【GI値?多糖類?】吸収の遅い糖質の選び方|具体的な食べ物
糖質制限がダイエットの中心に回帰して久しいですが、糖質を過剰にカットすることはむしろ逆効果になります。
糖質の重要性について詳しくはこちらのページで解説しました。
しかし糖質が必要だからと言って、どんな食品から摂取しても同じというわけではありません。
これは同じカロリーでも食品やバランスによって結果が大きく変わるのと同じことです。
このページでは大事な糖質の摂取源を取捨選択する重要性とその方法について解説します。
1 糖質源を選ぶ意味
糖質はどんな食品から摂取しようとも1g当たり4kcalには変わりありません。
しかし重要なのはカロリーではなく、その性質です。
ではどんな糖質を避けるべきか?簡単にいえば吸収の速い糖質です。
それには以下の2つの理由があります。
①エネルギー・パフォーマンスの低下 ②太りやすくなる
まず素早く吸収される糖質は急激に血糖値を上げることになります。
急激に上がった血糖値は急激に下がり、元の水準を下回ることもあります。
これによりエネルギー源である血液中の糖が急速に失われるので、倦怠感や集中力の低下を招いてしまうのです。
尖ったグラフになるから、血糖値スパイクって言われるよ
また急激に上がった血糖値を下げるためにインスリンが分泌され、細胞への取り込みを促進します。
しかしハードな運動で細胞内のグリコーゲンが枯渇でもしてない限り、細胞には不要なものです。
そうなると余った糖は体脂肪として合成されることになります。
また過食を促すという点でも吸収の速い糖質は肥満の原因です。
血糖値スパイクが起きると過剰に血糖値が下がってしまいます。
そうなると体内では低血糖・エネルギー不足の状態になるので、空腹を感じさせて食事を促します。
これがいわゆる腹持ちの悪さの原因です。
パンの腹持ちが悪いのはスカスカだからじゃないんだね
そして急激な血糖値の上昇に対処するためにインスリンが多量に分泌されることも肥満の一因です。
多量のインスリンに晒され続けると身体は次第にそれに慣れて反応しなくなってしまいます。
これがインスリン抵抗性ってやつね
インスリン抵抗性が発現すると、インスリンが分泌されても細胞への糖の取り込みが起こらなくなります。
その余った糖がどこに行くかと言えば、唯一インスリン抵抗性を生じない脂肪細胞です。
こうして肥満を加速させていくことになります。
三重に肥満を引き起こすのか…
2 糖質源の選び方の一般論と問題点
吸収の速い糖質が悪いことは分かったけど、どう見分ければ良いの?
こんな疑問を抱く人もいるかもしれません。
そこでここからは具体的に良い糖質と悪い糖質の見分け方について解説します。
まずは一般的な2つの見分け方です。
①GI値 ①多糖類
2-1 GI値で選べばOK?
最も吸収のスピードの判断基準にされやすいのがGI値です。
非常にシンプルで分かりやすい指標なので、ダイエットやトレーニング歴の長い人も参考にしてるのではないでしょうか?
初心者だとGL値を使ってる人もいるかもね
糖質選びにおける基本とも言えるGI値ですが、実はこれは吸収の速さを測るための指標ではありません。
このことは知らなかった人も多いのではないでしょうか?
そのため糖質の吸収の速さを知るためにはGI値では不十分なのです。
なおGI値、GL値の問題点、盲点について詳しくはこちらのページで解説しています。
意外な事実だと思うので参考にしてください。
2-2 多糖類を選べば良い?
