糖質制限ダイエットのやり方|カロリーとPFCバランスの計算方法

糖質制限は今やダイエット法の主流であり、その名前のとおり糖質の摂取量を制限するというシンプルなものです。
そのため改めてその方法について説明する必要は無いと思うかもしれません。

しかし厳密に言うと糖質制限にもいくつか種類があります。
自己流で間違った方法を実践してしまった結果、ダイエットどころか健康を害する可能性もあるのです。
因みに糖質制限のデメリットについては別のページで詳しく解説しています。

そこでこのページでは、糖質制限の基本、摂取量やカロリー計算の方法について解説します。

このページでわかること

・糖質とは何か?
・糖質制限ダイエットのバリエーション
・糖質制限の摂取カロリーの計算方法
・糖質制限のPFCバランスの設定方法

1 糖質制限ダイエットの種類

脂質制限がダイエットの古典で、糖質制限は新しい方法だと考えられていますが実は逆です。
糖質制限の方がダイエットの古典で、その始まりは1970年代まで遡ります。

糖質制限の基は糖尿病患者の治療であり、医師のロバート・アトキンス氏が提唱したのが始まりです。
昭和を生きた人ならアトキンスダイエットという名前を聞いた事があるかもしれません。

なお糖質を制限することがダイエットになる理由と、その他のメリットについては別のページで詳しく解説します。

1-1 そもそも糖質とは?

糖質制限の話に入る前に、そもそも糖質とは何なのかを説明しておきます。
制限すべき対象がちゃんと分かってないと成果も上手く上がりません。

まず糖質と一緒くたにして考えられやすいのが炭水化物です。
炭水化物とは糖質に食物繊維を加えたもので、最近だとその内訳が成分表示されてる商品も増えてきました。

炭水化物ダイエットだと食物繊維もまとめて削ることになっちゃうんだね

さらに糖質に似た言葉に糖類というものがあります。
こちらはよくアルコール飲料の表記で見かけるものです。
これは糖質からオリゴ糖などの多糖類と糖アルコールを除いたものを言います。

つまりブドウ糖とかの単糖類と砂糖とかの二糖類が糖類ってこと

そしてこの糖質を制限するダイエット手法は大きく分けると以下の3つになります。

①ロカボダイエット ②糖質制限ダイエット ③ケトジェニックダイエット

1-2 ロカボダイエットとは?

ロカボとはローカーボ(低糖質)の略称で、食・楽・健康協会が提唱しているものです。

商標にもなってるよね?糖質カットのお菓子とかにマークあった気がする

ロカボダイエットはゆる糖質制限などと言われ、他のダイエット法より糖質の制限がきつくありません。
1日に摂取する糖質量は70~130gで、1食当たり20~40gに調整します。

参考として紹介しておくと、ご飯1膳(約150g)に含まれる糖質はおよそ55gで、パスタ1食(乾麺100g)に含まれる糖質はおよそ70gです。

1日の総量だけじゃなく、1食当たりの糖質量も重要です。
いきなり摂取量を多くすると血糖値スパイク・インスリンの過剰分泌を起こしてしまいます。

朝食を抜いたから昼食で倍量食べるってのはナシってことか…

1-3 糖質制限ダイエットとは?

タイトルでもある糖質制限はイメージよりややキツイものです。
具体的には1日の糖質摂取量を60gに設定します。

成人の標準的な糖質の摂取量の目安は総摂取カロリーの50~60%くらいと言われています。
これをグラム換算するとおよそ300g前後です。
60gと言うとこの標準的な摂取量の2割相当なので、これはかなり厳格だと思います。

1日でご飯お茶碗1杯ちょっとって考えると相当過酷だよね…

このレベルになると人によってはダイエット効果よりも不調の方が際立ってくる可能性があります。
健康に不安がある人は取り入れる前に医師に相談する必要があるでしょう。

1-4 ケトジェニックダイエットとは?

ケトジェニックダイエットと糖質制限の境界はかなり曖昧ですが、一応区別して考えられます。
個人の代謝量によって変化しますが、1日の糖質量を0~50g程度と極限まで削ります。

糖質量が少ないので体内のグリコーゲンの枯渇が速く、ケトーシスに入るのも速くなります。
またMCTオイルなどを使ってケトーシスに入るまでを加速するのも特徴の1つです。

