのはちょっと考えればわかることです。
もちろん筋トレのパフォーマンスや筋肉の増加などにも重大な役割があります。
カーボサイクルダイエットはそんな重要な栄養素である糖質が、その役割を果たすのに過不足が無いように、必要に応じて摂取量を変化させることで減量効果を高める手法です。
2 カーボサイクルダイエットのメリット
カーボサイクルダイエットは糖質の摂取を身体活動量など必要に応じて変化させる方法です。
糖質の摂取量にメリハリを持たせることは大きく、以下の3つの観点からダイエット効果を高めることに役立つと考えられます。
①代謝機能の維持 ②運動のパフォーマンス・効率 ③精神ケア
それぞれどのような関係があるのか、メリットの具多的な内容を以下で解説します。
2-1 代謝機能の維持
代謝は体脂肪を燃焼する上で必須の要素です。
ダイエットをしている人がほぼ確実にぶつかるのが停滞期という壁です。
最初は順調だった体重や体脂肪率の低下が、あるタイミングを境に鈍化してしまいます。
ダイエットの結果は摂取カロリーより消費カロリーを大きくし、カロリー収支をマイナスにすることに掛かっています。
そのため食事(カロリー)制限で余分な摂取カロリーをカットすることはダイエットにおいて基本中の基本です。
そしてもう少し健康に気を使うなら、同時に運動で消費カロリーを増やす人もいるでしょう。
しかしこの方法を継続してもダイエットには限界があります。
いつまでもカロリー収支がずっとマイナスでは命に関わるので、防御反応としてマイナス分を埋めるように代謝を落としてしまいます。
これが停滞期の正体です。
カーボサイクルダイエットでは、定期的に糖質の摂取量(摂取カロリー)を増やすことになるので、慢性的な不足ではないと体を騙すことが出来ます。
その結果として代謝低下を予防できるのが第1のメリットです
2-2 運動のパフォーマンスアップ
既に述べた通り、ダイエットのカギは摂取カロリーと消費カロリーの収支にあるという考え方が一般的です。
そして筋トレにしろ有酸素にしろ、スタミナを持続させ疲れを感じずに高いパフォーマンスを発揮できる方が消費カロリーは当然大きくなります。
またハイパフォーマンスで筋トレを行うことは筋肉量の増加を通じて代謝を向上させることにも繋がるので一石二鳥です。
特に筋トレのような無酸素運動は短時間で爆発的な力を発揮するため、解糖系という糖質を原料にする代謝経路が活発に働きます。
つまり糖質が不足した状態では十分なパワーが発揮できず、消費カロリーも筋肉の発達も非効率になってしまうのです。
ケトジェニックダイエットやローカーボダイエットの末期に見られる、歩くのもしんどい…といった状況を回避できるので、日常生活への悪影響も回避できます。
2-3 精神面のケア
もともと肉や魚が好きで米やパンなどの糖質にあまり執着の無い人であればメリットに感じないかもしれません。
しかしそうでないなら糖質制限を伴う減量は少なからず心理的負担があります。
その点、カーボサイクルダイエットであれば定期的に糖質を摂取できるので、その負担がかなり解消されるはずです。
月1回のチートデイでのドカ食いと違って比較的短期サイクルで摂取できるので、反動でローカーボ生活に戻れなくなるリスクもありません。
筋肉量を残しながらの減量となれば慎重な調整を伴う中~長期戦になるので、負担が少なく継続しやすい方法というのは魅力的かつ効果的と言えます。
3 カーボ量の設定
カーボサイクルは糖質のメリットを最大限に受けつつも、なるべくムダの無いように糖質の摂取量やタイミングをコントロールします。
鍛える筋肉群やトレーニングメニューの強度などに応じてメリハリをつけ、以下の3つに分類するのが一般的です。
①ハイカーボデイ ②ミディアムカーボデイ ③ローカーボデイ
3-1 ハイカーボデイ
ハイカーボデイは1番多く糖質を摂取する日です。
ハイカーボデイは以下のような日が該当します。
・体積の大きい筋肉群が含まれる
・コンパウンド(複合関節)種目が多い
・鍛える部位の数が多い(広範囲)
・高負荷で設定している
広背筋や僧帽筋などの背面の筋肉や、下半身の筋群のトレーニング日が一般的です。
このように大きなパワー発揮が求められるローテーションの日は、糖質の摂取量を比較的多めに設定します。
具体的な摂取量については後ほど注意点も書きますが、概ね220~300g程度が目安です。
3-2 ミディアムカーボデイ
