【超危険】新NISAに年初一括360万円投資がNGな理由|許されるのはごく一部

2024年に入り制度が改正され新NISAが本格的に始動しました。
非課税枠が旧来のNISA制度から大幅に拡大されて、年間360万円まで非課税で投資が可能になります。

その1月早々に「年初一括で360万円ぶち込んだ」的な報告をYouTubeやX(旧Twitter)などの各種のSNSでチラホラみかけました。
投資情報を収集してる人なら誰しも、全ツッパを推す声を一度は耳にしたことがあると思います。

ただ「年初一括をやるべき」って声を投資初心者は真に受けちゃいけないってのが個人的な考えです。
一括360万円に限らず、これに類する「最速・最短でNISA枠を埋めろ」説についても変わりません。

そもそも一括で360万円もぶち込める人は限られるからね

「なるべく早く多く投資に回そう」って発想全般がマズいってことね

ちなみに初心者がマネすると危険と書きましたが、NGの人が大半です。
一括の全ツッパをやっても問題ない人の条件は大きく2つあり、投資経験はそのうちの1つでしかありません。

このページでは初心者が年初一括説を真に受けてはいけない理由について解説します。
投資初心者を卒業する条件や、もう1つの条件についても解説するので、最後までご一読ください。

このページでわかること

・年初一括が推される理由
・真に受けると痛い目を見る理由
・一括をやってもOKな限られた人の条件
・投資のレベルは何によって決まるのか

年初一括360万円がオススメされる理由

まず最初になぜこの「年初に一括で突っ込め」って破天荒な投資のやり方が推されるのかについて紹介します。
冒頭にも書きましたが、一括360万円に限らず、なるべく早く多く投資に回すべきって考え方全般に通じるベースの理論です。

この理由は非常にシンプルで、長期で見た時の市場・経済の成長期待です。
長い目で見れば右肩上がりで成長するという予測が根底にあります。

よく聞くアレね

右肩上がりで成長してくなら、なるべく早く投資する方が安く資産を買えるし、投資してる期間が長くなるほど増加幅が大きくなる期待があります。
つまり安く買って高く売るっていう投資の理想形を実現できるってことです。

確かにこんな感じで理論に従えば有利に見えますが、投資のド素人がこの考え方だけをコンパスにして市場に迷い込んでくのはヤバさ100倍です。
その理由について以降のパートで解説します。

もう既にやっちゃったって人は2025年以降の身の振り方を考える参考にしてください。
過ぎたことをクヨクヨ考えても全く持って生産性がありません。

タラレバは単なる時間のムダでしかないよね

それでも不安で夜も眠れないって人は2080年ごろまで右肩上がりで成長し続けるS&P500のグラフを作って枕の下に入れてベッドに入りましょう。
寝てる間だけは良い夢が見られると思います。

起きたら地獄が待ってるかもしれないけど

問題点1 右肩上がり前提の危うさ

第一の問題点が、なるべく早く多く投資にぶち込め理論の根底にある右肩上がりで推移する前提が怪しいという点です。
大元の理論が怪しいので、当然その前提に基づいた行動も正しいかどうかはかなり怪しくなります。

「市場は今後も右肩上がりの成長を続ける」ってドヤるド素人が山ほどいますが、こんなものはマネーリテラシーでも何でもありません。
「円周率は3です」って言ってるのと同じくらい雑な知識です。

ゆとり世代懐かしい…。

今の教育の円周率って何桁なんだろね?

右肩上がりが予想されているのは、単に「これまで成長を続けてきた」程度の話でしかありません。
過去の傾向がこうだったから未来もこうなるに違いないってことです。

人間には過去の傾向がそのまま今後も真っ直ぐ続くと誤認する性質があることはベストセラーのファクトフルネスでも指摘されていました。
いわゆる直線本能ってやつです。

直感的にそう誤認しちゃうのは仕方ないこととして、それを自覚した上で本能に騙されず冷静に判断し直す必要があります。
過去の傾向から推測する手法を投資界隈ではテクニカル分析と言いますが、「バックミラーを見ながら運転するようなものだ」と指摘されていることは覚えておきましょう。

それくらい稚拙でかつ危険な方法ってこと

因みに過去の傾向うんぬんよりは少しまともな、5センチほど思考が深まった理論が人口の増加です。
経済規模は人口に比例するので、世界人口が増え続ける間は世界経済も伸び続けるだろうと言われています。