〈ケトーシスとは?〉
脂肪酸をケトン体というエネルギーの形式に変換しやすい身体の状態のこと

体脂肪の大半は脂質だから、それをエネルギーにしやすくなれば痩せやすくなるよね

糖質制限の究極形であり、高いダイエット効果があると言われています。
一方で極端な方法のため、体質によっては合わないこともあります。

2 糖質制限のカロリー・PFCバランスの設定

糖質制限のポイントは糖質量の設定です。
量はどの方法を採用するかに依りますが、基本的にここさえ守ればあとは自由となります。

ただし極端に残りの栄養素のバランスを崩してしまっては健康面で問題です。
逆にダイエット意識が先行し過ぎてカロリーが不足し過ぎてしまう可能性もあります。

そこで糖質制限の基本的なカロリー計算の方法とPFCバランスの設定方法について解説します。

2-1 糖質制限のカロリー計算

糖質制限におけるカロリー計算は通常のダイエット法とほとんど変わりません。
大まかな流れは以下のとおりです。

①基礎代謝を計算する

②メンテナンスカロリーを計算する

③ダイエットカロリーを計算する

基礎代謝は有名なハリスベネディクト方程式を利用します。

13.4 × 体重(㎏)+ 4.8 × 身長(㎝)- 5.68 × 年齢(歳)+ 88.4

体重60㎏で身長170㎝、25歳の人の基礎代謝は以下のようになります。

13.4 × 60(㎏) + 4.8 × 170 - 5.68 × 25 + 88.4 = 1556kcal

計算がめんどくさいという人は体組成計や標準的な基礎代謝を利用してもOKです。

年齢区分男性女性
1~2歳730kcal660kcal
3~5歳920kcal840kcal
6~7歳1020kcal910kcal
8~9歳1140kcal1040kcal
10~11歳1330kcal1240kcal
12~14歳1550kcal1350kcal
15~17歳1570kcal1270kcal
18~29歳1520kcal1180kcal
30~49歳1520kcal1140kcal
50~69歳1380kcal1100kcal
70歳以上1230kcal1030kcal

そしてそこに運動強度依存定数をかけてメンテナンスカロリーを算出します。
メンテナンスカロリーは現状の体型を維持するのに最低限必要なカロリーのことです。

<運動強度依存定数>
①デスクワーク中心で普段はほとんど運動しない人 → 1.2
②強度の低い筋トレを週に1~3回する人 → 1.375
③やや強度の高い筋トレを週に3~5回する人 → 1.55
④強度の高い筋トレを週に6~7回する人 → 1.725
⑤強度の高い筋トレを1日に2回するor肉体労働をして毎日強度の高い筋トレをしている人 → 1.9

例えば先程の例で③に該当する場合には以下のようになります。

基礎代謝:1556kcal × 運動強度依存定数:1.55 = メンテナンスカロリー:2411kcal

そしてそこから減量分のカロリー(およそ200~500kcal)を引いたものがダイエットカロリーになります。
糖質をカットするだけでストレスを感じる人もいると思うので、まずはメンテナンスカロリーにするだけでもOKです。

まずはカロリーの内訳を変えてみるってこと

2-2 糖質制限のPFCバランス

糖質制限のカロリー設定のポイントはPFCバランスの内訳です。
このバランスが他のダイエットと大きく異なります。

2-2-1 通常のダイエットと異なるポイント

通常のダイエットの場合は、タンパク質→脂質→糖質の順で摂取量を決めます。
糖質はタンパク質と脂質の摂取量を引いた残り全部です。

しかし糖質制限では、タンパク質→糖質→脂質の順番で設定します。
タンパク質と糖質を除いた残りを全て脂質で補うということです。

糖質の量は固定だからタンパク質量と脂質のバランスで調整していく感じね

2-2-2 PFCバランスの計算

先ほど計算した必要カロリーを用いると以下のようになります。
なおここではロカボダイエットが前提です。
計算する場合は自分の実践する方法に合わせて数字を調整してください。

まずタンパク質は体重1kg当たり1.5~4gの範囲で設定します。
糖質の摂取量が減ると筋肉が落ちやすくなるので、通常より多めに設定するくらいでOKです。
ここでは2.5gで計算します。
あまり多く摂っても腸内環境を荒らすだけなので注意しましょう

60kg × 2.5g = 150g 150g × 4kcal = 600kcal

研究を参考にすると3.1gくらいが個人的にはオススメ

糖質はロカボダイエットなら1日に70~130gです。
ここでは緩やかに130gとしましょう。

130g × 4kcal = 520kcal

そしてタンパク質と糖質を除いた残りのカロリーを脂質から摂取します。

2411kcal - 600kcal - 520kcal = 1291kcal
1291kcal ÷ 9kcal = 143g

まとめると以下のとおりです。

タンパク質(P):150g = 600kcal
脂質(F):143g = 1291kcal
糖質(C):130g = 520kcal

なお糖質制限に限ったことではありませんが、カロリーよりもその中身が重要です。
どんな食品を摂取すべきかについて詳しくは別のページで解説します。

まとめ

糖質制限のやり方について解説しました。
単純に「糖質を減らせばいい」と思ってる人も多いですが、レベルの異なるいくつかの方法が存在します。
まずは自分に合った方法、出来れば緩かなものからトライしてみましょう。

①ロカボダイエット 1日70~130g
②糖質制限ダイエット 1日60g
③ケトジェニックダイエット 1日0~50g

糖質制限の大まかな種類は上記の3つです。
このうちオススメするのは①ロカボダイエット(ゆる糖質制限)で、その他の2つは厳格過ぎるのであまりオススメしません。
少なくともいきなり手を付けることはNGです。

糖質制限におけるカロリー計算の方法は普通のダイエットと大きく変わりません。
違いが出てくるのはPFCバランスの計算です。
通常なら「余りが全て糖質」となるところ、糖質制限では摂取できる量が決まっています。
いつもよりタンパク質を多めに設定して筋肉の分解を防ぎつつ、残りのカロリー分しっかりと脂質を摂るようにしましょう。

「脂質まで減らせばもっと痩せるんじゃないか」「脂質って聞くとなんか抵抗ある」といった考えから脂質まで削ってしまうのはあるあるです。
しかしこれでは必要カロリーに届かず代謝が落ちてしまい、全くダイエットになりません。

タンパク質を増やしてカバーしようとするのも腸内環境的にNG

糖質を制限する。
ただこの1点だけに注力して、効果が出るのか出ないのかを見極めてもらえればと思います。
てなとこで。