新しい筋トレ種目に変える必要性|メニューのバリエーションと筋肥大の関係

筋肉の成長に筋トレ種目のバリエーション

YouTubeとか見てると色んな種目が紹介されてるけど、気に入ったメニューで固定してちゃダメなの?

筋トレに関する書籍やYouTube動画を見てみると、1つの部位に対して非常に多様な種目があることが分かります。
長いこと同じ筋トレ種目、同じメニューでトレーニングを続けてきてる人も多いと思いますが、種目を入れ替えてメニューを更新した方が良いのか悩むとこでしょう。
このページでは、新しい種目をメニューに入れる必要性の是非について解説します。

このページでわかること

・筋トレ種目のバリエーションの必要性
・新しい種目でメニューを更新する時の注意点
・筋トレにおける「新しい種目」の正しい定義

1 バリエーションは多い方がいい

結論から言ってしまうと筋トレ種目のバリエーションを増やすことは、筋肥大を目指す上で必要なことです。
その理由は大きく以下の2つがあります。

①漸進性過負荷の困難性 ②運動の特異性の存在

何やら小難しそうな言葉が並んでいますが、いずれも筋トレにおける基本的な事項であり、内容は見た目ほど難しくありません。
以下で順番に解説していきます。

1-1 漸進性過負荷の達成が難しい

漸進性過負荷とは簡単に言えば「筋肥大したければ少しずつ負荷を大きくしていけ」ということです。
筋肉の発達は外部からの刺激(負荷やストレッチ)に脅威を感じることで生じる身体の適応反応と言えます。
つまりいつまでも同じ負荷しか与えていなければ、いずれは身体が慣れて筋肉の成長が止まってしまうということです。

初心者のうちは中枢系(=運動神経)の発達によって扱える重量がグングン伸びていくので、漸進性過負荷の達成はさほど難しくはありません。
しかし中~上級者ともなると重量はなかなか伸びなくなってきます。
つまり筋トレが熟達するほどに漸進性過負荷の達成は難しくなるということです。

ベンチプレス50㎏から60㎏への変化は簡単だったけど、100㎏から110㎏となるとそう簡単にはいかないもんね…

高重量に達してからも「筋肥大のために負荷を上げなければ…」と無茶をしてしまうと、変な動作のクセがついてしまったり、ケガのリスクもあります。
つまり筋肉の発達を重量の大きさとその変化にばかり頼りきりでは、いずれ限界を迎えてしまうということです。

1-2 運動の特異性

漸進性過負荷を達成できていれば筋肥大が起こるかと言うと、これまたそこまで単純な話ではありません。
これには運動の特異性というものが関係しています。シンプルに言えば特定の動作の記憶のことです。
繰り返し行う動作はコツを記憶してしまって脳がいちいち判断しなくても自動操縦で出来るようにしてしまおうという省エネ的な仕組みになります。

因みに変なクセがつくとその動作でしか力が発揮できなくなるのもこの運動の特異性の影響だよ

この運動の特異性によって種目の動き自体は脳に記憶されてしまうので、重量の変化が加わっても種目が変わらなければ半分以上は既に体験したことがある刺激と認識されてしまうということです。
そのため、漸進性過負荷という困難なハードルを越えたところで、そこまで大きな反応を身体は示してくれません。

因みにこの順応が起きるまでにかかる時間は思いのほか短く、だいたい2~3ヵ月程度で起こり始めます。
新しい習慣が定着するまでにかかるとされる期間とほぼ同じなので、脳が順応するのにかかる時間はだいたいこれくらいと考えられますね。

2 バリエーションの増加に伴うデメリット

継続的な筋肥大のためには、負荷の増加だけでなく新しい種目という別角度の刺激も必要であると解説しました。
しかし筋トレの新種目を加えることには問題点もあります。
具体的には以下の2点です。

①扱える重量の低下 ②バリエーションの限界

2-1 扱える重量の低下

既に解説したとおり人間の脳には運動の特異性という機能が備わっています。
これは特定の動作を効率的に行えるように記憶してしまうというものでした。
逆に言えば同じ筋肉であっても、全く違う動作で使う時には同じ力を発揮できないということです。