人が増えれば、それだけサービスが消費されて税金も納められるもんね

何となくお金が回って経済は拡大しそうな感じはするよね

ただ個人的には単純な数よりも質の方が圧倒的に重要だと思っていて、人口=経済は短絡的すぎると思ってます。

人口規模と経済規模がリンクしない代表例が我が国ニッポンです。
人の数で見たらかなりの小国ですが、一時は世界第2位の経済大国まで上り詰めましたからね。

こんな感じで怪しさもかなり孕んだ理論が前提なんだけど、その辺の検討はちゃんとしたんでしょうか?
自分なりに納得したり、リスクは承知でポジションの調整をしてるならOKですが、大半の人は「みんな言ってるし」程度じゃないかと思います。

そんな考えで全体重預けられる人の気が知れない…。

なんか悪いものでも食べて意識が朦朧としてんのかもね

問題点2 「長期」の誤解

過去の傾向が今後も続いて、長期で見た時に右肩上がりで成長していく仮定を受け容れたとしてもまだ問題は残ります。
特に重大なことが見落とされていて、それが超々長期で見た時に右肩上がりってことです。

S&P500の凄まじくてよだれが出そうな過去の成長過程を記録したグラフを誰しも見たことがあると思います。
これを見ればメリットの大きさを実感できて、投資を推すインパクトとしては十分ですよね?

ただこれで見せられてる期間は人間の寿命を遥かに凌駕しています。
儲けたいって欲望が先行し過ぎて、横軸の目盛りを見落としてた人は多いんじゃないでしょうか?

引きのグラフを見せられてるので見落としてしまいがちですが、一貫して上昇を続けてるわけじゃありません。
人間の寿命で現実的な倍率までズームしてみると、かなり大きく長期の下落が来ることもあります。

タイミングが悪いとほぼ全期間マイナスってケースもあるんだよね

バブル期に投資してた人なんて未だに損失抱えてるからね

2023年から2024年にかけての値上がりは非常に顕著だったので、ココらでいったん調整局面に入る可能性もあります。
そんなことになったら全力でスタートを切った直後に顔面から地面に落ちるようなものです。

このショックに耐えられるかはかなり怪しい

もちろんこのまま調整することなく上がり続けるかもしれません。
そうなれば今が最安値ってことになります。

なので「下落するタイミングを待って買い向かおう」って人もいるでしょうが、これも「早めにぶち込もう」と同レベルでイケてない考え方です。
いずれにしろタイミングを図ろうとしてるわけで、こんなのは特級の凡人が取るべき方法ではありません。

先を予想するのはほぼ無理と考えた方が良さそうだね

どっちに転んでもケガしない環境を作ることが大事だよ

問題点3 長期投資の難しさ

一括投資直後の下落リスクについて指摘しましたが、このことに対して

長期投資でガチホを続ければ問題ないんだろ?

このように反論したくなる人もいるんじゃないかと思います。
「長期投資=ほぼ勝ち確」的な思想を刷り込まれてる赤ちゃん投資家たちは特にこの傾向が強いです。

唯一つそれだけを信じてるからね

まさに生まれて初めて見たものを親って思い込んでるヒヨコちゃん

確かに長期ホールドを継続できれば、かなりの確率で投資リターンはプラスに収斂していきます。
つまり下落したとしても、そのマイナスは後の上昇で取り返せるってことです。

しかしここでもド素人たちが見落としていることがあります。
それが長期でガチホが言うほど簡単なことじゃないっていう、長期投資を前提に掲げてる人にとって重大な事実です。

特に思考が水たまりくらい浅い素人には難しい

長期ホールドを妨げる要因は何より下落耐性の無さです。
投資ド素人たちは守備力がほとんどゼロに等しいって言っても過言じゃありません。

当たり前ですが、投資は目に見えてアップダウンが分かります。
貯金だけでじっくりインフレで価値が目減りするのには慣れてますが、いきなり大きく上下するのには全く慣れていません。

ゆっくり首を絞められていくのには慣れてるけど、いきなりぶん殴られるとビックリしちゃう感じ

今は市場があまりに好調すぎるので、自信に満ち溢れてるルーキーズが山のようにいます。
市況が悪い時を想像するのはかなり難しく、むしろ自信がない人の方がどうかしてるくらいの状況です。

本当にガチホを続ける才能があるのかは、実際に下落が来るまで分かりません。
異常時になって初めて自分も知らなかった本性に向き合うことになります。

おま、だれ?状態

赤ちゃん投資家たちの場合、株価などの変動そのものに慣れてないところに、自分の理論に確信を持ててないことが重なっています。
既に指摘したとおり、大半の素人さんたちは「みんな言ってるし」程度で、もはや思考すらしてません。

脳死でアホールドってこういうことじゃない

自分なりに検証して確信を持ててれば、多少の心理的なダメージは受けたとしても行動を継続できます。
しかし何も考えて無ければ自信も持てないので、簡単に投げ出してしまっても何の不思議もありません。

