【腕の基本種目】ダンベルアームカールのやり方|効かせるコツ
アームカールは腕を鍛える基本的な種目の1つです。
動作自体はシンプルな見た目なので扱う重量だけがカギのようにも思えます。
しかし筋肉は見かけよりも複雑な構造をしていて、それに合わせた細かなコツが存在します。
また簡単という誤解ゆえにテキトーに動作して、NGパターンに陥ってる人も多いです。
このページではアームカールのやり方、コツやテクニックについて解説します。
・アームカールの基本的なやり方
・重量やセット数の設定方法
・トレーニング上の注意点
・効かせるためのコツやテクニック
・アームカールのバリエーション
1 アームカールの基本的な知識
細かい注意点やテクニックについての話に入る前に、アームカールに関する基本的な知識をさらいます。
「コツだけ知りたいんだ!」って人は読み飛ばしてOKです。
1-1 アームカールの目的
アームカールは細かい動きを除けば肘関節だけが可動する単関節(アイソレート)種目です。
解剖学的に言うと肘関節の屈曲のみになります。
負荷はおよそ動作の中間ポイントで最大になるので、ミッドレンジ種目に分類されます。
そしてこの動作によって鍛えられる(関与する)筋肉は以下のとおりです。
主動筋 | 上腕二頭筋 |
協働筋 | 上腕筋 腕橈骨筋 |
腕の筋肉で目立つのは上腕二頭筋と上腕三頭筋の2つですが、実は意外に多くの筋肉があります。
アームカールと言うと「上腕二頭筋を鍛える種目」という認識が一敵だと思いますが、上腕筋などマイナーな筋肉にも効果があるのです。
因みに海外ではバイセップスカールという呼称もありますが、呼称が違うだけで中身はアームカールと同義です。
バイセップスって上腕二頭筋を英語で言っただけだからね
1-2 アームカールのやり方
アームカールは大まかに今のような流れで行います。
①スタンスを固める
ダンベルを両手に持ち、足を肩幅に開いて立ちます。
動作に集中するために安定感を確保することは重要です。
②ダンベルをセット
両腕は自然な形で下ろし、ダンベルは体側にセットします。
この時に手のひらを正面に向けます。
③ダンベルを挙げる
手の向きをキープしたまま、肘を曲げてダンベルを挙上します。
肘の屈曲角度は140~150°程度なので、そこまで挙げましょう。
拳が真上を向くまで挙げようとする必要はないよ
④ダンベルを下ろす
トップに到達したら元の位置までダンベルを下ろします。
下ろす時も手のひらを前に向けた姿勢をキープしましょう。
2 アームカールの負荷設定やセット数
一般的に設定する負荷の大きさや回数(RM)は目的によって変わります。
具体的にはおおよそ以下のとおりです。
目的 | RM | 強度 |
---|---|---|
筋力アップ | 3~7RM | 83~93% |
中間 | 8~12RM | 70~80% |
筋肥大 | 13~19RM | 62~67% |
筋持久力 | 20RM以上 | 60%以下 |
アームカールでメインターゲットとなる上腕二頭筋においてもほぼこの認識でOKです。
ただし上腕二頭筋を含めた腕の筋肉は高回数に反応しやすい傾向があります。
そのため、目的ごと上限寄りの回数に設定するのが良いでしょう。
筋力アップなら7RM、筋肥大なら16RMって感じだね
上腕二頭筋はあまり大きな筋肉ではありませんが、回復にはそれなりの時間がかかります。
そのためインターバルはやや長めに取りましょう。
だいたい2分から3分くらいかな
ただし高校回数に強いことからも分かるとおり、スタミナはそこそこあります。
なのでセット数は4~5セットと多めでもOKです。
項目 | 設定値 |
---|---|
重量・回数(RM) | 16RM |
インターバル | 2~3分 (回復にはやや時間がかかる) |
セット数 | 4~5セット (スタミナはある筋肉) |
3 アームカールの注意点
アームカールで注意すべき点は以下のとおりです。
①肘の位置 ②チート ③肩の高さ ④下ろし方 ⑤可動域
3-1 肘の位置を変えない
通常のアームカールの場合は肘の位置をスタートからゴールまでなるべく変えないように注意しましょう。
3-1-1 前に動くパターン
ありがちなのはダンベルを挙げる動作に伴って、肘の位置が前に移動してしまうパターンです。
これを極端にしてしまうとトップで負荷を受けるのが肘だけになり、二頭筋に負荷がかからなくなってしまいます。
上腕二頭筋は肘と肩を跨ぐ2関節筋なので、収縮に伴って肩が動作して肘が前に動くのも多少は仕方ありません。
