【本当に初心者向け?】全身法トレーニングの多様すぎるメリットとは

トレーニングが上達してくると、種目数やセット数など1つの部位のトレーニングボリュームが大きくなってきます。
そのため1日に1~2部位と鍛える範囲を絞り、複数回に分けて全身を鍛える分割法を採用してる中~上級者は多いです。

部分ごとに重点的に鍛えるっていうと、何となく高度な感じが出るもんね

一方で1回のトレーニングで全身を鍛える手法を全身法と言います。
「まずは筋トレ動作に慣れるため」と初心者にオススメされることが多い方法です。

一般的な分類だと「上級者=分割法」「初心者=全身法」とされています。
しかし本当に筋トレ効果を上げたければ正解は真逆です。

このページでは全身法トレーニングの多様なメリットについて解説します。

このページでわかること

・全身法がボディメイク全体にもたらす多様なメリット
・分割法よりも筋肥大に有利な理由
・インフルエンサーやYouTuberの悪影響
・全身法に向けられる批判は本当に妥当なものなのか?

1 全身法トレーニングのメリット

何となく初心者向けと思われている全身法には非常に多様なメリットがあります。
具体的には以下の4点です。

①筋肥大 ②脂肪燃焼 ③精神的な負担 ④睡眠の質の向上

1-1 全身法は筋肥大効果が高い

筋トレ最大の目的である筋肥大効果が分割法よりも高いことが研究で分かっています。
全身法でトレーニングする方が筋肥大しやすい理由は以下の3つです。

①トレーニングボリューム ②プログレッシブオーバーロード ③スイッチ

1-1-1 全身法はトレーニングボリュームが大きい

トレーニングボリュームは筋肥大の重要事項です。
全身法の方が分割法よりもボリュームを稼ぎやすくなります。

分割法では1回のトレーニングで複数の種目・セットをこなすことになるため、後半のセットの疲労は極限です。
エネルギーも少なくなってるので、規定のレップ数をこなせないか、こなせる負荷に落とすことになります。

一方で全身法の場合は1つの部位に対して1回のトレーニングでやる種目数やセット数は多くありません。
メニューの組み方にもよりますが、ぼくの場合はおよそ3分の1です。
そのため各種目とも設定した負荷で最後のセットまでしっかり挙げきることが出来ます。

次の日の種目は伸びないんじゃない?

ぼくも最初やる前はそう思ってたけど、翌日にほとんど疲労を持ち越さないんだよね

1-1-2 全身法はプログレッシブオーバーロードしやすい

プログレッシブオーバーロード(漸進性過負荷)はトレーニングボリュームと並ぶ、筋肥大の重要な条件です。
継続的に筋肥大していくためには負荷を徐々に増やしていく必要があります。

トレーニングボリュームのとこで解説したことと同じですが、分割法では後半の種目ほどパフォーマンスが下がります。
レップ数やセットをこなすのがやっとのことなので、後半の種目ほどなかなか扱う重量や回数は伸びません。

なかなかというよりほとんど伸びないね

しかし全身法であれば前日の種目の影響をほとんど受けないため、それぞれがベストなパフォーマンスを発揮しやすくなります。
当然のことプログレッシブオーバーロードもしやすくなるということです。

1-1-3 全身法で筋肉のスイッチを何回も押す

筋トレは筋肉を合成するスイッチを押すためのものです。
分割法だとトレーニング頻度が低いので、1つの部位のスイッチを週に1回程度しか押せませんが、全身法なら3~4回押せます。

1回トレーニングをすると、トレーニング後に最大で72時間だけ筋肉の合成感度が高まります。日にしておよそ3日です。
週に1回しか押せないとなると残りの4日間をロスしてしまいます。

それだけ筋肥大までのロスも大きくなるってこと。効率的な筋肥大には程遠くなるね。

でもフィットネス系のYouTuberとか分割法でバキバキじゃん

実は筋肉の合成感度が高い期間の長さには例外があります。それがステロイドユーザーです。

彼らは1回のトレーニングの刺激だけでおよそ1週間も筋肉の合成感度が高い状態が持続します。
ナチュラルトレーニーとは条件がそもそも違うのです。

1-2 全身法は脂肪燃焼効果が高い

全身法は分割法よりも体脂肪を減らす効果が高いことも、先ほどと同じ研究で明らかにされています。

筋肉も体脂肪もどちらもアナボリズム(同化作用)によってつくものです。
そのため筋肉を増やしながら体脂肪を減らすという都合の良い現象(リコンプ)は以下の人しか出来ないと言われています。

