インスリン抵抗性の原因は食習慣|改善する2つの方法
これまでカロリーが肥満の原因とされてきましたが、体重を決める真の要因はインスリンの分泌量という説が浮上しています。
このことについてはこちらのページで詳しく解説しました。
そしてそのインスリンの分泌量はインスリン抵抗性が上がることに伴って増加していきます。
つまり肥満の根本的な原因は、インスリン感受性を低下させることにあるということ。
まずはそういった原因になる習慣を排除することが重要です。
また既にインスリン感受性が低下しつつある人にとっては、改善のための対策も必要になります。
このページではインスリン抵抗性と食習慣の関係、そしてその対策について解説します。
・インスリン抵抗性の原因になる食事、食べ方
・インスリン分泌に関する誤解と意外な事実
・インスリン抵抗性を予防する方法
・真に効果的なダイエット食
1 インスリン抵抗性を生む食習慣
インスリン抵抗性とは簡単に言えばインスリンに身体が慣れてしまった状態です。
その慣れてしまう最もシンプルな原因がインスリンの過剰な分泌であり、それには食習慣が大きく関係しています。
何を食べるかに注目する人は多いですが、それと同時にどう食べるかが非常に重要です。
現代人の多くが徐々に肥満や糖尿病に向かっていく悪しき食習慣についてまずは解説します。
大きく分けて以下の3つです。ついでにトレーニーについても言及します。
①糖質過多 ②間食 ③食事回数
1-1 高糖質の食事
血糖値の上昇はインスリンの分泌要因の1つです。
細胞に取り込み切れなくなるほど糖が供給されれば、無理に押し込もうとさらに多くのインスリンが分泌されます。
特に精製された白い炭水化物は吸収が速く、急激な血糖値の上昇を招きやすいので、摂らない方が良いものです。
「どれくらいなら食べてもいい?」という質問は「タバコは1日何本までならOKか」と聞くのと変わりません。
それくらいダイエットにとっても健康にとっても好ましくない食べ物ということです。
また清涼飲料水などに使われる果糖は、血糖値を上げない代わりに脂肪肝にダイレクトに影響する隠れた問題児です。
目に見える脂肪がつかない代わりに脂肪肝を悪化させてしまいます。
「何となくヘルシーそう」なんて単なるイメージに振り回されず、こちらもカットすべきです。
なお、正しい糖質制限の方法はこちらのページで解説しています。
1-2 不要な間食
間食はトレーニーに限らず、一般的なダイエットでも推奨されやすい習慣です。
その根拠となるのは「長い空腹の後の食事では急激に血糖値が上がりやすい」ということ。
実際にこのように解説する栄養士や医者が多くいます。
確かに食間が空くほど血糖値は上がりやすい傾向にはありますが、食べ方(順番とスピード)に気を付ければ何の問題もありません。
GI値やGL値はもはや常識で、簡単に言えば脂質や繊維質の多い食品から摂ればいいだけのことです。
むしろ食間を埋めてしまうことで、いつまでもダラダラとインスリンが分泌され続け、感受性を低下させる原因になります。
さらに悪いことに、間食なら何でも許されると都合よく解釈した多くの人が間食として食べるのは高糖質なスナックばかり。
次の食事で血糖値を上げないために食間を空けないようにするのに、砂糖まみれのお菓子を食べてるようじゃ本末転倒です。
間食って文化はお菓子メーカーが商品を売るために作り出した新しい(不要な)習慣だよ
1-3 多過ぎる食事の回数
同じ理論で間食をさらに発展させた形が1日6食などという頻回の食事メソッドです。
3時のおやつ1回ならいざ知らず、6回も食事を摂るなど1日中インスリンを分泌し続けているようなもの。
間違いなく少しずつ着実にインスリン抵抗性を発現させてしまいます。
むしろ1日3食でも多いという意見もあります。特に健康イメージの根強い分だけ朝食は問題児です。
健康診断の問診でも朝食を抜くことが悪いことのように項目に挙がっています。
しかし起床時に分泌されるコルチゾールは全身に血糖を送り込む作用があるので、本当は朝はエネルギー不足ではありません。
むしろそんなタイミングに食事を入れれば糖が過剰になってしまいます。
科学的な根拠ではありませんが、スリムな人が多いフランスには朝食という文化はありません。
「朝食=健康」ってのはシリアルメーカーが打った広告によって作られた偽のイメージだよ。これまたマーケティングの産物。
1-4 トレーニーは例外?