そのため「絶対に動かさない!」とまで意識しなくてもOKですが、なるべく動かさないようにしましょう。
あんまり頼り過ぎるともはやフロントレイズになっちゃうよ
たまにどっちやってるのか分かんない人いるよね…
3-1-2 後ろに動くパターン
1つめのパターンに比べると少ないですが、肘を後方に引きながらダンベルを挙げてしまうケースもNGです。
これをするとドラッグカールという別種目になってしまいます。
これがNGなのは以下の2つの理由からです。
①関与する筋肉 ②可動域
まずシンプルに動作に関与する筋肉の数が増えるからです。
つまりそれだけ上腕二頭筋にかかる負荷は小さくなります。
もう1つの理由が有効な可動域が狭くなることです。
ボトムから前腕が水平になる位置までしか上がらないので、単純計算で有効な負荷の範囲はアームカールの半分になってしまいます。
ドラッグカールはアームカールの1.5倍弱くらいの重量が適正だよ
3-2 アームカールはチート種目の代表格
アームカールはチーティングが起こりやすい種目です。
言わずもがなチートしてしまえば上腕二頭筋にかかる負荷は小さくなります。
アームカールでよくあるチートの方法は以下の2つです。
①身体を反らす ②膝を使う
1つめが動作の中間付近で上体を反らしてしまうチートです。
これをやってしまう人はかなり多いと思います。
動作の中間はスティッキングポイントと言われ、動作がつまりやすいポイントだからです。
ここで上腕二頭筋にモロに負荷がかかるので、ここでチートしてしまうということは重量が合ってないということになります。
もう1つが膝の屈伸を使ったチートです。
これはボトムから反動を使ってしまうことになります。
そのため動作の中間どころか、ほとんどの部分で負荷がかかりません。
上腕二頭筋にとってはほぼ完全に無意味な運動です。
リズミカルな反復がクセになってる人は特に要注意だよ!
3-3 肩を竦めない
ダンベルを挙げようと力むあまり、肩に力が入ってしまうのもよくあるパターンです。
これもアームカールの妨げになります。
ただこちらは解剖学的に上腕二頭筋の発達を妨げるというわけではありません。
単純に僧帽筋の疲労によって、アームカールの継続が妨げられてしまうとういうことです。
サイドレイズなどでも僧帽筋に負荷が入ってしまうタイプの人は、特にオーバーワーク気味です。
さらに二頭筋でもとなると、かなり影響は大きくなります。
こういう人はチートもしてるはずだから重量を見直してみよう
3-4 コントロールしながら下ろす
一気に下ろすのではなくコントロールしながら下ろすというのも重要なポイントです。
理由は大きく2つあります。
①エキセントリック収縮 ②靭帯の保護
アームカールに限ったことではありませんが、ネガティブまでしっかり動作することが重要です。
ネガティブ局面で起こるエキセントリック収縮は発揮する力が大きくなります。
またネガティブをコントロールしないと、一連の動作の半分は脱力した状態ということです。
単に動いただけでは運動ボリュームとはカウントされないので、筋肥大効果も単純に半減してしまいます。
もう1つアームカールでよく起こるのが肘の内側の痛みです。
この場所は靭帯に当たります。
ここが痛む理由もまたネガティブ動作のコントロール不足です。
筋の緊張を解いてしまうと一気にダンベルが下降します。
そして落下の勢いが付いたダンベルの負荷を受け止めるのが靭帯というわけです。
靭帯だけじゃなくて肘関節にもかなりの負担がかかりそうだね…
3-5 可動域を広く取る
これまたアームカールに限ったことじゃありませんが、可動域を広く取ることも重要です。
その理由は大きく2つあります。
①ボリューム低下 ②局面の不足
まずシンプルに可動域が狭いということは、上腕二頭筋の運動距離が短くなるということです。
つまりトレーニングボリュームが小さくなります。
現在のトレーニング理論の主流は「ボリューム=筋肥大」であり、これが不足すれば筋肥大の効率は低下してしまいます。
また力の発揮しやすいパーシャルレンジだけの動作になると、可動域の端を使わなくなります。
つまり収縮やストレッチが不足するということです。
筋肥大のために特にストレッチは重要とされています。
アームカールの場合、ボトムポジションでは有効な負荷はほとんどかかりません。
それでもしっかり下ろしきる方が筋肥大効果が高いことも確認されています。
アームカールは特に見栄張ってオーバーウエイト/パーシャルレンジやりがちだから注意して
4 アームカールを二頭筋に効かせるコツ
