ラットプルダウンのやり方|腕に効かせないコツ・テクニックも紹介

ラットプルダウンは背中を鍛える代表的なトレーニング種目です。
マシンで行う種目ですが、他の種目に比べると自由度が高いため、間違った動作も横行しています。

そのせいで肝心の鍛えたいターゲットにしっかり効かせられていない人が多いです。
このページではラットプルダウンの基本から効かせるためのテクニックまで解説します。

このページでわかること

・ラットプルダウンで鍛えられる部位
・ラットプルダウンの基本的なやり方
・ラットプルダウンのRM設定やセット数
・ケガやムダを予防するための注意点
・ターゲットに効かせるコツやテクニック・ラットプルダウンのバリエーション

1 ラットプルダウンの基本的な知識

細かいテクニックに入る前にラットプルダウンの基本的な知識をさらっておきましょう。

1-1 ラットプルダウンの目的

ラットプルダウンはバーを上から身体に向かって引き付けるトレーニング種目です。
解剖学的には肩関節の内転と伸展の動作になります。

一般的なグリップ方法ではミッドレンジ種目に当たりますが、手幅やアタッチメントの変更によってストレッチからコントラクトまで様々です。
この点については後で紹介します。

ラットプルダウンによって鍛えられる部位は以下のとおりです。

主働筋広背筋
僧帽筋(下部)
協働筋上腕二頭筋
上腕三頭筋
三角筋後部(リアデルタ)

鍛えられる部位って表現してるけど、なるべく主動筋メインに効かせられるのがベストだよ

特に「腕に効いてしまって背中に効かせられない」と悩む人は多くいます。
まずは基本を押さえ、それに後で紹介するコツを取り入れましょう。

1-2 ラットプルダウンのやり方

ラットプルダウンは以下の流れで行います。

①ウェイトスタックをセット

ピンを抜き差しして重量設定を行うタイプが主流です。
まずは自分の扱う重量にピンを差します。

細かい重量調整が出来るように外付けのウェイトを備えてることもあります。
必要に応じて活用してみましょう。

②ベンチの高さを調節

ラットプルダウンはウェイトに引っ張られて身体が持ち上がらないように、腿をストッパーで挟みます。
「①ベンチの高さを変えるパターン」と「②ストッパーの高さを変えるパターン」の2種類で、とくに後者が主流です。

ピッタリがベストですが、腿の太さ的に必ずしもそうはなりません。
キツすぎるよりかは多少ゆとりがあるくらいの方が痛みが気にならずトレーニングに集中できます。

③バーをグリップする

バーをグリップする幅は肩幅のおよそ1.5倍くらいです。
デフォルトのアタッチメント(ベントラットバー)の場合は、端の折れたとこに手がかかるくらいになります。

バーの握りは手の甲を自分側に向けたオーバーグリップ(順手)が基本です。
そのまま体重をかけて沈み、脚をストッパーの下にセットして座ります。

④バーを引く

バーを胸の上部に向かって引き下ろします。
この時に身体を軽く後方に倒すと狙った軌道で下ろしやすくなります。

⑤バーを戻す

バーを戻す時はネガティブを意識しながらコントロールされた動作で戻しましょう。
ボトムで1秒弱キープすると勢いで戻しにくくなります。

リズミカルにやるより均一な速度で動かすのが重要だよ

またバーを戻すのに合わせて上半身を直立に起こすとトップでストレッチを入れやすくなります。

2 ラットプルダウンの重量設定やセット数は?

まずラットプルダウンでメインターゲットとする広背筋は多くのトレーニーに誤解されてる筋肉です。
この誤解が間違ったトレーニング方法に繋がってしまいます。

「背中の筋肉は大きい」という認識が一般的ですが、実はそこまで大きな筋肉ではありません。
面積は広いが体積は大きくない非常に薄い筋肉です。

しかも速筋比率も高くないからね

そのため広背筋単体にはさほど出力はありません。
背中のトレーニングで高重量まで扱えるのは、単に動作に関与する筋肉が多いからです。
筋力向上には高重量などの分類が一般的ですが、広背筋に関してはあまり当てはまりません。

ラットプルダウンをしっかり背中に効かせるためには重量を追いすぎないことが第一のポイントです。
背中を使う感覚を掴むまでは重くても10RMくらいにとどめましょう。

回復は比較的速くて、すぐにパフォーマンスを取り戻します。
そのためインターバルはやや短めの2分程度でOKです。

また回復しやすくセットを重ねてもパフォーマンスが低下しにくいので、多めにセットを組むことも可能です。
トレーニング日のコンディションを参考にしつつ3~5セットで設定します。