下落時は当てにしてた「みんな」が逃げ出してくからね

年初一括360万円をやってもOKな人

投資経験が浅くて下落耐性をつけられてない上に、前提となる理論の検証によって確信を持ててないので、暴落が来たらあっさり理論と投資信託を手放してしまう人が大半だと思われます。
そもそも右肩上がりで成長を続ける前提も絶対ではなく、仮にそうだとしても投資可能期間で見た時にずっと下落で終わるリスクがあることも考えておくべきでしょう。

信念もメンタルも理論の前提も全部がスッカスカ

こういうことを考えると年初一括でぶっこむのは危険ってことね

この基礎の部分をしっかり固めることが重要なのは確かですが、唯一これらをすっ飛ばしてもOKな人がいます。
それは資金力が有り余る人です。

金は信念を凌駕する

いかに理論の検証が甘く、下落経験が無かったとしても、資金があればその弱点を簡単にカバーできます。
3億円持ってれば360万円は資産全体のたった1%ちょっとなので、消し飛んだとしても痛くも痒くもありません。

下がったとこで全く気にならないから脳死でガチホを続けられるってことか

これまで何度も「みんなが言ってるから」っていう小学生みたいな思考回路の愚かさを指摘してきました。
何も考えてない時点で相当な問題ですが、もう1つ同じ理論を前提に同じ行動をしたからと言って結果も同じとは限らないってことも押さえておく必要があります。

正解か不正解かは理論の中身じゃなくて誰がやるかで変わるってこと

先述したとおり、数億の資金がある人からすれば何の問題もない行動ですが、500万程度の小銭しか持ってないパンピーには問題ありまくりです。
資産がたった500万の状態で360万円が消し飛んだら失神してしまうかもしれません。

氷山に激突した時に、救命ボートで助けてもらえる一等船室のブルジョアならリスクがあっても安心して船に乗れます。
しかしそれを見て、船と運命をともにする三等船室の庶民が乗っても安心だって考えるのは大きな間違いです。

相場とともに沈みゆくのは金のない庶民だけ

同じ船(理論)に乗っても運命共同体でも何でも無いんだね

投資に限ったことじゃなく、社会人として当たり前のことで、わざわざ書くのもアホらしいですが、自分のことなんだから自分の状況を見て判断すべきです。
「誰々が言ってる」「みんなやってる」などと周囲と比較して相対評価で自分の行動を決めるのは愚の骨頂としか言えません。

まとめ

初心者が新NISA年初一括360万円をやる危険性について解説しました。
初心者が真に受けると痛い目を見る可能性がかなり高くなります。

年初一括全ツッパの大元の理論はなるべく右肩上がりで成長を続けることを前提として、なるべく早く多くの資金を投資すべきって考え方です。
過去の傾向や今後の人口増加による経済成長などパッと見はそれっぽいけど、よく考えるとちょっと根拠が危ういと思います。

こんな理論に全BETする気にはなれないかも…。

長期で右肩上がりの成長が確実だったとしても、その間には下落もほぼ確実に来ます。
その下落が暴落となり長期に及んだ結果、生涯ずっと下がりっぱなしって可能性も無くはありません。

長期で持ち続けられれば短期の値下がりダメージを吸収できる可能性もありますが、そこにも問題があります。
というのも、ド素人の皆さまがイメージしてるほど長期で持ち続けるって行動が簡単じゃ無いからです。

初心者は経験が浅く下落耐性がない上に、そもそもの理論の検証がかなり甘いです。
そのため下落が来てしまえば、持ち続ければ戻るという理論を早々に投げ出して、長期投資を継続できずにマイナスで手仕舞うハメになります。

下落相場では上昇に転じるまで永遠のように感じるからね

これらの障害をクリアして長期投資を継続する最強の武器が資金力です。
有り余る資金があれば下落が来ようが全く気になりません。

つまりお金がない人にとっては危険な行動だけど、同じ行動でもお金がある人にとっては危険じゃない考え方になるわけです。
なので投資をする前に大きな資金を作る必要があります。

「お金を増やすために投資をする」じゃなく「お金があるから投資する」が正解

ちなみに初心者っていうワードで誤解してる人がいるかもしれないので、最後に補足しておきます。
初心者かどうか、投資家としてのレベルは投資した期間の長さでは決まりません。

経験した局面のバリエーションの多さが投資の経験値になります。
中でも急騰や暴落など大きく動くハードな局面の経験が重要です。

市場の荒波に揉まれて投資家として強くなるのか…

ITバブル崩壊やリーマンショックどころか、最も小規模なコロナショックすらも経験してない人は全員が初心者・赤ちゃんです。
2020年頃から投資を始めたような平和ボケ世代は悪い時を想像する力がないので、年初一括的なパリピ思考とは特に距離を取る必要があるでしょう。
てなとこで。