体脂肪をつけない緻密な増量方法|リーンバルクのやり方・食事のPFC

増量方法には様々なパターンがありますが、近年のトレンドはリーンバルクかクリーンバルクのどちらかです。
これら2つは名前がよく似ているので同じものと誤解してる人も多いですが、内容は大きく異なります。
クリーンバルクについては別のページで詳しく解説してるので、そちらも参考にしてください。

このページでは前者のリーンバルクの具体的な方法について解説します。

このページでわかること

・リーンバルクとは何か?
・他の増量にはないリーンバルクに特有の要件
・リーンバルクの食事方法
・食事の内容とPFCバランスの決め方

1 リーンバルクとは何か?

増量と言うとガッツリ食べてガッツリ体重を増やすというイメージが強いと思います。
一昔前ならイメージのとおり、特に計算もなくラーメンやハンバーガーなどのダーティな食事をひたすら食べて増量する人もいましたが、今ではかなり少なくなりました。

リーンバルクはその時代の変化を顕著に表している増量方法と言えます。
リーンバルクのリーン(Lean)とは「贅肉のない引き締まったカラダ」という意味です。
つまりムダな体脂肪をなるべくつけないように進める増量法になります。

体脂肪の増加を抑えられると、減量幅が狭くなり筋肉を落とすリスクが減ると同時に増量中のメンタルの安定にも繋がります。
リーンバルクを実践する上でのポイントは以下の2点です。

①カロリー計算 ②食事方法

1-1 カロリー計算の方法

増量期にはカロリー計算をしないというイメージがあると思いますが、リーンバルクの場合はカロリー計算が必須です。
リーンバルクのキモはメンテナンスカロリーをやや越えるカロリーを摂取していく点にあります。
カロリーの余剰を小さくすることによって体脂肪の合成を最小限に抑えるということです。
大まかな流れは以下のようになります。

①基礎代謝を計算 → ②メンテナンスカロリーを計算 → ③増量カロリーを計算

まず基礎代謝の大きさを計算します。計算方法は以下の通りです。

<ハリスベネディクト方程式>
基礎代謝 = 13.4 × 体重(㎏)+ 4.8 × 身長(㎝)- 5.68 × 年齢(歳)+ 88.4

最近では家庭用の体重計でも基礎代謝を計算してくれるものが多いので、それを参考にしてもOKです。
基礎代謝が分かったら、それに運動強度依存定数を掛けてメンテナンスカロリーを計算します。

<運動強度依存定数>
①デスクワーク中心で普段はほとんど運動しない 1.2
②低強度の筋トレを週に1~3回 1.375
③中強度の筋トレを週に3~5回 1.55
④高強度の筋トレを週に6~7回 1.725
⑤高強度の筋トレを1日に2回 or 肉体労働をして高強度の筋トレを毎日 1.9

これに上乗せするカロリーを足したものがリーンバルクで摂取するカロリーになります。
初心者のうちは筋肉量の増加が多いので、300kcalくらい足してもOKです。
一方で中~上級者になると、そこまで大幅に筋肉は増えません。過剰に増やせば体脂肪になってしまうだけです。
そのため100~200kcalくらいに抑えることをオススメします。

1-2 リーンバルクの食事方法

リーンバルクとクリーンバルクの最大の違いは摂取する食品の内容です。
クリーンバルクの場合はその名のとおりクリーンな食事が中心、つまり加工食品やジャンクフードは食べません。
一方で今回紹介するリーンバルクでは厳密なカロリー管理がある代わりに、食事内容に関する制限はナシです。

そしてリーンバルクの食事のポイントは分割して回数を増やすことです。
まあこれはリーンバルク特有のものと言うわけじゃなく、増量全般に言えることですね。
この理由は大きく2つあります。

