糖質制限でなぜ痩せる?そのメカニズムとダイエット効果以外のメリット

糖質制限は間違いなくダイエットの主流です。
しかし糖質制限が何故ダイエットに効果的なのか、その痩せるメカニズムを知らないという人は少なくありません。
仕組みを知らないがために方法を間違えてしまう可能性があります。

このページでは糖質制限がダイエットに効果的な理由について解説します。

このページでわかること

・糖質制限で痩せる理由
・ダイエット以外のメリット
・糖質の摂取が老化に繋がる理由
・糖質摂取による病気のリスク

1 糖質制限でなぜ痩せる?

糖質制限で痩せる理由は大きく分けると5つあります。
具体的には以下のとおりです。

①体脂肪の原料が減る
②インスリン感受性の改善
③食事量の減少
④体脂肪の分解が起きやすい
⑤水分の排出

①~③が肥満予防、④が体脂肪燃焼、⑤がその他って感じだね

1-1 糖質は体脂肪の原料

体脂肪と言う名前のイメージから脂質が主原料だと思われてますが、実は糖質も体脂肪の原料です。

体脂肪とは脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪のことで、これは脂肪酸とグリセロールから合成されます。
つまり脂質と糖質です。

糖質制限によって糖質の摂取が減れば、必然的に蓄積する体脂肪の量も少なくなります。
これは非常にシンプルなメカニズムです。

1-2 インスリンの多量分泌で太る

食品を摂取するとすい臓のランゲルハンス島という部分からインスリンというホルモンが分泌されます。
インスリンは血糖を細胞に届けるためのホルモンです。

正常な分泌であれば血糖値の調整やエネルギーの生成に役立ちます。
しかしこれが過剰になると全身の細胞でインスリン抵抗性を生じてしまいます。
これは細胞がインスリンに反応せず、中に糖を取り込めなくなった状態です。

インスリン抵抗性は悪化すると2型糖尿病になるよ

その余った糖は唯一インスリン抵抗性を生じない脂肪細胞に直行します。
つまりインスリン抵抗性こそが肥満の根本原因であり、そのインスリンの過剰分泌を起こす糖質のカットがダイエットに繋がるということです。

1-3 糖質制限で食欲が無くなる

先ほどのインスリンの話にも関係しますが、食事によって急激に血糖値が上がると、反動で大きく血糖値が下がります。
これはインスリンが多量に分泌されるからです。

血糖値が急降下すると眠気やだるさを感じると同時に、正常値に戻すために空腹を感じやすくなります。
白米やパンなどの白い炭水化物の腹持ちが悪いのはこういう理由です。

糖質制限を行うと、この血糖値の乱高下が起きにくくなります。
また代わりに摂取量が増えるタンパク質や脂質は消化負荷が高いため、より空腹感に襲われにくくなります。

無理なく自然に食事量が減っていくってことか

1-4 体脂肪の分解が始まりやすくなる

体脂肪の分解は体内のエネルギーが不足した時に始まります。
もっと厳密に言うと肝臓に蓄えられたグリコーゲンが無くなった時、つまり糖質が不足した時です。

ダイエットではアンダーカロリーにするのが基本ですが、脂質やタンパク質を削っても糖質を十分に摂取していれば一向にグリコーゲンの不足は生じません。
つまり糖質を十分に摂取してるうちは体脂肪の分解は起こらないってことです。

ローファットダイエットに効果が無いのはこういう理由からなんだね

既についてしまった体脂肪を燃焼するには、単なるカロリー制限ではなく糖質量を減らす必要があります。

1-5 糖質が減ると水分量が減る

根本的なダイエット効果ではありませんが、糖質制限によって体内の水分量が低くなります。
当然のことですが、身体から水が抜ける分だけ体重も軽くなります。

糖質は細胞に取り込まれる際に同時に水を引き込む性質があり、糖質が減る分だけ保水力も落ちるからです。
しかも糖質に対する水分量の比は、なんと1:3にもなります。

これはメリットというよりは罠にハマらないために知っておくべきことです。
水が抜けた分を体脂肪の減少と勘違いして、食事量を戻してしまう人がけっこういます。

グリコーゲンの枯渇から体脂肪の減少が始まるまでには2~4週間見ておく必要があるよ

2 糖質制限のメリット

糖質制限を行うメインの理由はもちろんダイエットでしょう。
しかしそれ以外にも様々なメリットがあり、それらを押さえておくことはモチベーションの維持に繋がります。

①調節しやすさ ②浮腫解消 ③老化予防 ④病気の予防

2-1 取り組みやすいダイエット

ダイエットをすること自体が心身両方への負荷になるため、その内容はなるべくシンプルである必要があります。
その点で糖質制限は非常に優れた方法です。

肉、魚、大豆、乳製品などはどれもタンパク質とともに脂質を含みます。
脂質を制限しながらタンパク質を摂ろうとすると、どうしてもプロテインやササミなど特定の食品に偏りがちです。

