全身法トレーニングのローテーション|メニューの組み方を解説

1回のトレーニングで全ての部位を鍛える全身法は初心者向けのトレーニング手法と思われがちです。
しかし中~上級者こそ全身法が適しています。

全身法の非常に多様なメリットについては別のページで詳しく解説します。

このページでは具体的な全身法メニューの組み方について解説します。

1 全身法トレーニングのメニュー構成の基本

全身法トレーニングのメニューを組む時に意識すべきポイントは以下の3つです。

①パフォーマンス ②協働筋 ③ボリューム

1-1 全ての部位でベストを発揮する

まず重要になるのがトレーニング種目・鍛える部位の順番です。
種目や部位の順番は固定しないようにしましょう。大まかな方針としては中心から末端へ、でOKです。

問題は背中や胸など身体の中心に近い部位のトレーニング順序です。
ついつい重点的に鍛えたい部位から入ってしまいがちですが、これだとどうしても筋肥大に偏りが出てしまいます。
後半に設定された部位・種目は常に完全なパフォーマンスを発揮できないからです。

何となくいつも弱点部位とか好きな種目から入っちゃうんだよなぁ…

身体の疲労は局所ごと、つまり筋肉のパーツごとに起きると言われています。
そのため前半のトレーニングの影響をもろに受けるわけじゃありません。

とは言えその影響を全く無視できるわけでもなく、握力や体幹など共通して使われる部位の疲労の影響は必ず生じます。

1-2 協働筋の関係を意識したルーティン

他の筋肉の影響という点で言うと、協働筋の関係についても忘れてはいけません。
協働筋とは各筋トレ種目でメインの筋肉の補助として、トレーニング動作時に働く筋肉のことです。

ベンチプレスの三頭筋とか、懸垂の二頭筋とかね

しっかりフォームと効かせが意識できてれば、疲労の程度はメインの筋肉ほど強くはありません。
しかし少しの疲労でも扱える重量の最大値には大きく影響します。

協働筋として可動した筋肉をメインとするトレーニングを直後に持ってこないことはもちろんですが、協働筋を同じくする種目も連続しないようにしましょう。

1-3 全ての部位を毎回鍛えなくてOK

全身法トレーニングに対する最も多い批判がトレーニング時間の長さです。
確かに毎回全ての種目や部位を鍛えていればトレーニング時間は相当な長さになります。

長時間トレーニングしてるとカタボリック(筋肉が分解)しちゃう問題があるよね…

コルチゾールが多くなると免疫力も落ちるよ

しかし全ての部位・種目を毎回のトレーニングで行う必要は必ずしもありません。
特に回復に長い時間がかかる大きな筋肉は、高頻度でのトレーニングが逆効果になることもあります。
ジムに行く回数が多い場合は隔回とかにして頻度を下げましょう。

また脚や腹筋のようにスタミナがある筋肉は1回のトレーニングでボリュームが稼ぎやすいので、複数回にわたってやる必要はありません。

結局のところ一番大事なのは1週間でのトレーニングボリュームです。
これさえしっかり稼げれば、週何回やるかはそこまで重要じゃありません。

こう考えると極端に分割の少ないスプリットトレーニングとも言えそうだね

2 全身法のトレーニングメニュー

全身法で具体的にどのようにメニューを組むのかを解説していきます。

既に話したとおり筋肥大において重要なのはトータルのトレーニングボリュームです。
トレーニングの大方針としては以下の2つのうちのいずれかになります。

①筋トレ(ジム通い)の回数が少ない代わりに1回のボリュームを増やす
②筋トレ(ジム通い)の回数を多くして1回のボリュームを減らす

1種目5~6セットで週2回やるか、1種目2~3セットで週4回やるかって感じ

2-1 基本の全身法トレーニング

トレーニングで細かい分割をしない、ザックリとした全身法トレーニングから紹介します。
こちらで行うトレーニングはシンプルに、複数の筋肉を動員する主要なコンパウンド種目だけです。

代表的なコンパウンド種目には以下のようなものがあります。

種目メイン協働筋
ベンチプレス大胸筋上腕三頭筋
三角筋(フロント)
ラットプルダウン広背筋
大円筋 
上腕二頭筋
上腕三頭筋
ローイング僧帽筋上腕二頭筋
三角筋(リア)
スクワット大腿四頭筋
大臀筋
ハムストリングス
デッドリフト大臀筋
ハムストリングス
僧帽筋
広背筋
前腕の筋肉群

