食事を適量に抑える方法|満足度を最大化する3つの食べ方テクニック

「痩せる食事」「絞れるフル食」などのYouTube動画が人気ですが、食べるほど痩せる食品などこの世には存在しません
結局のところ食欲をコントロールし、適量に食事を抑えないことには何を食べようと痩せることは無いということです。
食欲をコントロールするための対策全般についてはこちらのページで解説しました。

ここでは食事を適量に抑え、余計な間食などを予防するのに効果的な満足度という視点で、その実践法について解説します。

このページでわかること

・なぜ満足度が食事量の調整に重要なのか?
・空腹と空腹感の違い
・満足感を高めるための具体的な対策
・番外編 食事の満足度に肥満が与える影響

ポイントは満足度

人間の欲は自分の心を満たすために生じるものであり、食欲も例外ではありません。
食欲が生じるのは空腹を満たすためだと考えるのが一般的で、一部にはそういった側面があることも確かです。
しかしお腹はいっぱいになってるはずなのに、何となく物足りないような気がするという経験は誰しもあると思います。
これは空腹は満たされたが欲は満たされていない状態であり、「食欲=空腹」ではない証拠です。

空腹と空腹感は混同されがちですが、この両者は別物です。
実際にエネルギーが不足している状態が空腹で、上記のような物足りなさは空腹感になります。
では空腹感はなぜ消えないかと言えば、それは心が満たされていないからです。
つまり食事量だけでなく満足感も十分に与えなければ、空腹感に従って間食などで食事量が増えてしまいます。
逆に考えると満足度を十分に得られれば食べる量は少なくて済み、結果として摂取カロリーが減少していくということです。

ではどうすれば食事の満足度を最大化することが出来るのでしょうか?
直感的に思いつきやすいのは好きなモノ、すなわち「何を」食べるかということです。
しかしこれでは健康に悪いジャンクやお菓子を正当化することになってしまいます。
食事は健康に直結するものなので、 満足感さえ得られれば何でも良いと言うことは出来ません。

重視すべきは「何を」ではなく「どう」食べるかという方法の工夫です。
以下では3つの満足度を高める食事の工夫を紹介します。

①ながら食事をやめる
②好きなモノを食べるタイミング
③制限する

1.マインドフルイーティング

瞑想の流行をきっかけに注目されるようになったのがマインドフルネスです。
「マインドフルネス=瞑想」という認識の人も多いようですが、厳密には瞑想はマインドフルネスの一種という関係です。
マインドフルネスとは、目の前の1つのことに意識を集中させる取り組み全般を指します。

注意散漫とかマルチタスキングの対義語とも言えるね

その1つの実践法として、目の前の食事に集中して食べることをマインドフルイーティングと言います。
「これを食べた」という記憶を強化することで、食事から得る満足感をアップさせる効果があると言われています。
食事の記憶を強化するという点ではレコーディングダイエットも有効ですが、満足度という点では外れるので今回は解説しません。
詳しくメカニズムなどを知りたいという方はこちらもご覧ください。

まずは目で見て味や食感を想像し、次に香りを楽しみ、口に入れてからはすぐに噛まずに舌で転がして…
このように厳密にマインドフルイーティングを実践しようとすると非常にめんどくさ…細かな行程を踏んでいくことになります。
しかし忙しい現代人が毎食これだけのプロセスを実践するのは、あまり現実的とは言えません。
そこで忙しい人のための簡易版マインドフルイーティングの実践方法をお伝えします。

①ながら食べの禁止 ②よく噛む

まず第1に「ながら食べ」をしないことです。
時間を有効活用しようとストリーミングサービスで動画を観たり、新聞を読んだり、勉強したりの片手間に食事をする人が多いと思います。
しかしこれは先述したマルチタスクであり、マインドフルネスとは対極の状態です。
これでは記憶も満足度も高まりません。
まずは食事以外の作業を止め、目の前の食事に集中しましょう。

そして第2に「よく噛む」ことです。
これまた忙しい人にありがちですが、よく噛まずに丸飲みに近い食べ方をする人がいます。
最近は歯ごたえが無くほとんど噛む必要のない食べ物が多いのも、このクセを助長してるのでしょう。
しかし咀嚼が少ないと食べ物が食道を傷付けたり、消化不良で不調の原因にもなります。
何より食事時間が短くなるので満足感も得にくく、かつ急激な血糖値の上昇で肥満にも繋がります。
片手間に食事をしないことで、嫌でも食事に注意が向くので咀嚼中に食べ物の食感などを明瞭に感じられるようになるはずです。

非常にかんたんなことなので、まずはこの2つだけ食事中に実践してみましょう。

2.食事の終わり方に気を付ける

「ご飯を食べるとき好きなモノから食べる派?最後に取っておく派?」というのは定番の2択ですよね。
皆さんはどちらでしょうか?
ぼくはズルいですが、真ん中と最後に食べる派です。
でも最初か最後かのどっちかから選べ!と言われたら最後にします。

これは行動科学の観点から食事の満足度を高める上で効果的と考えられているからです。
皆さんは「ピークエンドの法則」というものをご存じでしょうか?
これは行動科学の分野では非常に有名な法則で、詳しく勉強をしてない人でも聞いたことがある人が多いと思います。

<ピークエンドの法則とは?>
人間の記憶の印象や幸福度は、その記憶のピークの部分と終わりの部分で決定づけられるという心理特性

つまりさらに砕いてしまえば「終わり良ければ総て良し」ってことですね。

ピークを意識して作り出すのはそんなに簡単なことじゃありませんが、終わり方だけは自分の意志でいくらでもコントロールできます
だからぼくは最後に好きなものを食べて終わることをオススメしてるわけです。

