ラットプルダウンのグリップ・アタッチメントの効果と選び方

ラットプルダウンは背中を鍛える定番の種目です。
ジムに行くと非常に多くの種類のアタッチメントがあり、どれを使えば良いか悩むと思います。

これは初心者はもちろんのこと、トレーニングの中~上級者にも通じることです。
何となくの感覚だけであまり考えずにアタッチメントを選んでる上級者も多くいます。

このページでは、それぞれのアタッチメントが持つ意味や特徴などについて解説します。
解剖学をベースに解説するので、感覚に頼らず自分の狙いに合ったものを選択できるようになるはずです。

このページでわかること

・グリップ方法による効果の違い
・アタッチメントの種類
・それぞれのアタッチメントの効果

1 グリップの仕方の特徴

まずはラットプルダウンをやる時のグリップの仕方の特徴から紹介します。
代表的なものは以下の5種類です。

①ワイド ②ナロー ③オーバー ④アンダー ⑤パラレル

様々な種類があるアタッチメントも基本的にはこれらのグリップ方法の組み合わせでしかありません。
ベースとなるグリップごとの特徴を押さえておけば、新種のアタッチメントでもその狙いが分かるようになります。

1-1 ワイドグリップの特徴

一般的な肩幅の1.5倍のグリップでは、以下の2つの効果が狙えます。

①大円筋の発達 ②収縮がとりやすい

ワイドグリップは脇が大きく開くので、広背筋の上部に位置する大円筋が活性化します。

また大きく外側から上腕を体側に近付けやすいので、収縮がとりやすいのも特徴です。
一方でトップでも腕と体側の角度がそこまで開かないので、ストレッチはしにくくなります。

1-2 ナローグリップの特徴

ナローグリップは肩幅の1倍以下の狭い手幅です。
ナローグリップでは以下の効果が狙えます。

①ストレッチしやすい ②広背筋への集中

先ほどのワイドグリップと逆で、トップで腕と体側の角度が大きく開くのでストレッチが強くかかります。
また動きが肩関節の伸展になるので、僧帽筋の関与を下げられるのもメリットです。

ただ今度は上腕三頭筋が関与しやすくなるので、その点は注意しましょう。

1-3 オーバーグリップの特徴

オーバーグリップはいわゆる順手で、手の甲を自分に向けて握る方法です。
これが最も一般的な握りになります。オーバーグリップの特徴は以下のとおりです。

①手首の負担が軽い ②二頭筋の関与が減る ③ストレッチしやすい

バーに向かい合った時、最も自然な握り方がオーバーグリップです。
ワイドからナローまでどんな手幅でも手首に負担をかけることなく握れます。

またアンダーグリップに比べると上腕二頭筋に力が入れにくいので、腕にあまり負荷が逃げません。

そしてトップでストレッチが取りやすくなります。
これは広背筋が上腕の内側に付着していて、腰の付着部からより遠くに伸ばせるからです。

だから収縮は弱くなるよ

1-4 アンダーグリップの特徴

アンダーグリップはいわゆる逆手で、手のひらを自分に向けて握る方法です。
アンダーグリップには以下のような特徴があります。

①収縮がとりやすい ②高重量を扱える

広背筋にはオーバーグリップのところで解説したような付き方の特徴があるので、アンダーグリップだと収縮を取りやすいのが特徴です

だから逆にストレッチは取りにくくなるね

オーバーグリップよりも大きな負荷を引けるのも特徴です。
これはプルアップ(順手の懸垂)は出来なくてもチンアップ(逆手の懸垂)なら出来る人がいることからも分かりやすいと思います。

一方でデメリットは以下のとおりです。

①二頭筋の関与 ②手首の負担

アンダーグリップの方が高重量を引けるのは上腕二頭筋の関与が強くなるからです。
あまりに重量を追いすぎると二頭筋ばかりに負荷が乗り、広背筋に負荷をかけにくくなります。