小まめに食事を摂るというと代表的なのは筋肥大を目指すトレーニーでしょう。
カタボリックはトレーニーの大敵であり、それを防ぐためにも栄養を枯渇させないことが大事と言われます。
特にタンパク質の不足は深刻なので、プロテイン(バー)やサラダチキンなどは手放せません。
これがトレーニング界、ビルダーやフィジーカーにとっての常識です。
またタンパク質だけじゃなく糖質の補給も必要だと言われています。
しかし実のところ、数時間くらい食事を空けたくらいで筋肉は落ちたりしません。
むしろ中途半端に食事を繰り返すことで脂肪の分解を妨げ、むしろインスリン分泌によって合成を促しています。
体脂肪が多いほど筋肥大が起こりにくいというのはもはや常識で、脂肪の増加を省みない増量など時代遅れです。
プロレベルの異常な筋量を維持するとなれば話は別かもしれませんが、一般のトレーニーに間食は不要です。
2 インスリン分泌の知られざる事実
インスリンの分泌と言えば一般的には糖質が原因とされてます。
しかししっかり事実を押さえていないと糖質制限だけすればOKと誤解しかねません。
インスリン抵抗性を改善する方法に入る前に、インスリンに関する知られていない事実について解説します。
具体的には以下の2点です。
①血糖値とインスリンの関係は弱い
②糖質以外の食品でもインスリンは分泌される
2-1 血糖値の影響は小さい
血糖値の上昇とインスリン値の関係を探るために、同量のブドウ糖を注射した場合と経口摂取した場合を比較した研究があります。
経口摂取の場合は吸収率が100%ではないので、血糖値の上昇は注射した場合の方が高くなります。
しかしインスリン値はと言うと、なんと経口摂取した方が高くなったのです。
実はインスリン値に血糖値が与える影響は約23%と、それほど大きな関係はありません。
それよりも「食事を飲み込む」という消化器官への物理的な刺激の方が重要です。
食べ物が入ってきてからエンジンをかけるのでは対応が後手に回ってしまいます。
そのため食べ物が入ってくるのが分かったタイミングから様々な準備を始めているのです。
「口に入れる」というのもそのキッカケの1つになります。
血糖値を急激に上げる糖質だけを制限してれば十分とは言えない点には注意しなければいけません。
2-2 タンパク質もインスリン値を上げる
最近ダイエットの強い味方と言われているタンパク質も実はインスリンを分泌します。
その分泌は炭水化物と合わさることで最大になるので、丼モノなどは特に要注意です。
脂質が加わることでインスリンの分泌は抑えられるので、自然な状態の肉や乳製品はその作用が抑えられます。
逆に一見ヘルシーな皮無し鶏むね肉や低脂肪乳・ヨーグルトなどの方がインスリン分泌(肥満)リスクが高いのです。
トレーニーに強い味方であるホエイプロテインも乳脂肪をカットした純粋なタンパク質なのでインスリン値を急増させます。
「プロテインでも太る」というのは事実ということ。
ただその理由は「カロリーがあるから」ではなく「インスリンを分泌するから」です。
肥満リスクを含めたプロテインのデメリットについては別のページで詳しく解説します。
3 インスリン抵抗性を改善する対策
まずはインスリン抵抗性を発現する原因となる食習慣をカットすることが重要です。
しかしそれではインスリン感受性を回復するまでには至りません。
さらにインスリン感受性をアップさせ、減量を効果的に進めるために有効な対策を2つ紹介します。
①運動 ②ファスティング
3-1 運動(特に筋トレ)
運動で消費カロリーを増やすことに意味はありません。
安静時代謝が代わりに低下して、その増加分を吸収してしまうからです。
しかしだからと言って運動にダイエット効果がないわけではありません。
筋肉でのエネルギー代謝(糖の消費)を促進することでインスリン感受性を向上させる効果が期待できます。
そもそも消費カロリーとか考えること自体がダイエットとほぼ関係ないからね
特に解糖系のエネルギー代謝がメインの無酸素運動(筋トレ)はインスリン感受性アップに有効です。
インスリン抵抗性や感受性は局所で起こるので、全身の筋肉をバランスよく鍛える必要があります。
同様の理由で筋トレをしても肝臓に発現した抵抗性は改善しません。
運動だけしてれば十分というわけではなく、食事の対策も同時に進める必要があるってことです。
3-2 究極の対策はファスティング(断食)
間食カットの口寂しさを我慢するだけでもキツイかもしれませんが、実はそれだけでは不対策としては不十分です。
3食の間は長くても6~7時間くらいしか空きません。
これでも十分長そうに見えますが、インスリン値を下げるには十分な時間とは言えないのです。
インスリン分泌を落ち着かせ感受性を改善するには、食事を食べない時間を食べてる時間(食間が短い時間)とイコールかそれ以上にする必要があります。
6時に朝食、13時に昼食、夕飯が遅くなって20時の場合、食べてる時間は14時間で食べない時間は次の朝食までの10時間です。
このバランスを最低でも12時間ずつ、出来れば食べない時間の方を長くすることをオススメします。
そのために有効なのがファスティング、すなわち断食です。
一番シンプルかつ実践しやすいのは食べる時間と食べない時間の境界に当たる朝食か夕食をカットする方法。
朝食を食べないと低血糖になっちゃうんじゃないの?不健康そう…
こういうファスティングに向けられる批判やメリット、具体的な方法についてはこちらのページで解説します。
準備中
まとめ
インスリン抵抗性の原因になる習慣と、改善するための方法について解説しました。
まずは第1段階としてインスリン抵抗性を悪化させてしまう悪しき食習慣を断ち、悪化をストップさせましょう。
その上で運動(筋トレ)やファスティングによってインスリン感受性を回復していきます。
いずれか片方だけでは減量効果は得られません。両方やることに意味があります。
食事の注意点はダイエットの有望株であるタンパク質にもインスリン分泌作用があるということです。
特に脂質が極端にカットされたタンパク質ほどその傾向が強くなります。
糖質と合わさると最悪です。
最近は「脂質を抑えてタンパク質が摂取できる」というコンビニ商品がトレーニーやダイエッターに人気ですが、インスリン感受性の観点から見るとなかなか危険な食べ物と言えます。
手軽な食事に甘えることなく、健康のことを考えて適量バランスよく食事しましょう。
てなとこで。
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