ミディアムカーボデイはハイカーボデイほどではないにしろ、そこそこ糖質を摂取する日です。
以下のような日がミディアムカーボデイに該当します。
・小さめ~中くらいの筋肉群がメイン
・アイソレート(単関節)種目が多い
・鍛える部位が少なめ(狭範囲)
・低負荷~中負荷のハイレップで設定している
大胸筋や三角筋、腕などのトレーニング日が一般的です。
このように最大筋力ほどのパワー発揮までは必要ないローテーションの日は糖質を摂りつつも、その摂取量はやや控え目に設定します。
具体的には110~200g程度が目安です。
3-3 ローカーボデイ
有酸素運動のみ、又は完全オフの日は糖質の摂取量を減らしローカーボデイに設定します。
この日だけは厳格な糖質制限に回帰し、1日50g程度に抑えましょう。
意識的に炭水化物を摂ることはせず、野菜や海藻などから食物繊維を摂取するついでに入ってくる分だけで十分です。
4 カーボサイクルの注意点
カーボサイクルは考え方もやることも非常にシンプルでかつ、健康面のリスクなどを回避しながら減量を効果的に進められる方法です。
しかしその方法を間違えてしまうケースも多くあるので、ここで注意しておきます。
具体的には以下の2点です。
①他の栄養素を削る ②糖質の摂取方法を間違える
4-1 カロリーオーバーを怖がる
大会への出場を目指している人は食事管理にかなり神経を使っていて、カロリーを摂取することを過度に恐れてしまう傾向があります。
そこでよくあるのが、糖質を増やした分だけ他の栄養素の摂取を減らしてしまうというケースです。
タンパク質は筋肉の材料として必須の栄養素なので、多くの人は脂質に目を着けます。
しかし脂質はテストステロンや成長ホルモンなど筋トレに有用なホルモンの原料なので、こちらも疎かにしてはいけません。
脂質の最低ラインは総摂取カロリーの15%で、ここを下回ると筋肥大効率も低下すると言われています。
そもそもカーボサイクルの狙いを考えれば悩むことはありません。
すなわち慢性的なアンダーカロリーを回避するということです。
パフォーマンスの維持の観点で糖の摂取量も大事ですが、代謝の低下を起こさないという観点ではカロリーの総量の変化も重要になります。
糖質の摂取の代わりに脂質を削ってしまっては、常にアンダーカロリーの状態です。
ホルモン合成の問題もさることながら、そもそもカーボサイクルのメリットを活かす意味でも一時的なオーバーカロリーを恐れてはいけません。
4-2 糖質はただ摂れば良いわけじゃない
糖質を摂ることが重要とは言ってもその摂り方に配慮しなければ、カーボサイクルダイエットの効果は上がりません。
それどころか減量や健康に逆効果になってしまうこともあります。
カーボサイクルダイエットを実践する上で気を付けるべきポイントは主に以下の2点です。
①糖質の種類 ②糖質の摂取タイミング
まずは摂取する糖質の種類です。
カロリーだけを見れば糖質は何から摂っても1g当たり4kcalですが、その体内での作用は大きく異なります。
血糖値スパイクなどを引き起こす糖質を摂ってしまえば、活動やトレーニングのエネルギーになるどころか健康を損ねかねません。
また同じ糖質源であっても、その調理方法などによってその特性が変わることも知られています。
この点に配慮して目的に合った糖質を選択することが重要です。
なお糖質の選び方について詳しくはこちらのページで解説しています。
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そしてもう1つ考えなければいけないのが、糖質の摂取方法です。
トレーニング前に和菓子を摂取するというトレーニーはけっこういますが、これはあまり良い方法ではありません。
糖質源としてあまり好ましいものではないということが第一の理由です。
そしてもう1つの問題が消化吸収にかかる時間が考慮されてないということです。
いくら吸収が速い糖質とは言え、固形物の消化にはそれなりの時間がかかります。
しかも消化された糖が筋肉のグリコーゲンとして合成されるには、もっと時間がかかります。
つまりトレーニングの直前に糖質を摂取することは、消化不良でパフォーマンスを下げる原因にはなってもパフォーマンスを上げることには繋がらないということです。
5 チートデイやリフィードとの違い
定期的にオーバーカロリーにして代謝の低下を予防する方法と聞いて、チートデイやリフィードが思い浮かんだ人もいるのでは?
