筋トレのダイエット効果|代謝アップで痩せるはウソ?

筋トレのメリットの中でも多くの人が期待を寄せるのがダイエット効果でしょう。
因みに筋トレの多様なメリットについて詳しくはこちらのページで解説しています。

運動なら筋トレじゃなくてもいいんじゃないの?

何となく「運動すれば痩せる」と思ってる人も多いでしょうが、実は単に運動しただけではダイエット効果はさほど期待できません。
筋トレはそういう身体を動かす消費カロリーではなく、もっと根本からダイエットに働きかけるものです。
このページでは筋トレが持つダイエット効果について解説します。

このページでわかること

・筋トレがダイエットにどう効果的なのか?
・既についてしまった体脂肪の燃焼にも効果があるのか
・筋トレが肥満の根本に効く理由
・筋肉がつくと基礎代謝が上がるのは本当なのか?

1 筋トレがダイエットに効果的な理由

早速ですが本題の筋トレのダイエット効果を紹介していきます。
筋トレのダイエットに効く理由は大きく分けると以下の3点です。

①消費カロリー ②ホルモン感受性リパーゼの活性化 ③インスリン感受性のアップ

1-1 筋トレの消費カロリー

最も直感的なのが筋トレをすることで消費するエネルギーの増加です。
筋トレで傷ついた部分を修復したり、大きな筋肉を維持するためにはそのぶん多くのエネルギーを必要とします。

筋トレそのもの、筋肉の合成のいずれもエネルギー源とするのは糖質を原料とするATPです。
そのため糖質制限をしていなくても糖質過多になる心配はほとんどありません。
むしろ制限してしまうとパフォーマンスや筋肉の維持が低下してしまいます。

有酸素運動の場合は糖質と脂質が半々で使われるよ!

さらに筋トレによってストレッチされ可動域が拡がることで運動効率が上がることも期待できます。
よく「筋肉をつけると身体が硬くなる」と言われますが、実際は真逆です。
筋肉を発達させるために効果的なトレーニングは可動域を広くとって、筋肉を大きくストレッチするものです。
筋肉の収縮や可動が効率化することによって運動によって消費するエネルギーも多くなると考えられます。

1-2 体脂肪の分解

筋トレをすることで体脂肪の分解が促進されます。そのキーになるのがHGH(成長ホルモン)です。
成長ホルモンの骨や筋肉を大きくする作用は良く知られたことですが、実は体脂肪を分解する効果もあります。
しかもこの成長ホルモンは特に気になるお腹周りの脂肪の分解に強く働くことが研究で分かっているのです。

実際に体脂肪の分解を行うのはホルモン感受性リパーゼという成分で、それを活性化するのはアドレナリンというホルモンです。
成長ホルモンは遺伝子に直接はたらきかけてこれらのホルモンの分泌を促進する役割があると考えられています。

筋トレで筋肉中の乳酸レベルを上げると、成長ホルモンと(ノル)アドレナリンの両方の分泌が活性します。
筋トレは既についてしまった体脂肪の分解に非常に効果的なのです。

1-3 体重の設定値を下げる

肥満の原因がオーバーカロリーであるという理解はかなり古典的で正しくありません。
最近の科学で判明した本当の肥満の原因はインスリン抵抗性です。

インスリン抵抗性とはインスリンに晒され続けた結果、細胞がインスリンに反応しなくなり糖が取り込まれにくくなることを言います。
そうして余ってしまった糖が行き着く先が体内で唯一インスリン抵抗性を生じない脂肪細胞であり、こうして肥満が進行していくというわけです。

既に解説したとおり筋トレは多くのエネルギー(糖)を必要とするため、終わった頃には筋肉内のグリコーゲンが枯渇してしまっています。
そのため不足した糖を摂り込もうとインスリン感受性がアップするのです。
細胞のインスリン感受性が適正に保たれていれば過剰な体脂肪が合成される心配は要りません。

