【目指せ優等生】いくら貯金すれば十分なのか?目標とすべき貯蓄率
貯金して将来の支出や老後の生活に備えることの重要性は〇ぬほど強調されています。
なので(実際にやるかはさておき)貯金そのものが必要なことは分かってる人がほとんどでしょう。
これからは自助努力の比重が上がるもんね
公助(年金とか)を当てにしてたらマジで詰む
一方で「具体的にどれくらい貯金すべきか?」については情報が少ないです。
「その人による」ってクソほどつまらない結論を出しても良いんですが、それは何も答えを出してないも同然なので、個人的ですが見解を示そうと思います。
貯めろ貯めろ言うけどどれくらい貯めりゃ良いのよ?って感じよね
やるかどうかはその辺を聞いてからってとこかな?
貯金捻出のレベルについて考え方は大きく2つあると思います。
出費項目を明確にして、その支出に備えるための貯金を作るって考え方がまず1つです。
FPがテンプレの相談対応でやるライフプランニングがまさにそれ
ただこの方法はそこまで実践的じゃありません。
ある程度の目途はつけられますが、あくまで「平均的な」人たちのパターンを参考にしてるだけで、これは実在しないテンプレをモデルにしています。
平均は存在しない数字なので、それに基づいて計算した数字は当てになりません。
またそもそも人生には想定外がつきもので、その可能性が多分に残されてる以上、安心はできないでしょう。
予定外に結婚したり、公立前提のはずが私立に行きたがるとか、親の介護が早く始まるとか…。
なので、十分と言える貯金は使い道から算出するんじゃなく、自分の収入(≒生活水準)との対比で計算していく方が妥当です。
その捻出をどれくらいにするかを複数のパターンで提示していきます。
1 みんなの貯蓄率ってどれくらい?
まずは誰もがつい気にしてしまう「みんなどうしてる?」ってやつです。
これは金融広報中央委員会の調査・統計資料(家計の金融行動に関する世論調査)が参考になります。
まず現時点でどれくらいの資産額(貯金以外も含む)を持ってるのかを年代別に以下に示します。
平均値と中央値がありますが、平均は極端な値に引っ張られて歪みやすい数字なので、中央値の方が実感には近いんじゃないでしょうか?
ここの値は令和5年の調査結果だよ
年代 | 平均値(万円) | 中央値(万円) |
---|---|---|
20代 | 249 | 30 |
30代 | 601 | 150 |
40代 | 889 | 220 |
50代 | 1147 | 300 |
60代以降は退職金のチートの影響大で参考にならないからカット
続いては収入からの貯蓄率です。
収入金額に開きがあり、その大小が多少は資産額に影響すると考えられるので、捻出する率の方が現実的かもしれません。
個人的に収入の多さは貯金に関係ない派だけど
年代 | 貯蓄率(%) |
---|---|
20代 | 14 |
30代 | 14 |
40代 | 12 |
50代 | 12 |
因みにここ最近のぼくの貯蓄率は79%くらい
自慢かよ
ここで示した数字は令和5年のものですが、コロナ期間中は貯蓄率がこれより高い水準でした。
少し不安が和らいだのか、コロナの行動制限で締め付けられた反動のリベンジ消費が増えたのか、少し貯蓄率は低くなってます。
給料は上がらないのに物価だけ上がった影響もあるかもね
この数値を見る限り、大体10%より多めに捻出できていれば標準的って感じると思いますが、これが平均値ってことには注意しましょう。
平均と中央値の乖離の大きさからも分かるとおり、かなり資産が少ない方向に偏っています。
以下に年代ごとの資産ゼロの割合を示します。
年代 | 貯蓄率(%) |
---|---|
20代 | 36.8 |
30代 | 28.4 |
40代 | 26.8 |
50代 | 27.4 |
このように資産ゼロの割合がどの年代も30%前後で推移してます。
3分の1くらいがゼロって考えると、その影響はかなり大きいでしょう。
しかもこの資産ゼロの割合は増加傾向にあり、かつ平均値と中央値の乖離も年々大きくなっています。
つまり中間が消えて底辺とトップへの二極化が進み、かつその差が拡大しているってことです。
平均の貯蓄率はこの下に大量に溜まった底辺層にかなり引き下げられてるので、この数字を当てにし過ぎると、そちらに寄って行ってしまいます。
標準を目指して安心とも言えなさそう…。
そもそも「普通」の人たちみんなお金に苦労してるからね
2 古代から貯金に関する教えはある
2つ目に紹介するのが「バビロンの大富豪」っていう書籍で述べられてる貯金理論です。
お金の世界では超有名な本で、もはや古典と言っても良いと思います。
なんと100年以上前(1926年)に執筆された本