糖質には分子の結合がない単糖類や、結合の数が3個より多い多糖類などが存在します。
それぞれ以下のようなものが分類されています。
分類 | 分子の構造 | 代表的な糖の種類 |
---|---|---|
単糖類 | 単一の糖分子 | ブドウ糖、果糖 |
二糖類 | 2つの糖分子が結合 | ショ糖(砂糖)、麦芽糖、乳糖 |
多糖類 | 3個以上の糖分子が結合 | オリゴ糖、デンプン |
分解のプロセスが少なくて済むので、結合が少ないほど消化吸収が速いと言われています。
そのため結合がより多い多糖類を選べばOKというのが一般論です。
確かにブドウ糖や砂糖はデンプンを多く含むイモ類や米より吸収が素早いイメージがあります。
しかし小学校の理科で習ったように、他の栄養素の消化が胃から始まるのに対してデンプンの分解は唾液、つまり口から始まります。
ヨウ素デンプン反応とかやったよね
つまり胃腸に到達する頃には多糖類も麦芽糖やブドウ糖など小さな単位に分解されてしまっていて、単糖類とさほど吸収のスピードに差はないということです。
3 吸収の遅い糖質の選び方
GI値の低さと多糖類は良い糖質と考えられていますが、必ずしもそうとは言えません。
では、どのように判断すれば良いのか?具体的には以下のとおりです。
①加工の少なさ ②調理方法
3-1 加工の少ない糖質を選ぶ
自然に存在する状態であれば、多くの糖質源の吸収はそれほど速くありません。
食品は加工するほど自然な状態から遠ざかり、吸収が速くなっていくのです。
つまり、なるべく加工が少なく自然な状態に近い食品を選べば良いということになります。
加工食品と言うと冷凍食品やお菓子などをイメージする人が多いかもしれません。
しかし玄米を精米することも加工に含まれます。
そしてもちろん小麦を磨り潰して小麦粉を作るプロセスもです。
「全粒穀物は吸収が遅い」って言うけど、細かくする行程があるせいで、小麦粉と全粒粉にはさほど差がないよ
そしてイモ類の皮を剥くことも加工になります。
皮の近くに栄養は溜まるので、そういう意味でも出来れば野菜は皮ごと食べましょう。
<具体的な食品例>
玄米、オートミール、蕎麦(10割)、イモ類(皮付き)
※全粒粉は吸収が遅くないのでNG
3-2 調理方法でも吸収率は変わる
あまり知られていませんが、調理方法でも吸収のスピードが変わります。
最も分かりやすい例がご飯を炊く時の水量です。
お粥が消化に優しいと言われることからも分かるとおり、水分量が多く柔らかめに炊くほど吸収は速くなります。
またイモなどは焼くことによって吸収のスピードが速くなることが分かっています。
逆に蒸しや茹で、レンチンなどで調理すると吸収が緩やかになります。
調理の方法もさることながら、食べる時の温度も重要です。
基本的に糖質は温度が低いほど吸収が遅くなります。
これは冷えるプロセスで糖質の内部にレジスタントスターチという食物繊維に似た物質が作られるからです。
加熱すると壊れるけど、また冷やせば再生成されるよ
まとめ
糖質源、すなわち糖質を摂取する食品の選び方について解説しました。
糖質を選ぶ基準は吸収のスピードです。
ここが健康や減量、パフォーマンスなどあらゆる側面に影響します。
一般的に言われるようなGI値や単糖類・多糖類の分類はさほど当てにはなりません。
加工が少ない糖質を吸収を早めない方法で調理して摂取するようにしましょう。
でもシーンによっては吸収の速い糖質も必要になるんじゃない
?
筋トレをしてる人の中には、こういう意見もあるかもしれません。
シーンごとの糖質の吸収スピードについて詳しくは以下のページで解説しています。
糖質は筋トレのパフォーマンスや代謝のアップに不可欠の栄養素であることは確かです。
そしてここで紹介したとおり種類に配慮することで、その悪影響を下げられます。
しかしどんなに健康な食品でも摂りすぎれば毒になるのは言うまでもありません。
糖質の摂取においては、摂取量と食べ方も重要になります。
その方法として最近注目されているのがカーボサイクルというテクニックです。
これについて詳しくは以下のページで解説しています。参考にしてください。
てなとこで。
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