糖質と筋トレ・ダイエットの関係|ボディメイクに糖質が必須の理由3つ

糖質制限がダイエットの主流になって久しいですが、まさか糖質の摂取を疎かにしてるトレーニーはいないでしょう。
因みに糖質制限のダイエット効果についてはこちらのページで解説しました。

筋トレと栄養摂取に関する研究において筋肥大には十分な量のタンパク質さえ摂取すれば問題ないという結果が得られています。
こうした事情からトレーニーの中にも糖質不要論を唱える人が増えてきているようです。

確かに現代人は糖質過多の傾向にある人が多くいます。
一方でタンパク質が不足しやすいことは事実ですし、筋肉の合成にもタンパク質は欠かせません。
しかし「これさえあれば大丈夫」と万能な栄養素かのようにタンパク質を過剰に信仰し、他の栄養素を軽視する傾向は危険かと思います。

コンビニの加工食品(ジャンク)でも「タンパク質〇g」みたいな表示で溢れてるよね

このページでは最近やや劣勢に立たされ気味の糖質がボディメイクにおいて果たす役割、その重要性について解説します。

このページでわかること

・糖質と筋トレ、筋肥大との関係
・糖質とダイエットの関係
・進化論的な糖質不要論は本当に信用していいのか?
・糖質を摂取する上での注意点

1 糖質は筋トレのパフォーマンスアップに必須

筋トレに限らず、人間はその活動全般でATP(アデノシン三リン酸)という形から得たエネルギーをメインに消費します。
そしてこのATPを最も効率よく生成する材料が糖質です。
糖質が不足することは活動のエネルギー源が不足するということになります。

言うまでもないことですが、パフォーマンスが低下すればトレーニングで挙上できる重量や回数は減少してしまいます。
これでは筋肥大に必要かつ効果的な刺激・ストレスを与えることはできません。
エネルギーが不足した状態でのトレーニングも十分辛いですが、体感的な辛さと筋肥大には直接的な関係はありません

最近は体脂肪がつくことを恐れてカロリーを抑えるトレーニーが多いようです。
しかしこれではパフォーマンスも上がらないので、脂肪もつきませんが筋肥大も起こりません。
「たくさん食べてたくさん動く」筋肥大においてはこれが基本です。

いつまでも「何となく中途半端に良い身体」から抜け出せないよ

また次で解説する筋肉の合成や発達にも関係することですが、糖質はテストステロンの分泌にも大きく関係しています。
糖質の摂取量が少なくなるとテストステロンが分泌されにくくなり、筋トレのパフォーマンスや筋肉の発達が進みにくくなってしまうのです。

減量末期に性欲が全くなくなるのはそういう理由からだったのか…

2 筋肉の合成にも糖質は必須

前の項でATPは活動のエネルギー源だと説明しましたが、同時に筋肉の合成においてもATPは消費されます。
つまり十分なATPが合成できないということは、トレーニングのパフォーマンスが下がるだけでなく、筋肉の合成も起こりにくくなるということです。

冒頭で軽く紹介した研究のような結果が得られたのは、タンパク質からもATPを合成できることが理由と考えられます。
つまり一部が筋タンパクの材料に使われ、残りがATPの合成に充てられたということです。

しかしタンパク質から合成できるATPは非常に少ない(糖質の1割)ので、相当な量のタンパク質が必要になります。
言うまでもなくこれは様々な健康リスクを伴います。
コストもかかるのでオススメは全くできません。

またこのことから逆に糖質・ATPが不足した時、身体の筋タンパクを分解してATPの合成が起きるとも考えられます。
糖質の不足は筋肉の合成のために他の筋肉の分解を起こすという不合理を招きかねないということです。

また筋トレ・ダイエットにはコルチゾールという大敵が存在します。
ストレスを感じた時に分泌されることからストレスホルモンと呼ばれることもあるものです。
このコルチゾールは筋肉の分解や脂肪の蓄積を引き起こすため、過剰な分泌はボディメイクの妨げになります。
そしてこのコルチゾールの分泌を抑える働きをするのが糖質であり、この点からも筋肥大に糖質は有効です。

3 代謝のアップにも糖質が必要

実は運動によって消費できるカロリーはそれほど高くありません。
しかも頑張って運動しても、その分を安静時代謝の減少によって吸収されてしまうのです。
そのため、消費カロリーを増加させるには過度な運動をするより基礎代謝などを向上させる方が効果的です。
この代謝の向上に糖質は2つの経路で関係します。

①肝機能の向上 ②便秘の改善

3-1 肝機能のアップ

基礎代謝の向上に貢献する度合いが大きいのは筋肉というイメージがあると思います。
しかし人体で最も多くのカロリーを消費する器官は実は腎臓です。
実に基礎代謝の27~30%を占めます。

そして肝臓の唯一のエネルギー源が糖質です。
つまり糖質をカットするということは肝臓のエネルギー源が不足することにもなり、その代謝を落としてしまいます。

また食べ過ぎやアルコールの飲み過ぎが原因とされる脂肪肝ですが、実は極端なカロリー不足においても起きるようです。
これを低栄養性脂肪肝と言います。
栄養不足により肝臓が過度に代謝を落とし、溜め込む方向に働く結果として肝臓の周囲に脂肪が多量に蓄積してしまうというメカニズムです。