ほとんどの種目で腹筋もアクティブになるよ

腕や肩なども協働筋として可動するので、おおよそこの5種目だけで全身を満遍なく鍛えることが出来ます。
この種目を順番を入れ替えながらやるだけでOKです。
これくらいなら初心者でも問題なくこなせるかもしれません。

非常にシンプルで、かつコンパクトにトレーニングを終えられるのがメリットです。
長時間トレーニングによるカタボリックを警戒する人や、そもそもジムにそんなに時間を取れないって人に適しています。

ただし腕や肩は協働筋として鍛えるだけなので、本格的に筋肥大させるには少し刺激が不足する可能性があります。
弱点とか特に強化したい部位だけは別に種目を加えるという方法もオススメです。

特にミドルデルタ(三角筋中部)はこのメニューでカバーしにくいからサイドレイズとか足しても良さそうだね

2-2 分割法から全身法に移行する場合

フィットネス系のインフルエンサーやYouTuberの影響で、ナチュラルトレーニーでも多くの人がブロスプリットトレーニング(細かい分割法)を行ってると思います。

そこから全身法に移行するとなると、やりたい種目が多すぎてトレーニングボリュームや筋トレ時間が膨大になってしまいます。
とは言え複数種類の種目で多様な刺激を与えることも重要なので、無理に削減する必要はありません。

そこで分割法から全身法に移行する場合は以下のようにメニューを縦割りにすることをオススメします。

縦割りが全身法で、横割りが一般的な分割法ってことになるね

部位種目①
ミッドレンジメイン
種目②
コントラクトメイン
種目③
ストレッチメイン
大胸筋ベンチプレスインクラインプレス
デクラインプレス
ダンベルフライ
ケーブルクロス
三角筋
(フロント)
ショルダープレスフロントレイズ
三角筋
(ミドル)
サイドレイズインクラインサイドレイズ
三角筋
(リア)
リアレイズライイングリアロー
僧帽筋ローイングシュラッグデッドリフト
広背筋懸垂プルオーバーベントオーバーロー
二頭筋アームカールオルタネイトカールインクラインカール
三頭筋フレンチプレスケーブルプレスダウンナローベンチプレス
上腕筋プリ―チャーカールリバースカール
腹筋アブローラークランチサイドベント
下半身スクワットレッグエクステンションバーベルランジ

大抵は1つの部位に対して3種目の分割をしてるはずなので上手くハマると思います。
種目数が多くないパーツは無理に毎日やらなくてもOKです。
均等に割り振って定期的に筋肉合成のスイッチを入れてやるようにしましょう。

具体的なスケジュールは以下のような感じです。

オフ種目①オフ種目②オフ種目③種目②

特に重点的にやりたい種目の回だけは週に2回やる方法をぼくは採用しています。
(この例で言うところの「種目②」のような感じ)

既に解説したとおり、全ての部位で均等にベストパフォーマンスを発揮させたいので、中心部の主要な筋肉は順番を入れ替えるようにしてください。

まとめ

全身法トレーニングのメニューの組み方について解説しました。

毎回のトレーニングでほぼ全ての部位を鍛えるので、種目の順番は非常に重要です。
つい同じローテーションで続けてしまいがちなので注意しましょう。

メニューの構成については、どれだけ細かく多くの種目を取り入れるかによって大きく異なります。
ベースはコンパウンド種目だけでOKです。

「だけ」と言いつつ負荷がどれも大きいから、なかなかハードなトレーニングになるよ

または分割法で行っていた種目を何回かのトレーニングに分ける方法もあります。
個人的なイメージとしてはPOF分割法といった感じです。

ミッドレンジ種目メニュー、コントラクト種目メニュー、ストレッチ種目メニューみたいな感じね

1回のボリュームは週に何回トレーニングするかによっても変わります。
ぼくの場合は週に5回のトレーニングなのでセット数は落として、①~③を通してオフを挟んで①と③をやっています。

オフ種目①種目②種目③オフ種目①種目③

みなさんも自分にあった方法でメニューを組んでみてください。
てなとこで。