【ほぼ同じ?】懸垂とラットプルダウンの違い|それぞれのメリット・デメリット

懸垂もラットプルダウンも定番のトレーニングです。
どちらも背中、とくに広背筋を鍛える種目というのも共通しています。

動作自体もほとんど同じなので、これら2つの種目に大きな違いはないと考えてるトレーニーも多いです。

しかし懸垂とラットプルダウンには大きな違いがあります。
このページではこの2つの種目の違いについて解説します。

懸垂とラットプルダウンの違いは以下の5つです。

①重量設定 ②骨盤の可動 ③グリップ調整 ④収縮 ⑤OK・CK

これらについて順番に解説していきます。

1 重量調整のしやすさ

懸垂とラットプルダウンの最も分かりやすい違いは負荷調整のしやすさです。
ラットプルダウンに比べて懸垂は調整が難しくなります。

ラットプルダウンはウェイトスタック式のトレーニング器具で、10~20kgとかなり軽い重量から設定が可能です。
そのためトレーニングを始めたばかりの初心者でも簡単に扱えます。

一方の懸垂は自分の体重が負荷になる種目です。
軽い人でも40kg、重い人だと70~80kg近くになります。
初心者でいきなりこれだけの重量を扱うのはかなり難しいでしょう。

無理やりやっても全く効かないかケガの原因になるだけだよ

アシストマシンもあるけど、アレもなかなか扱いが難しいよね…

あと懸垂は加重するのも難しいね

2 骨盤の可動のしやすさ

細かいテクニックの話になりますが、広背筋のトレーニングにおいては骨盤の位置・向きが重要になります。
これは背中とお尻の筋肉が1つの筋膜で繋がっているからです。

ストレッチポジションでは骨盤を後傾して腰を丸めることで効果が高まります。
そして収縮ポジションでは逆に骨盤を前傾して腰を反らすことで効果が高まるのです。

この骨盤の動作はぶら下がってるだけの懸垂なら簡単にできます。
しかしシートに座っているラットプルダウンだと上手く動かすことが出来ません。

ムリに動かそうとして骨盤の動きに集中し過ぎてもメインの動作の方が疎かになっちゃうしね

この「細かいけど意外と重要なテクニック」を実践する上では懸垂に軍配が上がります。

3 グリップのバリエーション

広背筋の解剖学的な機能は肩関節の内転と伸展であり、手幅によって動作の種類が変わります。

そして手(グリップの握り)の向きもストレッチや収縮のしやすさに影響します。
そのためグリップ方法の自由度の高さは、狙いを明確にした効果的なトレーニングをする上で必要なものです。

このグリップ方法の選択肢という点ではラットプルダウンに軍配が上がります。
主要なアタッチメントだけでも以下のとおりです。

①ベントラットバー ②ストレートバー ③Vバー ④パラレルバー ⑤マググリップ

一方で懸垂の場合、懸垂ラックなどに備え付けられたバーを利用するしかないため、グリップ方法はかなり限られます。

懸垂バーにラットプルのアタッチメント乗せてやる方法もあるけど禁止してるジムが多いよ

4 収縮のとりやすさ

広背筋は筋肉が非常に薄く、その可動や収縮を認識しにくい部位です。
これが背中を苦手とするトレーニーが多い理由の1つと言えます。

そんな薄い広背筋であっても強く収縮させることができれば刺激を感じやすくなります。
そしてその強い収縮のために効果的なのが左右交互に引く方法です。

これはラットプルダウンの方がやりやすいと思います。
懸垂でも片側に交互に寄せるタイプライターチンニングがありますが、負荷も過剰になりやすく、かつかなりテクニックが必要です。

その点ラットプルダウンなら重量も調整しやすく、片側に傾けて引くのも難しくありません。

5 OK・CK

最後に紹介するのは動作の性質の違いです。
タイトルのOK・CKについては以下にその特徴を簡単にまとめます。

分類正式名称特徴代表的な種目
OKオープンキネティック手や足の位置が変わる・ラットプルダウン
・レッグプレス
・ベンチプレス
CKクローズドキネティック手や足の位置が変わらない ・懸垂
・スクワット
・プッシュアップ

オープンキネティックとクローズドキネティックのどちらの方が優れているか、という話ではなくて違いが重要です。
これまでの細かいポイントを除けばほとんど同じ動作ですが、OKかCKという違いがターゲットの筋肉に与える影響に差を生む可能性があります。

実際のところ、これら2つの違いがどんな影響を与えるか今は未だ詳しくは分かっていません。
この差についてはまだ可能性の話ですが、「メリットの大きい方だけ」となるんじゃなく、双方をバランスよく取り入れるのが重要です。

もしかしたらいわゆる個々人の効きやすさって感覚に関係してるのかもしれないね

まとめ

懸垂とラットプルダウンの違いについて解説しました。
いずれも広背筋をメインターゲットとするトレーニング種目で、解剖学的な機能も肩関節の内転と伸展で同じです。

その一方でいくつか違いもあり、それぞれ強み弱みが存在します。
まとめると以下の通りです。

項目懸垂ラットプルダウン
①重量設定
②骨盤の可動×
③グリップ調整
④収縮
⑤OK・CK分類CK(クローズド)OK(オープン)

このようにそれぞれ一長一短あります。
メリットだけ見るとラットプルダウンの方が多いですが、骨盤の可動という重要なポイントでのマイナスは大きいです。

初心者でもなければ重量の調整のしやすさもそこまで大きな影響はないもんね

またOK・CKの違いも考えておく必要があります。
大事なのはどちらか一方を選択することじゃなく、それぞれの強み弱みを知ってそれらを活かすことです。

「○」はラットプルの方が多いけど、筋電図分析では懸垂の方が効果が高かったりするしね

強み弱みを知らずそれらを活かせてなかった人は、それぞれの種目の狙いを再確認してトレーニングしてみましょう。
てなとこで。