ケトジェニックダイエット中の食事・PFCルール|オススメとNG食品

ケトジェニックダイエットの基本は糖質をカットし、脂質の摂取を増やすことです。
詳しい方法についてはこちらのページで解説しています。

カロリーベースでの管理は簡単ですが、「脂質なら何で摂っても同じ」といった短絡的な判断に陥るリスクもあります。
ケトジェニックダイエット期間中は具体的にどんな食事をどれくらい食べればいいのでしょう?
このページではケトジェニックダイエット中の食事のルールについて解説します。

このページでわかること

・ケトジェニックダイエット中の食事の基本
・摂取カロリーはどうするか?
・ケトジェニックダイエットにオススメの食品、NG食品

1 ケトジェニックダイエット中の食事の基本

ケトジェニックダイエットは脂質を積極的に摂取する代わりに糖質を厳格に制限する方法です。
まずはザックリとしたPFC(タンパク質・脂質・糖質)のマクロバランスをどのように決めるかから見ていきましょう。

よくカロリーの上限値の設定を気にする人がいますが、それは考える必要はありません。
まず第一にカロリーの高低で肥満は決まらないということ。
そしてケトジェニックダイエット中の栄養摂取量は以下で解説するとおり、体重で自動的に決まるからです。

1-1 P:タンパク質

タンパク質は筋トレをしている以上は欠かせない栄養素です。
減量中でもタンパク質の摂取量は維持するようにしないと、筋肉が分解されやすくなってしまいます。

タンパク質の摂取量の基準は体重(厳密には除脂肪体重)です。
ここの設定は筋トレの基本に従って、体重1㎏当たりタンパク質1~2g以上に設定します。

実際に体重に対するタンパク質摂取量の比率は普段設定しているものなので個人差がありますが、その量をそのまま維持すればOKです。
過度に増やしても余って腸内環境を悪化させるだけなので、ケトだからと増やす必要はありません。

1-2 F:脂質

ケトーシスに入るに当たって必要不可欠な脂質も、目安としてはタンパク質と同量程度を摂りましょう。
体重70㎏でタンパク質を1㎏当たり2gで設定した場合、1日のタンパク質の摂取量は140gになります。
この場合は脂質も140~150g程度にするのが好ましいです。

この脂質の摂取量は当然のことながらMCTオイルやオリーブオイルなど液体の油脂の摂取も含みます。
そう考えると案外少ないように感じるかもしれませんが、消化負荷が高くなかなかお腹が空かなくなるので、食の細い人にとっては食べるのがキツイくらいだと思います。

1-3 C:糖質

糖質は主に筋肉の無酸素性代謝(解糖系)で使われるため、体重や筋肉量・代謝量によって摂ってもケトーシス状態に影響のない糖質量は変わります。
身体が大きいトレーニーなら1日に50~100g程度は摂っても影響がないかもしれません。
ただしそういう人でもケトーシス導入期だけはほぼゼロにした方が移行がスムーズになります。

また強い倦怠感が抜けない場合には多少糖質の摂取を増やしてもOKです。
ただしその際も不足しやすい食物繊維の補給をメインにし、キノコ類や葉物野菜を中心に増やしましょう。
脂質とタンパク質中心の生活は腸内環境を悪化させやすいので繊維質の摂取は必須です。
間違っても白米や小麦粉、砂糖など栄養密度の低い(ほぼ)単体の糖で補うようなことをしてはいけません。

1-4 脂質を恐れずに摂る

ケトジェニックダイエットの失敗で最も多いパターンが、脂質の摂取が不十分になってしまうことです。
長らくダイエットの大敵だった脂質をたくさん摂ることに抵抗を覚える人も多いと思います。

どうせなら脂質も減らした方がもっと絞れるんじゃなかろうか…

こういう誘惑(?)に駈られる人も多いかもしれません。

しかしケトジェニックダイエットは糖質という従来のエネルギー源を断ち、代替エネルギーとして脂質を供給してやる方法なので脂質は必須です。
脂質が不十分な状態ではケトーシス状態には入れず、極度の低血糖状態になってしまいます。

脂質も糖質も不十分だと単なる超ローカロリーダイエットだからね

2 ケトジェニックダイエットにオススメの食品

ケトジェニックダイエットでは脂質を多く摂取して糖質を徹底的にカットします。
これだけ聞くと非常にシンプルな方法に思えますが、PFCのマクロ管理では不十分です。
それぞれの栄養素で食べた方が良い食品と食べてはいけない食品があるので、栄養素ごとに紹介します。
またケトジェニックダイエットは経済的な負担も大きいので、コストの観点も踏まえたラインナップにしています。