これしか食べられないっていうのはかなりストレスが大きいよね

しかし糖質は白米、パン(小麦粉)、麺類、砂糖などほぼ単体で構成される食べ物ばかりです。
そのため糖質を減らすのに特別な手間はかかりません。

また特定の食品に偏ったモノイーティングは健康上のリスクも高まるので、そういう意味でも糖質制限は有効です。

2-2 むくみを解消する効果が高い

顔や身体がボテッ、ボヤッとして見えやすい浮腫みに悩んでる人は多いと思います。
そんな悩みにも糖質制限は有効です。

既に説明したとおり、糖質は細胞に取り込まれる際に多量の水を引き込むので、糖質の摂取量が多いほど全身が浮腫みやすくなります。

さらにインスリンには、メインの働きの他に腎臓に作用してナトリウムの再吸収を促す働きがあります。
体内のナトリウム濃度を一定に保たなければいけないため、ナトリウム量が増えると水分の排出も制限されて浮腫みに繋がるというわけです。

糖質の摂取を抑えることは二重の意味で浮腫み予防になるってことか

2-3 糖質を摂りすぎると老化する

まだ一部の健康意識の高い人にしか知られていませんが、糖質の過剰摂取は老化に繋がります。
既に常識になりつつある酸化に対して、今回問題になるのは糖化です。

酸化が身体のサビと言われるのに対して、糖化は身体のコゲと言われます。
焼き肉や揚げ物など高温で調理すると表面に焼き色がつきますが、あれはメイラード反応と言ってタンパク質に糖が結び付くことで起こる現象です。

糖質を過剰に摂取して、余った糖がタンパク質や脂肪と結合してAGEsエージス(終末糖化産物)を生成してしまう反応が糖化です。
このAGEsが皮膚や髪、爪を劣化させてしまいます。

シミやシワ、たるみなど見た目の老化の原因でもあると同時に、脳やその他の臓器の組織の機能も落とすことになるので、内部の老化も進行します。

因みに焦げのついた肉とか揚げ物(=AGEsそのもの)を食べることでも体内のAGEsは増えるよ

2-4 糖質は様々な疾患の原因になる

糖質の過剰摂取によって高血糖になると、血管にダメージが入り動脈硬化などの原因になります。
この動脈硬化が発端となり、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管系の疾患リスクが急上昇します。

またインスリン感受性が低下することにより、2型糖尿病を発症するリスクも高まります。
当然のことながらインスリン抵抗性によって生じる肥満も様々な疾患の原因です。

そして糖質の影響で意外と知られていないのが、がんや認知症などのリスクです。
血糖値の急上昇・急降下、いわゆる血糖値スパイクによってがんのリスクが1.6倍認知症リスクが1.5倍になると言われています。

また現代人が晒されている食の危険の中でも代表例であるトランス脂肪酸の除去にも糖質制限は効果的です。
糖質制限により体内のグリコーゲンが枯渇してくると、脂質を代替エネルギーとして活用しやすくなります。

その過程で体内に溜まっていたトランス脂肪酸もエネルギーとして代謝され、体外に排出されていくのです。
トランス脂肪酸がもたらす様々な問題について詳しくは別のページで解説します。

準備中

まとめ

糖質制限のダイエット効果、メリットについて解説しました。
「糖質制限ダイエットは痩せる」と聞いたことはあっても、なぜ痩せるのかはあまり知られていません。
糖質には以下のような性質が関係しています。

①体脂肪の原料:糖質は体脂肪(中性脂肪)の原料
②インスリン抵抗性:体脂肪の蓄積を進めるインスリン抵抗性は主に糖質によって生じる
③食事量の減少:糖質は血糖値スパイクを起こしやすく腹持ちが悪い
④体脂肪の分解を妨げる:体脂肪が分解されるのは身体に蓄えられたグリコーゲン(糖質)が枯渇してから
⑤保水力が高い:細胞に多量の水を引き込むため、身体の水分量が増えやすい

糖質制限がダイエットにオススメされるのは、単に効果が高いというだけではありません。
手軽であり栄養バランスを崩しにくいというのは大きいです。
また老化や病気を予防するという観点からはダイエットに関心がない人でも取り組むべきと言えます。

ただし糖質=悪という図式で極端に削るのは当然ながらオススメしません。
糖質制限のやり方について詳しくは別のページで解説します。
そちらも参考にしてください。
てなとこで。