【いつ切り替える?】増量期・減量期のスパン|期間の長さはアレで決めるべし

増量期・減量期と期分けして目的を明確化するべき理由についてはこちらのページで解説しました。

これらの必要性を押さえたところで次に気になるのが、そのスパンです。
つまり増量と減量にどれくらいの期間を割くのか?どのタイミングで切り替えるのか?ということだと思います。
このページでは増量と減量のために取る期間の長さについて解説します。

1 増量期・減量期の長さ

早速ですが、増量・減量の期間の長さはおおよそ以下のとおりです。

増量期:6カ月 減量期:3カ月

これらのスパンを算定するに当たって参考にされるのが、身体の新陳代謝に要する期間です。
肝臓の細胞は2カ月で全てが入れ替わるとされています。
そして骨などその他の組織はおおよそ3カ月程度です。

増量期と減量期では栄養状態や運動の仕方などが大きく異なるため、インスリン感受性など身体(細胞)の性質もそれぞれ異なります。
そういう点で細胞の生まれ変わり、すなわち新陳代謝を基準にすることには一定の合理性があるのです。

脂肪や筋肉などの体組織は入れ替わりに3カ月かかるということなので、最低でも3ヶ月は必要と考えて良いでしょう。
増量期間の6ヶ月は肝臓の2ヶ月と体組織の3ヶ月の最小公倍数になっています。
1年は長過ぎますが、かといって減量期間と同じ3ヵ月にしてしまうと様々な点で不都合があり、その折衷案が半年です。

2 増量期間の方が長い理由

体脂肪つくの嫌なんだけど減量期を延ばしちゃダメなの?

増量期中は体脂肪も乗ってしまい何となくボヤッとした印象になります。
バキバキを目指す人からするとその期間が半年もあるのは長く感じるかもしれません。
しかし増量期の方を長く取る、逆に減量期を短くするのには以下の5つの理由があります。

①筋肉の増加スピード ②増量期のやることの多さ ③体脂肪の増加抑制 ④代謝の低下 ⑤筋力の低下

2-1 筋肉の増加は想像以上に遅い

増量期は筋肉量を増やすシーズンですが、食事とトレーニングボリュームを増やしても思ったほど筋肉は増えません。
増量期で体重は増えますが、悲しいことにその7割くらいは体脂肪です。

初心者の頃は簡単に筋肉がつくんだけどね~

そのため「体重が十分増えた」と思っても、実際にはさほど筋肉はついていないのです。
そのまま減量してしまえば前回のシーズンとほとんど変わらない仕上がり体重になってしまいます。

2-2 増量期はやることが多い

増量期は筋肉量を増やすシーズンだと解説しましたが、やるべきことはそれだけではありません。
筋力アップも筋肥大と同じくらい増量期において大事なミッションです。
そしてこれらのトレーニング方法はやや異なります。

ボディメイク目的なんだから筋肥大ほど重要じゃないでしょ?

こう思う人もいるでしょう。しかし最大筋力が伸びなければ筋肥大に重要なトレーニングボリュームも一向に増えません。
10RMを伸ばしたかったら10RMをやるより1RMを伸ばす方が圧倒的に効果的だからです。

このように減量期より増量期の方が多くの目標を課せられているため、期間も長く取る必要があります。

2-3 体脂肪を増やさないため

増量期はオーバーカロリーによって体脂肪がついてしまうのは仕方ありません。
しかしなすがままに体脂肪を蓄積させてしまっては、多量の体脂肪を落とすために筋肉を犠牲にすることになります。

増量期に入ると、早く筋肉をつけようとしていきなり食事を増やす人がいますが、これは完全NGパターンです。
身体が糖を代謝する能力が不十分な状態で多量に摂取してもエネルギーとしては活用できません。体脂肪になるだけです。

身体の代謝やパフォーマンスが上がるのに合わせて徐々に摂取量を増やしていくので、それなりの量を摂取できるようになるまで増量期を続ける必要があります。

2-4 代謝の低下

ここからは逆に減量期を長く取り過ぎてはいけない理由についてです。
アンダーカロリーが続くと、身体は代謝を下げて不足状態を解消しようとします。
つまり減量期が続けば続くほど代謝は低下していくということです。

いずれはごく少量の食事しか摂ってなくてもオーバーカロリーになる時が来ます。
そこまで到達してしまったらもはや減量を続けても痩せるどころか脂肪がつくだけです。
低栄養性の脂肪肝というのもあり、さらに代謝の低下を加速するので注意しなければいけません。

体重が落ちにくくなるだけでなく、エネルギー産生も低下するので疲れやすく、増量期に転じても食事量を戻しにくくなります。
下げ止まったところで潔く切り替える決断力も必要です。

2-5 筋力の低下

減量期でも増量期や維持期と同じ重量を扱うのが基本なので、ある程度は筋力の維持が可能です。
しかしエネルギーの不足による多少の筋力低下はどうしても避けられません。

適正なレベルの減量であれば増量期に転じた後に筋力を戻すのも容易です。
しかし過度に長期間の減量となるとパフォーマンス低下の期間が長く、筋力が落ちすぎてしまいます。

せっかく増量期を設けても減量のたびに筋肉量や筋力が元に戻ってしまったら一進一退で一向に進歩がありません。

3 増量期の注意点

増量期の方を長めに取りますが、増量一辺倒になってしまわないように注意しましょう。
定期的にプチ減量シーズンを挟む必要があります。
その理由は大きく以下の2点です。

①増量が進まなくなる ②過度な体脂肪を防止

減量を長いこと続けないようにするのとほぼ同じです。
一定の方向に変化を続けていると行き過ぎを防止するために揺り戻し圧力が強くなり、変化しにくくなります。
増量期に定期的なプチ減量を挟むことは減量中言うところチートデイと同じです。

もう1つ、増量が長くなるほど体脂肪の蓄積が多くなっていきます。
体脂肪が増えて減量幅が拡大するほど筋肉が落ちるリスクも高くなります。
体脂肪は筋肥大の妨げにもなるので適度に落としてあげなければいけません。

その大事なプチ減量のタイミングや目安について詳しくはこちらのページで解説しています。

まとめ

増量期と減量期の長さについて解説しました。
増量期を長め、減量期は短めにするのが基本です。おおよそ増量期間の半分くらいの長さに減量期間を収めましょう。
その理由は以下の5点です。

①筋肉の増加スピード:短期の増量では筋肉がほとんどつかない
②増量期のやることの多さ:筋肉量と筋力の両方を高めるため、様々なトレーニングをしなければいけない
③体脂肪の増加抑制:短期間で食事を増やしても活用できず体脂肪になるだけ
④代謝の低下:減量が長くなると代謝の低下で体脂肪が落ちなくなる
⑤筋力の低下:筋力が低下して振り出しに戻り、一向に進歩しない

増量期間を長く取ると言っても、一本調子に筋肉量や筋力は伸びていきません。
定期的にプチ減量を入れて調整するタイミングを設けましょう。
てなとこで。