①初心者 ②極度の肥満 ③ステロイドユーザー

しかし全身法ならこれに該当しない人でも、筋肥大効率を追及しながら体脂肪を減らすことができます。
それはアフターバーンの範囲と回数が多いからです。

筋トレはハードな運動なので消費エネルギーが多いと思われていますが、実はこれは勘違いです。
筋トレの消費エネルギーは有酸素運動ほど大きくありません。

「全身法は鍛える部位が増えるから消費エネルギーが増える」というのも誤りです。
部位が増えようともさほど消費エネルギーは増えません。

筋トレで本当にエネルギーを消費するのは、筋肉の回復・合成の局面です。
アフターバーンとは、この筋トレ後のエネルギー消費のことを言います。

全身を鍛えることで全身の筋肉に合成のスイッチが入るため、消費するエネルギーが大きくなり、より体脂肪が減りやすくなるということです。

1-3 全身法は精神的なストレスが少ない

全身法は精神面でも優れています。ポイントは以下の3つです。

①追い込み ②スケジュール ③モチベーションの波

1-3-1 追い込みの必要がない

分割法だと1部位を週に1回くらいしか鍛えられないため、追い込みが必要になります。
というより、その1回で1週間分のボリュームを稼ぐ必要があるため、追い込まざるを得ません。

トレーニーの中には、この追い込みの後の疲労に達成感を感じる人もいますが、これはトレーニング後の話です。
どんなに後で達成感を得られると思っていてもキツイことをするには精神的なハードルが高くなります。

追い込むレベルまでやり込まなくて良いと思えるとハードルが下がり、筋トレのストレスも小さくなります。
きつくなくてOKと思えれば着手もしやすくなり、先延ばしや挫折もしにくくなります。

習慣化って意味では初心者に向いてるって言えるかもね

1-3-2 スケジュールを緩やかに管理できる

筋トレをちゃんとやろうとするとスケジュール管理にかなりシビアになります。
分割法の場合、各部位とも週に1回程度しかトレーニングチャンスがないため特に顕著です。
残業や飲み会でトレーニングに穴を空けてしまわないようピリピリしてしまいます。

「今日はトレーニングだから早く帰らなきゃ」って思ってる日に限ってトラブルが起きたりするんだよね…

一方の全身法の場合は、毎回すべての部位を鍛えるので、急な予定変更のダメージがそこまで大きくありません。

「オフの予定だったけど明日やればいっか」って思えるよ

もう1つがジムでの器具の利用効率です。
分割法だと「今日はこの部位のトレーニング」と決めてるので、使いたい器具も決まっています。

しかし仕事や学校おわりのコアタイムは非常に混雑してるため、使いたい器具が使いたい時に使えるとは限りません。むしろ使えないことが多いです。
時間の重要性を意識して生活してない人はさておき、これはかなりのストレスになります。

全身法であれば順番はどうあれ、最終的には全ての部位を鍛えることになります。
そのため「器具が空いてる部位からやってけば良いや」とストレスを感じずにトレーニング出来ます。

ジムに行く回数も減るから、そういうストレスを受ける確率も減らせるね

1-3-3 モチベーションの波がなくなる

分割法でトレーニングしてると、モチベーションに波を感じることがあると思います。
肩の日は気分が上がって、脚の日は気が重いといった感じです。

「今日はここをやるぞ!」と目標を定めて気分や覚悟を作りやすいという点はメリットと言えます。
しかしモチベーションや気分の波は日常生活にも悪影響を及ぼします。

全身法であれば種目こそ違えど全ての部位を鍛えることになるので、こうした気分の浮き沈みがありません。
人間関係や仕事などメンタルを左右することは他にも山ほどあるので、筋トレ(趣味)くらいは常に平静を保っておきたいものです。

いつも同じってのはまさにルーティンそのもので、習慣化するために必須と言えるね

1-4 全身法で睡眠の質がアップする?

これは個人的な体感なのでエビデンスがあるわけではありませんが、分割法から全身法に切り替えてから、睡眠の質が上がったと感じています。
あくまで主観ですが、理由は2つの側面から説明できます。

①過度な疲労がない ②成長ホルモンの分泌

1-4-1 全身法は身体がほどよく疲労する

分割法は追い込みによって過度な疲労や強い筋肉痛を生じます。
疲れてればグッスリ眠れそうですが、あまりに疲労や痛みが強いと逆に寝つけません。

テーマパークで1日歩き通した日、脚の痛みでなかなか寝られなかったという経験はないでしょうか?あんな感じです。

ぼくはよくあるんだけど、そんなあるあるでもない?