アームカールはシンプルな動作なので、他の部位の種目に比べればターゲットに効かせやすい種目です。
それでも十分ですが、より筋肥大効率をアップさせるために効かせるテクニックも取り入れてみましょう。
もちろんなかなか効かせにくいって人にもオススメだよ
ここで紹介するアームカールのコツ・テクニックは以下のとおりです。
①リストラップ ②握り方 ③アームブラスター ④手幅 ⑤手の向き ⑥手首の角度
4-1 リストラップで手首を守る
アームカールでよく起こるダメージが手首のケガです。
これはダンベルの重さに手首を屈曲(掌屈)させる筋力が負けてしまっているからです。
具体的には浅指屈筋・深指屈筋って筋肉ね
もちろんこの筋力をつけることも重要ですが、発達までは別の手段でカバーする必要があります。
そこでオススメなのがリストラップです。
ベンチプレスやショルダープレスなどのプレス種目で主に用いられますが、アームカールの手首保護にも役立ちます。
手首が安定することで痛みや前腕に意識を取られることなく、二頭筋の動作に集中しやすくなります。
4-2 握りの工夫で二頭筋を活性化
ダンベルのグリップ方法によっても上腕二頭筋への効きを高めることができます。
方法は至って簡単で、親指・人差し指側の握りを強くするだけです。
これら2本の指は正中神経というものを通して上腕二頭筋と繋がっています。
そのためここの握りを強くすることで神経伝達をアクティブにして二頭筋の活性を高められるのです。
ただし握りを強くすることに頼り過ぎると、今度は握力の消耗が激しくなってしまいます。
なので握りだけでなく、ダンベルの重心を2本の指の側に傾ける工夫も併せてしてみましょう。
4-3 肘の位置を固定する
肘の位置を固定するのはアームカールにおいて地味ながら意外と重要なファクターです。
しかし意識だけでコントロールするのは簡単ではありません。
プリーチャーカールなどの種目であれば、スタンドで肘の位置を固定することができます。
しかし通常のアームカールではそうもいきません。
そこでオススメしたいのがアームブラスターというトレーニングギアです。
羽の付いたエプロンのようなギアで、首から提げて使います。
羽に肘をセットすることで、それ以上肘が後ろに後退しなくなります。
前に動くのは止められませんが、上腕が安定するので動作に集中しやすいです。
4-4 手幅で効く場所が変わる?
アームカールは「手幅によって効く場所が変わる」という説があります。
具体的には手幅が広いと内側(短頭)・狭いと外側(長頭)に入りやすいということです。
これは半分正解で半分は不正解になります。
手幅を狭くする影響については真実です。
これは短頭(内側)だけが肩の水平内転に関与しているからです。
筋肉には既に機能を発揮してるものはアクティブになりにくい性質があります。
これは他の筋肉にも通じる大事な性質だね
手幅を狭くしようとすると肩関節を内側に回転させる動作が入るため、常に水平内転動作をした状態になります。
その結果、内側がアクティブになりにくく、外側が優位になりやすいということです。
半分不正解ってのは広くしたからって内側が優位になりやすいことはないからだよ
4-5 手の向きでさらに活性化
スタートポジションから手のひらを正面に向けた姿勢が最もオーソドックスな方法です。
これでも効果的なのですが、少し工夫することでさらに効果を高められます。
具体的にはスタートポジションでは親指を正面に向けたハンマーグリップでセットする方法です。
肘を曲げてダンベルを挙上するのに合わせて徐々に手のひらを上に向けるように回転させていきます。
上腕二頭筋にはこの前腕を外向きに回転させる回外作用があり、その作用をアクティブにするためのテクニックです。
なるべく全ての機能を果たすように動作した方が、ターゲットの筋肉により効果的な刺激を与えることが出来ます。
ダンベルの回転に振り回されないように注意してね
この回外の動きもあくまでコントロールしながらってことだね
4-6 手首を反らすと二頭筋がアクティブに
最後のテクニックは万人にオススメ出来るわけじゃありません。
手首を外に返した状態でカールすると上腕二頭筋の活性が高まります。
これは手首を真っ直ぐ、または掌屈(内側に返す)するのに働く前腕の筋肉の活性を下げられるからです。
その分だけ上腕二頭筋の仕事が増えて、かかる負荷も高くなります。
前腕の疲労でセットを終える問題もなくなるね
ただしこの姿勢は手首の負担が大きいので、ケガのリスクも高まります。
軽い重量から試してみて、違和感があるようなら中止しましょう。