この脂肪肝がさらに肝臓の機能を落とすので、代謝低下の悪循環に陥ってしまいます
ダイエットやボディメイクに限らず、健康にも重大な影響を及ぼすので、過度な糖質制限は辞めるべきでしょう。

3-2 便秘の解消

「便秘解消でダイエット」と聞くと、「宿便の重さが抜けただけでしょ」と思う人が多いと思います。
しかし便通と代謝には密接な関係があり、便秘解消は代謝アップに繋がるのです。
このことについて詳しくは代謝アップについてのページで解説してるので、ご覧ください。

ダイエット、特に糖質制限をしている人で便秘に悩む人は多くいます。
便秘の原因には様々なものがありますが、糖質との関連で言うと以下の2点が問題です。

①食物繊維の不足 ②水分の不足

便通改善というとまず食物繊維の摂取をオススメされます。
最近では難消化性デキストリンやイヌリンなどのような食物繊維サプリメントもありますが、基本は野菜・穀物など糖質源からの摂取です。
糖質の摂取が不足してしまうと、ただでさえ必要量を摂れていない食物繊維がもっと足りなくなってしまいます。

因みにぼくはケト中にイヌリンを摂ってたけど全く便秘は改善しなかったよ

もう1つの水分不足も便秘に大きく関係していて、というのも便の7~8割は水だからです。
そのため水を小まめに飲むよう意識するだけで便秘が解消する人もいます。

しかし水の摂取だけでは解決しないケースが大半です。
それは水を単体で摂取しても体内には十分に吸収されず、ほとんどが大便ではなく尿として排出されてしまうからです。
その点、糖質は内部に水分を引き込む作用が強く、便に水気を持たせる働きをしてくれます。

ぼく自身、減量期に糖質量を減らすと重度の便秘になり、出ても水気のないコロコロうんちになりがちです。
そして増量期に切り替えて糖質量を戻すと、徐々に正常な排便を取り戻せます。

4 糖質は本来人間には必要ない?

糖質制限を強く推す人の常套句・最大の切り札は「人間はもともと糖質を摂っていなかった」というものです。
確かに長い人類の歴史において、農耕に基づく定住生活はごく最近のことと言われています。
人類は地球に出現しからのほとんどの期間、穀物やイモ類などの糖質を摂取することなく生きてきたのです。
現代においてもイヌイットはアシカなどの肉だけを摂取し、糖質を全く摂取していません。

人間に限らず、進化や遺伝子の変化というのは長い期間をかけて徐々に変化していくものと考えられています。
しかし遺伝子の変化は考えられているより容易に起こるという知見が得られていて、この視点をエピジェネティクスと言います。
これは日常の習慣や摂取したものによって遺伝子の一部の書き換えが起こるという考え方です。

つまり遥か昔のご先祖様がどう生活していたかよりも、もっと近い先祖(曾祖父や両親)そして自分自身の習慣の方が強く影響するということ。
現代人の数世代前まで遡っても糖質を摂取していたはずで、ほとんどが糖質ネイティブ(?)なのです。
糖質で生きる体質になるには十分な期間が経過していると言えます。

5 脂肪を付けない工夫は必要

糖質が必要だからと言って、食べても脂肪がつかないというわけじゃありません。
糖質から合成されるグリコーゲンは中性脂肪の材料なので、過剰摂取が肥満のもとであることは間違いありません。
トレーニングの効果や健康を害しない範囲で賢く糖質を摂取する必要があります。

また適正な摂取量に抑えたとしても上手く使われなければ、やはり体脂肪になってしまいます。
すなわち摂取した糖質を有効に活用するために、糖代謝を活性化することが必要になるのです。
糖代謝を円滑にするためのキーワードは3つあります。

補酵素になる栄養素の摂取 ②インスリン感受性の改善 ③糖質の種類への配慮

これら3つの対策については別のページで詳しく解説しています。こちらのページも併せてご覧ください。

補酵素についてはこちら

準備中

インスリン感受性についてはこちら

糖質の種類についてはこちら

まとめ

糖質の必要性について解説してきました。
筋トレなどの運動のパフォーマンス、筋肉の合成、そして代謝の向上とボディメイクに欠かせない要素になります。

過度な糖質制限はボディメイクに逆行するどころか、脂肪肝など健康の根幹にも影響しかねません。
カットした糖質の代わりにタンパク質を過剰に摂るようなことになれば、腸内環境の悪化を介して様々な疾患の原因にもなります。

とは言え過剰な糖質摂取や間違った種類の糖質を摂取することが肥満の原因であることは事実です。
また適正な量に抑えたとしても、それが上手く体内で吸収・利用されなければ余剰としてカウントされてしまいます。

パワーも出ない上に肥満になるなんて踏んだり蹴ったりだよね

摂取した糖質を上手く代謝するための工夫も必須です。
どうも上手くエネルギー源が循環していない感じがする人はぜひ試してみてください。
てなとこで。