もちろん糖尿病の心配もね

2 筋トレのダイエット効果に関する誤解

ここまで見てきたように筋トレは様々な側面でダイエットに効果的です。
しかし筋トレのダイエット効果について注意すべき点が3つあります。

①代謝のアップは期待できない
②全身を隈なく鍛える必要がある
③筋トレそのもので消費するエネルギーの大きさ

2-1 筋肉が基礎代謝に与える影響は小さい

まず筋トレのダイエット効果としてよく挙げられるのが代謝のアップです。
「何もしなくても消費されるカロリー」のアップに食いつく辺り、現代人がいかに楽して痩せたいと思ってるかが顕著に現れてますね(笑)

筋肉の発達によって基礎代謝が上がるかというと現実は期待してるほどではありません。
筋肉がつくと体温が上がり代謝が高くなってる実感はあります。
しかし筋肉量が基礎代謝に占める割合は全体の2割にも満たないのです。
そんな影響の少ないものがいくらか増えたところでさほど変化はありません。

そもそも筋肉はそう簡単には増えません。
1ヵ月で1㎏とか2㎏とか筋肉がついて変化が顕著なのは初心者の頃だけです。
基礎代謝に期待するよりも、しっかり動いてしっかり回復することに専念しましょう。

2-2 インスリン感受性は局所ごと異なる

筋トレによるインスリン抵抗性の改善効果にも注意が必要です。
インスリン抵抗性は部分ごとに発生する現象で、ある部分では正常でもある部分では抵抗性が生じているということもあります。
インスリン抵抗性を予防するためには全身を隈なく鍛える必要があるということです。

ある筋肉を動かす時に消費されるのは、その筋肉に蓄えられた筋グリコーゲンだけであり他の部位にある糖は活用されません。
つまりトレーニング後に不足した糖を補おうとインスリン感受性が高まるのはエネルギーが枯渇した筋肉だけということです。

最近はフィジーク体型が人気で、大胸筋や肩、背中など上半身に重点を置いたトレーニングをする人が多い傾向にあります。
全く筋トレしないよりは全然マシですが、下半身を疎かにしてるとインスリン抵抗性が生じてお尻や腿に脂肪がつきやすくなってしまうかもしれません。

2-3 筋トレで消費するエネルギーは多くない

筋トレ自体は非常にハードな運動なので、一度でもやったことがある人からするとこれは意外な事実かもしれません。
しかし実際にトレーニングボリュームを増やしても、ほとんど消費エネルギーが変わらないことが研究で確認されています。
つまり痩せようとしてトレーニングの負荷や回数、セット数を増やしてもほとんど意味はないということです。

ではダイエットを考えてる人が消費エネルギーを増やすために何をすれば良いのでしょうか?
その答えはトレーニングの頻度を増やすことです。
筋トレをしてる人が生活の中で最もエネルギーを消費するタイミングはトレーニング中ではなく、トレ後の筋肉の合成時。
すなわちこの「トレ後」を増やすことがダイエットの観点では重要になります。

もちろん「効果的なトレーニングで」という但し書きが付くのは言うまでもなく

まとめ

筋トレのダイエット効果について解説しました。
単に運動して消費カロリーを増やせば痩せられると考えられてきましたが、実際にはそう単純な話ではありません。
筋トレがダイエットに効果的なのも運動するからではなく、以下のような肥満の根本に働きかけるからです。

①筋肉の合成・維持によるエネルギーの消費
②成長ホルモン・アドレナリンの活性による体脂肪の分解促進
③インスリン感受性を改善して脂肪の蓄積を予防する

また筋トレのダイエット効果に関する誤解や注意点があることもしっかり押さえておきましょう。
特に全身を隈なくトレーニングする必要性ボリュームよりも頻度の影響が大きいという2点は重要です。
トレーニングのレベルが上がって来て本格的に減量をする際にもこの知識は役に立つと思います。
てなとこで。