カロリー摂取の一時的な増加という点ではこれらと大きな違いはありません。
特にクリーンな食事のまま糖質量を増やすという点ではカーボリフィードと言われる手法に似ています。
これらの手法とカーボサイクルダイエットの違いは以下の2点です。
①糖で調整するということ
②活動量に応じた短期サイクルで行うということ
5-1 糖質で増やすことの意味
チートデイの場合はジャンクフードなどを含むダーティな食事でカロリーを増やすのが一般的です。
そのため、カロリーの増分は主に(質の悪い)脂質によって作られます。
周期的にアンダーカロリーを回避するだけなら、脂質やタンパク質でもOKなはずです。
そんな中で糖質によってオーバーカロリーを作るのには2つの理由があります。
まず既に解説したとおり、筋トレのパフォーマンスアップに貢献するからです。
筋トレなどの無酸素運動は主に糖質をエネルギー源として代謝します。
つまりカロリーが十分でも糖質が不十分ではパフォーマンスは上がらなくなってしまうのです。
また糖は全身の代謝低下を予防する意味でも重要になります。具体的に言うと肝臓の機能低下の予防です。
肝臓は解毒・代謝など様々な機能を担っており、その消費エネルギーは基礎代謝の実に3割近くを占めています。
そしてその肝臓の活動を支える唯一のエネルギー源が糖質なのです。
つまり糖質の不足は肝臓の機能低下を通じた消費エネルギーの低下に繋がってしまうということです。
5-2 短期で活動量に応じる
チートデイやリフィードは基本的に2週間や1ヵ月に1回などと長めのスパンで実施するのが一般的です。
もともと食べるのに興味がなかったり、小食な人には関係ありませんが、食が大事な人にとってこれはなかなかの苦行になります。
そのため、チートデイを期に食欲が暴走してしまい、減量食に戻れなくなるというケースも少なくありません。
その点、カーボサイクルダイエットは割と短いスパンで食事量を増やせるので、精神的な負担は少なくなると考えられます。
また次のサイクルまでちょっとの期間の我慢で済むと思えれば、食欲の暴走にも歯止めがかかるでしょう。
そしてもう1つ、活動量に応じてカロリー量を調整するというのがポイントです。
通常のチートデイの場合、運動量とは無関係に決まった期間で実施します。
そのため過度に脂肪がついてしまったり、肝心のトレーニングのパフォーマンスが上がらなかったりとオーバーカロリーのロスが多くなってしまうのです。
この問題もカーボサイクルダイエットであれば解消され、エネルギーが有効活用できます。
まとめ
糖質の摂取を周期的に変化させるカーボサイクルというダイエット手法について解説しました。
定期的にアンダーカロリーを解消することで、代謝の低下を予防する方法です。
そのカロリーの補助を糖質で行うことで筋トレのパフォーマンス低下も予防出来ます。
さらに日本人にとっては精神的に辛い糖質制限の心理的な負担を緩和し、リバウンド過食を防止することも大事なポイントです。
基本的な方法は活動量に応じてハイカーボ・ミディアムカーボ・ローカーボの3つの日を設定します。
しかしこれはあくまでモデルケースで、人によってはローカーボとハイカーボしか設定しないパターンなど千差万別です。
解説してきたとおり、これまでの極端なカットを伴うダイエット法よりも非常に効果が高い方法です。
しかしこの方法に全く疑問の余地がないわけでもありません。
そのことについて詳しくは以下のページで解説してるので、参考にしてください。
てなとこで。
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