実際に慣れ親しんだ種目から新しい種目に切り替えると、それまで平然と扱えていたはずの重量がかなり重く感じることがあります。
変なクセが付いてしまった種目を正しいフォームに矯正した時、これまでの重量が扱えなくなるのは特異性の影響が顕著に現れている分かりやすい例です。

代謝ストレス(=負荷の大きさ)は筋肥大において最も直感的でかつ影響の大きい要素なので、種目の入れ替えによる負荷の減退は筋肥大にマイナスの可能性があります。

2-2 バリエーションの限界

トレーニング種目が書籍やYouTubeでたくさん紹介されているからと言って、無限に存在するわけではありません。
そのため筋トレを継続していくごとに種目の選択肢が狭まっていくことになります。

もちろん新しい種目で伸ばせるとこまで重量を伸ばし、伸びが止まってしまったら他の種目に切り替えるというローテーションならそれなりの期間は持つでしょう。
しかし筋トレを5年10年と続けていけば、いずれは種目の数の方が限界に達することになります。

また全ての種目で同様のトレーニング効果が得られるわけじゃないことにも注意が必要です。
人によって筋肉の反応や負荷の入りの感覚が良い種目と悪い種目があります。
種目の中で自分にとって反応の良い種目を探すとなると、さらにバリエーション幅には限界が出てくるでしょう。

3 筋トレバリエーションの増やし方

最後に、前の項目で解説した問題点を解消しながら種目のバリエーションを増やしていく方法について解説します。
簡単にまとめると以下の通りです。

①扱える重量の低下 → 種目の入れ替え方を工夫する
②バリエーションの限界 → 変化は大掛かりである必要はない

3-1 種目は一気に入れ替えない

まず扱える重量が筋トレ種目の変更によって下がる問題についてですが、この問題は種目の入れ替え方を工夫すれば緩和することが出来ます。
その方法は非常にシンプルで、1種目ずつ入れ替えるということです。

たいていのトレーニーは1部位に対して3~4種目くらいでメニューを組んでいると思います。
その全ての種目を一気に入れ替えてしまえば負荷減少のダメージをもろに受けてしまいますが、1種目ずつ入れ替えていけば負荷が下がる影響はそこまで大きくありません。
十分な負荷と新しい刺激の両方を得られるということです。

3-2 大げさな変化は不要

種目のバリエーションというと何となくこれまでにないトリッキーな種目を取り入れることと思ってしまいがちです。
しかし運動の特異性による慣れの影響を回避する上で、そこまで大げさな変化をさせる必要はありません

特異性の名のとおり本当に特定の動きを厳密に記憶するので、ちょっとした変化が加わるだけでも全く違うものとして認識されます。
手幅を変えるとか、グリップ・アタッチメントを変えるといった変化でも十分です。

また一度メニューに入れていた種目でも、期間を置けばまた新鮮な刺激として認識されるようになります。
つまり反応の良い2~3種目をローテーションするだけでも、身体にとって効果的な刺激を与え続けることが出来るということです。

まとめ

筋トレの種目のバリエーションの重要性について解説しました。
継続的な筋肥大のためには常に新鮮な刺激を与え続ける必要があります。
そして刺激の変化の最たるものが負荷の大きさ、つまり漸進性過負荷ですが、これはなかなか困難が伴います。
また負荷が増やせたとしても、脳が動作を記憶してしまっていると刺激の影響は半減してしまいます。
こうした困難を解消するために、新しい種目という別角度の刺激を与えてあげる必要があるということです。

これには扱える負荷の減少というデメリットも伴いますが、一気に入れ替えるのではなく1種目ずつ入れ替えていけばOKです。
また小さな変化でも十分なので、トリッキーな種目などを探究し続ける必要もありません。
自分にとって有効な数種目をローテーションさせるだけで十分に有効な刺激になります。

最後に紹介する書籍は様々なトレーニング種目が掲載されているので、バリエーション変更の参考としてオススメです。
てなとこで。