それが今もなお名著としての地位を維持し続けてるんだね
古代世界で最も繁栄したって言われるバビロニア帝国の「繁栄と富と幸福」について書かれた粘土板の内容をベースに書かれた本だそうです。
これはめちゃ余談ですが、大国の基盤と考えると力強いですよね。
この中の第一の知恵として「財布を太らせることから始めよ」が挙げられています。
つまり先取り貯蓄が重要だってことです。
そして具体的な先取貯金率として、手取りの1割を貯金して死守せよと主張しています。
つまり古代のお金持ちであるバビロニア帝国が推奨する貯蓄率は10%ってことです。
理由は大きく以下の2つが挙げられています。
・10%を継続してればそれなりの資産になる
・あまり貯蓄率を上げても無理が祟って挫折しちゃう
資産形成と継続のバランスを見て10%なんだね
大卒サラリーマンの生涯年収が手取りにして2億円くらいって言われてます。
なので新卒から退職まで手取りの10%貯金を続ければ2000万円になるってことです。
これを投資運用に回せば老後資金も十分にまかなえそうだね
ちなみに「収入がどんなに少なくても」と補足されています。
「収入が多ければ」とか「貯金に回す余裕ができたら…」とか言い訳してるとバビロニア人にシバかれるのでご注意ください。
ただこの水準は先の世論調査の数字で「平均的な」人はクリアしてるので、「じゃあ大丈夫じゃん」ってなるかもしれませんが、正直なとこ怪しいです。
というのも10%貯金で2000万円になるのは、「平均的な」生涯年収を稼いだ場合ですし、そもそも2000万円で十分って言えるでしょうか?
年金は先細りだし物価は上がる一方だし…
老後2000万円問題なんてのも話題になったので、一定のラインと考えてる人も未だにいるようですが、状況は時々刻々と変わっていきます。
物価や消費の構造が変わっても給料がそのままなら貯蓄率を維持してたら確実に足りなくなるってことは押さえておきましょう。
あくまで太古の昔(バビロニア帝国の時代)の話ってことか…
3 日本のお金エリートの考え方
実は日本にもお金に関するエリートが存在します。
それが「私の財産告白」を書いた本多静六さんです。
「私の財産告白」も70年以上前(1950年)に書かれた本ですが、「バビロンの大富豪」と同じく、お金に関する名著の地位をキープし続けています。
漫画化で認知を拡大したバビロンの大富豪ほどじゃないですが、お金持ち界隈ではけっこう有名です。
本多静六さんは日本公園の父と呼ばれる人で明治神宮とかの設計に携わっていました。
キャリアでは東大教授まで昇り詰めるほどで、かなりステレオタイプ的な見方ですが真面目なお人柄で貯金とも相性が良さそうですね。
飼えないのに捨て犬をほっとけないのび太君気質なのか、家が居候(人間)まみれになってしまい、それを養う費用で貧乏危機に陥ってしまいました。
そこで25歳の時に「4分の1天引き貯金法」を開発して資産形成を進めていったそうです。
本多静六さんの推奨する貯蓄率は手取りの25%なんだね
バビロンの大富豪に比べるとちょっとハードルが高く感じる人が多いかも
さらに臨時の収入については満額を貯金に回すべきと主張しています。
現代であればボーナスや投資の利益・配当などは1円も使わず、全て使わず貯金・再投資に回せってことです。
ちなみに何故4分の1に設定したのか、肝心の貯蓄率設定の理由については不明ですが、これを実践したおかげでかなり若くして資産家になったのは事実です。
開始後15年、40歳にして「資産収入>大学の給料収入」になったようなので、日本における元祖FIRE民です。
まさにトマ・ピケティの「r>g」を体現
経済的な自立を達成したいならこれくらいの貯蓄率が必要だと考えられます。
当時はこれで経済的な自立となりましたが、現代では25%の貯金とその投資リターンだけじゃFIREは難しいんじゃないかなってのがぼくの見方です。
FIREしたいならこれでもまだまだか…。
因みに本多さんは早期リタイアせず、60歳まで現役で働き続けたらしいよ
4 資産形成の優等生になりたい人へ
最後に紹介するのが最もハードな基準になります。
教材はトマス・J・スタンリーの著書「となりの億万長者」で、古典ってほどじゃないけど長く読み継がれてるお金の名著です。
億万長者・資産家はすぐそこにいるって匂わすタイトルからも分かるとおり、ホンモノの資産家はその辺のパンピーと見分けがつかないくらい質素な生活をしてるってことです。
「金持ち」って聞いて一般的にイメージするような豪邸・高級車・ブランド品みたいな分かりやすい感じは全くありません。
収入より遥かにすくない金額で生活するドケチ的な内容だよ