全身法の場合はターゲットを特定の部分に絞らず、全体を満遍なく・ほどよく疲労させます。
追い込みの必要もないので、全体的に強い筋肉痛が生じることもありません。
そのため痛みや疲労が気になって寝れないなんてことがなく、十分な睡眠がとれるのです。

1-4-2 全身法は成長ホルモンの分泌が活発

成長ホルモンは睡眠の質を測る指標であると同時に、睡眠の質を高める要素でもあります。
そしてその成長ホルモンの分泌は筋トレによって高まります。

成長ホルモンは細胞のダメージなどを修復する作用があるので、傷付いた部分が多くなるほど多く分泌されます。
分割法は深く傷付きますが、範囲は広くありません。

一方で全身法は浅いものの全身の広い範囲が傷付くので、その分ホルモンの分泌も活発になります。

2 全身法トレーニングのデメリット?

様々なメリットがある全身法トレーニングですが、そんな全身法には否定的な意見もあります。具体的には以下の3点です。

①トレーニング時間 ②疲労感 ③集中力・体力

2-1 全身法は長時間トレーニングになる?

最も多い全身法に対する批判がトレーニング時間の長さです。
長時間のトレーニングはコルチゾールの分泌を促進しカタボリック防止(筋肉の分解)を引き起こすため、マイナスになります。

そもそも仕事に勉強に忙しい中でジムにそんな長い時間を割けないしね

では実際に分割法よりも全身法の方がトレーニング時間が長いかと言うとそうとも限りません。
毎回部位が違うので種目毎にアップが必要になりますが、その代わり種目間にインターバルが必要ないからです。

また全身法と言うと分割法でやっていた全ての種目を1回のトレーニングでやると思われがちですが、実際はそうではありません。
メニューの組み方にもよりますが、1部位1種目だけなのでトントンか全身法の方がちょっと長いくらいに収まります。

2-2 全身法トレーニングは疲労感が強い?

分割法は1つの部位が極端に疲労する一方で、全身法は緩やかに全身が疲労します。
この差が違和感や疲労感に繋がりますが、それは最初のうちだけで要は慣れの問題です。

分割法の場合はいつまで続けても酷い筋肉痛が残りますが、全身法は2週間も続けてればあまり疲労を感じなくなります。
「これで良いの?」と逆に不安になるくらいです。

慣れ親しんだルーティンを変えることによってストレスも生じるので、それが疲労感を増してるとも考えられます。
いずれにせよ疲労について大きな心配は不要です。

トータルボリュームが同じなら理論上は疲労のトータルも同じはずだもんね

分割法の方が疲れがないとしたら、後半の種目で規定の負荷とレップ数を熟せてないからだね

2-3 全身法は集中力や体力に問題がある?

全身法に対する批判の中で真っ当なものがあるとすれば集中力や体力の問題です。
同じ部位や種目を長く続ける分割法に比べて、種目や部位の切り替えが多いせいで脳を疲労させるからです。

この疲労を身体の疲労と錯覚しちゃうってことか…

タスクの切り替えが多くなるほど脳のリソースを消耗していきます。
この影響を最小限にするため種目や重量は記録を付けておき、覚えておいたり思い出すロスを減らしましょう。

こういう意味でも上級者向きって言えるね

また部位の順番を固定しないことも重要です。
ただこれはあくまで脳の疲労によるパフォーマンス低下を回避するためです。
筋肉の疲労は局所で起きるため、協働筋でもない限り前の種目の影響はほとんど受けません。

だから種目間のインターバルが要らないんだね

まとめ

全身法トレーニングのメリットとデメリットについて解説しました。
フィットネス系インフルエンサーの影響で分割法が主流になりつつありますが、科学的に本当に筋肥大効果が高いのは全身法です。

・筋肥大効果 ・体脂肪燃焼効果 ・メンタル面のケア ・睡眠の質

ぼく自身も分割法から全身法に移行しましたが、中でも体脂肪燃焼は強く実感しています。
「運動量が増えたからだろ」ってツッコミが予想されるので先に言っておきますが、トータルのトレーニングボリュームは同じです。

全身で頻繁にアフターバーンが起きるからなんだよね

体脂肪が減少した分、身体のボリュームが落ちるので筋肥大効果については正確に確認できませんが、筋肉量や筋力が落ちている感はありません。

全身法に寄せられる様々なデメリットですが、いずれもあまり妥当な批判ではありません。
唯一妥当と思われる集中力や体力の問題も慣れれば過度に気にする必要はなくなります。

分割法での追い込みに慣れてると全身法に移行するのに抵抗があると思いますが、ぜひ試してみてほしいです。
具体的なメニューの組み方などは別のページで解説します。
てなとこで。

準備中