【似てるけど別物】ドロップセット法とピラミッド法の違い|共通点と相違点
トレーニングのセットの組み方・重量の設定は人それぞれです。
初心者のうちは重量と回数を固定したセット、すなわちストレートセット法で行うのが一般的でしょう。
しかし発揮される筋力の特性や筋肥大のメカニズムを知ると、重量や回数の固定にはデメリットがあることに気付きます。
そこで中~上級者になるに従って採用されるようになるのがドロップセット法やピラミッド法と呼ばれるセット法です。
2つは異なるメソッドなのですが、この2つを混同してしまっている人が結構います。
このページでは、ドロップセット法とピラミッド法の共通点と違いについて解説します。
・ドロップセット法とピラミッド法の狙い
・ドロップセット法とピラミッド法の具体的なやり方
・ドロップセット法とピラミッド法の違い
ピラミッド法には色んなバリエーションがあるけど、ここではドロップセットとの対比でディセンディングピラミッドを中心に話してくよ
1 いずれも重量を減らしていくセット法
まずはドロップセット法とピラミッド法の共通点について解説します。
ドロップセット法も(ディセンディング)ピラミッド法もセットごとに扱う重量を減らしていく手法という点では共通です。
負荷を減らしていくことのメリットは以下の2点です。
①オールアウトの達成 ②負荷固定のデメリットの解消
1-1 全ての筋繊維を疲労させ切る
オールアウトとは、全ての筋繊維を限界まで疲労させ切ることを言います。
簡単に言えば「もう1レップも動作できない!」という状態です。
重量を固定せずセットの終盤に向けて重量を減らしていくことで、このオールアウトを達成しやすくなります。
負荷を固定したストレートセットでは、例えば80㎏×8回×5セットといったノルマを課しますが、後半のセットでは目標を達成できないことも多いです。
しかし「既定のレップ数を挙げられない=オールアウト」かというと実はそうではありません。
もっと軽い重量ならさらに挙げられるからです。
大きな負荷がかかるとサイズが大きく力の強い筋繊維が優先して働きます(=サイズの原理)。
そしてそれが疲労すると次に強い筋繊維、疲労したらその次に強い筋繊維…とローテーションしていくのです。
そのため後半のセットに近付くほど発揮できる筋力は自ずと弱くなっていきます。
つまり終盤に近付くほど挙がらなくなるのは疲労しているからではなく、力が弱いからということです。
負荷を落としていくことは筋力の低下に沿い、全ての筋繊維をしっかり疲労させ切ることに繋がります。
1-2 どんな負荷でも一長一短ある
筋トレにおいて最も意見が分かれ、答えが出てない議論が負荷の大きさです。
「発揮するパワーの大きさが全て」と高負荷を推す意見もある一方で、「総負荷量(トレーニングボリューム)が最重要」と低負荷を推す意見もあります。
結局どれが正しいんだ…
結論が出ないのは当たり前で、どんな負荷に設定したとしてもメリット・デメリットの両面があります。
それはそれぞれの負荷設定のメインの狙いが異なっているからです。
ストレートセットで負荷を固定し続ける場合、高負荷・低負荷どちらのメリットを採り、もう一方のメリットを手放すかの選択をすることになります。
しかしセット毎に扱う重量を変化させれば、こうしたジレンマに悩む必要もありません。
高いところから負荷を下げていくことで、高負荷~低負荷まで全てのメリットを満遍なく受けられることになるからです。
また多様な負荷が入ることそれ自体にも身体の順応を防止し、長い期間にわたって有効な刺激と捉えさせることが出来るというメリットもあります。
2 ドロップセット法とピラミッド法の違い
ドロップセット法とピラミッド法の主な狙い、共通点を押さえた上でこれら2つの手法の具体的な方法と違いについて解説していきます。
これら2つの違いは大きく以下の2点です。
①インターバルの有無 ②挙上する回数 ③負荷の落とし方
2-1 ドロップセット法のポイント
基本的な筋トレ方法はRM法に基づきます。RM法とは簡単に言えば「MAXの重量に対して何%だから何回挙げる」と重量で回数を決める方法です。
しかしドロップセット法のレップ数はRM法には基づきません。
1セット目のみRM法に基づく挙上をしたら、すぐに2~30%程度重量を落として次のセットに移ります。
そこで限界まで挙上しては重量を落として、また限界まで挙上して…と繰り返していくのがドロップセット法のやり方です。
<8RM・80kgからスタートする場合>
80kgで8回を1セット
→すぐに重量を20%減らして64kgで限界まで
→すぐに重量を20%減らして51kgで限界まで
→すぐに重量を20%減らして40kgで限界まで
これをかなり軽い負荷(20kgくらい)まで繰り返す