その収支バランスだからこそ大きな資産を築けたってことだね
この本では明確な貯蓄率が示されてるわけじゃありません。
代わりに期待資産額って考え方が示されていて、蓄財優等生に該当するかどうか判断する指標について述べられています。
【期待資産額の計算】
年齢 × 年収 ÷ 10 = 期待資産額
これを達成している人が蓄財優等生で、これ以下の場合は残念ながら劣等生の烙印を押されてしまいます。
30歳で年収400万円の場合の期待資産額は1200万円です。
かなり資産形成に振り切ってないとなかなか達成できない水準なので、蓄財優等生に認定されるのはかなりハードな道と言えます。
正直なとこ、真正面からダイレクトアタックを受け止めるのは微妙な基準でもあると思います。
理由は以下のとおりです。
・年齢と労働期間が必ずしもリンクしない
・給料の上がり方に職種などで差がある
・アメリカと日本だと税制が違う
年齢を追う毎に稼ぎ出した総額が増えていくし、昇給・キャリアアップにより年単位で稼ぐ額が増えてくって前提があると思います。
ただ全期間を労働してるとも限らないですし(20代なんて人生の大半が学生)、給料がスムーズに伸びてくとも限りません。
職種によって給料の増え方が違うもんね
一定のペースで増えるか、後半で一気に伸びるか、ほぼ昇給しないか
また日本とアメリカとでは税制や年金の体系が異なります。
収入の額面が同じでも、手取りにした時にだいぶ開きがある可能性も考慮しなければいけません。
とは言え切り捨ててしまうのもアレなので、貯蓄率を試算してみました。
順調に昇給してったと仮定して平均年収と期待貯蓄額の関係がどうなってるかを計算すると以下のようになります。
年代 | 平均年収(万円) | 期待資産額(万円) | 貯蓄率(%) |
---|---|---|---|
25歳時点 | 426 | 1065 | 83.3 |
35歳時点 | 546 | 1911 | 26.9 |
45歳時点 | 629 | 2830 | 19.5 |
55歳時点 | 642 | 3531 | 16.6 |
さすがに20代は非現実的すぎますね。今のぼくでもギリムリです。
就職後の3年間で1065万円も貯蓄しようとしたら、ほとんどお金を使えません。
20代は学生も含まれていてかなり不利っていうか達成が困難なので、これを除いた世代の平均を計算すると凡そ35%前後ってことになります。
なので本田先生よりもさらに厳しい基準ってことです。
とは言え30%なら完全にムリな水準でもありません。
ぼくは貯蓄率79%なのでもちろん蓄財優等生にランクインしてますし、その半分でOKならやる気しだいでけっこうな人が行けるんじゃないかと思います。
ただかなり資産形成に振り切った体制ですし、蓄財優等生・質素な億万長者を目指すってだけの基準です。
そこを目指すわけじゃないなら、もう少し緩めても良いかもしれません。
ここまで来ればお金の面でほぼ安心なのは間違いないけどね
安全圏の貯蓄率は25~35%くらいってことか…
まとめ
どれくらい貯金できれば良いんだろ?って話でした。
「家計の金融行動に関する世論調査」で世の中の現実を見てみると、おおよそおおよそ10~15%くらいになってました。
ただし全く貯金してない人も2割くらい含んでの平均値なので、かなり低い方向に引っ張られてると思います。
大多数の人がお金に苦労してるのを見ると平均じゃ足り無さそう…
お金に関する古典である「バビロンの大富豪」では10%の先取り貯金が推奨されています。
そして日本のお金に関する古典である「私の財産告白」では毎月の手取りの25%と臨時収入の全額を貯金せよとのことです。
お金の名著である「となりの億万長者」では明確な貯蓄率は示されてませんが、代わりに蓄財優等生の認定基準が述べられています。
そこから無理くり計算すると35%くらいになりそうです。
・そこそこ堅実な貯金をしたければ10%くらい
・それなりに大きな資産を築きたいなら25%くらい
・安心に近いレベルを目指すなら35%くらい
こんな感じでしょうか?
最初に言ったクソつまらない、何も得るもののない回答ですが、最終的には人によるって結論に至ります。
ある程度のライフプランニングで必要な支出を洗い出した上で、変動に耐えうるバッファを用意することで、安心できる貯金レベルを確保してください。
ただし「額」で算定するのはあまりオススメしません。
「貯められるようになったら貯めよう」と先延ばしにし続けてしまうので、毎月の貯蓄率を設定してライフサイクルに組み込み、常に貯金を捻出し続ける体制を作っていきましょう。
てなとこで。
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