項目設定値
重量10RM
(薄く速筋の少ない出力の小さい筋肉なので)
インターバル時間2分程度
(回復が速いので短めでもOK)
セット数3~5セット
(その日のコンディションに合わせて)

3 ラットプルダウンの注意点

ラットプルダウンのやり方によっては効果を薄めてしまったり、ケガに繋がることにもなります。
ラットプルダウンで注意すべきポイントは以下のとおりです。

①後傾しすぎない ②握り込まない ③肩を竦めない ④顎を引かない

3-1 後傾しすぎると別の種目に…

正しいフォームでは多少上体を後方に反らします。
しかしこれがいきすぎると問題で、理由は以下の2つです。

①チーティング ②僧帽筋に分散

まず上体を反らす動きを大きくすることでチートしてしまい、肝心の背中の筋肉に負荷が乗らなくなります。
たいてい高重量を扱う時になりがちですが、そもそも対象に効いてないなら高重量を扱っても全く意味がありません。

また身体を反らし過ぎることによって、上または斜め上から引く動作が正面から引く動作になってしまいます。
これだと肩関節の内転や伸展よりも、肩甲骨の内転が強くなってしまいます。

つまり僧帽筋のトレーニングになっちゃうってこと

3-2 バーを握り込まない

強くバーを引こうとするあまり、グリップする手に過度な力を入れてしまうのもあるあるです。
しかしこれは背中の筋肉を鍛える上でマイナスになります。

指と上腕二頭筋は正中神経で繋がっており、指で握り込むことによって上腕二頭筋の活性が上がってしまうからです。
なるべくムダな力みを抜くように意識しましょう。

3-3 肩を竦めない

過度な負荷を扱うことによる力みは腕だけではありません。
肩に力を入れてしまうケースも多いです。

ボトムで力んで肩を竦めてしまうと僧帽筋にムダな力が入ってしまいます。
ラットプルダウンで首や肩が痛くなるのはこれが原因です。

拮抗筋の関係にあるから広背筋の収縮もさせにくくなるよ

ボトムでは肩を下げ、代わりに胸を張るような姿勢をとれるように意識しましょう。

3-4 顎を引かない

ラットプルダウンのムダな力みの最後が顎を引いてしまうことです。
これも背中を鍛える上でマイナスになります。

顎を引くことで身体が丸まり背中の筋肉が弛緩してしまうからです。
なるべく正面か斜め上を見るようにしましょう。

身体を丸めてしまうのは腹筋の力を借りやすくなるからです。
つまり腹筋に頼らなければ引けない重量ってことです。

4 ラットプルダウンで効かせるコツ・テクニック

ラットプルダウンでターゲットの部位に効かせるには、ちょっとしたコツがあります。
基本や注意点が優先ですが、それをクリアしたらテクニックも取り入れてみましょう。

ラットプルダウンを効かせるためのテクニックは以下の5点です。

①パワーグリップ ②引っ掛ける ③サムレスグリップ ④予備疲労 ⑤骨盤の向き

4-1 パワーグリップで補助する

ラットプルダウンのような引く種目でネックになるのが握力です。
握力が弱かったり持続しないと、負荷やレップ数を下げざるを得なくなります。

握るのに必死になりすぎて背中に意識が行かないってこともあるよね

そんな握力の問題を解消するのにオススメなのが、パワーグリップやリフトストラップなどのトレーニングギアです。
これらを使えば握力の問題を気にせず背中のトレーニングに集中できます。
高重量を扱うトレーニングの基本的なテクニックです。

4-2 グリップを引っ掛ける

背中のトレーニングで上級者が時々口にするのが「引っ掛かる」という表現です。
これはラットプルダウンで背中の活性を上げるのに重要なポイントになります。

一般的にあまり意識しないグリップだと大体は指の付け根辺りに乗せる感じになります。

一方で「引っ掛かる」とはバーをグリップする時に、普段より深く手のひらを中心に握ることです。
こうすることで広背筋がストレッチされ、負荷をかけやすくなります。

指に力がかからないから握力問題もかなり緩和されそうだね!

