腸内環境の悪化を判断する基準|便の簡単チェック方法

何となく不調を感じるけどこれって腸内が荒れてるせい?

腸内を覗くことは出来ないので、自分の腸内環境が悪いのか直接確認することは出来ません。
また腸内環境の改善に力を入れてても、それが効果を発揮してるのかも確認できません。

しかし腸内細菌の反応は素直で速いので、腸内環境の良し悪しはすぐに目に見える症状として現れます。
最も簡単に異常が分かる方法が便通です。日ごろの便の状態確認が「腸」子を知る上で欠かせません。

このページでわかること

・排便チェックで確認すべきポイント
・各チェック項目が表す腸内環境の状態
・便に現れる不安な症状の正体と対策

1 便は食べ物のカス?

毎日のようにトイレで向きあってる便が何なのか、実はちゃんと理解してる人は意外と少ないんじゃないでしょうか?

吸収できなかった食べ物のカスがほとんどのように思えますが、その大半は水です。
正常な便なら7~8割程度は水、残りが食べ物のカス、腸内細菌、剥がれた腸の粘膜という構成になっています。

この便の構成割合が崩れてくると、便通異常に繋がります。
腸内で起きてる不調の種類によって症状が変わるので、以下で具体的なチェックポイントを紹介します。

2 便でチェックすべきポイント

便の状態をチェックする時に見るべきポイントは大きく3つです。
それぞれが腸内環境の何を表しているのかについて解説します。

①便の色 ②便のニオイ ③便の形状

2-1 便の色

正常な便の色は黄褐色~薄い茶色くらいと言われています。
便の色が変わるのは消化酵素の1つである胆汁に含まれるビリルビンという成分の影響です。
ビリルビンは腸内のpH値、つまり酸性かアルカリ性かにより色が変化するからです。
正常な腸内環境の場合はやや酸性で、悪玉菌の増殖が抑えられてる状態です。

便の色が「茶色→こげ茶色→黒」と濃くなるに従って、中性~アルカリ性に傾いてることが分かります。
つまり悪玉菌が優位になりやすい環境になり、腸内の状態が悪化してることが分かるのです。

2-2 便・オナラのニオイ

にわかには信じがたい事実ですが、正常な腸内環境の場合ニオイはほとんどせず、しても嫌な臭いではありません。

便やオナラのニオイが強い場合は、腸内でアンモニアやインドール、硫化水素などの有毒ガスが発生していると考えられます。
これらは悪玉菌が食べ物を腐敗させて発生させる物質なので、腸内細菌のバランスが悪玉菌優位に傾いてる証拠です。

善玉菌と悪玉菌のいずれが優位かは、1つ前の色のところからも推測できる、つまり色とニオイは相関します。
色が薄い場合は便やオナラのニオイもキツくなく、色が濃い場合はニオイもキツくなってるはずです。

タンパク質など悪玉菌のエサになる栄養素を控え、善玉菌のエサになる食品を多く取り入れるようにしましょう。
腸内細菌のバランスを改善する食べ物(プレバイオティクス)についてはこちらのページでまとめています。

2-3 便の形状

バナナのような半練り状が正常な便の形です。
そして便の形状は含まれる水分の量によって決まります。

水分の吸収は主に大腸で行われるので、すなわち大腸を通過するのにかかった時間の指標ってことです。

腸の状態が正常であれば通過するのにかかる時間は24~72時間程度で、つまり1~3日程度になります。
そのため実は3日に1回便通があれば正常な便通の範囲内で便秘ではないのです。

これより早すぎる場合は水状、遅すぎる場合は硬いコロコロウンチになります。
この時間は腸のぜん動運動の問題で、水状の場合は働きが過剰になって通過するスピードが速すぎるってこと。
逆に硬いコロコロしたウサギの糞のような場合は通過するスピードが遅い。つまりぜん動運動が低下してる(=便秘)ってことです。

ぜん動運動は副交感神経が担っているため、ストレスなどで自律神経の活動・バランスが乱れている可能性があります。
自律神経を乱す日常の悪習慣についてはこちらのページでまとめて解説してるので参考にしてください。

便通が乱れている場合は排便後も残便感があることが多く、これも1つの指標になります。
女性に多いですが、単純に水分不足で便に水気がない場合もあるので、水分の摂り方から見直してみましょう。

脱水には要注意!