因みにケトジェニックダイエットのデメリットは食費だけではありません。
詳しくはこちらのページで解説しています。

2-1 P:タンパク質でオススメの食材

タンパク質はトレーニーにとってバルクの基本栄養素です。
減量中と言うと皮無し鶏むね肉が基本でしたが、ケトジェニックダイエットならその縛りはありません。
しかし健康面や脳のパフォーマンスを考えると動物性の飽和脂肪酸が過剰になるのは考え物です。
また脂肪の多いタンパク源に偏るとタンパク質の比率が落ちてしまうので、その比率も考える必要はあります。

ケトジェニックダイエット中のタンパク源としてオススメの食品は以下のとおりです。

①牛肉 ②豚肉 ③魚 ④卵 ⑤豆 ⑥チーズ

牛肉や豚肉は脂身の少ない部位の値段が高いので、ローファットダイエットでは使えませんが、ケトジェニックダイエット中ならOKです。
赤身肉には脂肪の代謝を促進するカルニチンが含まれており、この炎症作用が筋肥大の刺激になる可能性も示唆されています。
また豚肉にはビタミンB群が豊富に含まれていて、糖質不足で感じやすい疲労感の解消にも効果的です。

やや値段は張りますが、質の良い脂質を同時に摂取するという観点では魚もオススメになります。
タンパク質の吸収効率や感染症のリスクを考えると、火を通して食べるのがベストです。
とは言えグリルで調理するのがメンドウという人も多いことでしょう。
そういう場合は缶詰、特にサバ缶は安くて脂質も豊富で美味しいので非常にオススメです。
ただし水煮に限ります

卵はいつでも安く庶民の味方のタンパク源です。
調理方法も色々あるので、飽きずに食べ続けられます。
コレステロールを心配する人もいますが、食品から摂取するコレステロールは血中コレステロールに無関係なので心配は要りません。
ただしアレルギーの心配はあるので、連日で食べないようにしましょう。
あと卵黄は想像以上に脂質が多いので、タンパク質量とのバランスを考える必要もあります。

枝豆などの豆類はタンパク質食物繊維が豊富で、かつ糖質が少ない優秀な食材です。
豆腐や納豆などの加工食品もいいですが、個人的には蒸した豆とほうれん草などをオリーブオイルで和えた豆サラダがオススメ。
苦手じゃなければひよこ豆やレンズ豆などを加えると、彩りと触感、栄養バランスが拡がります。
これらの缶詰もかなり安く買えるので、ケトジェニックダイエットの強い味方です。

チーズは脂質が多いですが、ケトジェニックダイエットならその心配もありません。
間食としてはもちろん、肉料理のトッピングなどにしてもOKです。
飽和脂肪酸が気になるという人は高タンパクかつ低脂質のカッテージチーズをオススメします。
1つ注意なのがナチュラルチーズを選ぶこと。
ケトジェニックダイエットには影響ないですが、健康の観点から安いプロセスチーズはオススメしません。

2-2 F:脂質でオススメの食材

脂質はケトジェニックダイエットの要です。
MCTオイル頼みになりがちですが、あまり摂り過ぎると様々な強い副作用を起こす可能性があります。
他の食品からケトーシスを助ける良質な脂質を摂取していきましょう。
オススメの食品は以下の通りです。

①アボカド ②ナッツ類 ③オリーブオイル

アボカドは非常に良質な脂質を豊富に含むフルーツ。
しかも腸内環境に有効な水溶性食物繊維を豊富に含んでいることもあり、ケトジェニックダイエットにはもはや必須のスーパーフード
やや値段が高いのが難点ですが、1日半玉くらいにすればそこまで大きなコストにはなりません。

※アボカドの豆知識
カットした片割れを保管する際はラップではなくアルミホイルで包むと黒ずみを抑えられます。
熟れているものを選びたい時は、ヘタのぐらつきをチェックしましょう。簡単に外れそうなくらいなら食べ頃です

ナッツの中でも特に油の質と栄養素に優れているのがクルミです。
もちろん他の種類のものも食べてOKですが、必ずクルミは入れたいところ。
ミックスナッツ製品にはほぼ入っているので心配ないでしょう。
食物繊維も豊富で腸内環境の悪化対策にもなります。
ミックスナッツを買う際は無塩でピーナッツやジャイアントコーンが含まれてないモノを選びましょう。

オリーブオイルは様々な健康効果が研究で明らかにされており、注目が集まりつつある地中海食の中心的な存在です。
調理油としてはもちろんサラダにドレッシング代わりにかけたり、カルパッチョにも使えます。
味付けが物足りない人は本物の海塩を少しかけてもOKです。
ちょっとだけ値は張りますが、必ずエクストラバージンのものを選びましょう。
酸化防止のため、緑色の容器、なるべくビンに入ったものを選び、保管は冷暗所で!