①カタボリック防止 ②mTORの活性化

1つ目の理由は説明するまでもなく、全てのトレーニーが恐れる現象です。
増量期はメンテナンスカロリーをオーバーしてるのでエネルギー不足になることは考えにくいですが、食間が空けば筋分解のリスクは高まります。
しかも空腹後の食事は急激に血糖値が上がりやすいので、血糖値スパイク~インスリン抵抗性~肥満・糖尿病と様々なリスクの原因です。

もう1つの理由がmTORの活性化ですが、こちらは聞いたことが無い人もいるかもしれません。
mTORとは筋肉のアナボリズム(=合成感度)を高める働きをするタンパク質で、筋トレの刺激などによって働きが活性化します。
そしてこのmTORの活性は食事によっても高まるのです。つまり食事の回数を増やせば、それだけ活性頻度も高まるということです。

こうした理由からリーンバルクのカロリーをなるべく分割して摂取するようにしましょう。

だいたい間食を含めて5~6食くらいかな

2 リーンバルクの食事内容とPFCバランス

リーンバルクのキモは厳格なカロリー管理なので、食事の内容について細かい制限はありません。
ただ自由度が高いせいで「何を食べればいいんだ…」と悩んでしまう人もいるようなので、PFCバランスについても解説しておきます。

筋肥大を目指して筋トレをしている人の場合、何よりも優先すべきはタンパク質の必要摂取量を把握し、それを満たすことです。
そのため、まずはタンパク質の摂取量を決めるところから始めていきましょう。

タンパク質の摂取量は非常にシンプルで、除脂肪体重1㎏につき1.5~3g程度になります。
最近の過剰なタンパク質信仰のせいで「多ければ多いほど良い」と勘違いしてる人も多いですが、デメリットもあるので適量に抑えるべきです。
明確な数字は無いですが、初心者は1.2~1.5gくらい、中級者は1.5~2.5gくらい、上級者なら2.5g以上といった感じでしょう。

レベルは単なる筋トレ歴の長さじゃなくて筋肉の成長具合が判断すべきだよ

そして次に見るべきは脂質です。
ジャンクフードが食べられるリーンバルクでは脂質不足は考えにくいですが、一応押さえておきましょう。
脂質はホルモンの材料ですが、脂質から摂るカロリー総摂取カロリーの15%を下回るとホルモンの生成が低下すると言われています。
筋トレで重要なテストステロン成長ホルモンなども分泌されにくくなるということです。

そして最後に余ったカロリーは糖質で摂取することになります。
糖質は筋トレのパフォーマンスアップや疲労回復、筋肉の合成に必要な栄養素なので、脂質が多過ぎて糖質の摂取が少なくならないように注意しましょう。

ジャンクフードがOKと言われるとかなり自由な増量法に思われがちですが、限られたカロリーの中でPFCバランスを維持するのは意外と難しいです。
加工食品はほぼ糖質と脂質であり、かつその密度が高いため、簡単にカロリーオーバーしてしまうリスクがあります。

加工食品とかジャンクは多くても1日2回くらいが限度になりそうだね

まとめ

最近の増量方法のトレンドでもあるリーンバルクについて解説しました。
増量にも関わらず厳密にカロリーをコントロールするという独特な方法で、この管理が余計な体脂肪を防止することになります。

摂取するカロリーはメンテナンスカロリーに少しカロリーを上乗せしたくらいで、あまり多くのカロリーは摂取しません。
中~上級者の場合は特に筋肉の増加量が多くないので、上乗せ分は少なくしないと体脂肪が蓄積してしまいます。

そしてその食事を複数回に分割して摂取します。
これは食事をする度に、筋肉の合成感度を高める働きをするmTORの働きが高まるからです。

PFCバランスの設定は一般的な増量・減量と同じで、タンパク質→脂質→糖質の順で決めていきます。
ジャンクフードは糖質・脂質が異常に多く、1回食べるだけでPFCバランスにかなりの歪みが生じてしまうので、そこまで多くは摂取できないことは覚えておきましょう。
リーンバルクのデメリットとその対策について詳しくは別のページで解説しています。
てなとこで。