4-3 握る指で腕の関与を調節する

ラットプルダウンで大きな問題になるのは、握力ともう1つが腕の関与です。
腕で引いてしまうと背中に上手く効かせられなくなってしまいます。

握りを軽くすることも重要ですが、全体の力を抜くよりもポイントを絞る方が効果的です。
腕に繋がる正中神経は親指・人差し指・中指についています。

なのでこの3本の握りを弱くすることで上腕二頭筋の関与をかなり減らすことができます。
小指側に重心を寄せる意識で握ってみるようにしましょう。
ただ意識だけで脱力するのは簡単ではありません。

そこで、親指を巻き付けないサムレスグリップや、親指と人差し指を立てたピストルグリップを試してみることをオススメします。

4-4 刺激を感じられるように準備する

背中の筋肉にラットプルダウンを効かせにくい理由は他の筋肉の関与だけではありません。
背中の筋肉自体にも効かせにくさの原因があります。具体的には以下の2点です。

①目視で確認できない ②筋肉そのものが薄い

身体の前面の筋肉であれば、鏡を見ながらまたは直接収縮を確認できます。
しかし背面の筋肉はそれが簡単には出来ません。

また既に解説したとおり広背筋はかなり薄い筋肉なので、たとえ正しく動作できていても収縮があまり感じられません。
そのためどう動作すればより効果的なのか、それを探るのも難しいのです。

この問題を解消するための対策として予備疲労法をオススメします。
これは事前にターゲットの筋肉を疲労させておくテクニックです。

肘を後方に引きながら身体を横に倒すと脇腹から腰にかけて筋肉が収縮する感覚があると思います。
さらに脚を横に上げて身体をくの字に曲げるとより効果的です。
これを左右やって軽く疲労させてからラットプルダウンにトライしよう

4-5 骨盤の向きで収縮具合が変わる

お尻の向き、すなわち骨盤の角度によって広背筋は収縮が左右されます。
かなり細かい話ですが、広背筋は筋膜で大臀筋と繋がっているからです。

収縮ポジションで骨盤を前傾させ、腰を反らすようにすると広背筋が下部までしっかり収縮します。
理想を言えば、トップでは骨盤を後傾させて腰を丸めた方がストレッチしやすくなります。

ただシートに腰掛けていると、こうした骨盤の動きは簡単ではありません。
意識し過ぎて肝心の引手が甘くなっては元も子もないので、ほどほどにしましょう。

その他に足幅を広めにするとお尻に力が入りやすくなり、広背筋も収縮しやすくなります。
またシートの高さが変えられるタイプの場合は、やや高めがオススメです。
このほうが骨盤を前傾させやすくなります。

膝が100~120°くらいになるくらいの高さが良いよ

5 ラットプルダウンのバリエーション

ラットプルダウンのバリエーションとしてはビハインドネックプルダウンがオススメです。

通常のラットプルダウンは身体の前面に向かって下ろします。
それを敢えて頭の後ろに下ろすのがビハインドネックプルダウンです。

このバリエーション最大の狙いは身体の後傾を予防することです。
扱う重量が大きくなると上体を後方に倒すチートを使いやすくなります。

これだと僧帽筋にも負荷が逃げやすくなっちゃうよ

頭の後ろにバーを下ろすことで身体を倒しにくくなり、広背筋の動作に集中しやすくなります。
可動域的にナローグリップは難しいので、広めの手幅で収縮を狙いましょう。

まとめ

広背筋を鍛える代表的な種目であるラットプルダウンについて解説しました。
シンプルなマシントレーニングですが、自由度が高いため思うように鍛えられない人も多い種目です。

様々な注意点やテクニックがありますが、最初に押さえておくべきは重量設定です。
広背筋は決して大きな筋肉ではないので、高重量は適していません。

ラットプルダウンをやる上での注意点は以下のとおりです。

注意点目的
①後傾しない・チート防止
・僧帽筋の関与を下げる
②グリップを握り込まない・腕全体の関与を下げる
③肩を竦めない・僧帽筋の関与を下げる
④顎を引かない・背中の筋肉を弛緩させない

そして、さらに効果的にするために以下のようなコツやテクニックがあります。

テクニック目的
①パワーグリップ・握力補助
②引っ掛ける・腕の関与を減らす
・広背筋のストレッチ
③サムレスグリップ・腕の関与を減らす
④予備疲労・広背筋の収縮を感じやすくする
⑤骨盤の向き・後傾でストレッチ
・前傾で収縮

ラットプルダウンのバリエーションとして、頭の後ろにバーを下ろすビハインドネックを紹介しました。
チートを使うクセがある人にオススメの方法です。

このページの前半でも触れた通り、その他にもグリップ幅やアタッチメントの種類で狙いを変えることも出来ます。
グリップやアタッチメントの効果について詳しくは別のページで解説するので、そちらをご覧ください。
てなとこで。