2-3 C:糖質(食物繊維)でオススメの食品

糖質はケトの副作用が強く出た時の対策にもなりますが、腸内環境の悪化を抑える点で重要です。
そのため糖質というよりは食物繊維を摂るという視点で糖質源を選びましょう。
糖質、食物繊維の摂取源としてオススメの食品は以下の通りです。

①葉物野菜 ②キノコ類 ③海藻類

カボチャやサツマイモ、オートミールなどは繊維以外の栄養素も豊富でトレーニーの心強い味方ですが、ケトジェニックには糖質が多すぎます。
具体的には以下のような野菜がオススメです。
脱水を起こしやすいケト中は特に便に水気を与える役割を果たす水溶性食物繊維の豊富な食品を多めにします。

オススメの葉物野菜

モロヘイヤ、ブロッコリー、オクラ、ゴーヤ、白菜

ケトジェニックダイエットの糖質源としてポピュラーなのがキノコ類です。
食物繊維が豊富で種類もいろいろあり、なんといっても価格が安定して安いというのも魅力。
しかもビタミンミネラルといった微量栄養素も含んでいるため、栄養バランスの偏りも回避できます。
脂溶性のビタミンが豊富なので、そういう意味でもケトと相性がいい食品です。

オススメのキノコ類

しめじ、シイタケ、エリンギ、シイタケ、舞茸、えのき

海藻類も食物繊維が豊富で、かつ糖質が少ない優れた炭水化物です。
これまた乾物が安価に買えるので、ケトジェニックダイエットのコスト面のデメリットを緩和できます。
意外にオイルとの相性もいいので、レモン汁やオリーブオイル、葉物野菜と和えてサラダにするのがオススメです。

オススメの海藻類

ワカメ、ひじき、海苔、モズク、めかぶ、寒天、ところてん

3 ケトジェニックダイエット中のNG食品

ここまで紹介してきたオススメ食品からも分かる通り、脂質が多いと言ってもかなりシンプルな食事になります。
その真逆で中に何がどれだけ含まれてるか分からない加工食品や調味料などは極力ゼロにすべきです。
個別の項目でも軽く触れましたが、ケトジェニックダイエット中のNG食品を紹介します。

①過去食品 ②調味料 ③サプリメント

お菓子やパンなどで貴重な糖質枠を浪費するのは論外ですが、タンパク質と脂質中心に見えるようなモノにも注意が必要です。
ウインナーやハンバーグ、シュウマイや餃子などはタンパク質より糖質が多く含まれています。
出来合の食品で十分なタンパク質や良質な脂質を摂取し、糖質の摂取を避けるのはほぼムリです。
食べられるモノを探す時間をかけるだけムダなので、ケトをやるなら大人しく自炊生活に切り替えましょう。

調味料でもソースやケチャップなどに糖質が多いのは分かると思いますが、日本の調味料も例外ではありません。
伝統的な製法で作られたものなら問題ないですが、スーパーで安売りされている醤油やみりんは糖質がかなり添加されてます。
味わいを出すために使いたい出汁にも果糖ブドウ糖液糖が使われてることがほとんどです。
またキノコ類や海藻類を食べるのに味噌汁にしたいと思った人もいるかもしれませんが、多くの味噌製品がアウトになります。
大抵のモノは成分を見ると大豆だけでなく米が使われていて、かなり糖質の密度が上がっています。

トレーニーにとって欠かせないサプリメントと言えばプロテインです。
一般的に使用されている純度の低いWPCは糖質の比率が高く、ケトジェニックの妨げになる可能性があります。
特にケトーシス導入期はプロテインの摂取は避け、食事からタンパク質の必要量を確保しましょう。
どうしても食事だけでは難しい場合には、高いですがアミノ酸サプリメントかWPIを使うのをオススメします。

アミノ酸サプリもWPIも人工甘味料の入ったフレーバーものじゃなく、ノンフレーバーに限るよ!

まとめ

ケトジェニックダイエット中の食事の方法について解説しました。
何となくお手軽なダイエット法のように勘違いしてる人も多いようですが、実際にはかなり厳格な管理を要する手法です。
また脂質OKと言われると何となく楽そうに思えますが、糖質NGだと食べられる食品がかなり限られます。
ただ逆に考えれば食事を考える手間がなくなるとも考えられます。
食事のコントロールという点でトレーニーには問題ありませんが、あまり初心者向けの方法とは言えません。

そんなトレーニーでも失敗しやすいのが脂質の摂取不足です。
最近はもっぱらローファットでの減量が主流だったので、脂質の摂取を増やすのに抵抗があるのも分かります。
しかし糖質も脂質も削ってしまっては単なるローカロリーダイエットで、ただ体感だけ辛くて全く痩せないなんてことになりかねません。
設定したPFCを信じてしっかり実践していきましょう!
てなとこで。