体重が重いほど筋肥大に有利?|体重志向の増量の問題点

筋トレのパフォーマンス要素としてよく挙げられるのが体重の重さです。
そのため増量期には、「とにかく体重を増やすこと」を重視して食事を摂るトレーニーも結構います。

何となく直感的には体重が重い方がパワーがあるように思えますが、実際のところはどうなのでしょうか?
このページでは筋トレと体重の関係、増量の有効性について解説します。

1 体重と筋トレの関係

体重が重い方が筋トレのパフォーマンスが上がりやすい傾向にあります。
つまり重いウエイトを扱いやすいということです。それには大きく2つの要素が関係しています。

①エネルギー量 ②筋分解の抑制

筋トレのパフォーマンスには十分なエネルギーが必須です。
特に筋トレのような無酸素運動では糖質から作られるATPが多く使われるので、栄養素の中でも特に糖質は欠かせません

また筋肉の合成にもATPが必要で、トレーニングの成果を形にするためにも十分な糖質が必要ということです。
体重が増えるということはエネルギーとして使っても余るくらい食事量が十分あるということなので、ATPも十分な量が作られます。

そして食事量があれば、全トレーニーが恐れるカタボリック(筋肉の分解)も起きないので、合成された筋肉が減少することもなくなります。
このようにエネルギー供給と筋肉量の両面において体重の増加は有利ということです。

2 体重が増えることのデメリット

体重の増加が筋トレにおいて有利に働くことはありますが、一方で忘れてはいけないのが体重増加に伴うデメリットです。
体重の増加に伴うデメリットには以下のようなものがあります。

①筋合成の低下 ②腎臓疾患のリスク

2-1 筋肉の合成力が落ちる

体重が増えると筋トレには有利ですが、必ずしも筋肥大にも有利とは限りません
体重の増加と言っても純粋に筋肉量が増えるわけではなく、かなりの確率で体脂肪の増加が伴います。
というより増えた体重の内訳で言えば、たいていの場合は体脂肪の割合の方が大きくなります。
そしてこの体脂肪が筋肉の発達を妨げる原因になるのです。

体脂肪はアディポサイトカインという炎症性の物質を分泌します。
これが引き起こす炎症が筋合成のスイッチとなるmTORの活性を下げてしまうのです。

また体重増加のベースとなる過食は糖尿病の原因でもあるインスリン感受性の低下(=インスリン抵抗性)を引き起こします。
この状態に陥ると細胞が上手く糖を摂り込めなくなるため、筋活動や合成が低下してしまうのです。

筋肉の分解や発達の停滞は主に食事量が少なくなる減量中の問題と考えられがちですが、食事量が過度になることによっても起こるということです。

躍起になって食べるほど効果が出にくくなる悪循環に陥るのか…

2-2 腎臓に負担をかける

ハードな筋トレをするトレーニーが特に気を遣わなければいけない臓器の1つが腎臓です。
腎臓は体内で生じた毒素をろ過して無害な物質に変える働きをしています。
特に毒素の1つである尿酸との関係において腎臓には注意が必要です。

筋トレをしてる人の中には健康診断で尿酸値の値を指摘された経験がある人もいるでしょう。
運動で代謝されたATPの残りカスが尿酸なので、ハードな筋トレによって多量に生成されます。

それだけでなく体重の重さも尿酸の生成量に関係しています。尿酸は細胞分裂の副産物でもあるからです。
これは基礎代謝が概ね体重に依存することからも容易に想像できるでしょう。
柔道、相撲、プロレスなど過体重でハードな運動をする競技者はいずれも高尿酸値の傾向にあります。

トレーニーが腎臓を労るべき理由は、尿酸だけでなくタンパク質の分解プロセスで生じるアンモニアの無毒化を行うのもまた腎臓だからです。
過体重で腎臓が多量の尿酸をろ過しなければいけないとしたら相当な負担になります。
タンパク質の摂取量が多いトレーニーは、体重など余計なところで腎臓に負担をかけない配慮が必要です。

正常な腎臓ならいくらタンパク質を摂っても何の問題もないんだけどね

まとめ 体重を意識する意味はない

体重と筋トレの関係について解説しました。
体重を増やすと筋肥大に有利という印象から、増量期にはひたすら体重を増やすことを目的にしてしまいがちです。
確かにパワー発揮やカタボリック防止の観点ではある程度の効果があると考えられます。

しかし体重が増えてくるに従って筋肉が増えにくくなってしまうという点も見逃せません。
筋肉を増やすのに有利と思われていた体重が実は逆効果だったということです。
また過体重のトレーニーは腎臓を傷めるリスクも抱えています。
腎不全となり人工透析ともなれば、もはや筋トレどころではありません。

QOLも著しく低下するからね

体重によるメリットとして解説した2点について知っておくべきことは、いずれも体重が重くなる食事による影響ということ。
体重が重いという結果に付随するものではなく、重くなるまでのプロセスで摂取していた食事の影響ということです。

ここから、闇雲に体重を増やすことに意味はなく、パワーを発揮しやすく筋分解を抑制する食事にこそ意味があることが分かります。
増量方法についてはこちらのページでまとめていますが、特にダーティバルクはこの無闇な体重増加の典型例で、NGパターンということです。

準備中

体重を増やすことを目的にした増量は無意味ってことか…

体重が増えるのはあくまで筋肉を増やすための食事の副産物ってことだね

やや細かいポイントですが、ここを取り違えてしまうと無意味な増量で健康リスクだけをいたずらに増やすことになりかねません。
体重を増やすこと自体は筋トレに有利ではなく、むしろ不利である。
増量期ではこのことを常に念頭に置いておきましょう。
てなとこで。