ちなみに真ん中らへんで好きなモノを食べる理由は、食事のピークを作ろうという試みです。
最初に食べる派は「最後だとお腹いっぱいで美味しく感じられない」と主張しますが、確かにこれには一理あります。

かといっていきなりメインにがっついてもお腹が準備出来てないんじゃないかなとも思うわけです。
味噌汁やサラダなどのサイドディッシュで軽くアップして、準備ができたところでメインを食べればきっと最高に美味しく感じるはず。

これに関しては特に根拠はないですし、実際かなり個人差があるものと思います。
だから最初にいきなり好きなモノから食べるのが至福、って人は最初から食べて全然OKです。
ただ少しだけでも残しておいて締め括りも好きなモノにするというテクニックも取り入れてみると尚いいと思います。
ぜひ試してみてください。

余談ですが、ぼくは些末な決断に脳のリソースを無駄遣いしたくないので、どういう順番で食べるかを固定してしまうこと自体にもメリットがあると考えています。

3.制限してみる

好きなモノばかりを食べ過ぎるというのをあまりオススメしない理由は健康面の問題だけにとどまりません。
好きなモノを食べるというのが、食事の満足度の観点でも好ましくないからです。

3-1 食べるほど喜びは減っていく

皆さんは限界効用逓減の法則というものをご存知でしょうか?
何やら小難しいワードに思えるかもしれませんが、超基礎的な経済学の理論です。

簡単に言えば、消費を繰り返すごとに得られる効用(≒満足度・喜び)は少なくなっていくというもの。
これは食事に限らず、買い物でも旅行でも何にでも当てはまります。
どんなに好きなモノでもあり過ぎれば、ありがたみはどんどん薄れていくってことです。

1口目がピークで、そこから先は徐々に喜びが薄れて単なる作業に変わっていく感覚は誰しも経験があると思います。
だからこそ色んな1口目を経験できるからビュッフェ・バイキングは人気なのかもしれませんね。
逆にどんなに好きでも、それだけを食べ続けるって考えたら喜びより苦痛が勝りそうだと想像できるはずです。

苦痛とまではいきませんが、お菓子やジャンク、カフェラテのような贅沢品を死んだような目で口にしてる人をオフィスではよく見かけます。
日常的に摂取し過ぎてるせいで、ほとんどありがたみや喜びを感じていないのでしょう。
多くの人にとって1口目の感動を作り出す工夫は非常に重要なことになります。
そしてそのための対策こそが「制限」です。

3-2 制限で暴走しないのか?

ぼくも昔は甘いものがすごい好きで、自ら友達や彼女をケーキバイキングに誘うくらいでした。
しかし健康やボディメイクについて勉強する中で、砂糖の悪影響を知ってからは控えた方が良いと考え、積極的に摂ることはありません。
とは言え全く食べないわけではなくお祝い事の席などで出てきた時などにはしっかり食べます。

出された食べ物を残すのは嫌だからね

因みにデザートサービスなどで選べる場合には間違いなく断ります(笑)。

頻度としては年に3~4回程度のことなので、非常に制限の期間は長くなります。
そうなると皆さん心配するのが食欲の暴走ですよね?
ぼくも砂糖依存症の事例を見たことがあるので最初は少し心配でした。
しかしそんな心配は無用です。たった1切れのケーキで大満足で、それ以上食べたいとは全く思いません。

ボディメイクの優先順位が高いことの影響もあるとは思いますが、元々の好きさ具合で言うとそれだけでは抑えきれないと思います。
やはり、それまでの制限によって感覚が初期値に戻り、満足度が最大化されたことが大きく寄与したというのがぼくの考えです。

いくら好きな食べ物でも日ごろから当たり前のように口にしてしまうと、ほとんど喜びは感じられません。
得られるのは膨大で余分なカロリーとたるんだウエストライン、そして老化です。

全部要らない…

人生において食事の優先度が高い人に対して「ジャンクを全く食べるな」とは言いません。
しかし摂取によって犠牲になるものが多い以上、せめて満足や幸福は最大限に享受しないと割に合わないと思いませんか?
そのためにも定期的に制限を入れて、感覚をリセットすることをオススメします。

因みに食欲の暴走が心配だという人には好きな食べ物をサイクルするという方法がオススメです。
過度に我慢するという期間を長くすることなく、食事の満足度を高く保ち続けることが出来ます。
もちろんお菓子やジュース、ファストフードなどのジャンクまみれがNGなのは言うまでもなく。

まとめ

食欲を抑えるのに効果的な方法、食事の満足度を高める方法について解説しました。
食欲はお腹がいっぱいか否かだけでは決まりません。満足できたかが非常に大きな影響を及ぼします。

そのためには食事に集中し、順番に配慮し、そしてありがたみを認識することが必要です。
1つ1つは簡単なことですが、一気にやろうとしても挫折するのは目に見えています。
最初の2つは習慣化しやすく今日からでも実践できるものなので、まずはこの2つのどちらかから始めて、そのあとで好きなモノの制限に手を着けてみましょう。

今回は「食べ方」という括りで紹介したので省きましたが、ダイエットで体重を減らすことも食事の満足度を上げる効果があります。
食事から得られる快楽の度合いを計測した研究によると、肥満の人ほど食事の刺激に対する反応が鈍いことが確認されています。
つまり太っている人は痩せている人に比べて食事から満足を得にくいせいで過食になりやすく、過食による肥満がさらにその傾向を助長するのです。
まさに肥満のループに入ってしまっています。

これを逆に考えれば、減量と食事の満足度を高めることには相互作用が働き、相乗効果が得られるとも言えます。
最初ほど産みの苦しみが大きいと思いますが、少しずつでも負の連鎖から抜け出せるよう工夫してみてください。
てなとこで。