5 アームカールのバリエーション
最後にアームカールのバリエーションを紹介します。
様々なカール種目がありますが、ここではメイン解説に合わせてミッドレンジのカールに絞っての紹介です。
①シーテッド ②ワンハンド ③バーベル ④EZバー
5-1 シーテッドアームカール
シーテッドアームカールはベンチなどに座って行うアームカールのバリエーションです。
チート予防が主なメリットになります。
座ることで脚力を使えなくなるので、膝を使ったチートは使えません。
上体を反らすチートは使えてしまいますが、ベンチの背を垂直まで起こせばそれも予防できます。
バーベルだとベンチとか脚が邪魔になるからダンベル限定の方法だね
5-2 ワンハンドアームカール
ワンハンドアームカールはその名前のとおり、片手で行うアームカールのバリエーションです。
片手ずつ動作を行うので、細かいテクニックまで集中しやすくなります。
また空いてる手で壁や柱を支えにして、身体を安定させられるのもメリットです。
体幹が安定する分、通常より大きな負荷を扱うことができます。
両手にダンベルを持って交互に挙げるオルタネイトカールもあるよね
片手ずつ動作できるけど、持ちっぱなしも疲れるし対象の筋肉への集中具合ならやっぱりワンハンドかな
5-3 バーベルカール
バーベルカールはバーベルで行うカール種目です。
両手で保持するため動作が安定し、高重量を扱えます。
ただ重量が増えれば身体全体にかかる負荷も大きくなるので、特に体幹などが弱いと扱いきれません。
チートなどにも頼りやすくなります。
シャフト本体が重いから重量の細かい調整ができないね…
またダンベルカールの場合は、挙げながら前腕を回外することで収縮を高めるなどの工夫が可能ですが、バーベルカールはそれが出来ません。
常に回外位で固定だから特に長頭(外側)には効きにくくなるよ
5-4 EZバーカール
EZバーとは中心が折れ曲がった形状のバーベルです。
その形状からWバーなどと言われることもあります。
このバーのメリットは手首の負担が少ないことです。
バーベルやダンベルでは負荷が手首を返す方向にかかってしまいます。
しかしEZバーでは持ち手が斜めで、前腕が完全には回外しません。
そのため手首が返されにくくケガをしにくくなります。
あとのメリット・デメリットはバーベルカールと一緒だよ
まとめ
上腕二頭筋を鍛えるアームカールについて解説しました。
簡単な動作に見えて意外と奥が深い種目です。
チートや可動域の縮小などのリスクが高いことから、負荷よりも回数やセット数を優先しましょう。
高回数に反応しやすいって特性もあるしね
アームカールをやる上での注意点は以下のとおりです。
NG行為 | 理由 |
---|---|
肘を前後させない | 上腕二頭筋への負荷が下がる |
身体を倒さない 肘を使わない | 二頭筋への負荷がなくなる |
肩を竦めない | 二頭筋の動作に集中できない |
一気に下ろさない | ネガティブのロス 靭帯・肘関節のケガのリスク |
ボトムまで下ろす | ボリューム 筋肥大効果の低下 |
またアームカールで二頭筋に効かせるためのコツやテクニックは以下のとおりです。
テクニック | メリット・狙い |
---|---|
リストラップ | 手首の保護 二頭筋の動作に集中 |
親指・人差し指に力を入れる | 正中神経を介して二頭筋を活性化 |
アームブラスター | 肘の後退を止める |
手の向き | 手のひら前向き=内側 手のひら体側=外側 |
手首の角度 | 外に返すことで前腕の関与が減る |
アームカールのバリエーションもいくつか紹介しました。
特徴をまとめると以下のとおりです。
バリエーション | メリット | デメリット |
---|---|---|
シーテッド | 下半身のチート予防 (背を起こせば上半身のチートも) | |
ワンハンド | 動作への集中 負荷のアップ | トレ時間が延びる |
バーベル | 負荷のアップ(動作の安定) | 体幹がネック 手首の自由度が低い(回外不可) チートに逃げやすい |
EZバー | 負荷のアップ(動作の安定) 手首の保護 重量の調整がしやすい | 体幹がネック 手首の自由度が低い(回外不可) チートに逃げやすい ジムに無いことも… |
単純そうに見える動作も深掘りすると色々なポイントがあります。
全てを採用する必要はないので、必要なもの意識しやすいものを取り入れてみましょう。
てなとこで。
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