この間インターバルはウェイトの付け変えくらいでほとんど時間はないので、RM法による回数ほどは挙がりません。
ただし「回復が不十分だからそこまで回数は出来ない」思ってしまうと脳がストッパーをかけてしまい、本当にパフォーマンスが上がらなくなってしまいます。
「最低でもRMまで挙げる」「挙げられるとこまで挙げ切る」という認識で臨むようにしましょう。
インターバルを可能な限り短くして追い込むことを目的にする方法なので、なるべくウェイトの交換に時間をかけないのがベストです。
ダンベルやフリーウェイト種目だと交換に時間がかかるので、ウェイトスタック式のマシーントレーニングが適しています。
ドロップセット法は疲労も大きくなるから、安全面からも軌道が固定されてるマシーンが適してると思うよ
2-2 ディセンディングピラミッド法のポイント
ディセンディングピラミッド法では、重量設定とレップ数はRM法に基づきます。
しっかりインターバルを取って1セット毎に使用する重量を減らしていきます。
1RMからスタートするという決まりはなく、1RMずつ変化させていくという決まりもありません。
ただし16RMを下回る負荷では筋肥大が起きないとする研究もあるので、16RM辺りを下限に設定するようにしましょう。
高負荷・低負荷いずれかに偏らないようにバランスを見ながら落としていく必要がありそうだね
<トータルで5セットやる場合の例>
1セット目:3RM(もちろんアップの後で)
↓(インターバル)
2セット目:5RM
↓(インターバル)
3セット目:8RM
↓(インターバル)
4セット目:12RM
↓(インターバル)
5セット目:15RM
ドロップセット法とは違ってインターバルはストレートセットなどと同様にしっかり時間をとります。
そのため基本的には各RMを全て達成するのが目標です。
トータルで見ると中間に当たる重量でのストレートセット法とトレーニングボリュームはほとんど変わりません。
ただ不足を心配する人は最後に中間的な重量(8RMや12RMくらい)でストレートセットを追加することもあります。
また毎セット重量を変えなければいけないという決まりもありません。
トータルで6セットにして「3RM→3RM→8RM→8RM→12RM→15RM」といった変則的なパターンもアリです。
2-3 2つのセット法の違いをまとめると…
ドロップセット法とピラミッド法の違いをまとめると以下のようになります。
ドロップセット法 | ピラミッド法 | |
---|---|---|
インターバル | (ほぼ)無し | しっかり取る |
挙上回数 | 限界まで | RMに基づく |
負荷の落とし方 | 固定(だいたい20%ずつ) | 自由 |
最初に負荷を落としていくことの狙いを2つ紹介しましたが、こうした相違点から両者がメインで狙う目的は異なってきます。
ドロップセット法は追い込み志向(=オールアウト目的)のトレーニング手法です。
不完全回復からのハードワークというHIIT的なトレーニング方法なので、減量効果も狙いに含めても良いかもしれません。
一方のピラミッド法は負荷固定のデメリットを補完する目的がメインに据えられています。
これも重量の設定に関する議論と同じで、どちらが優れているかという話ではなく、それぞれ目的が異なっているということです。
5セットともドロップセットでは疲労が過剰になりケガのリスクがある上に、ウェイトの設定し直しの手間がかかります。
一方でディセンディングピラミッドだけではやや重い重量に偏るため、トレーニングボリュームが少なくなりがちです。
メインをピラミッドで進めて、最後のセットにドロップセットを取り入れるという方法をぼくはオススメしています。
まとめ
ドロップセット法とピラミッド法の共通点と違いについて解説しました。
重量を固定しないトレーニングのメリットは大きく2つ、「①オールアウトの達成」と「②負荷を固定することのデメリット補完」です。
一方で「①インターバルの有無」「②レップ数」「③負荷の落とし方」の3点が異なり、それに合わせて主な狙いも異なってきます。
ドロップセット法がオールアウト志向なのに対して、ピラミッド法はデメリット補完志向です。
どちらが優れているかという話ではなく、それぞれ目的が異なるので強みを活かしつつ弱点を補完する必要があります。
オススメの方法はディセンディングピラミッド法の最終セットでドロップセット法を実践するという方法です。
いずれも身体への負荷が大きい方法なので、まずは片方ずつ試してみてください。
ここではメリットのみ紹介しましたが、実は負荷を落としていくメソッドには疑問もあります。
ドロップセット・ディセンディングピラミッドのデメリットについて解説したページも是非ご覧ください。
てなとこで。
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