3 その他の状態

その他、腸内環境の悪化にはとどまらない可能性のある便の状態もあるので最後に紹介します。
現れるとちょっと不安を感じる症状で、それが何を意味するか様々な憶測が飛び交ってる症状です。

①便に血が混じる ②便が細い ③便に油が混じる

3-1 血便?

便が赤かったり赤黒かったりする場合は腸管内での出血が疑われます。
血は時間の経過とともに色が変化するので、混じっている血液の色で大まかな原因を推測することが可能です。

鮮やかな赤の場合、出血箇所が肛門に近いので腸管内の痔の疑いアリです。
排便の前後に血が滴ることがあるので注意して観察しておきましょう。

黒ずんでいるいわゆるタール便の場合は肛門から遠い場所で出血しており、消化管系のがん潰瘍の疑いが出てきます。
ついでに鮮やかな赤だったとしても痔ではなくS字結腸など肛門に近い位置に潰瘍がある場合もあるので経過を見守り、心配なら病院へ行きましょう。

そしてバリウムを飲んだわけでもないのに便が白かったり、極端に色が薄い場合は便の色を決める胆汁の分泌異常の可能性が考えられます。
つまり肝臓や膵臓などの消化酵素を分泌する臓器に異常があるかもしれません。

3-2 便の太さ

便が細いってことは潰瘍かポリープがあって腸管が狭まってるからだ…

テレビで雑に紹介されたせいでこういう勘違いをしてる人が結構いますが、ただ細いだけなら問題ありません。
便にある程度の硬さがあれば肛門を押し広げて出てこれますが、水分量が多くて便が柔らかいと絞り出すような形になります。
つまり便の太さは硬さに比例して決まるのです。

問題なのは硬いのに細いパターン。この場合は肛門を通る前から便が細かったことになります。
つまり何かの原因で腸管が細くなってるってことです。
この場合は潰瘍ポリープがんなどの疑いもあるので検査した方が良いかもしれません。
一時的に腸管が狭まってる可能性もありますが、続く場合には病院を受診しておくことをオススメします。

3-3 油混じりの便

排便した時に便器の水面に油が浮いてる場合は腸機能の低下の疑いがあります。
腸の機能低下によって消化不良が起きた場合は便がかなり水っぽくなるので、よく見ないと油の浮きが分かりません。

この油は消化吸収しきれなかった食品の脂質がそのまま排泄されたものです。
過剰に脂質を摂取した場合はもちろんこういう症状は出やすくなります。
またアルコールの過剰摂取などでも起きますが、もっと慢性的な腸の不調も考えられなくはありません。

また脂質の分解酵素を分泌する膵臓の不調の可能性もあります。
脂質の摂取を適量に抑えた上で反応をしっかり観察しましょう。

まとめ

腸内環境を簡単に判断する便のチェック方法についてでした。
便秘かどうか、つまり排便の頻度を重視する向きもありますが、観察できることは基本的に便の形状と同じことです。

よく見かける解説で注意が必要なのが、色・ニオイと形状をリンクさせてるものです。
「硬く黒い便」などと一緒くたにしてる場合がありますが、色と形状を決定する要因は異なります

現にぼくはケトジェニック減量中に「黄褐色」の「コロコロした便」が出ていました。
ケトジェニックでは脱水に近い症状が出るため、便は水分が不足して硬くなりやすいのです。
その一方で腸内環境に配慮して炭水化物は全てプレバイオティクスで埋めていたので、善玉菌優位の状態が続いていたと考えられます。

各チェック項目から判断できる状態を正しく押さえて、混同した短絡的な判断をしないようにしましょう。
判断を誤れば対策も間違い、腸内環境をより悪化させかねないので要注意です。
てなとこで。