またアンダーグリップはあまりワイドグリップには向きません。
手首が不自然な角度に曲がり、負担が大きくなるためです。

1-5 パラレルグリップの特徴

パラレルグリップは両手のひらを向かい合わせに握る方法です。
ダンベルではハンマーグリップなどと表現されます。

パラレルグリップの特徴は簡単に言ってしまえばオーバーグリップとアンダーグリップの中間です。
収縮・ストレッチ、二頭筋の関与などはいずれも中くらいになります。

パラレルグリップの特徴と言えば、僧帽筋の関与がやや弱くなり広背筋に負荷を集中させやすくなることです。

2 ラットプルアタッチメントの効果

ラットプルダウンのアタッチメントには非常に多くの種類があります。
代表的なものは以下の4つです。

①ベントラットバー ②ストレートバー ③Vバー ④マググリップ

グリップの効果はそれぞれ既に解説したとおりです。
これらのバーはいずれもその組み合わせなので、効果も自ずと分かると思います。

2-1 ベントラットバーの特徴

ベントラットバーはラットプルダウンのマシンにデフォルトで備え付けられている、端の曲がったバーです。
このアタッチメントの特徴は以下の2つです。

①オーバーグリップ ②ワイドグリップ

バーが折れているためバーに胸が触れるまでの距離が長く、より深く腕を引くことが出来ます。

つまり収縮を強くできるってこと

なおベントラットバーの中心は真っ直ぐなので、短く持つことによって次に紹介するストレートバーとしても使えます。
ストレートバーがないジムの場合は、この方法で代用しましょう。

2-2 ストレートバーの特徴

ストレートバーはその名前のとおり真っ直ぐのアタッチメントです。

ストレートバーのラットプルダウンはラットバーに比べてストレッチが強くなります。
これはトップで小指がより遠くに離れるからです。

逆に手を胸の位置まで引くと、それ以上は胸が支えて腕が引けません。
そのため収縮はやや弱くなってしまいます。

バーが短くて手幅もナローになるからやっぱストレッチ向きだね

2-3 Vバーの特徴

VバーはV字型のアタッチメントです。Vバーの特徴は以下の2つになります。

①パラレルグリップ ②ナローグリップ

手幅が肩幅よりも狭いので、腕を正面から後ろに向かって引く動作、すなわち肩関節の伸展がメインになります。
伸展の動作なので通常のラットプルダウンより身体を倒して、お腹に向けて引くと効果的です。

広背筋は上腕の内側に付着してるので、パラレルにすることで起始と停止が近づきやすくなります。

つまり収縮が強くなるってことだね!

また手幅が狭くトップでは脇を大きく開くので、ストレッチにも効果的です。

2-4 マググリップの特徴

全てのジムにあるわけじゃないですが、マググリップというアタッチメントもあります。
基本的な性質はパラレルグリップと同じです。
収縮やストレッチは中間的なレベルになります。

マググリップの特徴はその握りの深さです。
グリップが大きく、横から手のひら全体でガバッと握ることになります。

そのため通常のバーを指の付け根で引いてしまう人でも、広背筋の「引っ掛ける」が実践しやすくなります。
広背筋の活性が上がると同時に腕の動作がかなり窮屈になるので、メインターゲットに負荷を集中させるのに効果的です。

まとめ

ラットプルダウンのアタッチメントによる効果の違いについて解説しました。
複数のアタッチメントがありますが、それぞれの効果を知らない人は多かったと思います。

ベースはグリップ方法の違いで、アタッチメントによってその組み合わせが変わるといったイメージです。
手幅と手の向きの関係で、効果を強めることができます。

アタッチメントの使い方は必ずしも固定ではないので、ベースとなるグリップ方法の効果を押さえておく方が応用が利きやすくなります。
本文で紹介したグリップ方法の特徴をまとめると以下のとおりです。

グリップ方法メリットデメリット
①ワイドグリップ・大円筋に効かせやすい
・収縮がとりやすい
・ストレッチがとりにくい
・アンダーは手首の負担大
②ナローグリップ・ストレッチがとりやすい
・広背筋に集中しやすい
(肩の伸展動作になる)
・収縮がとりにくい
・上腕三頭筋の関与が増える
③オーバーグリップ・ワイドでもナローでもOK
・二頭筋の関与が少ない
・収縮がとりやすい
・ストレッチがとりにくい
④アンダーグリップ・高重量を扱いやすい
・収縮がとりやすい
(肩の伸展動作で)
・二頭筋の関与が増える
・ワイドグリップ不可
⑤パラレルグリップ・僧帽筋の関与が減る・収縮もストレッチも中途半端

中には狙いが逆行していて何がしたいのか分からないようなアタッチメントも存在します。
どっちも狙うのはどっち付かずになるだけです。
自分の目的に沿ったグリップ・アタッチメントを選べているか見直してみましょう。

細かいグリップへの配慮も重要ですが、基本のテクニックを疎かにしてはいけません。
ラットプルダウンのやり方については別のページで解説しています。
てなとこで。